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鄰家
これを
二碗と
傾けた
鄰家の
辻井さんは
向う
顱卷膚脱ぎの
元氣に
成つて、「さあ、こい、もう
一度搖つて
見ろ。」と
胸を
叩いた。
麹町、
番町の
火事は、
私たち
鄰家二三軒が、
皆跣足で
逃出して、
此の
片側の
平家の
屋根から
瓦が
土煙を
揚げて
崩るゝ
向側を
駈拔けて、いくらか
危險の
少なさうな、
四角を
曲つた
鄰家はと、
穴から
少し、
恁う
鼻の
尖を
出して、
覗くと、おなじやうに、
提灯を
家族で
袖で
包んで
居る。
魂なんど
守護するやうに——