平氣へいき)” の例文
新字:平気
「何も驚くことはありやしない。此の臭をれて平氣へいきになツて了はなけア、自分で自分の存在そんざい保證ほようすることが出來ないんだ。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
よくたゞしてると、しかく平氣へいきをとこも、時々とき/″\歡樂くわんらく飽滿はうまん疲勞ひらうして、書齋しよさいのなかで精神せいしんやすめる必要ひつえうおこるのださうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
苦笑くせうしたので、櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさをはじめ、一座いちざ面々めん/\あまりの可笑をかしさに、一時いちじにドツと笑崩わらひくづるゝあひだに、武村兵曹たけむらへいそう平氣へいきかほわたくしむか
ボズさんの本名ほんみやう權十ごんじふとか五郎兵衞ろべゑとかいふのだらうけれど、この土地とちものだボズさんとび、本人ほんにん平氣へいき返事へんじをしてた。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そこで土間どまつかへて、「ういふ御修行ごしゆぎやうんで、あのやうに生死しやうじ場合ばあひ平氣へいきでおいでなされた」と、恐入おそれいつてたづねました。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なされても御所持の荷物なり金子なり共うばとらんと思へばすぐに取て御目に懸ますと然も戯談じようだんらしく己が商賣を明白あからさまに云てわらひながら平氣へいきに酒を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
火箸ひばしさきんでて、それからつゞいて肉汁スープなべや、さら小鉢こばちあめつてました。公爵夫人こうしやくふじんは、其等それらつをも平氣へいきりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
週間しうかんてアンドレイ、エヒミチは、病院びやうゐんから辭職じしよく勸告くわんこくけたが、かれれにたいしてはいたつて平氣へいきであつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
頻々ひん/\たる地震ぢしんたいしても、古代こだい國民こくみん案外あんぐわい平氣へいきであつた。いはんや太古たいこにあつては都市としといふものがない。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
張作霖ちやうさくりんはず、如何いか支那人しなじん麻雀マアジヤンくかといふことはいろいろはなしくが、おどろくことは彼等かれらも三不眠不休ふみんふきうたゝかひつづけて平氣へいきだといふことだ。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「たいしてむづかしいことではありません」と、いひつて平氣へいきでをります。おきな仕方しかたなしにひめ註文ちゆうもんどほりをつたへますと、みなあきれかへつていへりました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
またあのことすかとむねなかもやくやして、なにともはれぬやな氣持きもちなり、さりながらことごとにおこりつけるわけにもゆかねば、るだけはらぬていをして、平氣へいきをつくりて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これは『冬芽とうが』とよび、落葉樹らくようじゆではちたあとのえだあひだから、常緑樹じようりよくじゆではそのえだとのあひだぐんで寒氣かんきをも平氣へいきでくゞつてすこしづゝ生長せいちようつゞはるになるときゆう發芽はつがするわけです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
おら平氣へいき
本部の段々で (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
家搜索やさがし致さんが此儀は御承知なりやと云ひければ和尚をしやう微笑ほゝゑみ夫は御勝手次第に家搜やさがしでも何でも致されよと一かう平氣へいきなり掃部然らばとて本堂を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『それ發射はつしや!。』とわたくしさけ瞬間しゆんかん日出雄少年ひでをせうねんすかさず三發さんぱつまで小銃せうじう發射はつしやしたが、猛狒ゴリラ平氣へいきだ。武村兵曹たけむらへいそうおほいいかつて
まあ那樣事そんなこといて、其時そのときふねなかで、ちつともさわがぬ、いやもとん平氣へいきひと二人ふたりあつた。うつくしいむすめ可愛かはいらしいをとこぢや。※弟きやうだいえてな、ました。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
元來ぐわんらい今度こんどこともとたゞせばあに責任者せきにんしやであるのに、あのとほ一向いつかう平氣へいきなもので、ひとなにつてもつてれない。だから、たゞたよりにするのは君丈きみだけだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ぐるりと廻して、さて自分の繪の前に立つた。眼を半眼はんがんにして、虚心きよしん平氣へいきの積で熟視する。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
そして、二三にちそのつかれのらないのに今更いまさら自分じぶんおろかさをいたやうな始末しまつだつたが、支那人しなじんが二も三たゝかひつづけて平氣へいきだといふのは、ひとつはたしか體力たいりよくのせゐにちがひない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
相手あいてのおかく平氣へいきなもの、おもしろ可笑をかしくわたるにとがめるひとなく美事みごと繁昌はんじやうしてまする、あれをおもふに商買人しやうばいにんの一とく、だまされたは此方こちらつみかんがへたとてはじまることではござんせぬ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
是迄これまで虚心きよしん平氣へいきで、健全けんぜんろんじてゐたが、一てう生活せいくわつ逆流ぎやくりうるゝや、たゞちくじけて落膽らくたんしづんでしまつた……意氣地いくぢい……人間にんげん意氣地いくぢいものです、貴方あなたとても猶且やはりうでせう
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
すなは太古たいこ國民こくみんは、頻々ひん/\たる地震ぢしんたいして、案外あんぐわい平氣へいきであつたらうとおもふ。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
うした平氣へいきも、それがため
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
息子むすこ平氣へいきなものです「またはじまつたよ。おつかさん、おまへ相變あひかはらず馬鹿正直ばかしやうじきだねえ、其樣そんなけち/\したこと此世このよわたれるかえ。」と大酒おほざけんで
其後そのご日毎ひごと新聞しんぶん伊藤公いとうこうことが五六だんづゝないことはないが、宗助そうすけはそれにとほしてゐるんだか、ゐないんだかわからないほど暗殺事件あんさつじけんついては平氣へいきえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
巡査じゆんさや、憲兵けんぺいひでもするとわざ平氣へいきよそほふとして、微笑びせうしてたり、口笛くちぶえいてたりする。如何いかなるばんでもかれ拘引こういんされるのをかまへてゐぬときとてはい。れがため終夜よつぴてねむられぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
此處こゝぬものか、なないものか、自分じぶん判斷はんだんをして、きるとおもへば平氣へいきし、ぬとおもしづか未來みらいかんがへて、念佛ねんぶつひとつもとなへたらうぢや、何方どつちにしたところが、わい/\さわぐことはない。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さりながらなふべきことならず、かりにもかゝるこゝろたんは、あいするならずしてがいするなり、いでいまよりは虚心きよしん平氣へいきむかしにかへりてなにごとをもおもふまじと、斷念だんねんいさましくむねすゞしくなるは
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
以て直樣すぐさま下谷山崎町の質屋渡世油屋五兵衞并びに番頭久兵衞とも呼出よびいだし置べき旨申付られしゆゑやがて町役人へ山崎町質屋五兵衞并びに同人召遣めしつかひ久兵衞等一同そろひしなら是へ呼出すべしと有ければ町役人畏こまり同道どうだうして罷出るに油屋五兵衞はかねて聞居たる文右衞門が百兩の一けんならんと思ひければ一かう平氣へいきにて其所そこへ出るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はつとおもつたが、一向いつかう平氣へいきで、甲府かふふ飯田町いひだまち乘越のりこすらしい。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)