だい)” の例文
下宿げしゆくには書物しよもつたゞさつ『千八百八十一年度ねんどヴインナ大學病院だいがくびやうゐん最近さいきん處方しよはう』とだいするもので、かれ患者くわんじやところときにはかなられをたづさへる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
この人をモデルにして不満足ふまんぞくというだいなり彫刻ちょうこくなり作ったならばと思われる。ふたりはしばらくのあいだ口もきかなかった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
太郎たろうは、学校がっこうで、図画ずが時間じかんに、おじいさんをきました。そこで、これに、「うさぎにせきをうつしたおじいさん」と、だいをつけました。
うさぎと二人のおじいさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
山中さんちゆうといふだいです。山中さんちゆうみゝきこえるものをいつとほりならべて、そしてものしづかなやま樣子ようすかんがへさせようとしたのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
前にもいへる如く雪譜とだいするものに他事をいふは哥にいふ落題らくだいなれど、雪はまた末にいふべし、しばらくおもひいだすにまかす。
瓦斯燈がすとうがほんのりともれて、あしらつた一本ひともと青柳あをやぎが、すそいて、姿すがたきそつてて、うただいしてあつたのをおぼえてる。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
じつ先日せんじつ倫敦ろんどん友人いうじんから『世界せかい名畫めいぐわ』とだいして、隨分ずゐぶん巧妙かうめうすつてあるのを二十まいばかりおくつてれたがね、それは如何どうだらうかとおもふのだ。』
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
したはぎ桔梗ききやうすゝきくず女郎花をみなへし隙間すきまなくいたうへに、眞丸まんまるつきぎんして、其横そのよこいたところへ、野路のぢ空月そらつきなかなる女郎花をみなへし其一きいちだいしてある。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わたしは『博物館はくぶつかん』といふだいくことになりましたが、何分なにぶん博物館はくぶつかんといつても、美術考古博物館びじゆつこうこはくぶつかんもあり、科學博物館かがくはくぶつかんもあり、そのほかいろ/\の博物館はくぶつかんがあるので
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
これをせた書物しよもつ地震直後ぢしんちよくご出版しゆつぱんされた『千七百五十五年せんしちひやくごじゆうごねん十一月一日じゆういちがついちにちのリスボン大地震だいぢしん』とだいするもので、歐洲おうしゆうける當時とうじ知名ちめい科學者かがくしや十名じゆうめい論文ろんぶんあつめたものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
かれは『沼』というだいの絵を展覧会てんらんかいに出して、いちやくして有数ゆうすう画家がかとなりました。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
わがはいはかつて『國語尊重こくごそんちやう』とだいして、わがくに固有こいう言語げんごこと固有名こいうめい尊重そんちやうせらるべきゆゑんをのべた。いままたこれに關聯くわんれんして、わが國民こくみん姓名せいめいかたについて一げんしたいとおもふ。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
去る十三日の国民新聞こくみんしんぶんに「瘠我慢の説を読む」とだいする一篇の評論ひょうろんかかげたり。
うし角文字つのもじといふのは、かくだいうたに「二ツ文字もじうし角文字つのもじすぐ文字もじゆがみ文字もじとぞきみおぼゆれ」これこひしくといふかくだいの歌で、二ツ文字もじはこの字で、うし角文字つのもじは、いろはのいの字
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
石橋いしばしわたしとのこの時の憤慨ふんがいふ者は非常ひじやうであつた、何故なにゆゑ山田やまだ鼎足ていそくちかひそむいたかとふに、これよりさき山田やまだ金港堂きんこうどうから夏木立なつこだちだいする一冊いつさつを出版しました、これ大喝采だいくわつさい歓迎くわんげいされたのです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
今を去る三十年の昔、三だいばなしという事一時いちじの流行物となりしかば、当時圓朝子が或る宴席において、國綱くにつなの刀、一節切ひとよぎり船人せんどうという三題を、例の当意即妙とういそくみょうにて一座の喝采を博したるが本話の元素たり。
よねどんなんとゝだいされて、なにはせてわらふつもりと惡推わるずいをすれば、わたしらぬとよこく、奧樣おくさますこ打笑うちわらひ、たねばこそ今日けふであろ、其樣そのやうなが萬一もしもあるなら、あのうちかぶりのみだがみ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
下宿げしゅくには書物しょもつはただ一さつ『千八百八十一年度ねんどヴィンナ大学病院だいがくびょういん最近さいきん処方しょほう』とだいするもので、かれ患者かんじゃところときにはかならずそれをたずさえる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「ああ、わすれていた。こんど学校がっこう国際親善こくさいしんぜんだいで、作文さくぶんいてすのだったね。」と、S少年エスしょうねんおもして、いいました。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
前にもいへる如く雪譜とだいするものに他事をいふは哥にいふ落題らくだいなれど、雪はまた末にいふべし、しばらくおもひいだすにまかす。
その時分じぶん先生せんせい御質素ごしつそなものであつた。二十幾年にじふいくねんもつとわたしなぞは、いまもつて質素しつそである。だんは、勤儉きんけんだいして、(大久保おほくぼ)のいんしてもい。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
丹青会はかうして、此大作に彽徊する多くの観覧者に便利を与へた。特別の待遇である。画が特別の出来できだからだと云ふ。或は人の目をだいだからとも云ふ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
履物はきものがどうも不思議ふしぎで、我々われ/\紗綾縮緬さやちりめん羽二重はぶたいを着ますのは心恥こゝろはづかしい事で、すでしん五百だいにもりますとほり「木綿もめん男子をのこのやうにおくゆかしく見え」とじつ恐入おそれいります、何卒どうぞ此方こちらへ/\。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
在原元方ありはらのもとかたといふひとうたで、『舊年ふるとし春立はるたちけるよめる』といふだい
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
百樹もゝきいはく丁酉の夏北越ほくゑつに遊びて塩沢に在し時、近村に地芝居ありときゝて京水とともに至りしに、寺の門のかたはらくひたてよこなが行燈あんどんあり、是にだいしていはく
書齋しよさいがくをねだつたとき紅葉先生こうえふせんせいが、活東子くわつとうしのために(春星池しゆんせいち)とだいされたのをおぼえてる。……春星池活東しゆんせいちくわつとう活東くわつとう蝌蚪くわとにして、字義じぎ(オタマジヤクシ)ださうである。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「兎も角此雑誌を一部君にやるから読んで見てくれ。偉大なる暗闇くらやみと云ふ題が面白いだらう。此だいなら人が驚ろくに極つてゐる。——驚ろかせないと読まないから駄目だ」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
じょうさまは、なつ山路やまじというだいについて、あき野原のはらという課題かだいについて、むしや、つゆについて、またあめにぬれたはななどについて、どんなにかぎりないうつくしい空想くうそうを、わたしまえ
春さきの古物店 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これは三だいばなしでございます。
百樹もゝきいはく丁酉の夏北越ほくゑつに遊びて塩沢に在し時、近村に地芝居ありときゝて京水とともに至りしに、寺の門のかたはらくひたてよこなが行燈あんどんあり、是にだいしていはく
わたしは、先生せんせいなつ嘉例かれいとしてくだすつた、水色みづいろきぬべりをとつた、はい原製ばらせいすゞしい扇子あふぎを、ひざめて、むねしかつて車上しやじやう居直ゐなほつた。しかしてだいつて極暑ごくしよ一文いちぶんこゝろあんじた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「なんというだいをつけたらいいかね。」と、先生せんせいは、秀吉ひできちにいいました。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
双坡楼そつはろうあふぎをいだしてふ、妓ももちたる扇をいだす。京水画をなし、余即興そくきやうしよす。これを見て岩居がんきよをはじめおの/\かべだいし、さら風雅ふうがきやうをもなしけり。
ちつゞく惡鬼あくきばらひ、をくあつする黒雲くろくもをぬぐつて、景氣けいきなほしに「明月めいげつ」も、しかし沙汰さたぎるから、せめて「良夜りやうや」とでもだいして、小篇せうへんを、とおもふうちに……四五人しごにんのおきやくがあつた。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
双坡楼そつはろうあふぎをいだしてふ、妓ももちたる扇をいだす。京水画をなし、余即興そくきやうしよす。これを見て岩居がんきよをはじめおの/\かべだいし、さら風雅ふうがきやうをもなしけり。
あさるとだいしたが、つむひもせぬ、これは浴衣ゆかたがけの縁臺話えんだいばなし。——
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)