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軒下
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のきした
ふりがな文庫
“
軒下
(
のきした
)” の例文
お
軒下
(
のきした
)
を
少々
(
せう/\
)
拝借
(
はいしやく
)
致
(
いた
)
します……
就
(
つ
)
きまして
私
(
わたくし
)
は
新入
(
しんまい
)
の
乞食
(
こじき
)
でございまして
唯今
(
たゞいま
)
其処
(
そこ
)
で
転
(
ころ
)
びましてな、足を
摺破
(
すりこは
)
しまして血が出て困りますが
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
川沿
(
かはぞひ
)
の
公園
(
こうゑん
)
の
真暗
(
まつくら
)
な
入口
(
いりぐち
)
あたりから
吾妻橋
(
あづまばし
)
の
橋
(
はし
)
だもと。
電車通
(
でんしやどほり
)
でありながら
早
(
はや
)
くから
店
(
みせ
)
の
戸
(
と
)
を
閉
(
し
)
める
鼻緒屋
(
はなをや
)
の
立
(
た
)
ちつゞく
軒下
(
のきした
)
。
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
かような
場合
(
ばあひ
)
を
省
(
かへり
)
みると、
屋外
(
おくがい
)
へ
避難
(
ひなん
)
して
可
(
か
)
なる
場合
(
ばあひ
)
は、
僅
(
わづか
)
に
二三秒
(
にさんびよう
)
で
軒下
(
のきした
)
を
離
(
はな
)
れることが
出來
(
でき
)
るような
位置
(
いち
)
にあるときに
限
(
かぎ
)
るようである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
見ると、
瓦小屋
(
かわらごや
)
の
軒下
(
のきした
)
に立って、ビッショリ濡れた着ものの
裾
(
すそ
)
をしぼりながら、久しぶりの月に思わず眼を吸われている
風情
(
ふぜい
)
。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして
軒下
(
のきした
)
にちぢこまって、
吹雪
(
ふぶき
)
のやむのを
待
(
ま
)
っていましたが、
知
(
し
)
らぬ
間
(
ま
)
に
疲
(
つか
)
れが
出
(
で
)
て、うとうとと
眠
(
ねむ
)
ってしまったのです。
夜の進軍らっぱ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
傘がないので私は、着物の
裾
(
すそ
)
を
端折
(
はしお
)
って、低い
日和下駄
(
ひよりげた
)
でぴちゃぴちゃと泥をはねながら家々の
軒下
(
のきした
)
を伝って小隊を訪ねた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
荒物屋
(
あらものや
)
の
軒下
(
のきした
)
の
薄暗
(
うすくら
)
い処に、
斑犬
(
ぶちいぬ
)
が一頭、うしろ
向
(
むき
)
に、長く伸びて寝て居たばかり、事なく着いたのは由井ヶ浜である。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
連
(
つれ
)
吉原より返りと見えて
此方
(
こなた
)
へ來るゆゑ久兵衞は
仕舞
(
しまつ
)
たりと思ひながら
早足
(
はやあし
)
に
軒下
(
のきした
)
へ廻り
天水桶
(
てんすゐをけ
)
の
蔭
(
かげ
)
へ隱れんとする處を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
軒下
(
のきした
)
から奥を
覗
(
のぞ
)
くと
煤
(
すす
)
けた
障子
(
しょうじ
)
が立て切ってある。向う側は見えない。五六足の
草鞋
(
わらじ
)
が
淋
(
さび
)
しそうに
庇
(
ひさし
)
から
吊
(
つる
)
されて、
屈托気
(
くったくげ
)
にふらりふらりと揺れる。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
軒下
(
のきした
)
に出して、一日に幾度となくそれを見に、障子を開けて縁側へ出る、それ丈けなら宜いが、鶯をあやし乍ら、向うの物干臺のあたりを見てニツコリする
銭形平次捕物控:262 綾の鼓
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
巌はこう思いながら父と二十歩ばかりの間隔を取ってさとられぬように
軒下
(
のきした
)
に
沿
(
そ
)
うていった。父はそれとも知らずにまっすぐに本通りへ出て左へ曲がった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
舞鶴城の天守の
櫓
(
やぐら
)
で、
午
(
うま
)
の刻……只今の正午のお太鼓がド——ンと聞えますと、すぐに鍬を放り出して、近くの
堤
(
どて
)
か
草原
(
くさばら
)
の木蔭か
軒下
(
のきした
)
に行って弁当を使う。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
軒下
(
のきした
)
を辷る様に逃げて行く人影。背の高い、髪を女の子の様に長髪にして、黒木綿の紋つきに、黒セルの
袴
(
はかま
)
をはいた、何とも形容の出来ない変てこな姿である。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そこで二人は、
怖
(
こわ
)
い家主が立ち去ったのを見ると、またもとの家の
軒下
(
のきした
)
へこっそりとしのび
寄
(
よ
)
りました。
神様の布団
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
とその
柿
(
かき
)
が
父
(
とう
)
さんに
御馳走
(
ごちさう
)
して
呉
(
く
)
れるのを
貰
(
もら
)
ひまして、
黒
(
くろ
)
く
燒
(
や
)
けた
柿
(
かき
)
の
皮
(
かは
)
をむきましたら、
軒下
(
のきした
)
に
釣
(
つ
)
るして
乾
(
ほ
)
した
柿
(
かき
)
でもなく、
霜
(
しも
)
に
逢
(
あ
)
つて
甘
(
あま
)
くなつた
柿
(
かき
)
でもなく
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
家畜のことは申すまでもありません。大きな家畜も小さな家畜も、みんな
軒下
(
のきした
)
にかくれておりました。
夢がたり
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
自分の耳を信ずることができなかった。しかし
軒下
(
のきした
)
で空気ポンプは力にあふれた声をあげるのだった。
空気ポンプ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
彼
(
かれ
)
の
書物
(
しよもつ
)
は
女主人
(
をんなあるじ
)
が
橇
(
そり
)
の
中
(
なか
)
に
積重
(
つみかさ
)
ねて、
軒下
(
のきした
)
に
置
(
お
)
いたのであるが、
何處
(
どこ
)
からともなく、
子供等
(
こどもら
)
が
寄
(
よ
)
つて
來
(
き
)
ては、一
册
(
さつ
)
持
(
も
)
ち
行
(
ゆ
)
き、二
册
(
さつ
)
取去
(
とりさ
)
り、
段々
(
だん/\
)
に
皆
(
みんな
)
何
(
いづ
)
れへか
消
(
き
)
えて
了
(
しま
)
つた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
入口
(
いりくち
)
の
外
(
そと
)
の
軒下
(
のきした
)
に
橢圓形
(
だゑんけい
)
の
据風呂
(
すゑぶろ
)
があつて十二三の
少年
(
せうねん
)
が
入
(
はひつ
)
て
居
(
ゐ
)
るのが
最初
(
さいしよ
)
自分
(
じぶん
)
の
注意
(
ちゆうい
)
を
惹
(
ひ
)
いた。
此
(
この
)
少年
(
せうねん
)
は
其
(
そ
)
の
日
(
ひ
)
に
燒
(
や
)
けた
脊中
(
せなか
)
ばかり
此方
(
こちら
)
に
向
(
む
)
けて
居
(
ゐ
)
て
決
(
けつ
)
して
人車
(
じんしや
)
の
方
(
はう
)
を
見
(
み
)
ない。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
あとは二人とも、
鉛
(
なまり
)
のように黙って、あの裏街の
軒下
(
のきした
)
を歩いていった。秋はこの場末にも既に深かった。夜の霧は、
頸筋
(
くびすじ
)
のあたりに忍びよって、ひいやりとした唇を置いていった。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
塀下に、つつじのこんもりした
灌木
(
かんぼく
)
——その蔭に、ぐっと一度うずくまって、
気配
(
けはい
)
をうかがうと、植込みの幹から幹、石から石を、つうつうと、影のように渡って、近寄った
軒下
(
のきした
)
。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
ガンたちは、人間がいそいで
軒下
(
のきした
)
にかけこむのを見ますと、こう教えてやりました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
勘次
(
かんじ
)
も
疲勞
(
ひらう
)
した
日
(
ひ
)
の
夕方
(
ゆふがた
)
には
唐鍬
(
たうぐは
)
を
村落
(
むら
)
の
店
(
みせ
)
の
軒下
(
のきした
)
へ
卸
(
おろ
)
して一
杯
(
ぱい
)
を
傾
(
かたむ
)
けて
來
(
く
)
るのであるが、
嘗
(
かつ
)
て
自分
(
じぶん
)
の
家
(
うち
)
に
運
(
はこ
)
んだこともなければ
臭
(
くさ
)
い
息
(
いき
)
を
吐
(
は
)
く
間
(
あひだ
)
は
卯平
(
うへい
)
へ
顏
(
かほ
)
を
合
(
あは
)
せたこともなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
正太
(
しようた
)
は
潜
(
くゞ
)
りを
明
(
あ
)
けて、ばあと
言
(
い
)
ひながら
顏
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
すに、
人
(
ひと
)
は二三
軒
(
げん
)
先
(
さき
)
の
軒下
(
のきした
)
をたどりて、ぽつ/\と
行
(
ゆ
)
く
後影
(
うしろかげ
)
、
誰
(
た
)
れだ
誰
(
た
)
れだ、おいお
這入
(
はいり
)
よと
聲
(
こゑ
)
をかけて、
美登利
(
みどり
)
が
足駄
(
あしだ
)
を
突
(
つツ
)
かけばきに
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
この目的のためにしばしばこの女の
住居
(
すまい
)
の近所を
徘徊
(
はいかい
)
して
容子
(
ようす
)
を
瞥見
(
べっけん
)
し、或る晩は
軒下
(
のきした
)
に忍んで障子に映る姿を見たり、戸外に
洩
(
も
)
れる声を
窃
(
ぬす
)
み
聴
(
き
)
いたりして、この女の態度から
起居振舞
(
たちいふるまい
)
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
しかし
半町
(
はんちょう
)
ほど逃げ延びると、わたしはある
軒下
(
のきした
)
に隠れながら、往来の前後を見廻しました。往来には夜目にも
白々
(
しろじろ
)
と、時々雪煙りが
揚
(
あが
)
るほかには、どこにも動いているものは見えません。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
幸いに雨も少し
歇
(
や
)
んで来たものですからある家の
軒下
(
のきした
)
に
佇
(
たたず
)
んで居りますとやがて戸をあけました。そこで関所はどこかと聞きますとこの村外れであるという。関所といっても別に門はない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
今日
(
きょう
)
はある
百姓
(
ひゃくしょう
)
の
軒下
(
のきした
)
、
明日
(
あす
)
は
木陰
(
こかげ
)
にくち果てた水車の上というようにどこという事もなく宿を定めて南へ南へとかけりましたけれども、容易に暖かい所には出ず、気候は一日一日と寒くなって
燕と王子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
だんだら染めの六尺帯を背に結んだ下男に
長柄
(
ながえ
)
の傘を後ろから差しかけさせて、悠々として練って来ましたから七兵衛は、こちらの遊女屋の
軒下
(
のきした
)
に立ってその道中の有様を物珍らしと見ていますと
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「あそこに家が、百姓家が見えるでしょう。もう少し右。ええ、そこです。双眼鏡で見てごらんなさい。
母家
(
おもや
)
の横に、小さな
納屋
(
なや
)
が見えるでしょう。そこの、
軒下
(
のきした
)
に何か下っているでしょう。見えますか」
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
順礼
(
じゆんれい
)
の
夫婦
(
ふうふ
)
軒下
(
のきした
)
に(我が里言には廊下といふ)
立
(
たち
)
けり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
軒下
(
のきした
)
を
忍
(
しの
)
び
塀
(
へい
)
を
攀ち
(
とぢ
)
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
かげろうが、
軒下
(
のきした
)
で、
輪
(
わ
)
を
造
(
つく
)
って、おどっていました。すぎの
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
に
当
(
あ
)
たる
風
(
かぜ
)
が
急
(
きゅう
)
になまあたたかく
感
(
かん
)
ぜられたのです。
雪消え近く
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
編笠のふちに手をかけ、横丁の人通りを見まわして、誰も怪しげな影は
尾行
(
つけ
)
ていないと見定めると、ずかずかと、長屋の
軒下
(
のきした
)
を通って、四軒目
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
荒物屋
(
あらものや
)
の
軒下
(
のきした
)
の
薄暗
(
うすくら
)
い
處
(
ところ
)
に、
斑犬
(
ぶちいぬ
)
が一
頭
(
とう
)
、うしろ
向
(
むき
)
に、
長
(
なが
)
く
伸
(
の
)
びて
寢
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
たばかり、
事
(
こと
)
なく
着
(
つ
)
いたのは
由井
(
ゆゐ
)
ヶ
濱
(
はま
)
である。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
突然耳元ちかく女の声がしたので、その方を見ると、
長命寺
(
ちょうめいじ
)
の門前にある掛茶屋のおかみさんが
軒下
(
のきした
)
の
床几
(
しょうぎ
)
に置いた煙草盆などを片づけているのである。
雪の日
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
さういふ
休茶屋
(
やすみぢやや
)
には、きまりで『
御嶽講
(
おんたけかう
)
』の
文字
(
もじ
)
を
染
(
そ
)
めぬいた
布
(
きれ
)
がいくつも
軒下
(
のきした
)
に
釣
(
つ
)
るしてありました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
同じ
軒下
(
のきした
)
に住んでいる祖父母と叔父夫婦との仲がとかく
円滑
(
えんかつ
)
を欠き、——
仕切戸
(
しきりど
)
の堅く
閉
(
とざ
)
されたのもそのためらしかった——この親子の二家族も別々になっていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
そうして
軒下
(
のきした
)
に積んだ寝床用の枯草の中から、青い青い石狩岳の上空に消え失せて行く機影を見送っているうちに何か知らタマラない不吉な予感に襲われましたので
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
る
夫
(
それ
)
惣蒐
(
そうがか
)
りにて叩き倒せと手に/\
息杖
(
いきづえ
)
を振り上打て
蒐
(
かゝ
)
るに半四郎も酒屋の
軒下
(
のきした
)
にありし
縁臺
(
えんだい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
彼
(
かれ
)
の
書物
(
しょもつ
)
は
女主人
(
おんなあるじ
)
が
橇
(
そり
)
の
中
(
なか
)
に
積重
(
つみかさ
)
ねて、
軒下
(
のきした
)
に
置
(
お
)
いたのであるが、どこからともなく、
子供等
(
こどもら
)
が
寄
(
よ
)
って
来
(
き
)
ては、一
冊
(
さつ
)
持
(
も
)
ち
行
(
ゆ
)
き、二
冊
(
さつ
)
取去
(
とりさ
)
り、
段々
(
だんだん
)
に
皆
(
みんな
)
何
(
いず
)
れへか
消
(
き
)
えてしまった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
軒下
(
のきした
)
に
縄張
(
なはば
)
りがいたしてございます
此
(
こ
)
の
中
(
うち
)
に
拝観人
(
はいくわんにん
)
は
皆
(
みな
)
立
(
たつ
)
て
拝
(
はい
)
しますので、
京都
(
きやうと
)
は
東京
(
とうきやう
)
と
違
(
ちが
)
つて
人気
(
にんき
)
は誠に
穏
(
おだ
)
やかでございまして、
巡査
(
じゆんさ
)
のいふ事を
能
(
よ
)
く守り、
中々
(
なか/\
)
縄
(
なは
)
の外へは出ません。
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
弦三は、商店の
軒下
(
のきした
)
から飛び出して、
万世橋
(
まんせいばし
)
ガードの下を目懸けて走っていった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「その
家
(
いえ
)
の
軒下
(
のきした
)
に、
頭
(
あたま
)
の
毛
(
け
)
も
眉毛
(
まゆげ
)
もあごひげもまっしろな
爺
(
じい
)
さんがいました。」
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
現に夏休みの一日前に数学を教える
桐山
(
きりやま
)
教官のお父さんの葬列の通った時にも、ある家の
軒下
(
のきした
)
に
佇
(
たたず
)
んだ
甚平
(
じんべい
)
一つの老人などは
渋団扇
(
しぶうちわ
)
を
額
(
ひたい
)
へかざしたまま、「ははあ、十五円の
葬
(
とむら
)
いだな」と云った。
文章
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
六畳の座敷は
南向
(
みなみむき
)
で、拭き込んだ
椽側
(
えんがわ
)
の
端
(
はじ
)
に
神代杉
(
じんだいすぎ
)
の
手拭懸
(
てぬぐいかけ
)
が置いてある。
軒下
(
のきした
)
から丸い
手水桶
(
ちょうずおけ
)
を鉄の
鎖
(
くさり
)
で釣るしたのは
洒落
(
しゃ
)
れているが、その下に
一叢
(
ひとむら
)
の
木賊
(
とくさ
)
をあしらった所が一段の
趣
(
おもむき
)
を添える。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
くだくだしい描写は
省
(
はぶ
)
くことに致しますが、その窓は隅田川に面していて、外は殆ど
軒下
(
のきした
)
程の空地もなく、すぐ例の表側と同じコンクリート塀に囲まれ、塀は直ちに余程高い
石崖
(
いしがけ
)
に続いています。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
順礼
(
じゆんれい
)
の
夫婦
(
ふうふ
)
軒下
(
のきした
)
に(我が里言には廊下といふ)
立
(
たち
)
けり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
唯
(
たゞ
)
軒下
(
のきした
)
を
行
(
ゆき
)
かよふ
夜行
(
やこう
)
の
巡査
(
じゆんさ
)
の
靴音
(
くつおと
)
のみ
高
(
たか
)
かりき。
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
前の家で物干ざおが
軒下
(
のきした
)
から落ちる音がした。
風宴
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
軒
常用漢字
中学
部首:⾞
10画
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“軒下”で始まる語句
軒下傳