はい)” の例文
そのうちに、バタバタ、バタバタ、はねの音をたてながら、空の下の鳥が一羽のこらずあつまってきて、はいのまわりにおりたちました。
と、自在鉤じざいかぎかっている下には、つい昨夜さくや焚火たきびをしたばかりのように新しいはいもり、木のえだえさしがらばっていた。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
宵月よいづきころだつたのにくもつてたので、ほしえないで、陰々いんいんとして一面いちめんにものゝいろはいのやうにうるんであつた、かはづがしきりになく。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
けれどだれ一人ひとりはいなわなんぞをこしらえることをっているものはありませんでした。そこでこんどは国中くにじゅうにおふれをして
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そのときキッコはむこうからはいいろのひだのたくさんあるぼろぼろの着物きものを着た一人のおじいさんが大へん考えんでこっちへ来るのを見ました。
みじかい木ぺん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
母親ははおやは、むすめがそれをて、こころでおかあさんのくせがはじまったとおもっているのもらずに、ばしのさきで、火鉢ひばちはいうえに、点々てんてんをつけていました。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「お帰り、寒かったろう」と母は火鉢の火をかきたてた、はいの中にはわずかにほたるのような光が見えた、外はひゅうひゅう風がうなっている。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
行く先ざきの野面のづらはまっ白な雪でおおわれて、空には日の光も見えなかった。いつも青白いはい色の空であった。はたをうつ百姓ひゃくしょうのかげも見えなかった。
米国のはいになり米国の土になった彼女は、しんに日本が米国につかわした無位無官の本当の平和の使者つかいの一人であったと。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
はし段々だん/″\はいいてくとはらあたりかたまりがあつたから木と竹のはしでヅンと突割つきわるとなかから色もかはらず山吹色やまぶきいろ古金こきんが出るから、あはてゝ両方りやうはうたもとれながら。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「何云うてんね、太夫の方が恐いで、胡摩ごまはいなら金だけや、太夫は尻の毛まで抜きよる、な、歌浦」
傾城買虎之巻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
この段取の間、男は背後うしろ戸棚とだなりながらぽかりぽかり煙草たばこをふかしながら、あごのあたりの飛毛とびげを人さし指の先へちょとはいをつけては、いたずら半分にいている。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
桂次けいじがもとへおくりこしたる寫眞しやしんはあれども、しがくしに取納とりおさめてひとにはせぬか、れともひとしらぬ火鉢ひばちはいになりおはりしか、桂次けいじならぬものるによしなけれど
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こういって、このむすめは、むこうのえだにとまっている、はい色したことりを、ゆびさしました。
遺跡發見物中にははいも有りけたる木片ぼくへんも有りてコロボツクルがようを知り居りし事は明なるが、鉢形はちがた鍋形なべがたの土器の中には其外面のくすぶりたる物も有れば、かし
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
筒の中の火薬かやく破裂はれつして、ドーン! とすさまじい火とはい炸裂さくれつした物体ぶったい破片はへんいあげた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
火浣布も火浣紙も火災くわさいそなへにはたのみがたし、いかんとなれば、火にあへともに火となり人ありて火中よりいださゞれば火とともくだけてかたちをうしなふ、たゞはいとならざるのみなり。
海とかわとの神々にことごとくお供えをたてまつり、それから私たち三人の神の御魂みたまを船のうえにまつったうえ、まきのはいひさごに入れ、またはしぼんとをたくさんこしらえてそれらのものを
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
つて、それがだいそうぞくする舊貝塚きふかひづか(といふもへんだが)ともおもはれぬ。何故なぜならば、はいこんじて、細密さいみつくだかれたる貝殼かひがらが、貝層中かひそうちうに一せんかくして、またそうしてるからである。
たばこぼんのはいなかにはいったりすることもありました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
はいなわをなうということはできる事でない。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
身を燃やしてはいとなる煙はどこであろう?
ルバイヤート (新字新仮名) / オマル・ハイヤーム(著)
こうして、三十分とはたたないうちに、みんなははいのなかからすっかりまめつぶをひろいだして、またおもてへとびだしていきました。
こうに魚のほねの形をしたはいいろのおかしなきのこが、とぼけたように光りながら、えだがついたり手が出たりだんだん地面じめんからのびあがってきます。
ありときのこ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
いつもかまどのはいすみこなにまみれたみにくい下司女げすおんなではなくって、もう天人てんにん天下あまくだったかとおもうように気高けだかい、十五、六のうつくしいおひめさまでした。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おんなのくずさんが、とどけてくれたのです。きっと、おまえが、かみくずや、すえぶろのはいはらっぱへてるときに、いっしょにまちがっててたのです。
雪の降った日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
老人ろうじんの回りには三びきの犬が、かたまってねていた。白いちぢれ毛のむく犬と、黒い毛深いむく犬、それにおとなしそうなくりくりした様子のはい色の雌犬めすいぬが一ぴき。
彼の村を流るゝ田川も、やはり玉川、玉川のまごであった。祖父様の玉川の水が出る頃は、この孫川まごがわの水もはいがゝった乳色になるのである。乞食は時々こゝに浴びる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
火浣布も火浣紙も火災くわさいそなへにはたのみがたし、いかんとなれば、火にあへともに火となり人ありて火中よりいださゞれば火とともくだけてかたちをうしなふ、たゞはいとならざるのみなり。
火鉢ひばちくろりてはいそと轉々ころ/\すさまじく、まだ如月きさらぎ小夜嵐さよあらしひきまどの明放あけばなしよりりてことえがたし、いかなるゆゑともおもはれぬに洋燈らんぷ取出とりいだしてつく/″\と思案しあんるれば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
道中の胡麻ごまはい形の男にも見えた。あるいは又すり稼ぎのために入込んだ者のようにも思われた。あいつが仕事のついでに、悪戯いたずらをして廻るのではあるまいか。そんな疑念をも生じたのであった。
怪異暗闇祭 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
としごろもつゐくらゐ、わたし二人ふたり夫婦ふうふのやうでじつ抱合だきあかたちえて、……あやしいをんなと、ぐにで、暖炉ストーブはいにされましたが、外面そともからひた/\る……むかひのゆきけむりつゝんで、つきした
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
文「はゝア、彼奴あいつたとえにいう護摩ごまはいか、よし/\承知した」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それじゃ、一時間のうちに、はいのなかから、おまめをふたつのおさらにいっぱいひろいだせたら、いっしょにつれてってやるよ。」
いながら、いきなりやかんにをかけますと、はいの中にかくれていたくりがぽんとはねして、とびがって、さる鼻面はなづらちからまかせにけつけました。
猿かに合戦 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
またせっかくむいたそのきれいなかわも、くるくるコルクきのような形になってゆかちるまでの間にはすうっと、はいいろに光って蒸発じょうはつしてしまうのでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
彼が隣の墓地ぼちにはもと一寸した閻魔堂えんまどうがあったが、彼が引越して来る少し前に乞食の焚火たきびから焼けて了うて、木の閻魔様ははいになり、石の奪衣婆だつえばばかり焼け出されて
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
カピははいの中に鼻をつっこんでいた。わたしもかれらのれいにならおうと考えた。けさは早かった。
たたみあいだや、火鉢ひばちはいなかに、ちたことはあったかもしれないよ。」といいました。
一銭銅貨 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もうひとりの女の子のほうは、うちじゅうのしごとをなにからなにまでやって、年がら年じゅう、はいだらけになっていなければなりませんでした。
すると、なにしろはいなわ出来できなければ、いまにもこのくにめられて、ほろぼされてしまうというので、国中くにじゅうのお百姓ひゃくしょうるとさわるとこのはなしばかりしました。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そのまん中をもう烏瓜からすうりのあかりもない川が、わずかに音をたててはいいろにしずかにながれていたのでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「だからくわのこやしに火葬場かそうばはいをやるんだよ。」
芽は伸びる (新字新仮名) / 小川未明(著)
とても出来できまいとおもったはいなわしてわたされたので、おとなりくに使つかいはへいこうしてげて行きました。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「おれは、うまいぐあいに、火のなかからとびだしてきたんだよ。こうでもしなかったら、まちがいなしにおだぶつさ。もえて、はいになっちまうにきまってるもの。」
ほんとうに空のところどころマイナスの太陽ともいうようにくらあいや黄金やみどりはいいろに光り空からちこんだようになりだれたたかないのにちからいっぱい鳴っている
インドラの網 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「えっ、火葬場かそうばはいをやるの。」
芽は伸びる (新字新仮名) / 小川未明(著)
ネコはかまどの上の、あたたかいはいのそばにまるくなり、オンドリはむね横木よこぎの上にとまりました。
こけももがいつかなくなって地面じめんかわいたはいいろのこけおおわれところどころには赤い苔の花もさいていました。けれどもそれはいよいよつめたい高原の悲痛ひつうすばかりでした。
インドラの網 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それからは毎日まいにち毎晩まいばんくら湯殿ゆどののおかままえすわらせられて、あたまからはいをかぶりながら、はちかつぎはみずをくんだり、をたいたり、あさはやくからこされて、よるはみんなの寝静ねしずまったあとまでも
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)