見舞みま)” の例文
呂宋兵衛の辞退をきくと、半助は、だれも刑場けいじょうへでると、一しゅ鬼気ききにおそわれる、その臆病風おくびょうかぜ見舞みまわれたなと、苦笑くしょうするさまで
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
をりから、従弟いとこ当流たうりうの一とゝもに、九州地しうぢ巡業中じゆんげふちう留守るすだつた。細君さいくんが、その双方さうはうねて見舞みまつた。の三めのときことなので。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
早苗が見舞みまいにゆくと、磯吉は眼帯がんたいをした顔をひざにつくほどうつむきこんで、いっそ死んだほうがよかったとしょげきっていたという。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
が、おもだけおもし、きたいだけきつくしたときに、あとにはなんともいえぬしんみりとやすらかな気分きぶんわたくし見舞みまってくれました。
彼は我が児以上に春琴の身を案じたまたま微恙びようで欠席する等のことがあれば直ちに使つかいを道修町に走らせあるいは自らつえいて見舞みまった。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
非局部性ひきよくぶせい大地震だいぢしんおこことのある海洋底かいようていせつした海岸地方かいがんちほうは、大搖おほゆれの地震ぢしん見舞みまはれた場合ばあひ津浪つなみについての注意ちゆういようする。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
そのあくる日、うさぎはおみその中にとうがらしをすりんでこうやくをこしらえて、それをってたぬきのところへお見舞みまいにやってました。
かちかち山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ぼくは又滝田くん病中びょうちゅうにも一しか見舞みまうことが出来なかった。滝田くんむかし夏目先生が「金太郎」とあだ名した滝田くんとは別人べつじんかとおもうほど憔悴しょうすいしていた。
滝田哲太郎君 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
まつばすから早くよくなれ」本家のおばあさんが見舞みまいに行って、その子の頭をなでて言いました。
ざしき童子のはなし (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
このことがみかどのおみゝたつしましたので、お使つかひをくだされてお見舞みまひがありました。おきな委細いさいをおはなしして
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
めづらしく家内中うちゞうとのれになりけり、このともうれしがるは平常つねのこと、父母ちゝはゝなきのちたゞ一人の大切たいせつひとが、やまひのとこ見舞みまこともせで、物見遊山ものみゆさんあるくべきならず
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
同伴者どうばんしゃ連立つれだたうとて、同門跣足どうもんせんそくある御坊ごばうたづねて、まちある病家びゃうかをお見舞みまやってゐるのにうたところ、まち檢疫けんえき役人衆やくにんしゅう兩人ふたりながら時疫じえきうちにゐたものぢゃとうたがはれて
可なりの生活くらしをして居ながら、ぜにになると云えば、井浚いどざらえでも屋根ふきの手伝でも何でもする隣字となりあざの九右衛門じいさんは、此雹に畑を見舞みまわれ、失望し切って蒲団ふとんをかぶって寝てしもうた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
たずねてると、一昨日いっさくじつから地主じぬし老人ろうじんは、しゃっくりがとまらないので、すっかりからだがよわって、とこについているということでした。それで、海蔵かいぞうさんはお見舞みまいにまくらもとまできました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
また松島海軍大佐まつしまかいぐんたいさ令妹れいまいなるかれ夫人ふじんにはまだ面會めんくわいはせぬが、兄君あにぎみ病床やまひ見舞みまはんがめに、暫時しばしでもその良君おつとわかれげ、いとけなたづさへて、浪風なみかぜあら萬里ばんりたびおもむくとは仲々なか/\殊勝しゆしようなる振舞ふるまひよと
「四郎馬鹿さんに見舞みまわれた店はどうも繁昌はんじょうするようだ」
みちのく (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
といってそのむなもとへ、石火せっかにのびてきた朱柄あかえやり石突いしづきは、かれの大刀が相手の身にふれぬうちに、かれの肋骨あばらの下を見舞みまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひとしきり笑いさざめいたあげく、ともかく学校へ向かった。途中とちゅうで出あう人たちは、いちいち見舞みまいのことばをおくった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
さて、るものもりあへず福井ふくゐまち出發しゆつぱつした。これが鎭守府ちんじゆふ病院びやうゐんに、をつと見舞みま首途かどでであつた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
やう/\のこと、くに役人やくにん世話せわ手輿てごしせられていへきました。そこへ家來けらいどもがけつけて、お見舞みまひをまをげると、大納言だいなごんすもゝのようにあかくなつたひらいて
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
耳形みゝがた𣠽つかつかんでそのけんをおきゃれ、はやうせぬと乃公おれけん足下おぬし耳元みゝもとへお見舞みままうすぞ。
正太しようた此日このひがけのあつめをやすませもらひて、三五らう大頭おほがしらみせ見舞みまふやら、團子屋だんごや背高せいたか愛想氣あいそげのない汁粉しるこやをおとづれて、うだまうけがあるかえとへば、しようさんおまへところ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これは文化ぶんかすゝんだくにとしては地震ぢしん見舞みまはれる機會きかいおほいからにもよるのであるが、なほ一因いちいんとして明治維新後めいじいしんご、わがくに文化開發事業ぶんかかいはつじぎよう補助者ほじよしやとして招聘しようへいした歐米人おうべいじんが、おほくは其道そのみちおい
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
で、あるじいさんが見舞みまわれたときわたくしたずねました。——
「そんなこと いうても たったの 一年生が 親にも ないしょで 見舞みまいに きたんじゃもん いかんと おれるかい ゆんとん さんじゃい」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
初対面しょたいめんのあいさつや、陣中の見舞みまいなどをのべおわってのち、八風斎はっぷうさいは、れいの秘図ひずをとりだし、主人勝家かついえからのおくり物として、うやうやしく、伊那丸いなまる膝下しっかにささげた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いゝえ私等わたくしども東京とうきやう修行しゆぎやうまゐつてるものでござるが、今度こんど國許くにもとちゝ急病きふびやうまを電報でんぱうかゝつて、それかへるのでござるが、いそいで見舞みまはんければなりませんので、むをふねにしました。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そのくれちか旦那だんなつりより惠比須ゑびすがほしてかへらるれば、御新造ごしんぞつゞいて、安産あんざんよろこびにおくりの車夫ものにまで愛想あいそうよく、今宵こよひ仕舞しまへばまた見舞みまひまする、明日あすはやくに妹共いもとゞもれなりとも
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それについては津浪襲來つなみしゆうらい常習地じようしゆうちといふものがある。この常習地じようしゆうちみぎしるしたような地震ぢしん見舞みまはれた場合ばあひ特別とくべつ警戒けいかいようするけれども、其他そのた地方ちほうおいては左程さほど注意ちゆうい必要ひつようとしないのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「あのね、見舞みまひにきますのは、わたし主人しゆじん……まあ、旦那だんななんですよ。」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
びたりとかやまいもとはお前様まへさまはるゝも道理どうりなりらざりしわれうらめしくもらさぬきみうらめしく今朝けさ見舞みまひしときせてゆるびし指輪ゆびわぬきりてこれ形見かたみとも見給みたまはゞうれしとて心細こゝろぼそげにみたる其心そのこゝろ今少いますこはやらばくまでにはおとろへさせじを
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
深夜しんやゆきけて、幾度いくど見舞みまはう、とおもつたほどだつたさうである。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ればことよ。今度こんど大災害だいさいがいにつけては、さきんじて見舞みまはねばならない、のこりのいへ無事ぶじはうあとになつて——類燒るゐせうをされた、なんともまをしやうのないかたたちから、先手せんてつて見舞みまはれる。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)