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類燒
喜八に
渡し別れてこそは歸りけれ
偖此喜八は古河吉右衞門が方に十年の
年季を
首尾能く
勤め
上吉右衞門より金五十兩
貰ひて
穀物店を江戸へ出しけるが二年の
間に三度
類燒なし
資本を
打ち
寄れば
言ふ
事よ。
今度の
大災害につけては、
先んじて
見舞はねばならない、
燒け
殘りの
家の
無事な
方が
後になつて——
類燒をされた、
何とも
申しやうのない
方たちから、
先手を
打つて
見舞はれる。
追拂はれ富澤町に若松屋金七と
云者幸之進と
入魂故此者の方へ
引移り世話になりけるが如何なる
過去の因縁にや漸々小野田が方へ縁付
安堵せしに間もなく又もや思ひの外の
災難にて再び
流浪の身となり親子涙の
乾く
隙なき所に廿日ばかり
立中近所より出火と
云程こそあれ大火となり若松屋金七も
類燒しければ是までの如くは