やう)” の例文
旧字:
阿母さんは大原おほはら律師様りつしさまにお頼みしてにいさん達と同じやう何処どこかの御寺おてらへ遣つて、あたまを剃らせて結構な御経おきやうを習はせ度いと思ふの。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
この恐ろしい世間のかわやう、又た友達の栄枯得失を聞いて、自分の唯だ此処に取残されたことを顧みたリツプの落胆は思ひ遣られます。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
これおちやう母様おつかさんのいふ事も兄様にいさんのおつしやる事もお前は合点がてんかないかい、狂気きちがひやうな娘を持つたわたしなんといふ因果であらうね。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
忠一といふ、今度尋常科の三年に進んだ校長の長男が、用もないのに怖々おづおづしながら入つて来て、甘えるやう姿態しなをして健のつくゑ倚掛よりかかつた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
其黄金機会ツていふやうなことはお金のたんとある人か、さうでなければ、むかしの人か、さうでなければ書物にかいてある、マア日本で正成マサシゲとか
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
さうして、其くもみねをよく見ると、真裸まはだか女性によせう巨人きよじんが、かみみだし、身をおどらして、一団となつて、れ狂つてゐるやうに、うまく輪廓をらした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ズル/\ツと扱出こきだしたは御納戸おなんどだかむらさきだか色気いろけわからぬやうになつたふる胴巻どうまきやうなもの取出とりだしクツ/\とくとなかから反古紙ほごがみつつんだかたまりました。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
両親あればやうにも成らじ物と、云ひたきは人の口ぞかし、思ふも涙は其方そちが母、臨終いまはの枕に我れを拝がみて。
雪の日 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
次のの時計が九時を打出うちだした時突然とつぜん格子戸かうしどががらりと明いた。の明けやうでおとよはすぐに長吉ちやうきちの帰つて来た事を知り急に話を途切とぎらはう振返ふりかへりながら
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
左ればお夏が愛情のおのづからに霊韻を含むやうになるも自然の結果にて、作者の用意浅しと云ふ可からず。
「歌念仏」を読みて (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
子供が俄かに母の手に帰つたので云ひやうもない寂寞を昨日きのふからあの人はあぢはつて居るのであるから、あゝしたとがつた声で物を云つたり、可愛い榮子を打つたりするのである。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
世間眼せけんがんにすれば、どこにも生活せいくわつくるしんでゐるらしいやう子はかんじられないのであつたが、もとよりりつめた、地道ぢみち所帶持しよたいもちなどには全くならされてゐない二人にとつては
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
どつちか分らん ただね あの運河のやうなものは 人げんなんかでなくともできるとふのぢや
かせぐものあればあそぶ者ありめる者あればふ者あるが即ち実相じつさうなればおの一人ひとり勝手かつて出放題ではうだいをこねつけてかほをするは云はふやうなき歿分暁漢わからずや言語同断ごんごどうだんといふべし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
「エヽ、本日けふまかり出でまするやうと、御父上から態々わざ/\のお使に預りまして」と、牧師は梅子の前に腰打ちかがめつ「はなはだ遅刻致しまして御座りまするが、御在宅でらせられまするか」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
老いたる男 何の、そのやうな事がおぢやるものか。くどい女子ぢや。な。この世の中に天狗、人食人などはおぢやらぬわい。ありや、南蛮の坊主共ぢや。日もはや暮れる。早う行ておぢやれ。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
咎人とがにんだよ、あれは。ろくなことを、しやしない。要らないことを、そそのかして、さうしてまたのこのこ、平気でここへ押しかけて来て、まるで恩人か何かのやうに、あの、きざな口のききやうつたら。
火の鳥 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
「へえ、それぢやまた警察のやうなことを聞かれるんですか。」
二黒の巳 (新字旧仮名) / 平出修(著)
どいつもこいつも、みないちやうに白でした。
林の底 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
そして変なわらやうをした。
さふらへど、この日は浪やや高く、こと昨日きのふより今日けふまで一日一夜いちにちひとよの静止ののちさふらへば、客人まろうど達は船酔ひがちに食事も進まぬやうさふらひき。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
さてまた此大したお金を何ぞいことにつかたいと思ふにつけ、さき/\のかんがへが胸のうちに浮んで来ましたが、いづれも夢か幻のやうくうな考へでした。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
柵の中は、左程広くもない運動場になつて、二階建の校舎が其奥に、愛宕山あたごやま欝蒼こんもりした木立を背負しよつたやうにして立つてゐる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「僕も実は御礼にやうなものだが、本当の御礼には、いづれ当人がるだらうから」と丸で三千代と自分を別物べつものにした言分いひぶんであつた。代助はたゞ
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
心細こゝろぼそさはもをすまでもなかつたが、卑怯ひけふやうでも修業しゆげふまぬには、恁云かういくらところはうかへつて観念くわんねん便たよりい。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それ貴方あなた段々だん/″\詮索あらつて見まするとわたしと少し内縁ひつかゝりやうに思はれます、仮令たとへ身寄みよりでないにもせよ功徳くどくため葬式とむらひだけはわたし引受ひきうけて出してやりたいとぞんじますが
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
さうぢや この運河を望遠鏡ばうゑんきやうで見ると このやうに あまり きれいにまつすぐなせんなんで
あのやう我儘わがまゝいひませぬほどにおゆるしあそばしてよとあどなくもびられて流石さすがにを
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やがて台所だいどころかたづけものましたおくさんはつぎかしてある子どもやう子をちよつとてくると、またちやへはいつて※て、しやうちかくにきよせた電燈でんとうの下で針仕事はりしごとにとりかゝつた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
客「浪へ月がうつるので、きら/\してものすごいやうだの。」
町中の月 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
『お照さん、こんな結ひやうもあるのよ。』
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
硝子やう鋼青のことばをつかつて
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
京の円山を十倍したるやうにほのかに輸廓りんくわくの思はるる山の傾斜のがくれに建てられしやかたどもにともれる青き火、黄なる火、紫の火
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
父は静に私を諭して、つまりこのごろの失策が私の稽古けいこで、父のおしへより母の諭しより私のためになるのだから、よく心を沈めて考へるやうにと申されました。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
「又御出掛でかけですか。何か御買物おかひものぢやありませんか。わたくしければつてませう」と門野かどのおどろいたやうに云つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
けては置かじとささややうにて、心済まねば謂ひも出でず、もしそれ胸中の疑磈ぎくわいを吐きて智識のをしへけむには、胸襟きようきんすなははるひらけて臆病とみえむと思へど
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
アヽ杉山君すぎやまくんうか過日くわじつうもぼくえらうた、前後忘却ぜんごばうきやくといふのはの事かい、下宿げしゆくかへつて翌日の十時すぎまで熟睡じゆくすゐをしてしまうたがアノやうた事はあまり無いよ
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
三四日前に橋の上で逢つたきり、名も知り顔も知れど、口一ついたではなし、さればと言つて、乗客と言つては自分と其男と唯二人、隠るべきやうもないので、素知そしらぬ振も為難しにくい。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
成事なることならば薄暗き部屋のうちにれとて言葉をかけもせず我が顔ながむる者なしに一人気ままの朝夕をたや、さらばこのやうの憂き事ありとも人目つつましからずはかくまで物は思ふまじ
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おくさんはびつくりしたやう子で小はしりにそこへむかへ出て※た。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
岡崎御坊へせうずる事が出来たら結構だと云ふので、呉服屋夫婦が熱心に懇望こんまうした所から、朗然らうねんと云ふみつぐさんの阿父おとうさんが、入寺にふじして来るやうに成つた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
蚯蚓みみずに団子………。さやう、それからなまの肉類。エー、それに同じ魚で自分よりさいのを食べるものが多いといふことを知つておいでのおありませう。
鼻で鱒を釣つた話(実事) (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
げてやらうと、ステツキで、……かうくと、せみはらに五つばかり、ちひさな海月くらげあしやうなのが、ふら/\とついておよいでる、つてゐやがる——ゑびである。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みな白錦しろにしき御旗みはたでございます。つるぎやうなものもいくらもまゐりました。うち御車みくるま曳出ひきだしてまゐりまするを見ますると、みな京都きやうとの人は柏手かしはでを打ちながら涙をこぼしてりました。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
顔を洗つて来た信吾は、気も爽々さつぱりしたやうで、ニヤ/\笑ひながら座についた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
我が子の可愛きに引かれては、此子の親なる人をかゝる中に捨てゝ、我が立さらん後はと、流石さすがに血をはく思ひもありしが、親々の意見はやうやく義理のやうにからまりて、弱き心のをしきらんに難く
琴の音 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それからあなたの俗名ぞくみやうつき華魁おいらんと書いて毎日線香せんかうげてりますが夢のやうでございます。
一走ひとはしり行つて来ようかと考へたが、あたまおもく痛むやうなので、次の阿母さんの部屋の八畳のへ来て障子を明放あけはなして、箪笥の前で横に成つた。暑い日だ、そよと吹く風も無い。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
晶子の批評が仏蘭西フランス中流の婦人に同情してあつた為に、反響はおほむそれ等の階級からおこつたやうである。初めの手紙は仏蘭西フランス女権拡張会の副会頭ブリユンシユ・※ツク夫人から来た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
アノわたしはね、浜町はまちやう待合茶屋まちあひぢややでございますがね、うもあたし性来うまれつき世辞せじがないんですよ、だもんだからおつかさんが、手前てめえやう無人相ぶにんさうぢやアいお客はやしないから世辞せじを買つていと
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)