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裙
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すそ
ふりがな文庫
“
裙
(
すそ
)” の例文
また繰返しながら、蓑の下の提灯は、
洞
(
ほら
)
の口へ吸わるる如く、奥在所の口を見るうちに深く入って、肩から
裙
(
すそ
)
へすぼまって、消えた。
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
スペインブールホスの大寺にあるメンシア・デ・メンドザ女の葬所なる臥像はその
裙
(
すそ
)
に
狆
(
ちん
)
を巻き付かせある。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
雲雀
(
ひばり
)
より上にやすらふ峠かなと芭蕉が詠みしは此の鳥居峠なり雨は
合羽
(
かつぱ
)
の
裙
(
すそ
)
よりまくり上げに降る此
曲降
(
きよくぶり
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
其事
(
そのこと
)
彼事
(
かのこと
)
寂然
(
じゃくねん
)
と柱に
凴
(
もた
)
れながら思ううち、
瞼
(
まぶた
)
自然とふさぐ時あり/\とお辰の姿、やれまてと手を
伸
(
のば
)
して
裙
(
すそ
)
捉
(
とら
)
えんとするを、
果敢
(
はか
)
なや、幻の空に消えて
遺
(
のこ
)
るは
恨
(
うらみ
)
許
(
ばか
)
り
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
おなをはいちど出てゆき、派手な柄の
帷子
(
かたびら
)
を持って来て、
裙
(
すそ
)
のほうへ掛けた。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
新郎
(
はなむこ
)
は
羽織袴
(
はおりはかま
)
、
新婦
(
はなよめ
)
も
裙
(
すそ
)
の長い着物で、並んで
撮
(
と
)
れていた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ひらひらと
紅
(
くれなゐ
)
の
裙
(
すそ
)
が
燃
(
も
)
える、女だ、若いぞ。
二十三夜
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
梅水は、以前築地一流の本懐石、江戸前の料理人が庖丁を
鏽
(
さ
)
びさせない腕を
研
(
みが
)
いて、吸ものの運びにも女中の
裙
(
すそ
)
さばきを
睨
(
にら
)
んだ
割烹
(
かっぽう
)
。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
フ相談
付
(
つか
)
ぬは知れた事、百両出すなら呉れてもやろうがとお辰を
捉
(
とら
)
え
立上
(
たちあが
)
る
裙
(
すそ
)
を抑え、吉兵衛の云う事をまあ下に居てよく聞け、人の身を
売買
(
うりかい
)
するというは
今日
(
こんにち
)
の理に外れた事
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
裙
(
すそ
)
が
未
(
ま
)
だ
此
(
こ
)
の
肱
(
ひぢ
)
に
懸
(
かゝ
)
つて、
橋
(
はし
)
に
成
(
な
)
つて
床
(
ゆか
)
に
着
(
つ
)
く、
仰向
(
あふむ
)
けの
白
(
しろ
)
い
咽喉
(
のど
)
を、
小刀
(
ナイフ
)
でざつくりと、さあ、
斬
(
き
)
りましたか、
突
(
つ
)
いたんですか。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
すっと
跨
(
また
)
ぐ、色が、紫に奪われて、杜若に
裙
(
すそ
)
が消えたが、花から抜ける
捌
(
さば
)
いた
裳
(
もすそ
)
が、橋の向うで
納
(
おさ
)
まると、直ぐに
此方
(
こなた
)
へ向替えて
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
所々の
水溜
(
みずたまり
)
では、
夫人
(
おくさん
)
の足がちらちら映る。
真中
(
まんなか
)
は
泥濘
(
ぬかるみ
)
が
甚
(
ひど
)
いので、
裙
(
すそ
)
の濡れるのは我慢しても、
路傍
(
みちばた
)
の草を
行
(
ゆ
)
かねばならない。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
つく/″\と
見
(
み
)
れば
無残
(
むざん
)
や、
形
(
かたち
)
のない
声
(
こゑ
)
が
言交
(
いひか
)
はした
如
(
ごと
)
く、
頭
(
かしら
)
が
畳
(
たゝみ
)
の
上
(
うへ
)
へ
離
(
はな
)
れ、
裙
(
すそ
)
が
梁
(
うつばり
)
にも
留
(
と
)
まらずに
上
(
うへ
)
から
倒
(
さかさま
)
に
釣
(
つる
)
して
有
(
あ
)
る……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
もっとも、うとうととするうちに、もそりもそり
裙
(
すそ
)
で動いたものがある。鼠、いや、猫より大きい。しかも赤ッちゃけたものが、何か動く。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
煙
(
けむり
)
が
立
(
た
)
つて、づん/\とあがる
坂
(
さか
)
一筋
(
ひとすぢ
)
、やがて、
其
(
そ
)
の
煙
(
けむり
)
の
裙
(
すそ
)
が
下伏
(
したぶ
)
せに、ぱつと
拡
(
ひろ
)
がつたやうな
野末
(
のずゑ
)
の
処
(
ところ
)
へ
掛
(
かゝ
)
つて
居
(
ゐ
)
ました。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
とお千さんは、伊達巻一つの
艶
(
えん
)
な
蹴出
(
けだ
)
しで、お召の
重衣
(
かさね
)
の
裙
(
すそ
)
をぞろりと引いて、
黒天鵝絨
(
くろびろうど
)
の
座蒲団
(
ざぶとん
)
を持って、火鉢の前を
遁
(
に
)
げながらそう言った。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
山の
端
(
は
)
出づる月の光に、真紫に輝きまするを夢のように抱きました時、あれの父親は白砂に
領伏
(
ひれふ
)
し、波の
裙
(
すそ
)
を吸いました。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
榎を
潜
(
くぐ
)
った
彼方
(
かなた
)
の崖は、すぐに、大傾斜の窪地になって、山の
裙
(
すそ
)
まで、寺の裏庭を取りまわして
一谷
(
ひとたに
)
一面の卵塔である。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
むッくり下から掻い上げ、押出すようにするりと半身、夜具の
紅裏
(
もみうら
)
牡丹花
(
ぼたんか
)
の、咲乱れたる
花片
(
はなびら
)
に、
裙
(
すそ
)
を包んだ
美女
(
たおやめ
)
あり。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
裙
(
すそ
)
が落ちて、畳に
颯
(
さっ
)
と
捌
(
さば
)
けると、薄色の壁に美しく
濡蔦
(
ぬれづた
)
が
搦
(
から
)
んで絵模様、水の垂りそうな
濡毛
(
ぬれげ
)
を、くっきりと
肱
(
ひじ
)
で
劃
(
くぎ
)
って、透通るように
櫛
(
くし
)
を入れる。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
径
(
こみち
)
に
被
(
かぶ
)
さった樹々の葉に、さらさらと渡って、
裙
(
すそ
)
から、袂から
冷々
(
ひやひや
)
と
膚
(
はだ
)
に染み入る夜の風は、以心伝心二人の囁を伝えて、お雪は思わず
戦悚
(
ぞっ
)
とした。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
前へ立ったのは、
蓑
(
みの
)
を着て、竹の子笠を
冠
(
かぶ
)
っていました。……端折った
片褄
(
かたづま
)
の
友染
(
ゆうぜん
)
が、
藁
(
わら
)
の
裙
(
すそ
)
に優しくこぼれる、
稲束
(
いなたば
)
の根に嫁菜が咲いたといった形。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白ッぽい糸織の羽織の
裙
(
すそ
)
を払って、金の
平打
(
ひらうち
)
の
指環
(
ゆびわ
)
を
嵌
(
は
)
めた手を長火鉢の縁から放し、座蒲団を外してふわりと立つと、むッくりと起きた飼犬が一頭。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
向って、外套の黒い
裙
(
すそ
)
と、青い
褄
(
つま
)
で腰を掛けた、むら
尾花
(
おばな
)
の
連
(
つらな
)
って輝く穂は、キラキラと
白銀
(
はくぎん
)
の波である。
若菜のうち
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これを聞いて、
屈
(
かが
)
んで、板へ敷く
半纏
(
はんてん
)
の
裙
(
すそ
)
を
掻取
(
かいと
)
り、膝に挟んだ
下交
(
したがい
)
の
褄
(
つま
)
を
内端
(
うちわ
)
に、障子腰から肩を乗出すようにして、つい目の
前
(
さき
)
の、下水の溜りに目を着けた。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
唯
(
ふと
)
、片側の
一軒立
(
いっけんだち
)
、平屋の白い格子の裡に、薄彩色の
裙
(
すそ
)
をぼかした、艶なのが、絵のように覗いて立つ。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
咽喉
(
のど
)
は裂け、舌は凍って、
潮
(
しお
)
を浴びた
裙
(
すそ
)
から冷え通って、正体がなくなる処を、貝殻で
引掻
(
ひっか
)
かれて、やっと船で正気が付くのは、
灯
(
あかり
)
もない、何の船やら、あの、まあ
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄萌葱
(
うすもえぎ
)
の窓掛を、
件
(
くだん
)
の
長椅子
(
ソオフア
)
と雨戸の
間
(
あい
)
へ
引掛
(
ひっか
)
けて、幕が明いたように、絞った
裙
(
すそ
)
が
靡
(
なび
)
いている。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どこも寝入って、
寂
(
しん
)
として、この二三日めっきり暑さが増したので、中には
扉
(
と
)
を明けたまま、看護婦が廊下へ雪のような
裙
(
すそ
)
を出して、戸口に
横
(
よこた
)
わって眠ったのもあった。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
糸七は、そうした橋を渡った処に、うっかり
恍惚
(
うっとり
)
と
彳
(
たたず
)
んだが、
裙
(
すそ
)
に近く流の音が沈んで聞こえる、その沈んだのが下から足を浮かすようで、余り静かなのが心細くなった。
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
唯今
(
ただいま
)
もお尋ねの肝腎のその
怪
(
あやし
)
い婦人が、
姿容
(
すがたかたち
)
、これがそれ御殿女中と申す一件——
振袖
(
ふりそで
)
か
詰袖
(
つめそで
)
か、
裙
(
すそ
)
模様でも着てござったか、
年紀
(
とし
)
ごろは、顔立は、髪は、島田とやらか
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一方が小山の
裙
(
すそ
)
、左が
小流
(
こながれ
)
を間にして、田畑になる、橋向うへ廻ると、山の裙は山の裙、田畑は田畑それなりの道続きが、
大畝
(
おおうね
)
りして向うに小さな土橋の見えるあたりから
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寂しい、美しい女が、花の雲から下りたように、すっと
翳
(
かげ
)
って、おなじ堀を
垂々
(
だらだら
)
下
(
お
)
りに、町へ続く長い坂を、胸を
柔
(
やわらか
)
に袖を合せ、肩を
細
(
ほっそ
)
りと
裙
(
すそ
)
を浮かせて、宙に
漾
(
ただよ
)
うばかり。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寝る時には、
厚衾
(
あつぶすま
)
に、この
熊
(
くま
)
の皮が上へ
被
(
かぶ
)
さって、
袖
(
そで
)
を包み、
蔽
(
おお
)
い、
裙
(
すそ
)
を包んだのも面白い。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
はじめ、目に着いたのは——ちと申兼ねるが、——とにかく、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
であった。その燃立つようなのに、朱で
処々
(
ところどころ
)
ぼかしの入った
長襦袢
(
ながじゅばん
)
で。女は
裙
(
すそ
)
を
端折
(
はしょ
)
っていたのではない。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
それ
)
を
片手
(
かたて
)
で
祕
(
かく
)
したけれども、
足
(
あし
)
のあたりを
震
(
ふる
)
はすと、あゝ、と
云
(
い
)
つて
其
(
そ
)
の
手
(
て
)
も
兩方
(
りやうはう
)
、
空
(
くう
)
を
掴
(
つか
)
むと
裙
(
すそ
)
を
上
(
あ
)
げて、
弓形
(
ゆみなり
)
に
身
(
み
)
を
反
(
そ
)
らして、
掻卷
(
かいまき
)
を
蹴
(
け
)
て、
轉
(
ころ
)
がるやうに
衾
(
ふすま
)
を
拔
(
ぬ
)
けた。……
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
女中が、何よりか、と火を入れて炬燵に導いてから、出先へ迎いに出たあとで、冷いとだけ思った袖も
裙
(
すそ
)
も
衣類
(
きもの
)
が濡れたから不気味で脱いだ、そして蒲団の下へ掛けたと云う。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
身体
(
からだ
)
がどうにかなってるようで、すっと立ち切れないで
踞
(
つくば
)
った、
裙
(
すそ
)
が足にくるまって、帯が少し
弛
(
ゆる
)
んで、胸があいて、うつむいたまま
天窓
(
あたま
)
がすわった。ものがぼんやり見える。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄ゴオトで
澄
(
す
)
ましたはいいが、
裙
(
すそ
)
をからげて、
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の
紅入
(
べにいり
)
を、何と、
引
(
ひき
)
さばいたように、赤うでの大蟹が、籠の目を睨んで、爪を
突張
(
つっぱ
)
る……襟もとからは、湯上りの乳ほどに
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
見物席の少年が二三人、足袋を空に、
逆
(
さかさ
)
になると、膝までの
裙
(
すそ
)
を
飜
(
ひるがえ
)
して
仰向
(
あおむけ
)
にされた少女がある。マッシュルームの類であろう。大人は、立構えをし、
遁身
(
にげみ
)
になって、声を詰めた。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
裙
(
すそ
)
へ流れる水、あの小川も、梅水に居て、座敷の奥で、水調子を聞く音がします。……牡丹はもう、枝ばかり、それも枯れていたんですが、降る雪がすっきりと、白い
莟
(
つぼみ
)
に積りました。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夜目にも燃ゆる
襦袢
(
じゅばん
)
の袖、
裙
(
すそ
)
にもちらめく紅梅に、ちらりと白足袋が脱いであり。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兇器
(
きょうき
)
が手を離るゝのを
視
(
み
)
て、局は
渠
(
かれ
)
が
煙草入
(
たばこいれ
)
を探す
隙
(
すき
)
に、そと身を起して、
飜然
(
ひらり
)
と一段、天井の雲に
紛
(
まぎ
)
るゝ如く、廊下に
袴
(
はかま
)
の
裙
(
すそ
)
が
捌
(
さば
)
けたと思ふと、
武士
(
さむらい
)
は
武
(
む
)
しや
振
(
ぶ
)
りつくやうに
追縋
(
おいすが
)
つた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
寂
(
しん
)
とした夜で、あたかも宙に拡げたような、蚊帳のその
裙
(
すそ
)
が、そよりと
戦
(
そよ
)
ぐともしないのに、この座の人の動くに連れて、屋の棟とともに、すっと浮いて上ったり、ずうと行燈と一所に
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
静寂、深山に似たる時、這う子が火のつくように、山伏の
裙
(
すそ
)
を取って泣出した。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
地柄
(
じがら
)
縞柄
(
しまがら
)
は分らぬが、いずれも手織らしい
単放
(
ひとえ
)
を
裙
(
すそ
)
短
(
みじか
)
に、草履
穿
(
ばき
)
で、日に背いたのは
緩
(
ゆるや
)
かに腰に手を組み、日に向ったのは額に手笠で、
対向
(
さしむか
)
って二人——
年紀
(
とし
)
も同じ程な
六十左右
(
むそじそこら
)
の
婆々
(
ばば
)
が
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……その
前日
(
ぜんじつ
)
、おなじ
山
(
やま
)
の
温泉
(
おんせん
)
の
背戸
(
せど
)
に、
物干棹
(
ものほしざを
)
に
掛
(
か
)
けた
浴衣
(
ゆかた
)
の、
日盛
(
ひざかり
)
にひつそりとして
垂
(
た
)
れたのが、しみ
入
(
い
)
る
蝉
(
せみ
)
の
聲
(
こゑ
)
ばかり、
微風
(
かぜ
)
もないのに、
裙
(
すそ
)
を
飜
(
ひるがへ
)
して、
上下
(
うへした
)
にスツ/\と
煽
(
あふ
)
つたのを
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
菅笠
(
すげがさ
)
を
目深
(
まぶか
)
に
被
(
かぶ
)
って、
※
(
しぶき
)
に濡れまいと思って
向風
(
むかいかぜ
)
に
俯向
(
うつむ
)
いてるから顔も見えない、着ている蓑の
裙
(
すそ
)
が
引摺
(
ひきず
)
って長いから、脚も見えないで
歩行
(
ある
)
いて
行
(
ゆ
)
く、脊の高さは五尺ばかりあろうかな、猪
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その位置の真上より振袖落ち、
紅
(
くれない
)
の
裙
(
すそ
)
翻り、道成寺の白拍子の姿、一たび宙に流れ、きりきりと舞いつつ
真倒
(
まっさかさ
)
に落つ。もとより、仕掛けもの造りものの人形なるべし。神職、村人ら、立騒ぐ。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
床几
(
しやうぎ
)
に
休
(
いこ
)
ひ
打眺
(
うちなが
)
むれば、
客
(
きやく
)
幾組
(
いくくみ
)
、
高帽
(
たかばう
)
の
天窓
(
あたま
)
、
羽織
(
はおり
)
の
肩
(
かた
)
、
紫
(
むらさき
)
の
袖
(
そで
)
、
紅
(
くれなゐ
)
の
裙
(
すそ
)
、
薄
(
すゝき
)
に
見
(
み
)
え、
萩
(
はぎ
)
に
隱
(
かく
)
れ、
刈萱
(
かるかや
)
に
搦
(
から
)
み、
葛
(
くず
)
に
絡
(
まと
)
ひ、
芙蓉
(
ふよう
)
にそよぎ、
靡
(
なび
)
き
亂
(
みだ
)
れ、
花
(
はな
)
を
出
(
い
)
づる
人
(
ひと
)
、
花
(
はな
)
に
入
(
い
)
る
人
(
ひと
)
、
花
(
はな
)
をめぐる
人
(
ひと
)
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
裙
漢検1級
部首:⾐
12画
“裙”を含む語句
教儂不沾裙
裙子
裙捌
紅裙
裂裙且傷股
紅裙翠袖
裙裾
裙袂
裙紅
裙短
裙模様
裙引衣
裙帯菜
裙屐
裙分
裙下
衣裙
羅裙
紅裙翠黛
朱履方裙