つづ)” の例文
旧字:
それがひとうように規則的きそくてきあふれてようとは、しんじられもしなかった。ゆえもない不安ふあんはまだつづいていて、えず彼女かのじょおびやかした。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
もちろん、たった一人、大道ぐらしをつづけてゆくことの危険きけんなことはよくわかっていた。それはさんざん、つらい経験けいけんもしている。
むすめは、あるときは、くもながれるほうかってあるいていきました。また、あるときは、みずながれるほうかって、たびつづけました。
初夏の空で笑う女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、おもいました。そしてまだじっとしていますと、りょうはなおもそのあたまうえではげしくつづいて、じゅうおと水草みずくさとおしてひびきわたるのでした。
黄鶴楼の庭前に作った仮舞台かりぶたいと面して見物席にてたのは二タつづきの大広間であって、二、三百人のお客がギッシリつまった。
手許てもと火鉢ひばちせた薬罐やかんからたぎる湯気ゆげを、千れた蟋蟀こおろぎ片脚かたあしのように、ほほッつらせながら、夢中むちゅうつづけていたのは春重はるしげであった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ついでながら、わたくしわたくし生前せいぜん良人おっととの関係かんけいいま依然いぜんとしてつづいてり、しかもそれはこのまま永遠えいえんのこるのではないかとおもわれます。
これよりしてイワン、デミトリチは日夜にちやをただ煩悶はんもんあかつづける、まどそばとおものにわものみな探偵たんていかとおもわれる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
甚兵衛は口をあんぐりいたまま、さるかおながめていました。それを見てさるはまたわらいだしながら、いいつづけました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
道はまるっきりコンクリートせいの小川のようになってしまって、もう二十分とつづけて歩けそうにもありませんでした。
ガドルフの百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ごろごろというおとがかすかにつづく、それでだれいうとなく、ごんごろがねぶようになったのだそうだ。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
国道こくどうは日にらされて、きいろい綺麗きれいなリボンのように牧場まきばはたけ沿って先へとび、町や村を通りぬけ、人の話では、ふねの見える海までつづいているということです。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
つづいておなじく長篇ちょうへんの『小悪魔しょうあくま』を発表はっぴょうして、一りゅう作家さっかとしてをうたわれるようになった。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
ラランにつづいてペンペがサッと密林みつりんうへした。やがてはねととのへて、あたまたかくあげた。だんだんと下界したはなれる。もう千メートルだ。二からすはそこではじめてくちをきいた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
それがこわい魔物に魅入みいられて身動きのできない様子としか受取れない。盲目は彼の眼の暗いごとく、暗い顔をして、悲しい陰気な、しかも高い調子の胡弓をつづけに擦っている。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その後胴引どうびきなどいう博奕ばくちに不思議に勝ちつづけてかねたまり、ほどなく奉公をやめ家に引き込みてちゅうぐらいの農民になりたれど、この男はくに物忘れして、この娘のいいしことも心づかずしてありしに
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
おれも金貨きんかが見えてる間は無我むがむちゅうだったが、金貨が消えてしまったとたん、ぞっとしたね。がたがたとふるえてきて、どうしてもとまらねえんだ。このごろはへんなことばかりつづくじゃないか。
安孫子屋は元繁昌していたが、流れの三太郎という親分が仕切しきって買取ってから流行はやらねえつづきで、半年か一年かで止めてしまった。だからこの男なぞ色気づいた頃にゃもう無え、知らねえ筈だよう。
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
絵だくみ、うつらつづけ。なかに一人いちにん
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
A そんな旅はいつまでつづくの。
旅人 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ゴットフリートはつづけていった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
「これで妹のからだも落ちつく。おれも細ぼそながら、つづきはできそうになって来た。不人情のようでもあるが、ここでいっそ思い切って八橋と離ればなれになってしまおうか。なんといっても向うは籠の鳥だ。こっちさえ寄り付かなければいい」
籠釣瓶 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「どこへいくものか。もうさむいからやすんだがいい。」と、父親ちちおやさきたれました。つづいて兄弟きょうだいもへやへはいって、とこはいりました。
ペスときょうだい (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしはまた土地をたがやしたことがあったが、勤労きんろうによって土地にまるで休憩きゅうけいをあたえないまでに耕作こうさくつづけるということを知らなかった。
そしてこんな有様ありさまはそれから毎日まいにちつづいたばかりでなく、しそれがひどくなるのでした。兄弟きょうだいまでこのあわれな子家鴨こあひる無慈悲むじひつらあたって
わたくしというものはよくよく執着しゅうじゃくつよい、つみふかい、女性じょせいだったのでございましょう。——この生活せいかつ何年位なんねんくらいつづいたかとのおたずねでございますか……。
と、それからそれへとはなしつづけていきひまい、ドクトルはみみをガンとして、心臓しんぞう鼓動こどうさえはげしくなってる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ぽんと背中せなかをたたかれて、つづけにかされたのが、柳湯やなぎゆで、金蔵きんぞうがしゃべったという、橘屋たちばなやの一けんであった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
所々ところどころには、水増しの時できた小さな壺穴つぼあなあとや、またそれがいくつもつづいたあさみぞ、それから亜炭あたんのかけらだの、れたあしきれだのが、一れつにならんでいて
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
不思議ふしぎ沈黙ちんもくつづいた。とうさんでさえそれをかすことが出来できなかった。ただただとうさんはだまって、袖子そでこている部屋へやそと廊下ろうかったりたりした。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しろのまわりには、小石をならべたような町なみが、とおくまでつづいていました。そのすえは広々としたになって、一めんに、ぼうとかすんでいました。王子はただうっとりとながめていました。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
……やがて今に緊急教員会議きんきゅうきょういんかいぎ招集しょうしゅうされ、つづいて小泥棒こどろぼう退学処分たいがくしょぶんになる……。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
御詠歌ごえいか流しうらうらとりもつづく日
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
また沈黙ちんもくつづいた。みんなは考えにしずんでいた。そんなふうにして、どのくらいいたか知らないが、ふとさけび声が聞こえた。
ばたんとあかると、一ぽうからくるくるまがみんなまって、いままで、じっとしていたくるまが、ながれるようにつづきました。
はととりんご (新字新仮名) / 小川未明(著)
その街道かいどうくらいつづいているかとおたずねですか……さァどれくらい道程みちのりかは、ちょっと見当けんとうがつきかねますが、よほどとおいことだけたしかでございます。
かれ起上おきあがって声限こえかぎりにさけび、そうしてここより抜出ぬけいでて、ニキタを真先まっさきに、ハバトフ、会計かいけい代診だいしん鏖殺みなごろしにして、自分じぶんつづいて自殺じさつしてしまおうとおもうた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そこへひょっこりかおした弟子でし藤吉とうきちは、団栗眼どんぐりまなこ一層いっそうまるくしながら、二三つづけさまにあごをしゃくった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
(さあ帰って寝るかな。もっ切り二っつだな。そいでぁこいづと。)(もどるすか。)さっきの女の声がした。こっちではきせるをたんたんつづけて叩いていた。
泉ある家 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
なんだね、お前達まえたちこれだけが全世界ぜんせかいだとおもってるのかい。まあそんなことはあっちのおにわてからおいよ。なにしろ牧師ぼくしさんのはたけほうまでつづいてるってことだからね。
シューラはそのわけをはなした。生徒監せいとかん言葉ことばつづけた。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
ときどきカピが後足で立ち上がって、わたしの顔を見ては二、三度つづけてほえた。かれの心持ちはわたしにはわかっていた。
あくる少年しょうねんあさはやくから、そこにすわっていました。いい天気てんきでありましたから、おじいさんのいったように、おてらのお開帳かいちょうかけるひとつづきました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
つりがねそうか野ぎくかの花が、そこらいちめんに、ゆめの中からでもかおりだしたというようにき、鳥が一ぴきおかの上を鳴きつづけながら通って行きました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わたしは課業かぎょうつづけてやるようにかれに目くばせした。かれは注意を感謝かんしゃするように微笑びしょうした。そしてまた本を読み始めた。
ところが先頭の兵隊さんはふねのところまでやって来ると、ぐるっとまわって、またむこうへもどりました。みんなもそれにつづきましたのでれつは一つのになりました。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そして、ひかりが、だんだんかげってくると、そのよるから翌日あくるひにかけて、大雨おおあめつづきました。
長ぐつの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
とうとう何週間もけいこをつづけて、わたしは親方が書いた紙から、曲を読むことができるようになった。もう親方も、両手を空に上げなかった。
じつにこの高原のつづきこそは、東の海のがわからと、西の方からとの風や湿気しっきのおさだまりのぶっつかり場所ばしょでしたから、雲や雨やかみなりや霧は、いつでももうすぐおこってくるのでした。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
小鳥ことりがどこまでもついていってくれるのをたよりにたびつづけられていますと、あるのこと、おひめさまは見覚みおぼえのあるおしろもりが、あちらにそびえているのをごらんになりました。
お姫さまと乞食の女 (新字新仮名) / 小川未明(著)