おど)” の例文
その二尺にしやくほどした勾配こうばい一番いちばんきふところえてゐる枯草かれくさが、めうけて、赤土あかつちはだ生々なま/\しく露出ろしゆつした樣子やうすに、宗助そうすけ一寸ちよつとおどろかされた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「はあ。社長は決して動じないとお答えになったばかりか、おどかしても宜い、決して大変と言わないと仰有ったのでございます」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
うら田圃たんぼへ出て見るとおくはうの物置きの中に素裸体すつぱだかとしころ三十二三になるをとこ棒縛ぼうしばりになつてるのを見て、和尚をしやうおどろき、なか飛込とびこんでて、僧
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
酔いも手つだってか、いかにも見えそうなかっこうで写真に顔を向けている磯吉の姿に、となりの吉次は新らしい発見でもしたようなおどろきでいった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
資本もとでに初めし醫者家業いしやかげふ傷寒論しやうかんろんよめねどもなりとて衣服いふくおどかし馬鹿にて付る藥までした三寸の匙加減さじかげんでやつて退のいたる御醫者樣もう成ては長棒ながぼうかごよりいのち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あんまり知らないふりをなさるからちょっとおどかしてあげたんだけれど、それでも、もうお分りになったでしょう。——いつかの、その時、花のさかりの真夜中に。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ところがおどろいたことに、ガンたちは、ふたりとも朝のたびにいっしょについていってもいいというのです。
千代ちいちやんひどく不快わるくでもなつたのかいふくくすりましてれないかうした大変たいへん顔色かほいろがわろくなつてたおばさん鳥渡ちよつと良之助りやうのすけこゑおどかされてつぎ祈念きねん
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女も眼をさまして起上おきあがると見る間に、一人は消えて一人は残り、何におどろいておきたのかときかれ、実は斯々これこれ伍什いちぶしじゅうを語るに、女不審いぶかしげにこのほども或る客と同衾どうきんせしに
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
が、その瞬間しゅんかんわたくしきゅうどまってしまいました。それはいままではっきりとうつっていた良人おっと姿すがたが、きゅうにスーッとえかかったのにおどかされたからでございます。
ひと足音あしおとおどろいてうしろ振返ふりかへると一人ひとり老人らうじんちかづいてところです。老人らうじんそば
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
三二六なごめつおどしつ、かはるがはる物うちいへど、只死に入りたるやうにて夜明けぬ。
だれんでもかまはないのだらう』とあいちやんはおもひました、『此位このくらゐ身長せいでは駄目だめよ、さうだ、ひと彼等かれらおどろかしてやらう!』とつてあいちやんは、ふたゝ右手みぎてかけはじめました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
おやあ これはおどろいた ふたりとも樹の下でねむつてゐるぞ
「なに、嘘だ、この阿魔あまめ、人をおどかしやがる。」
悪魔 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それからあとわたしうしたからなかつたんですが、其後そののちやうやいてると、おどろきましたね。蒙古もうこ這入はいつて漂浪うろついてゐるんです。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
昨夜ゆうべは退屈だったから、一つお島をおどかしてやる積りで、お花姉さんの外套を取りに行った。乃公おれは居るかと思って、そっと入ったが居なかった。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
おどかして上げましょうと思ったんだけれども。」と、笑って串戯じょうだんを言いながら、かめなる花と対丈ついたけに、そこに娘が跪居ついいるので、かれは謹んで板に片手をいたのである。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まよひし邪正じやしやうがたし、鑑定かんてい一重ひとへ御眼鏡おめがねまかさんのみと、はじたるいろもなくべらるゝに、母君はゝぎみ一トたびあきれもしつおどろきもせしものゝ、くまで熱心ねんしんきはまりには
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
差込さしこみ死し居たりにほひの此處よりおこりしなれば大いにおどろき一同へおや甚左衞門へも此事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
荘主あるじあふごを捨てて手をつて笑ひ、一八渠等かれらおろかなる眼より一九客僧をおどしまゐらせぬ。
ニールスは、深く心をうごかされました。と、同時どうじに、おどろきました。だって、いままでは、おとうさんとおかあさんは、じぶんがいなくなって、よろこんでいるだろうと思っていたんですもの。
それからと云うものはこの家にあやしい事が度々たびたびあっておどろかされた芸人も却々なかなか多いとの事であるが、ある素人連しろうとれんの女芝居を興行した際、座頭ざがしらぼうが急に腹痛をおこし、雪隠せっちんへはいっているとも知らず
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
おどろいて二人ふたりとも、つぎの一駈足かけあしんだこともあつた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
うわあ! おどろいた 地きう行きはどれだらう
二三ぷん火鉢ひばちたれてかんがへてゐたが、やがてがつて、小六ころくからおこしにゝつた。つぎきよおこした。二人ふたりともおどろいてきた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
何んだか信用出来ない話だけれど、乃公はお父さんをおどかす積りで心待ちに待っていた。けれどもお父さんは驚かないで、直接いきなりと怒ってしまった。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
おどかそう思うて、わざと、こっそりと上って来たぞに。心易立てや。ようこそに、ようこそに、こんな処まで、嬉しいこっちゃ。や、もう洞斎兄の事や、何の事や、すぎ去った。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
御新造ごしんぞおどきたるやうのあきがほして、れはまあなんことやら、なるほどおまへ伯父おぢさんの病氣びやうき、つゞいて借金しやくきんはなしもきゝましたが、いまいまわたしのうちから立換たてかへようとははなかつたはづ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まづ四八長等ながらの山おろし、立ちゐる浪に身をのせて、四九志賀の大湾おほわだみぎはに遊べば、五〇かち人ののすそぬらすゆきかひにおどされて、五一比良ひらの高山影うつる、深き水底みなそこ五二かづくとすれど
見て大いにおどろき其方は狂氣きやうきせしか父に向ひて無禮ぶれい振舞ふるまひ何と心得居るやと申ければ徳太郎君おほせけるはいかにかくすとも予は太守光貞みつさだの子なり然れば其方は家來けらいなるぞ以後はさやう心得こゝろえよと仰ありて是迄これまでは將監を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なるべく患者くわんじやおどろかさないやうにね
人形は其れなり泣かなくなったが、菊ちゃんが泣いて仕様がない。縛ってしまうよとすかしても泣く。河の中へほうり込んでしまうぞとおどかしても泣く。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「又御出掛でかけですか。何か御買物おかひものぢやありませんか。わたくしければつてませう」と門野かどのおどろいたやうに云つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こんなところへ出て参りまして、たまに通りますものをおどかしますのが面白くて成りませんので、つい、あの、癖になりまして、今晩も……旦那様だんなさまに申訳のございません失礼をいたしました。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ぼく吾助ごすけけるとひしを、姉樣ねえさまはかけまじとひたり、けては口惜くやしければ姉樣ねえさまおどろくほど上手じやうずに、のちはずにいますぐきてれよ、掃除そうぢなどはずともしとて箒木はヽきうばへば
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ああ愉快だと足をうんと延ばすと、何だか両足へ飛び付いた。ざらざらしてのみのようでもないからこいつあとおどろいて、足を二三度毛布けっとの中でってみた。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
やしろの柵の横手を、坂の方へ行ったらしいで、後へ、すたすた。坂の下口おりくちで気が附くと、おどかしやがらい、畜生めが。俺の袖の中から、しわびた、いぼいぼのあるあおい顔を出して笑った。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「まあまあ、それでいにしましょうよ。あやまると思って、奴さん帰って来まさあ。だ明いているようだから、もしこのハガキが着かないようなら警察へ手を廻すぞっておどかしてやって下さい」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
心配しないでもい。よろしくねがつて置けば構はない。所が一番仕舞になつて、御金おかね此所ここにありますが、あなたにはわたせませんと云ふんだからおどろいたね。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ふさいで飛込とびこまうとしたけれども、あかるかつたからおどいて退さがつた。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「着かなければ見ませんから、おどかしを書いても駄目ですよ」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「けれども、れつこになつてるんだから、おどろきやしません」と云つて、代助を見てさみしいわらかたをした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「そら御覧な、目を覚ましたわね、人をおどかすもんだから、」
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「実はこの間はついでをもって一寸おどかした気味もある」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
赤シャツの行く所なら、野だは必ず行くにきまっているんだから、今さらおどろきもしないが、二人で行けば済むところを、なんで無愛想ぶあいそのおれへ口をけたんだろう。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「いや。大丈夫です。編輯長は荒いのが揃っていると言いましたが、あれはおどかしでした。皆好い人達ばかりです。上の連中だって、会社のように威張っていません。それに仕事が面白いです。今度は続きますから、御安心下さい」
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「あれ、いやおどかしちゃ……」
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
田舎者はしみったれだから五円もやればおどろいて眼をまわすにきまっている。どうするか見ろとすまして顔を洗って、部屋へ帰って待ってると、夕べの下女が膳を持って来た。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おどかすなよ」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)