おつ)” の例文
おつるところにはたらきざしあるゆゑに陰にして陽のまろきをうしなはざる也。天地気中の機関からくり定理定格ぢやうりぢやうかくある事奇々きゝ妙々めう/\愚筆ぐひつつくしがたし。
(まあ、をんながこんなお転婆てんばをいたしまして、かはおつこちたらうしませう、川下かはしもながれてましたら、村里むらさとものなんといつてませうね。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
されば我等は開きたる處を傳ひてひとり/″\に行かざるをえざりき、我はこなたに火を恐れかなたに下におつるをおそれぬ 一一五—一一七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
賣てとかき口説くどき親子の恩愛おんあいかう暫時しばしはても無りけり漸々やう/\にしてつまお安はおつなみだ押拭おしぬぐ夫程迄それほどまでに親を思ひ傾城遊女けいせいいうぢよと成とても今の難儀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
朝霧ゆふ霧のまぎれに、声のみらして過ぎゆくもをかしく、更けたるまくらに鐘のきこえて、月すむ田面たのもおつらんかげ思ひやるも哀れ深しや。
あきあはせ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
自動車が崖からおつこちても、死なば諸共ですわ。貴君あなたわたしと一緒なら、死んでも本望ぢやなくて? おほゝゝゝゝゝ。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
ついでに落葉を一ともえさせて行頃ゆくころ何か徳蔵おじが仔細しさいありげに申上るのをお聞なさって、チョット俯向うつむきにおなりなさるはずみに、はらはらとおつる涙が
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
えんとしてろ、いごくんぢやねえぞいごくとぽかあんとほりなかおつこちつかんな、そうらけえるぽかあんとおつこつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
吹く風ぬれたる木立を動かせば、おもいに沈める二人は共にとさめて、の庭に、おつひびきに耳を澄ます。
三途川さんづのかはおつこつて蘇生よみがへつた。妻「めうだね、まうれしい。女「んなお芽出めでたい事はございませんね。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
堀割し跡にわずかに生出おひいで躑躅つゝぢ岩にしがみ付て花二つ三つ削落けづりおとせし如きいはほの上に小松四五本たてり其下に流るゝ水雪の解けておつるにや流早く石にさへられてまた元の雪と散るを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
光の海のやうに明るい雲なき西の空には、燃えおつる火の玉のやうな晩秋の太陽が、中央山脈の上に低く沈みかけてゐた。ふるへるやうな弱い光線が斜めに二人の横顔を照した。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
一、梧桐ごどう一葉いちようおつの意を詠じなば和歌にても秋季と為るべし。俳句にては桐一葉きりひとはを秋季に用うるのみならず、ただ桐と言ふ一語にて秋季に用うる事あり。鷹狩たかがりは和歌にても冬季なり。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
べらぼうめ、南瓜畑かぼちやばたけおつこちたたこぢやあるめえし、おつうひつからんだことを
言文一致 (新字旧仮名) / 水野葉舟(著)
又は露多き苔道こけみちをあゆむに山蛭やまびるひいやりとえりおつるなど怪しき夢ばかり見て覚際さめぎわ胸あしく、日の光さえ此頃このごろは薄うなったかと疑うまで天地を我につれなき者のよう恨む珠運しゅうん、旅路にかりそめの長居ながい
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
自堕落じだらくな、あれさ、おつこつたらどうするの
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
田中なるこまんが柳おつるころ 荷兮
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
露はまぶたおつれども
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
雪頽なだれといふ事初編しよへんにもくはしくしるしたるごとく、山につもりたる雪二丈にもあまるが、春の陽気やうきしたよりむし自然しぜんくだおつる事大磐石だいばんじやくまろばしおとすが如し。
うすらぐべきよしもなくて、をうみ梅實うめおつおともそゞろさびしき幾日いくひ、をぐらきまどのあけくれに、をちかへりなく山時鳥やまほとゝぎすの、からくれなゐにはふりでねど
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おつこちるといきほひよくみつツばかりくる/\とまつたあひだに、鮟鱇博士あんかうはかせいつツばかりおまはりをして、をのばすと、ひよいとよこなぐれにかぜけて、なゝめにんで
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いふことが此世の餘波なごりなみだしめ枕邊まくらべは雨にみだれし糸萩いとはぎながれにしづむばかりなり然ば男乍をとこながらも吉兵衞は狂氣きやうきの如くなげきつゝかくまで妻のかほやせて昔にかはあはれさよとおつる涙を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はたけきりでもかしでもいまつてからぼろ/\葉々はつぱおつこつちやつて可怖おつかねえもんだよ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
『ヘイ、これは旦那のお足袋ぢや厶いませんか? 鼠がおつこちたかと思つたら、足袋が降つて來たと云ふので、臺所ぢや貴方、吃驚びつくりいたしましたんで。ヘイ、全く、どうも、ヘイ。』
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
年々変らない景物に対して、心に思うところの感懐もまた変りはないのである。花の散るが如く、葉のおつるが如く、わたくしには親しかったの人々は一人一人相ついでってしまった。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
如何いかなる境界におつるとも加茂かもの明神も御憐愍ごれんみんあれ、其人そのひと命あらばめぐあわせ玉いて、芸子げいこも女なりやさしき心入れうれしかりきと、方様の一言ひとことを草葉のかげきかせ玉えと、遙拝ようはいして閉じたる眼をひらけば
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
黒けぶりむらがりたたせ手もすまに吹鑠ふきとろかせばなだれおつるかね
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
山影やまかげおつる湖の
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
雪頽なだれといふ事初編しよへんにもくはしくしるしたるごとく、山につもりたる雪二丈にもあまるが、春の陽気やうきしたよりむし自然しぜんくだおつる事大磐石だいばんじやくまろばしおとすが如し。
やつぱり片袖かたそでなかつたもの、そしてかはおつこちておぼれさうだつたのをすくはれたんだつて、母様おつかさんのおひざかれてて、其晩そのばんいたんだもの。だからゆめではない。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『ヘイ、これは旦那のお足袋ぢや厶いませんか? 鼠がおつこちたかと思つたら、足袋が降つて来たと云ふので、台所ぢや貴方、吃驚いたしましたんで。ヘイ、全く、怎も、ヘイ。』
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
子息彦三郎は漸く十五歳なれども發明はつめいにして孝心かうしんふかき故母の言葉を倩々つく/″\きゝおつる涙を押へ是迄これまで父樣とゝさまの歸り給ふを待居たる甲斐かひもなくつみる人となつて御仕置おしおきと聞ふる時は此大坂中に評判ひやうばん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
されどもお美尾みを病氣びやうきはお目出度めでたきかたなりき、三四がつころよりれとはさだかにりて、いつしかうめおつ五月雨さみだれころにもれば、隣近處となりきんじよ人々ひと/\よりおめで御座ござりますとあきらかにはれて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
溜池ためいけ屋舗やしきの下水落ちて愛宕あたごしたより増上寺ぞうじやうじの裏門を流れてこゝおつる。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
なんでかでおつことしただけものでもやればそれでもちげえあんすべね
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
や、其時そのときびく足代あじろおつこちて、どろうへ俯向うつむけだね。其奴そいつが、へい、あしやしてぬま駆込かけこまぬがつけものだで、畜生ちくしやうめ、今夜こんやめをつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とちは八月じゆくしておつるをひろひ、てのちかはかし、手にもみてあらきふるひにかけて渋皮しぶかはをさり、ぬのをしきてにしたるをおき、よくならし水をうちてしめらせ
大跨に、然うだ、菊池君は普通なみ足調あしどりでなく、屹度きつと大跨に歩く人だ。無雑作に大跨に歩く人だ。大跨に歩くから、時としてドブリと泥濘ぬかるみへ入る、石につまづく、真暗な晩には溝にもおつこちる。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
溜池ためいけ屋舗やしきの下水落ちて愛宕あたごしたより増上寺ぞうじょうじの裏門を流れてここおつる。
こまはね、たけたかい、かごなかしたからうへんで、すがつて、ひよいとさかさはらせて熟柿ぢくしおつこちるやうにぽたりとおりてをつゝいて、わたしをばかまひつけない
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
大跨に歩くから、時としてドブリと泥濘ぬかるみへ入る、石につまづく、眞暗な晩には溝にもおつこちる、若しかして溝が身長よりも深いとなると、アノ人の事だから、其溝の中を大跨に歩くかも知れない。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
しら露のむすべる霜のをくてよりわせにはやくおつる月影
中に一条ひとすじ、つるくさ交りの茅萱ちがや高く、生命いのちからむと芭蕉の句の桟橋かけはしというものめきて、奈落へおつるかと谷底へ、すぐに前面むこうの峠の松へ、蔦蔓かずらで釣ったようにずる故道ふるみちの、細々と通じているのが
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ものうき日光ひかげ漏れおつる時なりき。
しかれども唯飛流ひりゅうの白雲のうちよりおつるを見るのみ、真に奇観なり。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おつる木の葉はゆるやかに流る。
大絃たいげんはさらすもとひにおつかり