あづか)” の例文
これは京橋口定番ぢやうばん米津丹後守昌寿よねづたんごのかみまさひさが、去年十一月に任命せられて、まだ到着せぬので、京橋口も遠藤があづかりになつてゐるからである。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
にちて、アンドレイ、エヒミチは埋葬まいさうされた。祈祷式きたうしきあづかつたのは、たゞミハイル、アウエリヤヌヰチと、ダリユシカとで。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
五八も驚きしつかといだは若旦那にてありしか私し事は多く御恩ごおんあづかり何かと御贔屓下ごひいきくだされし者なれば先々まづ/\わけあとの事手前の宿やどへ御供を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
のまゝだと、もう一音信いちおんしん料金れうきんを、とふのであつた。たしか、市内しない一音信いちおんしんきん五錢ごせんで、局待きよくまちぶんともで、わたし十錢じつせんよりあづかつてなかつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こゝを一應いちおう見物けんぶつするだけでも一日いちにちようしますが、入場にゆうじよう無料むりようであり、かさつゑあづかつてくれても賃錢ちんせんりません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
やがて、その商人あきうどは、やう/\のことでもと天竺てんじくにあつたのをもとめたといふ手紙てがみへて、皮衣かはごろもらしいものをおくり、まへあづかつた代金だいきん不足ふそく請求せいきゆうしてました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
ところが懇意な書肆ほんやで、いつも新版物を見繕つて文豪のもとへ売り附けにく男があつた。キプリングは書物ほんあづかる度に請取書うけとりがきに署名をするのが例となつてゐる。
「一體これは何といふざまだ。大事な若樣をあづかながら、腰を拔かしたり、眼を廻したりする奴があるかツ」
その下婢かひ矢張やはり鍵をあづかつてうちを知らなかつた。けれど態々わざ/″\いへに入つて聞いてれたのでやうやわかつた。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
御城與力おしろよりきは、御城代ごじやうだいあづかものだが町奉行まちぶぎやう與力よりき同心どうしんもらつたのだ。まり各々おの/\今日けふから、この但馬たじまもらものだ。もらものだから、かさうところさうと但馬たじま勝手かつてだ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「オヽ、梅子」とお加女は顧み「お前さんはだおつに御目にかゝるんでしたネ、此方このかた阿父おとつさんの一方ならぬ御厚情にあづかる、海軍の松島様で——御不礼ごぶれい無い様に御挨拶ごあいさつを」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
まづ責任せきにん閑過かんくわする一れいまをしませう。それはおも外出ぐわいしゆつなどについおこ事柄ことがらで、塾生じゆくせい無論むろんわたくしおやから責任せきにんもつあづかつてゐるのですから出入ではいりつきては行先ゆくさき明瞭めいれうにしてきます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
美尾みをぐるめわたしあづかり、おまへさんは獨身ひとりみりて、官員くわんゐんさまのみにはかぎらず、草鞋わらじいてなりとも一かどはたらきをして、人並ひとなみごされるやうこゝろかけたがからうではいか
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ちつとばかり西洋医せいやうい真似事まねごともいたしますが、矢張やはり大殿おほとの御隠居様杯ごいんきよさまなどは、水薬みづぐすりいやだとおつしやるから、已前まへ煎薬せんやくげるので、相変あひかはらずお出入でいりいたしてる、ところ這囘このたび多分たぶんのお手当てあてあづか
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
此時 御領主より彦右ヱ門せがれへ米五俵、浅右ヱ門さいへ米五俵たまはりし事をしるしあり。此魚沼郡うをぬまこほり大郡たいぐんにて 会津侯御あづかりの地なり。元文の昔も今も 御領内ごりやうない人民じんみんあはれみ玉ふ事あふぐべくたつとむべし。
番頭傳兵衞でんべゑいへる者あづか支配しはいなし居たるが此處に吉之助をつかはして諸藝しよげいの師をえらみ金銀にかゝはらずならはするに日々生花いけばなちや其外そのほか遊藝いうげい彼是なにくれと是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
また退治たいぢるのを、「たのもしいわ、わたしたちの主人しゆじんにはそれが出來できないの。」と感状かんじやうあづかつた得意とくいさに、にのつて
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
鍵をあづかつてる人は、前の街道を一二ちやう行つたところの、鍛冶屋かぢやの隣の饅頭屋まんぢうやであつた。場末の町によく見るやうないへつくりで、せいろのなかの田舎饅頭まんぢうからは湯気が立つてる。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
此時 御領主より彦右ヱ門せがれへ米五俵、浅右ヱ門さいへ米五俵たまはりし事をしるしあり。此魚沼郡うをぬまこほり大郡たいぐんにて 会津侯御あづかりの地なり。元文の昔も今も 御領内ごりやうない人民じんみんあはれみ玉ふ事あふぐべくたつとむべし。
エヽいてります…おくの二番へ御案内ごあんないまうしなよ。客「エヽ此莨入このたばこいれ他人ひとからの預物あづかりものですから其方そつちへおあづかりなすつて、それから懐中ふところちつとばかり金子かねがありますが、これも一しよにおあづかりなすつて。 ...
(和)茗荷 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
御門内ごもんないはおこしものりません。おこしものをおあづかりいたします。』
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「長谷倉甚六郎からあづかつたといふ、佛具の箱は?」
こしたばさみ此青壯年あをにさいいざ行やれとのゝしりつゝ泣臥なきふし居たる千太郎を引立々々ひきたて/\行んとすれば此方こなたむねくぎ打思ひ眼前がんぜん養父のあづかり金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
慇懃いんぎんで、なかがい。これから秋冷しうれい相催あひもよほすと、次第しだいに、燒芋やきいもひツこ、煙草たばこ割前わりまへにらつて喧嘩けんくわをするのだが、——一篇いつぺんにはあづかはう至當したうらしい。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
席開せきびらきといふので、わたくしもおまねきにあづかつたが、其時そのとき是非ぜひ伊豆屋いづやさんなんぞと一しよに、参席あがつもりでございましたが、残念ざんねんな事には退引のつぴきならぬ要事ようがあつて、到頭たうとう参席あがりませぬでしたが……。
わたくしいま仕事しごとるやうにりましたのは、貴下あなたか、あるひ祖父様ぢいさま御薫陶ごくんたうあづかつたとつてよろしい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さアおほいにおどろいて、早速さつそく多助たすけうちつて、番頭ばんとう掛合かけあふと、番頭ばんとうずるやつだから、そんなものはおあづかまうしたおぼえはござりませぬ、大旦那様おほだんなさまかくれの時お遺言ゆゐごんもございませぬからあげる事は出来できない
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
くはしことあづかるが、水上みなかみさんは、先月せんげつ三十一にちに、鎌倉かまくら稻瀬川いなせがは別莊べつさうあそんだのである。別莊べつさうつぶれた。家族かぞく一人いちにん下敷したじきんなすつた。が、無事ぶじだつたのである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その準備じゆんびいても取々とり/″\ことがあるが、それはまあ、おあづかまをすとして、帳場ちやうばゑて算盤そろばんく、乃至ないし帳面ちやうめんでもつけようといふ、むすめはこれを(お帳場ちやうば/\)とつてるが、えうするに卓子テエブルだ。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
貴下あなたをおおくまをしますのに、町中まちぢう新地組合しんちくみあひ看板かんばんでは、御外聞おぐわいぶんかゝはらうとふ、……其處そこ橋向はしむかうを、あぶれてぶらついてります、てまへが、お見出みだしにあづかりましたものとえます、へい
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さてうも一かたならぬ御厚情ごこうじやうあづかり、すくなからぬ御苦労ごくらうけました。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なに、ぢき其處そこだよ。旦那だんな毛布けつとあづかろかい。」
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
次會じくわい當番たうばん雪岱氏せつたいしあづかつた。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)