鉛筆えんぴつ)” の例文
みんなは、しずかになりました。そして、としちゃんは、まるまるとした鉛筆えんぴつにぎって、おかあさんの、おかおおもしているうちに
さびしいお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
また或時あるとき、市中より何か買物かいものをなしてかえけ、鉛筆えんぴつを借り少時しばらく計算けいさんせらるると思ううち、アヽ面倒めんどうだ面倒だとて鉛筆をなげうち去らる。
鉛筆えんぴつも貰った、帳面も貰った。これはずっと後の事であるが金を三円ばかり貸してくれた事さえある。何も貸せと云った訳ではない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ところが、これらの字は、鉛筆えんぴつで引いた線の上に立っていなければいけないのに、ころんだように、横だおれになっていました。
蜥蜴とかげ鉛筆えんぴつきしらすおと壓潰おしつぶされて窒息ちつそくしたぶた不幸ふかう海龜うみがめえざる歔欷すゝりなきとがゴタ/\に其處そこいらの空中くうちゆううかんでえました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「エレキのやなぎの木?」と私がたずね返そうとしましたとき、慶次郎はあんまり短くて書けなくなった鉛筆えんぴつを、一番前の源吉に投げつけました。
鳥をとるやなぎ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
はなしを——或時あるときとんさんと一所いつしよえたことのある志賀しがさんがいて、西洋せいやう小説せうせつに、狂氣きやうきごと鉛筆えんぴつけづ奇人きじんがあつて、をんなのとはかぎらない
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一ツ一ツやがてくれけり千松島とつらねし技倆ぎりょうにては知らぬこと、われわれにては鉛筆えんぴつの一ダース二ダースつかいてもこの景色をいい尽し得べしともおもえず。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
出遅でおくれや落馬へきの有無、騎手の上手じょうず下手へた距離きょりの適不適まで勘定かんじょうに入れて、これならば絶対確実だと出馬表に赤鉛筆えんぴつで印をつけて来たものも、場内を乱れ飛ぶニュースを耳にすると
競馬 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
そのうへならず、うまあたま髭髯しぜんめんおほ堂々だう/\たるコロンブスの肖像せうざうとは、一けんまるでくらものにならんのである。鉛筆えんぴついろはどんなにたくみにいても到底たうていチヨークのいろにはおよばない。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
醫者いしや鉛筆えんぴつ手帖ててふはし一寸ちよつときつけて、それではすぐこれ藥舖くすりやつてるのだといつた。それから自分じぶんうちこれせばわたしてれるものがあるからとこれ手帖ててふはしいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
右の写本しやほん一名いちめいつき三日間みつかかん留置とめおきおきてで社員へまわしたのです、すると、見た者は鉛筆えんぴつ朱書しゆがき欄外らんぐわいひやうなどを入れる、其評そのひやうまた反駁はんばくする者が有るなどで、なか/\面白おもしろかつたのであります
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ニュージーランド沿岸えんがんの地図、世界地図、インキ、ペン、鉛筆えんぴつ、紙、ぶどう酒。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
制動室というのはブレーキがあるからそういうので、車掌室のことだ。自分はそこのかたいこしかけへ腰をおろすと、うすぐらいシグナル・ランプをたよりに、かたい鉛筆えんぴつをなめなめ、日記にっきをつけた。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
こたへて、なほも鉛筆えんぴつ手帳てちよううへはしらせてゐるのです。それでわたし
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
父は、豆手帳の背中から鉛筆えんぴついて、薬箱の中と照し合せていた。
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
わたくしたゞちに鉛筆えんぴつをとつて一書いつしよしたゝめた。書面しよめん文句もんくうである。
さすがに、子供こどもどうしのあいだでは同情どうじょうがあって、行商ぎょうしょうると、鉛筆えんぴつや、かみなどを学校がっこう生徒せいとってくれます。ありがたいことです。
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
キッコは一すんばかりの鉛筆えんぴつ一生いっしょうけんめいにぎってひとりでにかにかわらいながら8の字をよこにたくさん書いていたのです。
みじかい木ぺん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
魔的まてき警察けいさつしのんで、署長しよちやうどのの鉛筆えんぴつさきするどはりのやうにけづつて、ニヤリとしたのがある、と談話はなしをされた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
手持無沙汰てもちぶさたなのは鉛筆えんぴつしりに着いている、護謨ゴムの頭でテーブルの上へしきりに何か書いている。野だは時々山嵐に話しかけるが、山嵐は一向応じない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
陪審人ばいしんにんひとつが鉛筆えんぴつきしらせました。つことをゆるされないにもかゝはらずあいちやんは、法廷ほふていまはつて背後うしろき、すきねらつて手早てばやくそれをりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
式がすむと、部屋じゅうの家具という家具が、みんなで声をそろえて、鉛筆えんぴつの作った、美しい歌をうたいました。その歌は、兵隊さんが兵舎に帰るときのラッパのふしでした。
そして自分じぶんおもひついた畫題ぐわだい水車みづぐるま、この水車みづぐるま其以前そのいぜん鉛筆えんぴついたことがあるので、チヨークの手始てはじめにいまこれを寫生しやせいしてやらうと、つゝみ辿たどつて上流じやうりうはうへと、あしけた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
またみなさんが學校がつこうとき鉛筆えんぴつをけづつたりする場合ばあひにないふが必要ひつようであるように、むかしひとつね小刀こがたなつてをりました。その小刀こがたな刀子とうすまをしますが、それが墓場はかばからたくさん發見はつけんされます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「これをまちがわずに、いちばんはやこたえをしたものに、ほうびをやろう。」と、一ぽん青色あおいろ鉛筆えんぴつたかげてしめされました。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おじいさんはごそごその着物きもののたもとを裏返うらがえしにしてぼろぼろの手帳てちょうを出してそれにはさんだみじかい鉛筆えんぴつを出してキッコの手にたせました。
みじかい木ぺん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
陪審官等ばいしんくわんら身體からだふるえがとまるやいなや、ふたゝ石盤せきばん鉛筆えんぴつとをわたされたので、みんな一しんこと始末しまつしました、ひと蜥蜴とかげのみは其口そのくちいたまゝ、いたづらに法廷はふてい屋根やね見上みあげて
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
志村しむらおなこゝろあとになりさきになり、二人ふたりあるいてると、時々とき/″\路傍ろばうこしろして鉛筆えんぴつ寫生しやせいこゝろみ、かれたずばわれたず、われふでをやめずんばかれめないとふうで、おもはずとき
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
記號きがうれますよ、ら、ら、」と、ひものついた鉛筆えんぴつ一寸ちよつとしるして
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「よし。」といって、鉛筆えんぴつ孝二こうじあたえられました。いつも、首席しゅせきあらそあずま小原おばらは、まだませんでした。つづいてたのは有田ありたです。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると鉛筆えんぴつはまだキッコが手もうごかさないうちにじつに早くじつに立派りっぱにそれを書いてしまうのでした。
みじかい木ぺん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
次郎じろうさんが、おこってていってしまったあとで、きよは、どうしていいかわからないので、鉛筆えんぴつって、お勝手かってもとでいていました。
気にいらない鉛筆 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あっ、そうでしたか。この先生ですか。名高い人なんですね。」とネネムはそっとつぶやきながら自分もふところから鉛筆えんぴつと手帳を出して筆記をはじめました。
「いや、いちばんおそくしたものにも、名誉めいよのほうびをやろう。」と、先生せんせいは、こんどは使用しようされている鉛筆えんぴつたかくさしげられました。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
先生はみんなの書いてしまう間、両手をせなかにしょってじっとしていましたがみんながばたばた鉛筆えんぴつを置いて先生の方を見始めますと、又講義をつづけました。
茨海小学校 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ぼく鉛筆えんぴつがあるから、いらない。」と、少年しょうねんはなんといってもらなかったが、ついに、していってしまったのです。
銀のペンセル (新字新仮名) / 小川未明(著)
画かきは、赤いしゃっぽもゆらゆら燃えて見え、まっすぐに立って手帳をもち鉛筆えんぴつをなめました。
かしわばやしの夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
学校がっこうくときには、鉛筆えんぴつや、ふで右手みぎてち、またお弁当べんとうをたべたり、おうちでみんなといっしょに、おぜんかってごはんをたべるときは
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
桃色ももいろの大きな月はだんだん小さく青じろくなり、かしわはみんなざわざわい、画描えかきは自分のくつの中に鉛筆えんぴつけずってへんなメタルの歌をうたう、たのしい「夏のおどりのだい三夜」です。
年雄としおは、鉛筆えんぴつにぎったままで、しばらく、そのれつをながめていました。かれは、いまれつ先頭せんとうってあるいていく、先生せんせい姿すがたにとまったのです。
丘の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かみるにも、ひっかかるようであったり、また鉛筆えんぴつけずるにもガリガリおとがして、よくれないのでありました。
脊の低いとがった男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おねえさん、そのひかった、鉛筆えんぴつをおくれよ。」と、またおもしたように、おねえさんのところへやってきました。
小さな弟、良ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
「これをにいさんにあげるといいわ。わたし、やわらかいのをもらっておくから。」と、きよに、鉛筆えんぴつわたしました。きよは、ほんとうに、うれしくおもいました。
気にいらない鉛筆 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そんないい小刀こがたなつことのできた太郎たろうは、幸福こうふくでありました。いつも、鉛筆えんぴつさきは、がするようにきれいにけずられていて気持きもちがよかったからです。
脊の低いとがった男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こういって、小刀こがたな鉛筆えんぴつけずりはじめました。しんが、やわらかいとみえて、じきにれてしまうのです。
気にいらない鉛筆 (新字新仮名) / 小川未明(著)
最初さいしょ鉛筆えんぴつ左手ひだりてでしたが、かたちへんになってしまうので、これも右手みぎてくせをつけたのです。
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
なんだかすこしやすすぎるので、正直しょうじきかれは、そのままにしておけないがして、公園こうえんのベンチのところでポケットから、手帳てちょう鉛筆えんぴつして計算けいさんをはじめました。
世の中へ出る子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてなにか、そこにないかとあたりをさがしますと、自分じぶんが、おもしろ半分はんぶんにそのあたまけずった、みじかくなっててた一ぽん鉛筆えんぴつが、かなしそうにちていたのであります。
脊の低いとがった男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
学校がっこうで、りょうちゃんのかたわらに、かみや、鉛筆えんぴつ先生せんせいからもらっている子供こどもがいました。
少年の日二景 (新字新仮名) / 小川未明(著)