おき)” の例文
と思って起上ろうとすると、苦し紛れに新五郎の袖に手をかけ、しがみ付いたなりに、新五郎と共にずうッとおきたのを見ると真赤
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ぢやあ、おおき、著物を著せて上げよう。長さんは小さくても男だから、一しよに往つてくれれば、其方が好いのよ」と云つた。
最後の一句 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
ペテルブルグにつてからもドクトルは猶且やはり同樣どうやう宿やどにのみ引籠ひきこもつてそとへはず、一にち長椅子ながいすうへよこになり、麥酒ビールときおきる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
打れて眞逆まつさかさまに倒るゝをお花はすかさず駈寄かけよつて左のうで打落うちおとせば吾助はおきんと齒切はがみを爲す友次郎お花忠八諸共もろとも押重おしかさなり十分止めを刺貫さしとほし終に首を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つひに戦はずして勝つ能はざるか、仆れずしておきる能はざるか、われは文覚の為に悲しむ、われは彼の発機はつきを観じて、彼の為に且つ泣き且つ喜ぶ
心機妙変を論ず (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
床の裡の次団太じだんだは自分を驚かして、寝られぬものを無理に寝かせ、夜明けておきるさえがものうくなって、横倒しにした枕にひじを乗せて腹這になって居る時
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
「いやおきる」と云つてきた。それから例のごとく哲学のけむりを吹き始めた。けむりが沈黙の間に、棒になつてる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ツ、いい虫だっちゃあない、あきれっちまうよ。さあさあおおきッたらお起きナ、起きないと転がし出すよ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
べつ煩雜わづらはしき御用ごようのあるにあらず、しよく御好次第おこのみしだいるもおきるも御心おこゝろまかせ、さりとはうらやましき御境遇ごきやうぐうさふらふ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二十三日 星野子より文學界の投稿うながし來る、いまだまとまらずして今兩日は夜すがらおき居たり。
女も眼をさまして起上おきあがると見る間に、一人は消えて一人は残り、何におどろいておきたのかときかれ、実は斯々これこれ伍什いちぶしじゅうを語るに、女不審いぶかしげにこのほども或る客と同衾どうきんせしに
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
かれあしなくして地をはしり、たふれてふたゝびおきざるなど、魚族ぎよぞくたぐふべきものなきは奇魚きぎよといふべし。
らそれ仕入しいれたつきりおきられねえんだよ」おしなまくらうごかしていつた。勘次かんじまたふたをした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
朝日新聞社員あさひしんぶんしやゐん横川勇次氏よこかはゆうじしを送らんと、あさ未明まだきおきいでて、かほあらも心せはしく車をいそがせて向島むかふじまへとむかふ、つねにはあらぬ市中しちうにぎはひ、三々五々いさましげにかたふて
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
呉清輝は、一方の腕を頸にぶらさげたまま、おきて橇に荷物を積んだ。香水、クリイム、ピン、水白粉、油、ヘアネット、硝子ガラスの扇形のびん、ヘチマ形の壜。提灯ちょうちん形の壜。
国境 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
三枝みつえという名前をつけたそうですがね、ところが、それがそもそもこの因縁咄のおきはじまりで、最初は、母親の手許で育てられたんだそうですが、その娘さんの三つの歳に
三の字旅行会 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
ねやの雨戸をがたがたとうごかすとも知らず、時々ひびく遠寺の鐘が、たえず無常を告ぐるとも知らず、東の窓の明くなりたるに驚きて、眼さむれば、あたかも小児が朝おき出でて
一夜のうれい (新字新仮名) / 田山花袋(著)
良人おっとおきるのは大抵正午近くなので、鶴子は毎朝一人で牛乳に焼麺麭トーストを朝飯に代え、この年月飼馴かいならした鸚鵡おうむかごを掃除し、盆栽に水をそそぎなどした後、髪を結び直し着物をきかえて
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
面白おもしろくも可笑をかしくもなんともないひとといふに、れにおまへうして逆上のぼせた、これはどころきやくおきかへる、大方おほかた逆上性のぼせせうなのでござんせう、貴君あなたことをも此頃このごろゆめないはござんせぬ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
だからひと何時いつくらうちからおきをがむやうに心掛こゝろがけなければならぬ。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
その頃、おときは初めて自分の体にただならぬ変化のおきた事に気がついた。
果樹 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
成程なるほどわたくしじゆくには規則きそくまをしても何時なんどきる、おきるといふだけで、其外そのほかこれまもれ、これをおこなへといふやうな命令的めいれいてきことさらまをさないが、かはり、何事なにごと自營獨立じえいどくりつ精神せいしんめてつてもらひたい。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
おきる、そこで娘はカヤを外してゐた。
二十一 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
お増はむやみとおきいた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
蚤をふるひにおきし初秋 蕉
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
ペテルブルグにってからもドクトルはやはり同様どうよう宿やどにのみ引籠ひきこもってそとへはず、一にち長椅子ながいすうえよこになり、麦酒ビールときにだけおきる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
仙「そいつは手先を頼むも面倒だからわっち踏捕ふんづかめえて遣ろう……モウ寝られもしねえからおきちまって、もう一遍お酒を戴こう」
見廻せば片邊かたへに女のたふれ居てあけそみ息も絶たる樣子やうすなりとて憑司ははたと手を打是と云も元は傳吉からおきたこと然らば此死骸しがいへ昌次郎お梅が着類きるゐ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かゝるあとへおなじ田中の者こゝに来り、武士の雪中にたふれておきもあがらざるを不審いぶかり立よりて、なにぞやみ玉ふかといへば、武士はかなきこゑしておこしくれよといふ。
隣からおきて出ると、向うでも戸を開ける。表通じゃ牛込辺の帰りらしい紋付などが立留まる。鍋焼が来て荷をおろす。瞬くひまに十四五人、ぶらぶらとあっちへこっちへ。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
病気と云って学校へもゆかず打臥して居たが、点燈頃ひともしごろむっくりおき戸外おもてへ出で、やがて小さな鉄鍋に何やら盛って帰って来て、また床に這入って夜の一時とも思う頃徐々そろそろ頭を挙げ
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
寝た間も忘れず七ツおき、義士の苦心にたくらべて、手軽を専一働き升るも、枯木に花さく土地を目当、御近辺なる御馴染様は、十二時の時に限らず、お腹の時計の宜敷折よろしきをり、御足を近く御来駕を
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
長吉は毎朝七時にはじまる学校へ行くためおそくも六時には起きねばならぬが、すると毎朝の六時がおきるたびに、だんだん暗くなって、遂には夜と同じく家の中には燈火ともしびの光を見ねばならぬようになった。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
やまいおき乏しき春をおしみけり
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
乙「こん畜生ちきしょう、やい何処どっから出やアがッた、ヤアやすおきろよ、やい、手前てめえ何処から出やアがッた此ん畜生」
が、おや慈悲じひ廣大くわうだいで、ソレまくらいてたとると、りやおきる、とててはかぬ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はらさんと思ひしは貧苦ひんくせまりし老人のおろかなり折節をりふし臺所だいどころの男共小用こようおきしが裏口うらぐちの明てありしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
とてもしぬべき命也、ひきさきころさばころし給へ、もしなさけあらば助たまへと怖々こは/\熊をなでければ、熊はおきなほりたるやうにてありしが、しばしありてすゝみいでわししりにておしやるゆゑ
同室どうしつだれかゞ釦鈕ぼたんおとしたとかさじおとしたとか場合ばあひには、かれ寐臺ねだいからおきあがつて、つてる。毎朝まいあさおきると同室どうしつ者等ものらにおはやうとひ、ばんにはまた休息やすみなさいと挨拶あいさつもする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
長吉ちやうきちは毎朝七時にはじまる学校へくためおそくも六時には起きねばならぬが、すると毎朝の六時がおきるたびに、だん/\暗くなつて、つひには夜と同じく家の中には燈火ともしびの光を見ねばならぬやうになつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
(酒か、)とわめくと、むくむくとおきかかって、引担ひっかつぐようなひじの上へ、妾の膝で頭を載せた。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おや/\それくお入来いでだ、さア/\此方これへ、うも御近所ごきんじよながら、御無沙汰ごぶさたをしました、貴方あなた毎日まいにちくおかせぎなさるね朝も早くおきて、だから近所でもお評判へうばんうごすよ。
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
同室どうしつだれかが釦鈕ぼたんおとしたとかさじおとしたとか場合ばあいには、かれがまず寝台ねだいからおきあがって、ってる。毎朝まいあさおきると同室どうしつ者等ものらにおはようとい、ばんにはまたお休息やすみなさいと挨拶あいさつもする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
よそ様のお情で、書生をして、いま東京で修行をしているせがれめが、十四五で、この土地に居ますうち、このさきの英語の塾へ、朝稽古あさげいこに通いました。夏は三時おき、冬は四時起。
小「手前てめえほんとに六百しかねえのか、縁起がわりいや、夜が明けてしまう、おきろ/\」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
羞含はにかんで、ぼうとなって、俯向うつむくので話がきまって、かっ逆上のぼせた奴を車に乗せて、回生剤きつけのような酒をのませる、こいつを三々九度と云うのよ。そこで寝ておきりゃ人の女房だ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と手を取って逆に捻伏ねじふせられたからおきる事が出来ません。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
よいかの、十四の年からこの年まで、四五六七八と五年の間、寝るにもおきるにも附添うて、しんせつにお教えなすった、その先生様のたんせいというものは、一通ひととおりの事ではなかったとの。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
上「さアおつるおきんかえ時刻はいがナ、起んか」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
御覽ごらんなさい。釣濟つりすましたたう美人びじんが、釣棹つりざを突離つきはなして、やなぎもやまくら横倒よこだふしにつたがはやいか、おきるがいなや、三にんともに手鞠てまりのやうにげた。が、げるのが、もやむのです。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)