理屈りくつ)” の例文
それぞれいろいろの理屈りくつを考えだして自説を主張しましたが、だれも、いずれが正しいか、審判しんぱんをあたえるものはありませんでした。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
子供こどもたちは、かってな理屈りくつをつけて、さおにさおをして、どうかしてたかえだまでとどくようにしたいと苦心くしんしていました。
おばあさんと黒ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
勞働者勞働者と一口にいやしんだツて、我々われ/\も其の勞働者と些ツとも違やしないぢやないか。下らぬ理屈りくつならべるだけかえツて惡いかも知れない。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「皆同じことだ。ただ個人としてえらい人がえらいんだ。そんなくだらない理屈りくつをいわないで、そのひまに数学を勉強する!」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そこ種々いろ/\押問答おしもんだふしましたが、あいちやんのはうでも別段べつだんうま理屈りくつず、こと芋蟲いもむし非常ひじよう不興ふきようげにえたので、あいちやんは早速さつそくもどりかけました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
どうかして宗教しゅうきょうにはいらしめようとこころみたが、多少たしょう理屈りくつの頭があったから、どうしても信仰しんこうにはいることができない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
理屈りくつまうすぢやありません、わたくし越權えつけんわたくし責任せきにんひます。貴下あなたしんじませんか、いまげん難破船なんぱせん救助きゆうじよもとめるのを。
幕臣になったから皇室へご奉公ができんという理屈りくつはないから、おひきうけ申したよ。……君も、藩へ帰ってはどうだな
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてそのためにおたがいに仲よく暮らしたいというのも人情であるならば、ひとまずやかましい理屈りくつはぬきにして、その人情を生かしあうことに
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
いや、理屈りくつを言うわけではないがね、目的を達するのを報恩おんがえしといえば、乞食こじきも同然だ。乞食が銭をもらう、それで食っていく、渠らの目的は食うのだ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ただ、女は何とっても、男より、外観美を保たなくてはいけない、これは理屈りくつより審美しんび的立場からうのです。
女性の不平とよろこび (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「おい、ここだ、ここだ。きみはあべこべの理屈りくつをわすれたのかい。おれはとびおりたのでなくて、昇天しているんだぜ。悪魔の昇天しょうてんさ。ハハハ……。」
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
隆夫が元のように戻ってくれれば、それだけで十分であった。どうして隆夫が変り、どうして隆夫がなおったか、そんな理屈りくつはどうでもよかったのである。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
これに反し、人心とは道心のそのせいうしなったところで、我田引水がでんいんすい的に勝手しだいの理屈りくつを案ずる心理動作どうさで、自己の感情によりて万事を判断する心である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
を以てする時はお内義ないぎさまいつもお内義さまでは陰中いんちゆうに陽をいだかずして天理てんりかなはず、をり/\はをつとかはりて理屈りくつをいはざれば家内かないおさまらず、さればとて理屈りくつすぎ牝鳥めんどりときをつくれば
れではなに理屈りくつがあつてむをずといふ次第しだいか、くるしからずはうけたまはりたいものだといふに、貴君あなたにはいていたゝかうと此間このあひだからおもひました、だけれども今夜こんやはいけませぬ、何故なぜ/\
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかしまた腹立易はらだちッぽおとこで、だれ郵便局ゆうびんきょくもので、反対はんたいでもするとか、同意どういでもせぬとか、理屈りくつでもならべようものなら、真赤まっかになって、全身ぜんしんふるわして怒立おこりたち、らいのようなこえ
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
勤王きんのうも面白かろう。佐幕もまた妙じゃ。が、しかしなあ、世のことおおむね理屈りくつではない。まわりまわって帰するところ、要するにこの身一個のやりくりだ。な、篁、そうではないか
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
真面目まじめ理屈りくつしんなり諄々くどくどと説諭すれば、不思議やさしも温順おとなしき人、何にじれてか大薩摩おおざつまばりばりと語気はげしく、らざる御心配無用なりうるさしと一トまくりにやりつけられ敗走せしが
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ものの哀れが東洋芸術の精随せいずいであることは言うまでもない。ドヴォルシャークが、派手はでなアメリカ人にも、理屈りくつ好きのヨーロッパ人にも、瞑想的めいそうてきな東洋人にも喜ばれるのはそのためである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
なるほど、一おう理屈りくつはあるやうであるが、ところ全然ぜん/\これにことなる。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
などと、憤慨ふんがいして帰って来ることもあったが、しかしそれは複雑した心の状態を簡単に一時の理屈りくつで解釈したもので、女の心にはもっとまじめなおもしろいところがあることがだんだんわかった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
手間てましさに見舞みまいにもかねえしみッたれ野郎やろうだ、とそれこそくちをそろえてわるくいわれるなァ、加賀様かがさまもんよりもよくわかってるぜ。——つまらねえ理屈りくつァいわねえで、はや羽織はおりせねえかい。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
金や威力いりょく理屈りくつで人間の心が買える者なら、高利貸でも巡査じゅんさでも大学教授でも一番人に好かれなくてはならない。中学の教頭ぐらいな論法でおれの心がどう動くものか。人間は好き嫌いで働くものだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
理屈りくつッぽい人達の言いそうな言葉だ。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「そんな理屈りくつかのう。」
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
だがね、理屈りくつに合ったことをやるのが一番だよ、つまりでたらめのことはやらないがいいってことだ。おれの着ているこのさしこの頭巾ずきんや、はっぴを見なよ。
一坪館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「弟は堅いから、兄貴も、堅くしなければならんという理屈りくつはない。それに、吉原や辰巳たつみへでも、交際つきあえというならとにかく、酒ぐらい飲んで、何がなんだ」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
俊男は其のさかしい頭が氣にはぬ。また見たところ柔和にうわらしいのにも似ず、案外あんぐわい理屈りくつツぽいのと根性こんじやうぽねの太いのがにくい。で、ギロリ、其の横顏をにらめ付けて
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
父親ちちおやは、説明せつめいしているらしかったのです。すると、そのわかおとこは、なにかちいさなこえで、理屈りくつをいっているらしかったが、たちまち、三にんのいるほうかおけて
眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、理屈りくつではわかっていても、実際問題となると、またべつだからね。せいぜい自重じちょうしてくれたまえ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
あつ時分じぶんぢやが、理屈りくつをいふとうではあるまい、わしいたせいか、婦人をんな温気ぬくみか、あらつてくれるみづいゝ工合ぐあひみる、もツとたちみづやはらかぢやさうな。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
好事魔こうじまおほしとはよくひとところで、わたくしその理屈りくつらぬではないが、人間にんげん一生いつせう此樣こん旅行りよかうは、二度にど三度さんどもあることでない、其上そのうへ大佐たいさ約束やくそく五日目いつかめまでは、三日みつかひまがある、そこで
うらめしきは御新造ごしんぞとおみね口惜くちをしさにものはれず、常〻つね/″\をとなしき理屈りくつづめにやりこめすべもなくて、すご/\と勝手かつててば正午しようご號砲どんおとたかく、かゝるをりふし殊更ことさらむねにひゞくものなり。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかまた腹立易はらだちツぽをとこで、だれ郵便局いうびんきよくもので、反對はんたいでもするとか、同意どういでもぬとか、理屈りくつでもならべやうものなら、眞赤まつかになつて、全身ぜんしんふるはして怒立おこりたち、らいのやうなこゑで、だまれ! と一かつする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
到底たうてい單純たんじゆん理屈りくつぺんりつすることが出來できない。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
そりゃあどういう理屈りくつだネ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
理屈りくつっぽい人ね」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「嫌だよ、阿母さんは!………何んとかうま理屈りくつを何けるんだもの。」とお房は、飜弄まぜつかへすやうにいふ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
図画ずが先生せんせいは、をぱちぱちさして、どちらにも理屈りくつがあるので、判断はんだんくるしむといったようすでしたが、まどぎわへきて、あんじていているおやすずめのごえみみはいると
眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ただし理屈りくつの上だけでは……。だが実際にやるには、なかなかむずかしい。
大宇宙遠征隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
うもれもさづかものだからと一人ひとりふに、仕方しかたい、十ぶんせん大旦那おほだんながしぼりつた身上しんじようだから、ひとものるとつても理屈りくつるまい、だけれどおまい不正直ふしようぢき此處こゝ旦那だんならうとふに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
理屈りくつはそうさ」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
ってやって、理屈りくつをいわれるようじゃつまらない。さっさと時間じかんがきたら、仕事しごとはじめてしまうがいい。」と、はや時間じかんしんずるくみは、おくれた時間じかんしんずるものにかまわずに
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ごま化したりしていやしないよ、子供でもこれは分る理屈りくつなんだがなあ。——とにかく君の本当の生命があやうくなるようなことを、君の親友の僕たるものがすすめるはずがないじゃないか。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
理屈りくつにあわない事件だ。奇怪な事件だ。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そういう理屈りくつだろう
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)