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遙
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はるか
ふりがな文庫
“
遙
(
はるか
)” の例文
田圃の
遙
(
はるか
)
東に、いつも煙が幾筋か立って居る。一番南が目黒の火薬製造所の煙で、次が渋谷の発電所、次ぎが大橋発電所の煙である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それで、予科三年修了者と、その頃の中学卒業生とを比べて見ると、実際は予科の方が同じ普通学でも
遙
(
はるか
)
に進んでいたように思われた。
私の経過した学生時代
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その点では一二の
大家
(
たいか
)
先生の方が、
遙
(
はるか
)
に雑俗の
屎臭
(
ししう
)
を放つてゐると思ふ。粗密は前にも書いた通り、気質の違ひによるものである。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わたくしはまた両方を見くらべて、後者の方が浅薄に外観の美を誇らず、見掛倒しでない事から不快の念を覚えさせる事が
遙
(
はるか
)
に少ない。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そしてその事等の方が
遙
(
はるか
)
に面白くもあるし、又「何か」を含んでいるんだが、どうも、いくら踏ん張ってもそれが書けないんだ。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
▼ もっと見る
……………………そのエクスタシイは形の上に過ぎなくて、心では、何か
遙
(
はるか
)
なものを追っている、妙に冷い空虚を感じたのでございます。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
一体誰でも昔の事は、遠く
隔
(
へだた
)
ったように思うのですから、事柄と
一所
(
いっしょ
)
に路までも
遙
(
はるか
)
に考えるのかも知れません。そうして先ず
皆
(
みんな
)
夢ですよ。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
詠
(
ながめ
)
やれば
遙
(
はるか
)
向ふに
燈火
(
ともしび
)
の光のちら/\と見えしに吉兵衞
漸
(
やう
)
やく
生
(
いき
)
たる
心地
(
こゝち
)
し是ぞ
紛
(
まが
)
ひなき人家ならんと又も
彼火
(
かのひ
)
の
光
(
ひかり
)
を
目當
(
めあて
)
に
雪
(
ゆき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
遙
(
はるか
)
に
闇
(
くら
)
い
土手
(
どて
)
を
透
(
すか
)
して
見
(
み
)
てぶつ/\いひながら
彼
(
かれ
)
は
更
(
さら
)
に
豚小屋
(
ぶたごや
)
に
近
(
ちか
)
づいて
燐寸
(
マツチ
)
をさつと
擦
(
す
)
つて
見
(
み
)
て「
油斷
(
ゆだん
)
なんねえ」と
呟
(
つぶや
)
いて
又
(
また
)
戸
(
と
)
を
閉
(
と
)
ぢた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
余
(
よ
)
は人に
助
(
たす
)
けられて
高所
(
たかきところ
)
に
逃登
(
にげのぼ
)
り
遙
(
はるか
)
に
駅中
(
えきちゆう
)
を
眺
(
のぞめ
)
ば、
提灯
(
ちやうちん
)
炬
(
たいまつ
)
を
燈
(
とも
)
しつれ大勢の男ども
手
(
てに
)
々に
木鋤
(
こすき
)
をかたげ、雪を
越
(
こえ
)
水を
渉
(
わたり
)
て
声
(
こゑ
)
をあげてこゝに
来
(
きた
)
る。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
夢かとばかり驚きながら、
扶
(
たす
)
け參らせて
一間
(
ひとま
)
に
招
(
せう
)
じ、身は
遙
(
はるか
)
に席を隔てて
拜伏
(
はいふく
)
しぬ。思ひ懸けぬ對面に
左右
(
とかう
)
の言葉もなく、
先
(
さき
)
だつものは涙なり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
確たる根拠もなく「郡は人物だ」と云って彼を推し挙げた世評が、今や事実を
遙
(
はるか
)
に飛躍して彼を叩きのめしにかかった。
山だち問答
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
袋棚
(
ふくろだな
)
と障子との
片隅
(
かたすみ
)
に
手炉
(
てあぶり
)
を囲みて、
蜜柑
(
みかん
)
を
剥
(
む
)
きつつ
語
(
かたら
)
ふ男の
一個
(
ひとり
)
は、彼の横顔を
恍惚
(
ほれぼれ
)
と
遙
(
はるか
)
に見入りたりしが、
遂
(
つひ
)
に
思堪
(
おもひた
)
へざらんやうに
呻
(
うめ
)
き
出
(
いだ
)
せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
血
夥
(
おびただ
)
しく流れたるが、
只
(
と
)
見れば
遙
(
はるか
)
の
山陰
(
やまかげ
)
に、一匹の大虎が、嘴に咬へて持て行くものこそ、
正
(
まさ
)
しく月丸が
死骸
(
なきがら
)
なれば
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
不昧公は江戸の
邸
(
やしき
)
で
遙
(
はるか
)
にその噂を聞き伝へた。胃の腑はいつぞやの
復讐
(
しかへし
)
の時が来たのを思つて小躍りした。不昧公は
用人
(
ようにん
)
を呼んで何か知ら言ひつけた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
不入りな高價な興行をつづけるよりは、一年三百六十五日の日はかなりなものを運ぶから三十錢滿員の方が、或は
遙
(
はるか
)
によい成績をあげないとはいへない。
むぐらの吐息
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
目指す故郷はいつの間にか
遙
(
はるか
)
に
距
(
へだた
)
ってしまい、そして私は屡〻
蹉
(
つまず
)
いたけれども、それでも動乱に動乱を重ねながらそろそろと故郷の方へと帰って行った。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
目
(
め
)
覚
(
さむ
)
れば
昨宵
(
ゆうべ
)
明放
(
あけはな
)
した窓を
掠
(
かす
)
めて飛ぶ
烏
(
からす
)
、憎や
彼奴
(
あれめ
)
が鳴いたのかと
腹立
(
はらだた
)
しさに振向く途端、彫像のお辰夢中の人には
遙
(
はるか
)
劣りて身を
掩
(
おお
)
う数々の花うるさく
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
つまりその
年
(
とし
)
、
日本
(
につぽん
)
が
外國
(
がいこく
)
へ
輸出
(
ゆしゆつ
)
した
總額
(
そうがく
)
の
一億一千七百萬圓
(
いちおくいつせんしちひやくまんえん
)
よりもまだ
遙
(
はるか
)
に
多
(
おほ
)
くの
金額
(
きんがく
)
だつたので、
人々
(
ひと/″\
)
はみんな
洪水
(
こうずい
)
の
大慘害
(
だいさんがい
)
には
震
(
ふる
)
へ
上
(
あが
)
つたものです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
お
加女
(
かめ
)
夫人は
遙
(
はるか
)
に之を見て顔色
忽
(
たちま
)
ち一変せり、「まア、何と云ふヅウ/\しい奴でせう、
脅喝
(
ゆすり
)
新聞、
破廉耻漢
(
はぢしらず
)
」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
私ども婦人が
遙
(
はるか
)
に劣弱な位地にあることを
愧
(
は
)
じ、
敬虔
(
けいけん
)
な心から事ごとに男子の教に聞いて、大急ぎで男子と対等な処まで智力の充実を計りたいと思っています。
婦人改造と高等教育
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
自分は握手して、黙礼して、
此
(
この
)
不幸なる青年紳士と別れた、日は既に落ちて余光華かに
夕
(
ゆうべ
)
の雲を染め、顧れば我運命論者は
淋
(
さび
)
しき砂山の頂に立って沖を
遙
(
はるか
)
に
眺
(
ながめ
)
て居た。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
私はこの渋谷町の高台から
遙
(
はるか
)
に下町の空に、炎々と
漲
(
みな
)
ぎる白煙を見、足許には道玄坂を上へ上へと逃れて来る足袋はだしに、泥々の衣物を着た避難者の群を見た時には
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
その東洋の幽霊と相異なるところ、
自
(
おのづ
)
から其他界に対する観念の
遙
(
はるか
)
に我と違ふところあればなり。
他界に対する観念
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
かれここに
黄泉比良坂
(
よもつひらさか
)
に追ひ至りまして、
遙
(
はるか
)
に
望
(
みさ
)
けて、
大穴牟遲
(
おほあなむぢ
)
の神を呼ばひてのりたまはく
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
大洋に
舵
(
かぢ
)
を失ひしふな人が、
遙
(
はるか
)
なる山を望む如きは、相沢が余に示したる前途の
方鍼
(
はうしん
)
なり。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
貴方
(
あなた
)
を
初
(
はじ
)
め、
代診
(
だいしん
)
、
會計
(
くわいけい
)
、
其
(
そ
)
れから、
總
(
すべ
)
て
此
(
こ
)
の
貴方
(
あなた
)
の
病院
(
びやうゐん
)
に
居
(
ゐ
)
る
奴等
(
やつら
)
は、
實
(
じつ
)
に
怪
(
け
)
しからん、
徳義上
(
とくぎじやう
)
に
於
(
おい
)
ては
我々共
(
われ/\ども
)
より
遙
(
はるか
)
に
劣等
(
れつとう
)
だ、
何
(
なん
)
の
爲
(
ため
)
に
我々計
(
われ/\ばか
)
りが
此
(
こゝ
)
に
入
(
い
)
れられて
居
(
を
)
つて
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
彼
(
かれ
)
が
最愛
(
さいあい
)
の
父
(
ちゝ
)
濱島武文
(
はまじまたけぶみ
)
は、
遙
(
はるか
)
なる子ープルスで、
今
(
いま
)
は
如何
(
いか
)
なる
夢
(
ゆめ
)
を
結
(
むす
)
んで
居
(
を
)
るだらう、
少年
(
せうねん
)
が
夢
(
ゆめ
)
にもかく
戀
(
こ
)
ひ
慕
(
した
)
ふ
母君
(
はゝぎみ
)
の
春枝夫人
(
はるえふじん
)
は、
昨夜
(
さくや
)
海
(
うみ
)
に
落
(
お
)
ちて、
遂
(
つひ
)
に
其
(
その
)
行方
(
ゆくかた
)
を
失
(
うしな
)
つたが
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
彼等は三条の旅宿に二三日の
逗留
(
とうりゅう
)
をして、都の春を十分に楽しむと、また
大鳥毛
(
おおとりげ
)
の
槍
(
やり
)
を物々しげに振立てて、三条大橋の橋板を、踏み
轟
(
とどろ
)
かしながら、
遙
(
はるか
)
な
東路
(
あずまじ
)
へと下るのであった。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
いままでより道幅の
遙
(
はるか
)
に広くなった往来のうえに決定的にそうわたしは感じた。
雷門以北
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
と、交互に襲ひ来る希望と絶望との前にへたばるやうな気持であつた。痛恨と苦しい
空漠
(
くうばく
)
とがある。私はふいに歩調をゆるめたりなどして、今歩いて来た後方を
遙
(
はるか
)
に振り向いて見たりした。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
ロミオ
此
(
この
)
黄金
(
こがね
)
を
遣
(
つかは
)
すぞ、これこそは
人
(
ひと
)
の
心
(
こゝろ
)
の
大毒藥
(
だいどくやく
)
ぢゃ、
汝
(
おぬし
)
が
賣
(
う
)
りかぬる
此
(
この
)
些末
(
さまつ
)
なる
藥種
(
やくしゅ
)
よりも
此
(
この
)
濁世
(
ぢょくせ
)
では
遙
(
はるか
)
に
怖
(
おそろ
)
しい
人殺
(
ひとごろ
)
しをするもの。
汝
(
おぬし
)
では
無
(
な
)
うて
予
(
わし
)
こそは
毒
(
どく
)
を
賣
(
う
)
るのぢゃ。さらば。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
成る程と感心して余は猶お我腕前の
遙
(
はるか
)
に目科より下なるを会得したり。
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
僕等はしばし休んで
合羽
(
かつぱ
)
を身に
著
(
き
)
はじめた。その時
遙
(
はるか
)
向うの峠を人が一人のぼつて行くのが見える。やはり
此方
(
こつち
)
の道は今でも通る者がゐるらしいなどと話合ひながら息を切らし切らし上つて行つた。
遍路
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
行
(
ゆき
)
かよふ
人
(
ひと
)
の
顏
(
かほ
)
少
(
ちい
)
さく/\
擦
(
す
)
れ
違
(
ちが
)
ふ
人
(
ひと
)
の
顏
(
かほ
)
さへも
遙
(
はるか
)
とほくに
見
(
み
)
るやう
思
(
おも
)
はれて、
我
(
わ
)
が
踏
(
ふ
)
む
土
(
つち
)
のみ一丈も
上
(
うへ
)
にあがり
居
(
ゐ
)
る
如
(
ごと
)
く、がや/\といふ
聲
(
こゑ
)
は
聞
(
きこ
)
ゆれど
井
(
ゐ
)
の
底
(
そこ
)
に
物
(
もの
)
を
落
(
おと
)
したる
如
(
ごと
)
き
響
(
ひゞ
)
きに
聞
(
きゝ
)
なされて
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
富岡は、甲板に出て、寒い海の風に吹かれながら、いま眼の前
遙
(
はるか
)
に立つてゐる島を、飽きもせずに眺めてゐた。種子島は、寝そべつた島であつたけれども、屋久島は、海の上に立つてゐる島のやうだ。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
後
(
のち
)
にか、
遙
(
はるか
)
後
(
のち
)
にか、はた今
直
(
すぐ
)
にか
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
遙
(
はるか
)
に
露西亜
(
ロシア
)
の
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
「眼に立つや海青々と北の秋」左の
窓
(
まど
)
から見ると、津軽海峡の青々とした一帯の
秋潮
(
しゅうちょう
)
を隔てゝ、
遙
(
はるか
)
に津軽の地方が水平線上に
浮
(
う
)
いて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
彼
(
かれ
)
には
庭
(
には
)
の
節制
(
だらし
)
のない
騷
(
さわ
)
ぎの
聲
(
こゑ
)
が
其
(
そ
)
の
耳
(
みゝ
)
を
支配
(
しはい
)
するよりも
遠
(
とほ
)
く
且
(
かつ
)
遙
(
はるか
)
な
闇
(
やみ
)
に
何物
(
なにもの
)
をか
搜
(
さが
)
さうとしつゝあるやうに
只
(
たゞ
)
惘然
(
ばうぜん
)
として
居
(
ゐ
)
るのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
さるほどに「れぷろぼす」は両軍の唯中に立ちはだかると、その大薙刀をさしかざいて、
遙
(
はるか
)
に敵勢を招きながら、
雷
(
いかづち
)
のやうな声で
呼
(
よば
)
はつたは
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私を
負
(
おぶ
)
った男は、村を離れ、川を越して、
遙
(
はるか
)
に
鈴見
(
すずみ
)
の橋の
袂
(
たもと
)
に
差置
(
さしお
)
いて帰りましたが、この男は
唖
(
おうし
)
と見えて、長い
途
(
みち
)
に一言も物を言やしません。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
遙
(
はるか
)
に
木隠
(
こがくれ
)
の音のみ聞えし流の
水上
(
みなかみ
)
は浅く
露
(
あらは
)
れて、
驚破
(
すは
)
や、ここに
空山
(
くうざん
)
の
雷
(
いかづち
)
白光
(
はつこう
)
を放ちて
頽
(
くづ
)
れ落ちたるかと
凄
(
すさま
)
じかり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
血つづきのせいかおてつに似て、おおまかな
侠気
(
きょうき
)
はだな性分らしく、しかしさすがにおてつよりは
遙
(
はるか
)
におちついた、大きな宿の主婦らしい
貫禄
(
かんろく
)
があった。
契りきぬ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
かくてその年もくれて
翌年
(
よくとし
)
の二月のはじめ、此弥左ヱ門山に
入
(
いり
)
て
薪
(
たきゞ
)
を取りしかへるさ、谷に
落
(
おち
)
たる
雪頽
(
なだれ
)
の雪の
中
(
なか
)
にきは/\しく
黒
(
くろ
)
き
物
(
もの
)
有
(
あり
)
、
遙
(
はるか
)
にこれを
視
(
み
)
て
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
花吉は顧みて河鰭等と
遙
(
はるか
)
に目くばせしつ、ピタリ座に着きて膝を進めぬ、「篠田さん、——河鰭さんから」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
細長い建物の北側が
直
(
すぐ
)
に湖水の絶景に面し、南側は湖畔の小村落を
隔
(
へだ
)
てて、
遙
(
はるか
)
に
重畳
(
ちょうじょう
)
の連山を望みます。私の部屋は、湖水に面した北側の一方の端にありました。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
もし米国人が、将来東京の建直しに助力するような事があるとしたら、それは明治のむかし薩長人が手入をしたよりも
遙
(
はるか
)
に美術的ではあるまいかというような気もする。
仮寐の夢
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
家庭において、社交において、男女交際において、一人前の娘として恥しからぬ娘を仕立てる事は良妻賢母主義の教育に比べて
遙
(
はるか
)
に優っており、かつまた急務だと存じます。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
盛
(
さか
)
りと
咲亂
(
さきみだ
)
れえも云れぬ
景色
(
けしき
)
に寶澤は
茫然
(
ばうぜん
)
と暫し
木蔭
(
こかげ
)
に
休
(
やす
)
らひて
詠
(
なが
)
め居たり此時
遙
(
はるか
)
の
向
(
むかう
)
より年頃四十
許
(
ばかり
)
の男
身
(
み
)
に
編綴
(
へんてつ
)
といふを
纏
(
まと
)
ひ
歩行
(
あゆみ
)
來りしが
怪
(
あや
)
しやと思ひけん寶澤に向ひて名を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
遙
部首:⾡
14画
“遙”を含む語句
逍遙
遙々
冬逍遙
逍遙遊
遙拝
遙拜
御嶽遙拝所
逍遙軒
逍遙子
逍遙馬車
逍遙場
遙下
遙察
逍遙城
逍遙人
遙拝所
遙授
遙望
遙知郡斎夜
遙語
...