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遙拜
さては
身延へ
參詣をするのであつたか。
遙拜しつゝ、
私たちは、
今さらながら
其の
二人を、
涙ぐましく
見送つた。
懸用人無事に紀州表の
取調べ
行屆候樣
丹誠を
凝し晝は一間に
閉籠りて
佛菩薩を
祈念し別しては紀州の
豐川稻荷大明神を
遙拜し晝夜の
信心少しも
餘念なかりしに
斯る處へ伊豆守殿より
使者を
餘りの
嬉しさに、
雪に
一度手を
支へて、
鎭守の
方を
遙拜しつゝ、
建ものの、
戸を
入りました。