左右さゆう)” の例文
紅葉もみぢうつくしさは、植物しよくぶつそのものゝ種類しゆるいと、その發生はつせい状態じようたいとでそれ/″\ちがひますが、一面いちめんには附近ふきん景色けしきにも左右さゆうされるものです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ヒュン! ヒュン! と、ちいさなうなりが、みみもとちかくやけつくようにすると、左右さゆうくさが、パッ、パッとびちりました。
しらかばの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
服装ふくそう筒袖式つつそでしき桃色ももいろ衣服きもの頭髪かみ左右さゆうけて、背部うしろほうでくるくるとまるめてるところは、ても御国風みくにふうよりは唐風からふうちかいもので
二仕掛を左右さゆうげんに下し終り手を拭いてえんを吹く時。後の方には、船頭の鈴を弄する声す。亦投綸とうりんに取りかかりたるを知る。
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
林の道が三ツまたにわかれているところへくると、その左右さゆうにも、ふたりの人間がかがんでいて、足音を聞くとともに、ムクッとうごいたよう……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
建付けの悪い戸を開けて、薄明りの中へ顔を出したのは、四十左右さゆうの大男、汚い寝巻姿、灯も何にもないのは、眼の見えない者の気楽さでしょう。
左右さゆうみせは悉くあかるかつた。代助はまぼしさうに、電気燈のすくない横町へまがつた。江戸川のふちた時、くらい風がかすかにいた。くろさくらの葉が少しうごいた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
時々は目をつぶって遠慮なくおくびをしたのち身体からだを軽く左右さゆうにゆすりながらお豊の顔をば何の気もなく眺めた。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
第二種は白シヤツの如く胸部にひらきたる所有りて腹部は左右さゆう連接れんせつす之を着るには第一種に在つてはひもを以て諸所をくくり、第二種に在つては胸部を開きたるままにし
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
もし手近てぢかなれいしければ、小規模しようきぼではあるけれども、浦賀海峽うらがかいきよう左右さゆう兩岸りようがんげることが出來できる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
町役人どもは声をからしてしかり制しながら、わづかに娘の左右さゆうだけを鉄棒で堰切せきつてゐたが、その鉄棒のせきもうづ巻いて寄せる人波に破られて、心ない見物人は娘の肩に触れ
梟娘の話 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
そうして、法師の左右さゆうには、かずしれぬあお鬼火おにびがめらめらと、もえていたのでありました。寺男は、こんなに多いさかんな鬼火を、生まれてはじめて見るのでありました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
此處こゝ大黒屋だいこくやのとおもときより信如しんによものおそろしく、左右さゆうずしてひたあゆみにしなれども、生憎あやにくあめ、あやにくのかぜ鼻緒はなををさへに踏切ふみきりて、せんなき門下もんした紙縷こより心地こゝち
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やがて先生ふくされ、予、近日の飲食いんしょく御起居ごききょ如何いかんと問えば、先生、左右さゆうの手をりょうそでのうちに入れ、御覧ごらんの通りきものはこの通り何んでもかまいませぬ、食物はさかなならび肉類にくるいは一切用いず
二つの提灯が、この林念寺前柳生の門から飛びだして、左右さゆうへすたこら消えて行く。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
長造はあご左右さゆうにしゃくって、表通に鼻緒問屋はなおどんやの多いのを指摘してきした。この浅草の大河端おおかわばたの一角を占める花川戸はなかわどは、古くから下駄げたの鼻緒と爪革つまかわの手工業を以て、日本全国に知られていた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
たとえば女を三字集めたかん両男りょうだんの間に女をはさんだなぶる(もっともこれは女のほうより左右さゆうにある男のほうが罪あるに相違ない)、奴(やっこ)、妄(みだる)、奸(みだす)、妨(さまたげる)
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
『や、寢※ねすぎたぞ。』といそ飛起とびおき、衣服ゐふくあらため、櫛髮くしけづりをはつて、急足いそぎあし食堂しよくどうると、壯麗さうれいなる食卓しよくたく正面しようめんにはふね規則きそくとしてれいのビールだる船長せんちやう威儀ゐぎたゞして着席ちやくせきし、それより左右さゆう兩側りやうがわ
けれど、まだやっとがあいたばかりで、いぬはただちいさなをぴちぴち左右さゆうるばかり、かたいお菓子かしべることができませんでした。
野菊の花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
また道中どうちゅうどこへまいりましてもれい甲高かんだか霊鳥れいちよう鳴声なきごえ前後ぜんご左右さゆう樹間このまからあめるようにきこえました。
「これッ——」と、民部はしかりつけるような語気ごきで、左右さゆうにふたりのうでくびをつかみながら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
左右さゆう顧見かへりみ
そのあいだに、しろいくまは、げいというほどのことでもないが、見物けんぶつかって、あたまげたり、からだ左右さゆうすってみせるようなことをおぼえました。
白いくま (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひとりは年のころ四十左右さゆう、連れはまだ十七、八かとみえる初々ういういしい女性にょしょうが、いずれも被衣かずきして忍びやかにそこの梟首台きょうしゅだいの前へ来てじっと果てなくたたずんでいるさまだった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるはしのところで、二人ふたりは、左右さゆうわかれたのです。友吉ともきちは、りょう一からもらったモーターのつつみをたかげて、かえりながらはしっていきました。
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
両士りょうしは、サッと左右さゆうにわかれて、八門の陣のすきをうかがう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、良吉りょうきちはあるそと力蔵りきぞうがオルゴールをらしているそばへいってたのみました。すると、力蔵りきぞうあたま左右さゆうって
星の世界から (新字新仮名) / 小川未明(著)
「お百しょうさんも、こんなさかうえまで、はたけつくりにくるのでは、さぞほねがおれるだろう。」と、おじさんは、あしやすめて、左右さゆうをながめていました。
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
もんからなが生徒せいとらを、二人ふたりわか保姆ほぼが、たがいに十五、六にんずつきつれて、いつものごとく、みち左右さゆうに、途中とちゅうまで見送みおくったのであります。
少女と老兵士 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それはわすれたですまされない、自分じぶんの一しょう左右さゆうするとまでかんがえたものだけに、どうしても、もう一それをおもさなくてはならなかったのでした。
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)
左右さゆうにすわっている人々ひとびとのようすをきくと、いずれも彼女かのじょおな病気びょうきであるらしいので、いまさら、その名医めいいということがかんぜられたのでありました。
世の中のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
二郎じろうちゃん、びっこのうまとおった?」と、うちはいったときに、にいさんや、ねえさんは、二郎じろういました。二郎じろうは、さびしそうにあたま左右さゆうりました。
びっこのお馬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それで、おかあさんをなかにして、四にん子供こどもらが左右さゆう前後ぜんごに、になってやすみました。みんなは、いずれも、おかあさんのほうかおけてやすんだのです。
お母さまは太陽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
子供こどもらは、ぴかぴかとひかる、一つの御輿みこしをかついで、あとのみんなは、その御輿みこし前後ぜんご左右さゆういて、に、に、提燈ちょうちんりかざしているのでした。
雪の上のおじいさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
「このすじみちは、それぞれまちむらへゆくのであろうが、どんなところへゆくのだろう。」と、少年しょうねんはあてもなく、左右さゆう前後ぜんご見渡みわたしていたのであります。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
自分じぶんも、今日きょうあたりいも肥料こえをやるのであったがと、おとこは、左右さゆうまわしながらあるいてゆきました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なにか合図あいずをすると、たちまちととのった陣形じんけいは、しばしみだれて、きずついたからすをつよそうなもののあいだれて、左右さゆうから、勇気ゆうきづけるようにして、れていくのでした。
からす (新字新仮名) / 小川未明(著)
あには、あとから、あとから、にあふれなみだを、こうでふきながら、あたま左右さゆうにふって
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
角形かくけいというよりは、いくらか長方形ちょうほうけいで、金色きんいろにめっきがしてあり、左右さゆうはしらには、ぶどうのつるがからんでいて、はとのとんでいるきぼりがしてあるので、いつても平和へいわ
時計と窓の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
からだ左右さゆうするのは、うれしいかんじをあらわすことであり、あたま上下うえしたうごかすのは、なにかべるものをしいというこころしめすものだということは、見物けんぶつにもわかったのであります。
白いくま (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、みんなのほういて、あたま上下じょうげったり、からだ左右さゆうすったりしました。
白いくま (新字新仮名) / 小川未明(著)
「だめです、いいお医者いしゃさんがありません。」と、老人ろうじんあたま左右さゆうすりました。
三月の空の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから、十ぷんとたたぬうちに、勇蔵ゆうぞうが、リヤカーに伯父おじさんをせてき、近所きんじょひとたちがくるま左右さゆうしたがい、まちなか両断りょうだんするひろ道路どうろをすこしへだてた、ほねつぎ医者いしゃれていきました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
巡査おまわりさんは、ふいにかおげて、左右さゆうまわしながら、いいました。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
あおいたくさんのおおきな、またちいさいたまは、左右さゆうに二ぶんされました。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)