器械きかい)” の例文
自分じぶんそれ澤山たくさんだとかんがへて、器械きかいなんぞとひざあはかたならべたかのごとくに、きたいところまで同席どうせきして不意ふいりて仕舞しまだけであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
へゝい、お二人ふたりづれで。——旦那様だんなさまは、洋服やうふくで、それ、かたが、こゝへぶらげておいでなさる、あの器械きかいつてらしつけえ。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
日本政府は二百四十万ドル支出ししゅつし、四年間継続けいぞくの工事としてこれを経営けいえいし、技師職工は仏人をやとい、したがっ器械きかい材料ざいりょうの買入までも仏人にまかせたり。
だいちうせう、三十七しゆ齒輪車しりんしやたがひ噛合かみあひ、吸鍔桿ピストン曲肱クンク方位盤ダイレクターたる諸種しよしゆ器械きかい複雜ふくざつきはめ、あだか聯成式れんせいしき蒸氣機關じようききくわんるやうである。
日本人種にほんじんしゆといふものは却々なか/\器用きようでござりますから、たちまち一つの発明はつめいをいたし、器械きかい出来できて見ると、これいて一つの新商法しんしやうはふ目論見もくろみおこしました。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
何故人間が除草くさとり器械きかいにならねばならぬか。除草は愚だ、うっちゃって草と作物の競争さして、全滅とも行くまいから残っただけを此方にもらえば済む。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そして、こんないいおとのする器械きかいは、だれが発明はつめいして、どこのくにから、はじめてきたのだろうかとかんがえました。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかしながらこの結果けつかおいては器械きかい觀測かんそくせられたものと、自分じぶん體驗たいけんしたものとはいちじるしき相違そういのあることが一般いつぱんであつて、それがむし至當しとうである場合ばあひおほい。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ガドルフはしゃがんでくらやみの背嚢をつかみ、手探てさぐりでひらいて、小さな器械きかいたぐいにさわってみました。
ガドルフの百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ところが、支那しなではぜいがかゝらないので、在留ざいりう日本人たちは、みんな立派りつは器械きかいを持つてゐる。いつもそのてんではがひけたが、印畫いんぐわを見せてもらふとあん心した。
かえって高尚こうしょうらしくも聞こえるけれども、それは慈善じぜんをなすときか、友人を祝うときか、霊前れいぜんそなうるときのことで、事業のためには、金銭は単に無心無情の器械きかいである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
をつとをして三井みつゐ白木しろき下村しもむら売出うりだ広告くわうこくの前に立たしむればこれあるかな必要ひつえうの一器械きかいなり。あれがしいのうつたへをなすにあらざるよりは、がうもアナタの存在をみとむることなし
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
患者等かんじゃら油虫あぶらむし南京虫なんきんむしねずみやからてられて、んでいることも出来できぬと苦情くじょうう。器械きかいや、道具どうぐなどはなにもなく外科用げかよう刄物はものが二つあるだけで体温器たいおんきすらいのである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ワーフルという菓子かしき居たりしを先生見て、これは至極しごく面白おもしろし、予もこの器械きかい借用しゃくようして一ツやってたしとのことにつき、翌日これを老僕ろうぼくたせつかわしければ、先生おおいに喜び
〔評〕兵數はいづれかおほき、器械きかいは孰れかせいなる、糧食りやうしよくは孰れかめる、この數者を以て之をくらべば、薩長さつちやうの兵は固より幕府に及ばざるなり。然り而して伏見ふしみの一戰、東兵披靡ひびするものは何ぞや。
ニツケルの産科さんくわ器械きかいのごときはししてひか
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
宗助そうすけは、うですかとつて、たゞふとつたをとこのなすがまゝにしていた。するとかれ器械きかいをぐる/\まはして宗助そうすけあなはじめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いいえ、あのかぜさむい、そらあおい、きたのふるさとが、いちばんいいところです。人間にんげんは、器械きかいっています。
ふるさと (新字新仮名) / 小川未明(著)
へえーそれうも結構けつこうな事で。殿「別に師匠ししやうも取らず書物しよもついて独学どくがくをしたのぢやが、色々いろ/\な事を発明はつめいしたよ、まア見るがい、これだけ器械きかいを集めたから。 ...
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
工女の四五人入れて足踏あしぶみ器械きかいで製糸をやる仙ちゃん、長さんも、即座師そくざしの鑑札を受けて繭買をはじめた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
吸鍔棹ピストンたる器械きかい上下じやうかするにしたがつて、新鮮しんせんなる空氣くうき蒸氣じようきごと一方いつぽう巨管きよくわんから艇内ていない吹出ふきだされ、艇内ていない惡分子あくぶんしは、排氣喞筒はいきぽんぷによつて始終しじゆう艇外ていぐわい排出はいしゆつせられるから
小屋の天井てんじょうにのぼった人たちは、器械きかいの上の方からどんどんかわいた玉蜀黍とうもろこしをほうりみました。
耕耘部の時計 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
地震波ぢしんぱ偵察ていさつした結果けつか器械きかい、これを地震計ぢしんけいづける。まへにユーイング教授きようじゆ地震計ぢしんけい發明はつめいしたことをべたが、これはじつ容易よういならざる發明はつめいであつたのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
器械きかいや、道具だうぐなどはなにもなく外科用げくわよう刄物はものが二つあるけで體温器たいをんきすらいのである。浴盤よくばんには馬鈴薯じやがたらいも投込なげこんであるやうな始末しまつ代診だいしん會計くわいけい洗濯女せんたくをんなは、患者くわんじやかすめてなんともおもはぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その鰹船かつをぶねひとづゝこの器械きかいそなけるやうになつたら、莫大ばくだい利益りえきだつてふんで、此頃このごろ夢中むちゆうになつて其方そのはうばつかりにかゝつてゐるやうですよ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
左様さやうであらう、ソラ此器これ脈搏みやくはくくんだ、うだグウ/\るだらう。登「エヘヽヽヽくすぐつたうござりますな、左様さやうよこぱら器械きかいをおあてあそばしましては。 ...
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
あたらしい器械きかい発明はつめいされたとか、あたらしい思想しそう流行りゅうこうするとか、また、戦争せんそうなどということがあって、さかえた職業しょくぎょうが、きゅう衰微すいびしたり、また反対はんたい衰微すいびしていたものが
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
實際じつさい地震ぢしんまつたおこることなきくにおいては、生命せいめい財産ざいさん關係かんけいある方面ほうめん研究けんきゆう無意味むいみであるけれども、適當てきとう器械きかいさへあれば、世界せかい遠隔えんかくした場所ばしよおこつた地震ぢしん餘波よは觀測かんそくして
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
鐵車てつしや深林しんりんくには、一層いつそう巧妙こうめうなる器械きかいがある、それは鐵車てつしや前方ぜんぽう木牛頭もくぎうとう上下じやうかより突出とつしゆつして、二十一の輪柄りんぺいいうする四個しこ巨大きよだいなる旋廻圓鋸機せんくわいゑんきよきと、むかし佛蘭西フランス革命時代かくめいじだい
「あれは、水のはやさをはかる器械きかいです。水も……」鳥捕とりとりがいかけたとき
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それういふわけかとあとで聞いて見ますると、耳へけべき器械きかいを口へけてやつたからだといふ。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
このつぼは、じつに美術的びじゅつてきなつぼでした。宝石商ほうせきしょうは、あるまちはた器械きかいいました。それは、みんなが、もし女房にょうぼうをもらったら、この器械きかいはたらしたらいいとおもったからです。
花咲く島の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
……これから案内あんないしたがつて十二でふばかり書院しよゐんらしいところとほる、次は八でふのやうで正面しやうめんとこには探幽たんにゆう横物よこものかゝり、古銅こどう花瓶くわびんに花がしてあり、煎茶せんちや器械きかいから、莨盆たばこぼんから火鉢ひばちまで
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
うもこれは耳へけてくのに、ギン/\とかすかにきこえて判然はつきりわからぬやうだが、うかう耳へあてずに器械きかいをギユーとねぢると、判然はつきり音色おんしよく席中せきぢうぱい大音だいおんきこえるやうにたいものだ。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)