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付
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つき
ふりがな文庫
“
付
(
つき
)” の例文
但、御用繁多の折柄に
付
(
つき
)
、広周一存を以て諸国手形相添え
差許
(
さしゆるす
)
者也
(
ものなり
)
。尚本懐の上は父三郎兵衛の
名跡
(
みょうぜき
)
相違なかるべき事、広周
可含置
(
ふくみおくべき
)
者也
(
ものなり
)
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
近習番
(
きんじゅうばん
)
木村丈八事、やがて其地に立寄り申す
可
(
べく
)
に
付
(
つき
)
、領内にて相待ち、同道にて帰府のほう都合
宜
(
よろ
)
しかる
可
(
べし
)
——という指令なのであった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこでオカミサンに
付
(
つき
)
そはれて娘は伏目に現はれたが、なるほどゼンゼン美しい。処女の含羞、女子大学生、たゞ目が細い。
金銭無情
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
内談
(
ないだん
)
も既にきまり候に
付
(
つき
)
、浄光寺の住職
方
(
がた
)
へは改めて
挨拶
(
あいさつ
)
致し、両
三日中
(
さんにちちゅう
)
には
抹香
(
まっこう
)
臭き
法衣
(
ころも
)
はサラリとぬぎ捨て申すべき由。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
其方儀
主人
(
しゆじん
)
妻
(
つま
)
何程
(
なにほど
)
申付候共又七も主人の
儀
(
ぎ
)
に
付
(
つき
)
致方
(
いたしかた
)
も
有之
(
これある
)
べき處主人又七に
疵
(
きず
)
を
付
(
つけ
)
剩
(
あまつ
)
さへ
不義
(
ふぎ
)
の申
掛
(
かけ
)
を致さんとせし段
不屆至極
(
ふとゞきしごく
)
に付
死罪
(
しざい
)
申
付
(
つく
)
る
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
定めし
御聞込
(
おんききこみ
)
の事とは存じ
候
(
そうら
)
へども、杵屋
御
(
おん
)
家元様は
御
(
ご
)
死去
被遊候
(
あそばされそろ
)
。
夫
(
それ
)
に
付
(
つき
)
私共は
今日
(
こんにち
)
午後四時
御
(
ご
)
同所に
相寄候事
(
あいよりそろこと
)
に御坐候。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
……
唐太
(
からふと
)
島の事に
付
(
つき
)
魯国との関係を
速
(
すみやか
)
に処分し、両国の境界を判然各国に知らしむる事、実に今日の急務と臆想せり。
黒田清隆の方針
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
このたび「明治文士」といふ演劇大入に
付
(
つき
)
当世の文士諸君を招いて
聊
(
いささ
)
か粗酒を呈するのである、明治文士の困難は即ち諸君の幸福と化したのである
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
然し、これまで、考えて見ると、私はちっとも
曰
(
いわ
)
く
付
(
つき
)
の心臓について、具体的なことを申上げて居ませんでしたね。
獄中への手紙:03 一九三六年(昭和十一年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
むしろ剣法において当代一の
極
(
きわ
)
め
付
(
つき
)
の島田虎之助を突き出したことを
勿怪
(
もっけ
)
の幸いと感じたくらいのものであります。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
第四十条 両議院ハ法律又ハ
其
(
そ
)
ノ他ノ事件ニ
付
(
つき
)
各々
(
おのおの
)
其
(
そ
)
ノ意見ヲ政府ニ建議スルコトヲ
得
(
う
)
シ
其
(
そ
)
ノ
採納
(
さいのう
)
ヲ得サルモノハ同会期中ニ
於
(
おい
)
テ
再
(
ふたた
)
ヒ建議スルコトヲ得ス
大日本帝国憲法
(旧字旧仮名)
/
日本国
(著)
買
(
か
)
つて
行
(
い
)
つて
遣
(
や
)
らうかといふ
氣
(
き
)
が
一寸
(
ちよつと
)
起
(
おこ
)
るや
否
(
いな
)
や、そりや五六
年前
(
ねんぜん
)
の
事
(
こと
)
だと
云
(
い
)
ふ
考
(
かんがへ
)
が
後
(
あと
)
から
出
(
で
)
て
來
(
き
)
て、
折角
(
せつかく
)
心持
(
こゝろもち
)
の
好
(
い
)
い
思
(
おも
)
ひ
付
(
つき
)
をすぐ
揉
(
も
)
み
消
(
け
)
して
仕舞
(
しま
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
阪を上り果てゝ、
囲
(
かこ
)
いのトゲ
付
(
つき
)
鉄線
(
はりがね
)
を
潜
(
くぐ
)
り、放牧場を西へ西へと歩む。赭い牛や黒馬が、親子友だち三々伍々、
群
(
む
)
れ離れ寝たり起きたり
自在
(
じざい
)
に遊んで居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
一
我等
(
われら
)
今度
(
こんど
)
下向候処
(
げこうそろところ
)
其方
(
そのほう
)
に
対
(
たい
)
し
不束之筋有之
(
ふつつかのすじこれあり
)
馬附之荷物積所
(
うまつけのにもつつみしょ
)
出来申候
(
しゅったいもうしそろ
)
に
付
(
つき
)
逸々
(
はやばや
)
談志之旨
(
だんしのむね
)
尤之次第
(
もっとものしだい
)
大
(
おお
)
きに
及迷惑申候
(
めいわくをおよぼしもうしそろ
)
依
(
よっ
)
て
御本陣衆
(
ごほんじんしゅう
)
を
以
(
もって
)
詫入
(
わびいり
)
酒代
(
さかて
)
差出申候
(
さしだしもうしそろ
)
仍而件如
(
よってくだんのごとし
)
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
これらの事に
付
(
つき
)
て
熟思
(
つら/\おもふ
)
に、
絹
(
きぬ
)
を
織
(
おる
)
には
蚕
(
かひこ
)
の
糸
(
いと
)
ゆゑ
阳熱
(
やうねつ
)
を
好
(
このみ
)
、
布
(
ぬの
)
を織には
麻
(
あさ
)
の糸ゆゑ
阴冷
(
いんれい
)
を
好
(
この
)
む。さて
絹
(
きぬ
)
は寒に用ひて
温
(
あたゝか
)
ならしめ、布は
暑
(
しよ
)
に用て
冷
(
ひやゝ
)
かならしむ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
過日
御示
(
おしめし
)
被下
(
くだされ
)
候
(
そうろう
)
貴著
瘠我慢中
(
やせがまんちゅう
)
、
事実
(
じじつ
)
相違之廉
(
そういのかど
)
並
(
ならぴ
)
に
小生之
(
しょうせいの
)
所見
(
しょけん
)
もあらば云々との
御意
(
ぎょい
)
致拝承
(
はいしょういたし
)
候
(
そうろう
)
。昨今
別而
(
べっして
)
多忙
(
たぼう
)
に
付
(
つき
)
いずれ
其中
(
そのうち
)
愚見
(
ぐけん
)
可申述
(
もうしのぶべく
)
候
(
そうろう
)
。
先
(
まず
)
は
不取敢
(
とりあえず
)
回音
(
かいおん
)
如此
(
かくのごとく
)
に候也。
瘠我慢の説:03 書簡
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
、
勝海舟
、
榎本武揚
(著)
曰く哀楽は感ず可く、歌ふ可し、然も人は
斯多阿
(
ストア
)
学徒の心を以て忍ばざる可からずと。かの
額
(
ひたひ
)
付
(
つき
)
、物思はしげに、長髪わざとらしき詩人等もこの語には
辟易
(
へきえき
)
せしも多かり。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
玄関は真暗なので、
身体
(
からだ
)
付きも分らないが「どうも失礼致しました。この頃ちょっと
物騒
(
ぶっそう
)
なものでとんだ失礼を致しました。どうぞお上り下さいませ」という丁重な言葉
付
(
つき
)
である。
I駅の一夜
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
マチアとわたしに手まねをして、かれはろうそくを持って先に立ちながら、食事をした
部屋
(
へや
)
の外にあるうまやへ
連
(
つ
)
れて言った。そのうまやには荷台まで大きな屋台
付
(
つき
)
馬車があった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
主人半右衞門を
殺害
(
せつがい
)
いたさせたる段、
主殺
(
しゅうころし
)
同罪、
磔
(
はりつけ
)
にも行うべき処、主人柳の頼み是非なく同意いたしたる儀に
付
(
つき
)
、格別の
御慈悲
(
ごじひ
)
をもって十四ヶ年遠島を申付くる、有難く心得ませい
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
右の
写本
(
しやほん
)
を
一名
(
いちめい
)
に
付
(
つき
)
三日間
(
みつかかん
)
留置
(
とめおき
)
の
掟
(
おきて
)
で社員へ
廻
(
まわ
)
したのです、すると、見た者は
鉛筆
(
えんぴつ
)
や
朱書
(
しゆがき
)
で
欄外
(
らんぐわい
)
に
評
(
ひやう
)
などを入れる、
其評
(
そのひやう
)
を
又
(
また
)
反駁
(
はんばく
)
する者が有るなどで、なか/\
面白
(
おもしろ
)
かつたのであります
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
右者
(
みぎは
)
亡父遺言状仮葬之翌日相開き一覧致候処本葬
云々
(
うんぬん
)
之儀
有之
(
これあり
)
候に
付
(
つき
)
遺言を
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
大きい文字を書く折には
態
(
わざ
)
と筆を用ゐないで、
帛
(
きぬ
)
をぐるぐる巻にして、その先に
墨汁
(
すみ
)
を含ませて、べたべた
塗
(
なす
)
くるのを
甚
(
ひど
)
く自慢にしてゐたといふ事だが、これなどもまあ一寸した
思
(
おも
)
ひ
付
(
つき
)
の
戯
(
いたづら
)
だ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
(ええ
糞
(
くそ
)
そのつら
付
(
つき
)
。見だぐなぃ。どこさでもけづがれ。びっき。)嘉吉はまるで
落
(
お
)
ちはじめたなだれのように
膳
(
ぜん
)
を
向
(
むこ
)
うへけ
飛
(
と
)
ばした。おみちはとうとううつぶせになって声をあげて
泣
(
な
)
き出した。
十六日
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
二三 同じ人の二七日の
逮夜
(
たいや
)
に、知音の者集まりて、夜
更
(
ふ
)
くるまで念仏を
唱
(
とな
)
え立ち帰らんとする時、
門口
(
かどぐち
)
の石に腰掛けてあちらを向ける老女あり。そのうしろ
付
(
つき
)
正しく
亡
(
な
)
くなりし人の通りなりき。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
迷惑に
付
(
つき
)
甚
(
はなは
)
だ唐突不敬なれども実はお辰様を
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
其方儀
(
そのはうぎ
)
天一坊
身分
(
みぶん
)
聢
(
しか
)
と
相糺
(
あひたゞ
)
さず百姓町人を欺き金銀を
掠取
(
かすめと
)
り候段
上
(
かみ
)
を
蔑
(
ないが
)
しろに致し重々不屆に
付
(
つき
)
遠島
(
ゑんたう
)
申付る(八丈島)
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
地所七十坪ほど家屋
付
(
つき
)
壱万五千円の由坂地なれば庭
平
(
たいら
)
ならぬ処自然の
趣
(
おもむき
)
面白く垣の外すぐに豊川稲荷の森に御座候間隠居所妾宅にはまづ適当と存ぜられ候。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
生
(
うま
)
れ
付
(
つき
)
心配性な彼は、細君の
唸
(
うな
)
り声を
余所
(
よそ
)
にして、ぶらぶら外を歩いていられるような男ではなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それだけにては愚意
分
(
わか
)
りかね候に
付
(
つき
)
愚作をも連ねて御評願いたく
存居
(
ぞんじおり
)
候えども、あるいは先輩諸氏の
怒
(
いかり
)
に触れて
差止
(
さしと
)
めらるるようなことはなきかとそれのみ心配
罷在
(
まかりあり
)
候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
嘉永二年三月七日に、抽斎は召されて
登城
(
とじょう
)
した。
躑躅
(
つつじ
)
の
間
(
ま
)
において、
老中
(
ろうじゅう
)
牧野備前守
忠雅
(
ただまさ
)
の
口達
(
こうたつ
)
があった。年来学業出精に
付
(
つき
)
、ついでの節
目見
(
めみえ
)
仰附けらるというのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
譬
(
たと
)
へば
日雇賃
(
ひようちん
)
にても
借家賃
(
しやくやちん
)
にても
其外
(
そのほか
)
物
(
もの
)
の
貸借
(
かしかり
)
約束
(
やくそく
)
の
日限
(
にちげん
)
皆
(
みな
)
何
(
いづ
)
れも一ウヰークに
付
(
つき
)
何程
(
なにほど
)
とて、
一七日毎
(
ひとなぬかごと
)
に
切
(
きり
)
を
付
(
つく
)
ること、
我邦
(
わがくに
)
にて
毎月
(
まいつき
)
晦日
(
みそか
)
を
限
(
かぎり
)
にするが
如
(
ごと
)
し。
其
(
その
)
一七日の
唱
(
となへ
)
左
(
さ
)
の
如
(
ごと
)
し
改暦弁
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
先づ差当り白米の代価百文に
付
(
つき
)
五合ならねば窮民口を
糊
(
こ
)
し難しと記し、また或は米穀は
固
(
もと
)
より
諸色
(
しよしき
)
の代価速かに引下ぐるにあらずんば忽ち市中を焼払はんなどと
書裁
(
しよさい
)
なしたる所もあり
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
実に玉椿の八千代までと
新枕
(
にいまくら
)
を
交
(
かわ
)
せ、それから夫婦共稼ぎを致しまして、少しも油断をしませんから、
忽
(
たちま
)
ち身代を仕出しましたに
付
(
つき
)
、多助は
予
(
かね
)
ての心願通り沼田の
家
(
いえ
)
を立派に再興致し
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
切出
(
きりだ
)
しの小刀とか、
鋼
(
はがね
)
の
帯金
(
おびがね
)
を
研
(
と
)
いで作った
鑿
(
のみ
)
位のものであるが、生れ
付
(
つき
)
凝
(
こ
)
り性の上に、半年の間退屈まぎれに毎日朝から晩までこつこつ刻んでいたので、
一廉
(
ひとかど
)
の彫刻家になってしまったのである。
由布院行
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
廿分と経たないうちに、金モール
付
(
つき
)
赤ビロードの舞台服を着た吾輩は、今の別嬪さんと一緒に、その頃まで絶対に珍らしかった自動車に同乗して、どこか郊外の山道らしい処をグングンと走っていた。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
第五十二条 両議院ノ議員ハ議院ニ
於
(
おい
)
テ発言シタル意見及表決ニ
付
(
つき
)
院外ニ於テ責ヲ負フコトナシ但シ議員
自
(
みずか
)
ラ
其
(
そ
)
ノ言論ヲ演説刊行筆記又ハ
其
(
そ
)
ノ他ノ方法ヲ
以
(
もっ
)
テ公布シタルトキハ一般ノ法律ニ
依
(
よ
)
リ処分セラルヘシ
大日本帝国憲法
(旧字旧仮名)
/
日本国
(著)
其方儀
養子
(
やうし
)
又七に
疵
(
きず
)
付
(
つけ
)
剩
(
あまつ
)
さへ不義の申
掛
(
かけ
)
致候樣下女きくに申
付
(
つけ
)
る段人に
母
(
はゝ
)
たるの
行
(
おこな
)
ひに
非
(
あら
)
ず
不埓
(
ふらち
)
至極
(
しごく
)
に
付
(
つき
)
遠島
(
ゑんたう
)
申
付
(
つく
)
る
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
然
(
しか
)
るに保は入舎を欲せないので、「母病気に
付
(
つき
)
当分の
内
(
うち
)
通学
御
(
ご
)
許可
相成度
(
あいなりたく
)
」云々という願書を呈して、旧に
依
(
よ
)
って本所から通っていた。母の病気というのは
虚言
(
うそ
)
ではなかった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
誰
(
だれ
)
の命令も文字通りに拝承した事のない代りには、
誰
(
だれ
)
の意見にも
露
(
むき
)
に抵抗した試がなかつた。解釈のしやうでは、策士の態度とも取れ、優柔の生れ
付
(
つき
)
とも思はれる
遣口
(
やりくち
)
であつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
小生も追々衰弱に赴き候に
付
(
つき
)
二十句の
佳什
(
かじゅう
)
を得るために千句以上を検閲せざるべからずとありては到底病脳の堪ふる所に非ず候。
何卒
(
なにとぞ
)
御自身
御選択
(
ごせんたく
)
の上御寄稿
被下候様
(
くだされそうろうよう
)
希望候。以上。(二月十二日)
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
既に大阪市中にては小売の白米一升に
付
(
つき
)
銭七百文に至れば、
其日稼
(
そのひかせ
)
ぎの貧民等は又
如何
(
いかん
)
とも
詮術
(
せんすべ
)
なく殆ど飢餓に及ばんとするにぞ、九条村且つ難波村など所々に多人数寄り集まり不穏の事を談合して
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
用番老中水野越前守
忠邦
(
ただくに
)
の沙汰で、九郎右衛門、りよは「
奇特之儀
(
きどくのぎ
)
に
付
(
つき
)
構
(
かまひ
)
なし」文吉は「
仔細無之
(
しさいこれなく
)
構なし」と申し渡された。それから筒井の
褒詞
(
ほうし
)
を受けて酉の下刻に引き取った。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
むつとする程
堪
(
たま
)
らない路だつたが、構内へ這入ると
流石
(
さすが
)
に樹の多い丈に気分が晴〻した。
取
(
と
)
っ
付
(
つき
)
の戸をあたつて見たら錠が
下
(
お
)
りてゐる。裏へ廻つても駄目であつた。仕舞に横へ出た。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼
(
かれ
)
は
生
(
うま
)
れ
付
(
つき
)
理解
(
りかい
)
の
好
(
い
)
い
男
(
をとこ
)
であつた。
從
(
したが
)
つて
大
(
たい
)
した
勉強
(
べんきやう
)
をする
氣
(
き
)
にはなれなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
自然に引き付けられたれば
咎
(
とが
)
も恐れず、世を
憚
(
はばか
)
りの
関
(
せき
)
一重
(
ひとえ
)
あなたへ越せば、生涯の
落
(
お
)
ち
付
(
つき
)
はあるべしと念じたるに、引き寄せたる磁石は火打石と化して、吸われし鉄は無限の空裏を
冥府
(
よみ
)
へ
隕
(
お
)
つる。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
付
常用漢字
小4
部首:⼈
5画
“付”を含む語句
心付
取付
追付
打付
見付
押付
言付
縁付
仰付
喰付
落付
寄付
片付
云付
申付
目付
顔付
貼付
近付
引付
...