をか)” の例文
其處そこ何者なにものかゞるに相違さうゐない、ひとか、魔性ましやうか、其樣そんことかんがへてられぬ、かく探險たんけん覺悟かくごしたので、そろ/\とをかくだつた。
またそのうしろまるいところと、まへ四角しかくなところとのつなぎめのところの兩側りようがはに、ちひさいまるをかがついてゐることがあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
(イ)洪水こうずい豫防よぼう。 森林しんりんとはやまをか一面いちめんに、こんもりしげつて、おほきなふかはやしとなつてゐる状態じようたいをいふのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
きり小半道程傍なるをかの小松の根へかくうづおき扨惣内夫婦切害に逢たる旨領主の郡奉行へ訴へ出二十兩餘の賄賂まいないつかひ九助を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
くさおほはれたをかスロープ交錯かうさくし合つておだやかなまくのやうに流れてゐた。人家じんかはばう/\としたくさのためにえなかつた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
庭先を流れてゆく溝にはめだかや蝦が泳ぎ、畦道にはひよろひよろとくぬぎの若木がならび、青田の末はをかになつてまつ黒な森がどこまでもつづいてゆく。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
やみにもよろこびあり、ひかりにもかなしみあり麥藁帽むぎわらばうひさしかたむけて、彼方かなたをか此方こなたはやしのぞめば、まじ/\とかゞやいてまばゆきばかりの景色けしき自分じぶんおもはずいた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
よし子は、素直に気の軽い女だから、仕舞にすぐ帰つてますと云ひ捨てゝ、早足はやあし一人ひとりをかりて行つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
りくはうると、いつしかふねみなと目近まぢかすゝんで、桑港さうかう町々まち/\はついはなさきえる。我等われらとまるべきフェアモント・ホテルはたかをかうへつてる。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
つてたふれるのが、そのまゝゆきをかのやうにる……それが、みぎり、ひだりり、よこつもり、たてきます。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
たとへば世界を照すもの顏を人にかくすこといと少なき時、をかの上に休む農夫が 二五—二七
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
かぜはなかつた。空氣くうきみづのやうにおもしづんでゐた。人家じんかも、燈灯ともしびも、はたけも、もりも、かはも、をかも、そしてあるいてゐる我我われわれからだも、はひとかしたやうな夜霧よぎりうみつつまれてゐるのであつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
薄月夜うすづくよこよひひそかに海鳥うみどりがこのをかの花をついばみに
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
をかのもと柳の原の遠くしてなかに網干す青き沢かな
をとこをかの上へ登りきつて了ふと
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
をか、かきね、びすがへば
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
をかこみちはてにして
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
そのをかうへにはスエーデンの各地方かくちほう植物しよくぶつ移植いしよくし、また特有とくゆう動物どうぶつをも飼養しようしてゐるところは、ちょっと植物園しよくぶつえん動物園どうぶつえんのようでもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
海岸かいがん沿ふてこと七八ちやう岩層がんそう小高こだかをかがある、そのをかゆると、今迄いまゝでえたうみ景色けしきまつたえずなつて、なみおと次第しだい/\にとうく/\。
衰破すゐは斷滅だんめつし其屋敷あとはたとなりてのこれり其中に少しのをかありて時々とき/″\ぜに又は其外そのほか種々いろ/\器物きぶつなど掘出ほりだす事ある由を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ある日、私は、私達わたしたちをこの家へみちびき入れたをかの上へ行つてみた。私は二人でやすんだくさの中へすわつてみた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
えだあひだ白砂はくさのきれいなさかうねつてけて、そのをかうへ小學校せうがくかうがある。ほんの拔裏ぬけうらで、ほとんど學校がくかうがよひのほか、ようのないみちらしいが、それでも時々とき/″\人通ひとどほりがある。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
カセンティーンの緑のをかよりアルノにくだり、水路涼しく軟かき多くの小川は 六四—六六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
二人ふたりのゐる所は高く池のなかに突き出してゐる。此をかとは丸でえんのない小山が一段低く、右側みぎがはを走つてゐる。大きな松と、御殿の一角ひとかどと、運動会の幕の一部と、なだらな芝生が見える。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さて埴輪はにわ筒形つゝがたのものは、はかをかのまはり、ときにはほり外側そとがは土手どてにも、一重ひとへ二重ふたへあるひは三重みへにも、めぐらされたのであり、またつか頂上ちようじようには家形いへがた
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
をかくだつてみゝすますと、ひゞきんでも、しま西南せいなんあたつて一個ひとつ巨大おほきみさきがある、そのみさきえての彼方かなたらしい。
母親はゝおや墳墓おくつきは、やまあるをかの、つき淺茅生あさぢふに、かげうすつゆこまやかにじやくとある。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あるくさに包まれたをかの上に、私達わたしたちは一けんの家をつけ出した。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
當時たうじ寫眞しやしんた——みやこは、たゞどろかはらをかとなつて、なきがらのごとやまあるのみ。谿川たにがはながれは、おほむかでのたゞれたやうに……寫眞しやしんあかにごる……砂煙すなけむり曠野くわうやつてた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あのおくはるか燈明臺とうみやうだいがあるといふ。をかひとつ、たかもりは、御堂みだうがあつて、姫神ひめがみのおにはといふ。をかについて三所みところばかり、寺院じゐんむねと、ともにそびえたしげりは、いづれも銀杏いてふのこずゑらしい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
天狗てんぐ——など意識いしきしましたのは、のせゐかもれません。たゞしこれ目標めじるし出來できたためか、えたやうにつて、たふれてゆきをか飛移とびうつるやうなおもひはなくなりました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
つと、の(おもつた)がえて、まざ/\とうしてものを言交いひかはせば、武藏野むさしのをか横穴よこあなめいた、やま場末ばすゑびたまちを、さぐり/\にかせいで歩行あるくのが、さそはせて、としのやうに
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
最後さいごたふれたのはひとつのゆきをかです。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)