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汁
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しる
ふりがな文庫
“
汁
(
しる
)” の例文
それで赤貝姫が
汁
(
しる
)
を
搾
(
しぼ
)
り
集
(
あつ
)
め、蛤貝姫がこれを受けて母の乳汁として塗りましたから、りつぱな男になつて
出歩
(
である
)
くようになりました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
汁
(
しる
)
の多い芳しい果実を舌が喜ぶように、人の眼は色彩を喜ぶ。その新しい
御馳走
(
ごちそう
)
の上へ、クリストフは
貪婪
(
どんらん
)
な食欲で飛びついていった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
私はそれをとって、その中へ、ぶどうの
汁
(
しる
)
をしぼりこみました。そして、日のよくあたりそうなところへ、ぶらさげておきました。
アラビヤンナイト:04 四、船乗シンドバッド
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
しかも今度のは半分に
引切
(
ひっき
)
ってある胴から尾ばかりの虫じゃ、切口が
蒼
(
あおみ
)
を帯びてそれでこう黄色な
汁
(
しる
)
が流れてぴくぴくと動いたわ。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そしてそのミカンは、その毛の中の
汁
(
しる
)
を味わっている、と聞かされるとみな驚いてしまうだろうが、実際はそうであるからおもしろい。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
▼ もっと見る
ことに蛾次郎は、一ど
徳川家
(
とくがわけ
)
からあまい
汁
(
しる
)
をすわされているので、その
方
(
ほう
)
に肩をもち、竹童はそれを
伊那丸
(
いなまる
)
とともに敵としている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
てんでに指を突きこんでそれに穴をあけると、先づそこから
汁
(
しる
)
を啜つて、それから一と切れづつ切り取つては口へ放りこみ始めたものだ。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:05 呪禁のかかつた土地
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
女の子は、まい朝、そとへでていっては、草の
根
(
ね
)
や、
汁
(
しる
)
のおおい
実
(
み
)
や、クルミのようにかたい実を、たくさんあつめてきました。
にいさんと妹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
暫
(
しばら
)
く
立
(
た
)
ち
止
(
と
)
まつて
見
(
み
)
てゐるうちに、
石
(
いし
)
の
壁
(
かべ
)
に
沿
(
そ
)
うて
造
(
つく
)
り
附
(
つ
)
けてある
卓
(
つくゑ
)
の
上
(
うへ
)
で
大勢
(
おほぜい
)
の
僧
(
そう
)
が
飯
(
めし
)
や
菜
(
さい
)
や
汁
(
しる
)
を
鍋釜
(
なべかま
)
から
移
(
うつ
)
してゐるのが
見
(
み
)
えて
來
(
き
)
た。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その時分は銀子もまだ苦い
汁
(
しる
)
の後味が舌に残りながら、四年間
同棲
(
どうせい
)
した、一つ年上の男のことが、
綺麗
(
きれい
)
さっぱりとは清算しきれずにいた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
おつぎは
勘次
(
かんじ
)
が
吩咐
(
いひつ
)
けて
行
(
い
)
つた
通
(
とほ
)
り
桶
(
をけ
)
へ
入
(
い
)
れてある
米
(
こめ
)
と
麥
(
むぎ
)
との
交
(
ま
)
ぜたのを
飯
(
めし
)
に
炊
(
た
)
いて、
芋
(
いも
)
と
大根
(
だいこ
)
の
汁
(
しる
)
を
拵
(
こしら
)
へる
外
(
ほか
)
どうといふ
仕事
(
しごと
)
もなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
その東北の方から
熔
(
と
)
けた銅の
汁
(
しる
)
をからだ中に
被
(
かぶ
)
ったように朝日をいっぱいに浴びて土神がゆっくりゆっくりやって来ました。
土神ときつね
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
虎の威を
嵩
(
かさ
)
にきてだいぶちょくちょくうまい
汁
(
しる
)
を吸っているものとみえ、御免安のやつ、何かとんでもないことをもくろんでいるらしい——。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
正
(
しょう
)
ちゃんは、お
勝手
(
かって
)
もとへいってみました。ガスに
火
(
ひ
)
がついて、お
汁
(
しる
)
のなべが、かかっていました。そこにもお
母
(
かあ
)
さんは、いらっしゃいません。
お母さん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
一瓶
(
ひとびん
)
の水と、数粒の豆が浮いてる貧しい一皿の
汁
(
しる
)
とを、寝台のそばに置き、彼の
鉄枷
(
てつかせ
)
を調べ、
鉄格子
(
てつごうし
)
をたたいて検査した。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
時に厚い
切
(
き
)
り
口
(
くち
)
が、急に
煮染
(
にじ
)
む様に見えて、しばらく眺めてゐるうちに、ぽたりと椽に
音
(
おと
)
がした。
切口
(
きりくち
)
に
集
(
あつま
)
つたのは
緑色
(
みどりいろ
)
の濃い
重
(
おも
)
い
汁
(
しる
)
であつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
別に
鮒
(
ふな
)
や
鮠
(
はえ
)
の
干
(
ほ
)
したのを粉にした
鮒粉
(
ふなこ
)
と云うものを用意してこの二つを半々に混じ大根の葉を
擦
(
す
)
った
汁
(
しる
)
で
溶
(
と
)
くなかなか面倒なものであるその
外
(
ほか
)
声を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その弟子が「自分の粉骨砕身の努力の結果を先生がそっくりさらって一人でうまい
汁
(
しる
)
を吸った」と言って恨む場合や
空想日録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
一夜
冷
(
さま
)
しておいて明日召上る前に温めて出しますと肉の味と
汁
(
しる
)
の味とよく調和して
極
(
ご
)
く美味しい処が食べられます。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「よろしゅうございます。ねずみが
悪
(
わる
)
ささえしなければ、わたくしどももがまんして、あわび
貝
(
かい
)
でかつ
節
(
ぶし
)
のごはんや
汁
(
しる
)
かけ
飯
(
めし
)
を
食
(
た
)
べて
満足
(
まんぞく
)
しています。」
猫の草紙
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
貴賤
(
きせん
)
貧富
(
ひんぷ
)
の外にあるむなしさ、渋さと甘さと濃さと淡さとを一つの茶碗に盛り入れて、
泡
(
あわ
)
も
汁
(
しる
)
も一緒に溶け合ったような高い茶の香気をかいで見た時は
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
やがて林太郎は、おばあさんが、ねこのおわんへもってくれた
汁
(
しる
)
かけ
飯
(
めし
)
をもって、土間へおりていきました。
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
己の指が小蛇のよう跳りながら、生白い首にからんで
喉骨
(
のどぼね
)
のくだけるほども喰い入ると、腸の底から
湧
(
わ
)
き上るような声がして、もう、あのぬらめいた血の
汁
(
しる
)
だ。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
台所からは、みそ
汁
(
しる
)
の
香
(
にお
)
いがして、白痴の子がだらしなく泣き続ける声と、
叔父
(
おじ
)
が叔母を呼び立てる声とが、すがすがしい朝の空気を濁すように聞こえて来た。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
お
前
(
まえ
)
が
何
(
ど
)
うも
麪桶
(
めんつう
)
代
(
がは
)
りに
砂張
(
すばり
)
の
建水
(
みづこぼし
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
るので感心したから、
残余肴
(
あまりもの
)
だが
参州味噌
(
さんしゆうみそ
)
のお
汁
(
しる
)
もあるから、チヨツと
膳
(
ぜん
)
で
御飯
(
ごぜん
)
を
上
(
あ
)
げたい、さア
家内
(
うち
)
へ
上
(
あが
)
つてね
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
かけ
飯
(
めし
)
も
汁
(
しる
)
も
兼帶
(
けんたい
)
の樣子なり其外
行燈
(
あんどん
)
は
反古張
(
ほごばり
)
の文字も分らぬ迄に黒み
赤貝
(
あかゞひ
)
へ
油
(
あぶら
)
を
注
(
つぎ
)
燈心
(
とうしん
)
は僅に一本を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
さなかつらというつる草をついてべとべとの
汁
(
しる
)
にしたものをいちめんに塗りつけて、人が足を
踏
(
ふ
)
みこむとたちまち
滑
(
すべ
)
りころぶようなしかけをさせてお置きになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
墨がすれると、こんどは、古い新聞紙を机の上にのべて、筆に、たっぷり墨の
汁
(
しる
)
をふくませる。それから、筆を右手にもって、
肘
(
ひじ
)
をうんと張り、新聞紙の面にぶっつける。
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
片隅
(
かたすみ
)
の
焜炉
(
こんろ
)
で火を
焙
(
おこ
)
して、お
椀
(
わん
)
の
汁
(
しる
)
を適度に温め、すぐ
箸
(
はし
)
が
執
(
と
)
れるよう膳を
並
(
なら
)
べて帰って行く。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
荻生さんは、銀行の二階を借りて二人を迎えた。ご馳走にはいり鳥と
鶏肉
(
けいにく
)
の
汁
(
しる
)
と
豚鍋
(
ぶたなべ
)
と
鹿子餅
(
かのこもち
)
。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
我わが
想
(
おもひ
)
の
汁
(
しる
)
をなほも漏れなく
搾
(
しぼ
)
らんものを、我に是なきによりて語るに臨み心後る 四—六
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
須原峠を
越
(
こ
)
え
湯
(
ゆ
)
の
小屋
(
こや
)
に
至
(
いた
)
り泊す、
温泉塲
(
をんせんば
)
一ヶ所あり、其宿の主人は夫婦共に
偶
(
たま/\
)
他業
(
たぎやう
)
して
在
(
あ
)
らず、唯浴客数人あるのみ、浴客一行の為めに
米
(
こめ
)
を
炊
(
かし
)
ぎ
汁
(
しる
)
を
煮
(
に
)
且つ寝衣をも
貸与
(
たいよ
)
す
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
朝の味噌
汁
(
しる
)
に、
石見銀山
(
いはみぎんざん
)
を投り込んだ者があります、幸ひ曲者は
鍋
(
なべ
)
を間違へたので私達は皆んな無事で、下女のお徳と、手代の金之助と下男の五助が少し胸を惡くしましたけれど
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
久さんのおかみは亭主の久さんに
沢庵
(
たくわん
)
で早飯食わして、
僕
(
ぼく
)
かなんぞの様に仕事に追い立て、あとでゆる/\
鰹節
(
かつぶし
)
かいて
甘
(
うま
)
い
汁
(
しる
)
をこさえて、九時頃に起き出て来る親分に吸わせた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
おぢさん「でもあの
汁
(
しる
)
がすきな
鳥
(
とり
)
があるとさ。その
鳥
(
とり
)
が
来
(
く
)
ると
河馬
(
かば
)
はじつとして、あの
毛穴
(
けあな
)
の
中
(
なか
)
の
黴菌
(
ばいきん
)
を
鳥
(
とり
)
がとつてくれるのをまつてゐるんだつてさ。それがその
鳥
(
とり
)
の
食物
(
しよくもつ
)
なのさ」
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
食物
(
しよくもつ
)
は
春
(
はる
)
、
樹木
(
じゆもく
)
の
若芽
(
わかめ
)
が
出
(
で
)
ると
好
(
この
)
んで
食
(
た
)
べ、また
汁
(
しる
)
の
多
(
おほ
)
い
草
(
くさ
)
も
食
(
た
)
べますが、
夏
(
なつ
)
になつて
草木
(
くさき
)
が
生長
(
せいちよう
)
すると
穀物
(
こくもつ
)
やそば
等
(
など
)
を
食
(
た
)
べ、
寒
(
さむ
)
くなつて
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
や
草
(
くさ
)
が
萎
(
しほ
)
れると
森林内
(
しんりんない
)
でぶな、かし
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
のちにきけば此秋山にすりばちのあるは此家と此本家のみとぞ。此地にて近年豆を作りはじめて味噌をもつくれども、
麹
(
かうじ
)
を入る事をせず、ほだて
汁
(
しる
)
にするゆゑすりばちはもたざるとぞ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
仲橋広小路の市は、ちょうど
鰌屋
(
どじょうや
)
の近辺が一番賑やかであった(江戸の名物鰌屋は浅草の駒形、京橋で仲橋、下谷で
埋堀
(
うめぼり
)
、両国で薬研堀この四軒でいずれも鰌専門で
汁
(
しる
)
と丸煮だけである)
幕末維新懐古談:43 歳の市のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
残りの
汁
(
しる
)
をみな竹の管に吸ひ入れ、ふーつと一つ大きなシャボン玉を吹き出しながら、「わしの子供になれ、子供になーれ、」と口の中でとなへますと、シャボン玉が子供の姿になつて
シャボン玉
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
先生の
言
(
げん
)
によると、それはタムシ草と云って、その葉や茎から出る
汁
(
しる
)
を
塗
(
ぬ
)
れば
疥癬
(
ひぜん
)
の虫さえ死んでしまうという毒草だそうで、食べるどころのものでは無い危いものだということであって
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
大磯
(
おほいそ
)
近
(
ちか
)
くなつて
漸
(
やつ
)
と
諸君
(
しよくん
)
の
晝飯
(
ちうはん
)
が
了
(
をは
)
り、
自分
(
じぶん
)
は二
個
(
こ
)
の
空箱
(
あきばこ
)
の
一
(
ひとつ
)
には
笹葉
(
さゝつぱ
)
が
殘
(
のこ
)
り一には
煮肴
(
にざかな
)
の
汁
(
しる
)
の
痕
(
あと
)
だけが
殘
(
のこ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
奴
(
やつ
)
をかたづけて
腰掛
(
こしかけ
)
の
下
(
した
)
に
押込
(
おしこ
)
み、
老婦人
(
らうふじん
)
は三
個
(
こ
)
の
空箱
(
あきばこ
)
を
丁寧
(
ていねい
)
に
重
(
かさ
)
ねて
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
いろいろ互いに
食通振
(
しょくつうぶ
)
りを
披瀝
(
ひれき
)
したが、結局、パイナップルの
鑵詰
(
かんづめ
)
の
汁
(
しる
)
にまさるものはないという事になった。桃の鑵詰の汁もおいしいけど、やはり、パイナップルの汁のような
爽快
(
そうかい
)
さが無い。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
駄餉
(
だしょう
)
とも
雑餉
(
ざっしょう
)
ともこれをいって、
飯
(
めし
)
は
屯食
(
とんじき
)
という
握飯
(
にぎりめし
)
で、
汁
(
しる
)
は添わなかったようであるが、そのかわりにはいろいろのご
馳走
(
ちそう
)
が
櫃
(
ひつ
)
や
長持
(
ながもち
)
で持ちはこばれ、
上下
(
じょうげ
)
何十人の者が路傍の森の
蔭
(
かげ
)
などで
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
与平は乾いた
手拭
(
てぬぐい
)
で、胸から
臍
(
へそ
)
へかけてゆっくりこすった。千穂子がかたづく以前から
飼
(
か
)
っている
白猫
(
しろねこ
)
が、のっそりと与平の足もとにたたずんでいる。小さい
炉
(
ろ
)
では、
鍋
(
なべ
)
から
汁
(
しる
)
が
煮
(
に
)
えこぼれていた。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
しかつめらしい顔をして心にもない事を誠しやかに説いていると、えらく
甘
(
あま
)
い
汁
(
しる
)
が吸えるものと見えるなあ。別に悪意がある訳ではなく、
心安立
(
こころやすだ
)
てからのいつもの毒舌だったが、子路は顔色を変えた。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
しくしくと冷めたい
酸
(
す
)
っぱい草の
汁
(
しる
)
が虫歯の
虚孔
(
うろ
)
に沁み入った。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
此他に
酒
(
さけ
)
とか
汁
(
しる
)
とか云ふ如き或る
嗜好飮料
(
しこうゐんれう
)
も有りしが如し。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
豆もやしと氷豆腐を買ひ来つつ
汁
(
しる
)
つくらむと心いそげり
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「おい君、君は
汁
(
しる
)
の実の
掬
(
すく
)
ひやうが多いぞ」
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
頭は露草の
汁
(
しる
)
で染めたように青いのである。
源氏物語:37 横笛
(新字新仮名)
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紫式部
(著)
“汁”の解説
汁(しる)とは、固体中から染み出した成分が混じる液体のことである。液体の成分の主体は水であり、水の中に投入された物質から分泌された成分や、物質中から分泌された液体自身を指す言葉として用いられ、食用のものであれば中身がわからないときに呼ばれることが多い。また、兵庫県南西部では、食用のスープや、味噌汁のことをひとくくりにして、汁ということがある。
(出典:Wikipedia)
汁
常用漢字
中学
部首:⽔
5画
“汁”を含む語句
肉汁
味噌汁
墨汁
乳汁
液汁
膿汁
苦汁
煮汁
煎汁
灰汁
鼻汁
清汁
鰌汁
掛汁
汁粉
蜆汁
洟汁
糞汁
墨汁一滴
灰汁抜
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