)” の例文
旧字:
おばさんのはなしは、奇怪きかいであります。みんなは、いているうちに、気味きみわるくなりました。野原のはらうえには、たっていたけれど。
草原の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
くちへ、——たちまちがつちりとおとのするまで、どんぶりてると、したなめずりをした前歯まへばが、あなけて、上下うへしたおはぐろのはげまだら。……
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
捉え難い寂しさはめしいたる眼で闇の中をもなく見廻わそうとし、去り難い悩しさはえたる手でいたずらに虚空をつかもうとした。
語られざる哲学 (新字新仮名) / 三木清(著)
なんといういくじのないやつだ。じゃあためしにおれのててみろ。うまくてたら、かんべんしてやらないものでもない。」
鬼六 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
多寡たかの知れた女ひとりに、そう立ち騒ぐこともあるまい。誰よりもよく八雲の顔を見知っている此方が、一鞭ひとむちてて捕えてくる』
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
同じ三百五十目位でも老鶏の爪を切って焼きこててて若鳥のように見せかけて売る事が沢山ありますからだまされるといけません。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
このまゝ、またあんなところへ帰るんだと思ふと……どうなるつていふてもなく、毎日検温器を振つててみてもはじまらないぢやないの。
モノロオグ (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
が、何しろ入用なのは、六千貫と云う大金でございますから、きっと調達出来るかどうか、てになるものではございません。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
鈴木松塘が祝賀の絶句に、「絶世才華絶世姿。当筵新咏国風詩。」〔絶世ノ才華絶世ノ姿/筵ニリテ新タニ咏ズ国風ノ詩〕と言ってある。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ぐっとばしたまつろう手先てさきへ、春重はるしげ仰々ぎょうぎょうしく糠袋ぬかぶくろ突出つきだしたが、さてしばらくすると、ふたたっておのがひたいてた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
たとえばすみ別室べっしつ薬局やっきょくてようとうには、わたくしかんがえでは、少額しょうがく見積みつもっても五百えんりましょう、しかしあま不生産的ふせいさんてき費用ひようです。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
二人ふたりが表てゞならんだ時、美禰子は俯向うつむいて右の手をひたひてた。周は人がうづいてゐる。三四郎は女の耳へくちを寄せた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「ナールほど、うまく考えやがった。白樺の幹は白いからな。それで白髪の老人か。まるでこいつはものだわえ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
すべて用度はまず勘定局より出だし外国交易盛行のときに至れば諸港の運上交易の商税をもってこれにつべし。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
その中には、いつぞや、山ノ宿の出逢いで、呆気あっけなく、たおされた、あの浅草の武術家もいるに相違なかった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
独逸人もむし伯林ベルリンを以て起算点としたいと論じ、米国人はワシントンその他何れにても相当に完備した自国の天文台の所在地を以てこれにてんとしている。
東西相触れて (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
またこのけものを拝し、ひけるは、誰かこの獣の如きものあらんや、誰かこれと戦ひをなすものあらんや……ね、まる独帝カイゼルはまるだらう、所が次を見給へ
男装をして大胆だいたんに強盗を働き廻る女性。良家の令嬢を装って窃盗せっとうをする不良少女。それらのどれにめて見ても、姉の美佐子の行動はまるのだった。
秘密の風景画 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
以上の比較は無論ただ津田君の画のある小さい部分についてはまるものであって、全体について云えば津田君の画はもとより津田君の画である事は申すまでもない。
為めに頭をやさんとするもかなしいかな水なきを如何せん、鹽原君ぶる所の劔をきて其顔面にて、以て多少之をひやすをたり、朝にいたりてすこしく快方にむかひ来る。
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
わたくしはそれがかえつってみょう御殿ごてん構造つくりにしっくりとてはまって、たいへんうつくしいようにかんぜられました。
「笑舅」などという無茶な漢字を、旧記にはてているが、是は少しでもてにはならない。ウフヂキュウに大神宮の字を用いたなども、たらの甚だしきものである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それがいくらかてつけがましく聞えたらしく、耐えかねていたように男はどなった。
或る少女の死まで (新字新仮名) / 室生犀星(著)
いっそ狂うて死んでもくれたら。まだも増しよとうらんでみても。当の本人キチガイ殿は。死ぬるどころか大飯喰ろうて。治癒なおもない顔つきだよ……チャカポコチャカポコ……
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
やうとしてからだてたからはづれるとともに庭にころがり落ちたが、○
(いや、大方おおかたすぐれた歌人になれば、)いかなる不幸に逢っても、どんなに悲歎にくれても、それを歌にむことが出来るのであるから、……と、私は、きわめてたりまえのことを考えながら、しかし
茂吉の一面 (新字新仮名) / 宇野浩二(著)
こがらしの背戸に音やむ小夜ふけて温罨法の息吹いぶき眼に
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
てよとははねども
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
すると、そのおとこひとは、どんぐりをねらって、うまくてたのですって、どんぐりがやぶれて弾丸たまが、いしにあたって、たそうよ。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうちで一ばん上のにいさんの義朝よしともは、頼朝よりとも義経よしつねのおとうさんにたる人で、なかなかつよ大将たいしょうでしたけれど、それよりももっとつよ
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
はつとしたくと、はづみでしろ花片はなびらは、ぱらりと、藤色ふぢいろ友染いうぜんにこぼれたが、こぼれたうへへ、そのてゝふたかたむけた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
お米の方も新米は胃腸を害します。人よりも馬は大層新米の毒にてられるそうで馬に新米を食べさせると病気になるそうです。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
そうしてそれは例外なく世界中の誰にでもはまって、ごうもとらないものだと、彼女は最初から信じ切っていたのである。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
して見れば子規が評した言葉は、言水にもたしかまるが、言水の特色を云ひ尽すには、余りに広すぎるうらみはないか。かう自分は思ふのである。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
まつろうひざもとから、黒髪くろかみたばりあげた春重はるしげは、たちまちそれをかおてると、次第しだいつの感激かんげきをふるわせながら、異様いようこえわらはじめた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
するとまた、柱廊や黒い人影が思い出され、神や避けがたい死のうえに、思いはなくさまようのであった。彼女は鐘の音を聞くまいとして頭から夜衣を被った。
それになんとも致方いたしかたのないのはそれぞれの霊魂みたま因縁いんねん、めいめいきちんとてられた境涯ところがあるので、たとえ親子おやこ夫婦ふうふ間柄あいだがらでも、自分勝手じぶんかって同棲どうせいすることはできませぬ。
ぶえをくちびるにてて、しきりと奇妙きみょうきてれつなちょうしで大人おとなをおどかしてゆく。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かつては寒夜客来茶当竹罏湯沸火初メテナリ寒夜かんやきゃくきたりて茶を酒につ 竹罏ちくろきてはじめくれないなり〕といへる杜小山としょうざん絶句ぜっくなぞ口ずさみて殊更煎茶せんちゃのにがきを
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
この問題を提出したならば、何人なんぴともそれは国柄や年齢にもよろうし、社会の位地職業等にもよろう。五十歳の男と二十歳の青年と同一にこの問題につることは出来ぬというであろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
新しい目で自然を見るという事は存外六むつかしい事である。吾人ごじんは生れ落ちて以来馴れ切っている周囲に対して、ちゃんと定まった、しかもきわめて便宜的コンヴェンショナルな型や公式ばかりをめている。
考え出したことだからちっともてにならない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
つと取るや、ひとつて、ひだりより
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
はらっぱには、がなかったから、がよくたって、そのうえ、邪魔じゃまになるものもないので、すこしのかぜでもたこはよくがりました。
西洋だこと六角だこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
すみさんは、休屋やすみやはまぞひに、恵比寿島ゑびすじま弁天島べんてんじま兜島かぶとじまを、自籠じごもりいは——(御占場おうらなひばうしろにたる)——かけて、ひとりでふねした。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
料理人は左の手にフークをり右の手に料理用のナイフを持ち先ずフークを以てにわとりの体を抑えナイフを腰にてて軽く腰のつが截放きりはなしぬ。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
といいながら、欄干らんかん片足かたあしをかけて一のをつがえて、一ぱいにきしぼって、ってはなしました。はまさしくむかでのみけんにたりました。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
代助は両手をひたひてゝ、たかそらを面白さうにつてまはつばめの運動を椽側から眺めてゐたが、やがて、それがぐるしくなつたので、へやなか這入はいつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しらもくろもありァしねえ。それがために、いそがしいときにゃ、ッぴてなべをかけッはなしにしとくから、こっちこそいいつらかわなんだ。——このかべンところはなてていでねえ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
うなりニキタはをぱたり。そうしてめたててやはりそこに仁王立におうだち
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)