食物しよくもつ)” の例文
しからば如何いかなる種類しゆるゐ食物しよくもつ適當てきたうであるかと具體的ぐたいてき實際問題じつさいもんだいになると、その解決かいけつはなは面倒めんだうになる。熱國ねつこく寒國かんこくではしよく適否てきひちがふ。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
其上そのうへ仕事しごとをさするにあらず、日夜にちやまゝにあそばせて、食物しよくもつ望次第のぞみしだいうみのもの、やまのもの、ふにまかせてあたへむに、かなし理由いはれきはずなり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
巴里パリイしばらく慣れて居た者が倫敦ロンドンに来て不便を感じるのは、悠悠いういう店前テラスの卓に構へる事の出来る珈琲店キヤツフエまつたく無いのと、食物しよくもつ不味まづいのとである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
食物しよくもつはおもによるくさ果實かじつうを、かになどをとり、ときには人里ひとざとて、家畜かちくをかすめとつていくこともあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ある西洋の学者の説によると、人間一生の間に食べるものは、七千二百九十一貫六百四十八もんめ食物しよくもつと六千六百四貫六百四十匁の飲料とが要るさうだ。
第九 食物しよくもつ衣服いふくごと分限ぶんげんによるは勿論もちろんなれど、肉食にくしよくあざらけくあたらしきしな野菜やさいわかやわらかなるしなえらぶべし。よく烹熟にたきして、五穀ごこくまじくらふをよしとすること
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
なほ近古きんこ食類しよくるゐ起原きげんさま/″\あれど食物しよくもつ沿革考えんかくかうに上古よりあげてしるしたればこゝにはもらせり。
それで、食事は、ホテルの食物しよくもつは一度も食べないから、何を食べてるのかと、不在中に部屋をよくさぐつて見ると、チヨコレートの屑と蜜柑の皮とが散らばつてゐる。
奇怪な客 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
嫡子ちやくしに立られ候然耳しかのみならず藤五郎ならびに藤三郎儀は先平助實子に付始終しじうすけ五郎ため相成あいなり申さずと存じられ候藤五郎は座敷らう押入おしいれ食物しよくもつを相とゞめ藤三郎儀は幼少えうせうに之有候を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
食物しよくもつことついて、すこかんじたことりますから貴婦人方あなたがた御噺おはないたしますが、いま宮本みやもとさんから、段々だん/\御噺おはなしがツて、兒護婦こもり不注意ふちういより、子供こども種々しゆ/″\もの
その結果けつか從來じゆうらいたゞ食物しよくもつ材料ざいりようあつめるために、一日中いちにちじゆうほねつてはたらいてゐた人間にんげんが、あつめた食料しよくりよう貯藏ちよぞう出來できるようになり、食料しよくりようゆたかになつたのではたらちから餘裕よゆう出來でき
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ねえきみ病院びやうゐん比較的ひかくてき食物しよくもつし、看護婦かんごふはゐる、エウゲニイ、フエオドロヰチもゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しかこのは、無論むろん空腹くうふくまゝれて、ゆめも、始終しじう食物しよくもつことゆめみるといふ次第しだい翌日よくじつになるとくるしさはまた一倍いちばい少年せうねん二人ふたりいろあをざめて、かほ見合みあはしてるばかり
僕はこの方言はうげんを思ひ出すたびに、自然と僕の友達を食物しよくもつとして、見るやうになつてゐる。
食物として (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
おぢさん「でもあのしるがすきなとりがあるとさ。そのとりると河馬かばはじつとして、あの毛穴けあななか黴菌ばいきんとりがとつてくれるのをまつてゐるんだつてさ。それがそのとり食物しよくもつなのさ」
それなら一ことんなでかへらうとて、發掘はつくつ中止ちうしし、天幕てんとたゝみ、飮餘のみあましたる麥酒ビールびんたづさへて、うら池邊ちへんき、其所そこにてまた小宴せうえんり、食物しよくもつのこりをいけうを投與とうよして、かるくし
住居ぢうきよ位置いちは、第一に飮用水いんようすいむべき泉、川、或は湖より程遠ほどとほからぬ所にして、次に食物しよくもつ獲易えやすき塲所、次に日當りき地をゑらびしなるべし。三つの條件じやうけんを充たす地には大部落だいぶらくそんせしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
火星くわせいでは一日に二くわい 食物しよくもつ市民しみんくばります
陋劣ろうれつにも食物しよくもつをもてす。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
鸚鵡あうむは自分達が朝の食事を取る度にけたたましい声を立てて食物しよくもつの催促をするので、夫人は何時いつも「静かになさい」と云ひなが麺包パンを与へられた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
たがひ身體しんたい丈夫じようぶでなければ何事なにごと出來できませんから、あたらしい空氣くうき呼吸こきゆうと、十分じゆうぶん日光浴につこうよくと、運動うんどうとによつて食物しよくもつをうまくべることが一番いちばん大切たいせつです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
なほ近古きんこ食類しよくるゐ起原きげんさま/″\あれど食物しよくもつ沿革考えんかくかうに上古よりあげてしるしたればこゝにはもらせり。
そのおもなるものは、かれ食物しよくもつ材料ざいりようとしてとらへた獸類じゆうるいほねつのつくつたものであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
はふはいまだ一個人いつこじん食物しよくもつ干渉かんせふせざる以上いじやうは、警吏けいりほどこすべき手段しゆだんなきを如何いかんせむ。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
斯程かほどしまだから、なに食物しよくもつこともあるまいと四方よも見渡みわたすと、はたして二三ちやうへだゝつた小高こだかをか中腹なかばに、一帶いつたい椰子やし、バナヽのはやしがあつて、甘美うるはしき果實くわじつえだ垂折しをれんばかりに成熟せいじゆくしてる。
口碑こうひに從へばコロボツクルは漁業ぎよげふたくみにして屡ばアイヌに魚類をおくれりと云へり。今諸地方貝塚よりの發見物はつけんぶつけんするに、實に魚骨魚鱗等有り。しかれども彼等の食物しよくもつけつして魚類にかぎりしには非ず。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
嫡子ちやくしに致されしやと尋ねられければ主税之助夫等の儀はおほせに候へども藤五郎は其躬そのみ不行跡ふぎやうせきにして勿々なか/\異見いけんも聞入ず其上亂酒により一たび公儀かみの御苦勞にもかゝりし者に付押籠おしこめ相廢あひはいし候とこたへければ越前守殿其は一應聞えたれども何故に藤五郎の食物しよくもつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
このとり食物しよくもつなか不消化ふしようかなものがあれば嗉嚢そのうなかでまるめて、くちからすから、したには、かならず、さうした團子だんごのようなかたまりがつもつてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
いままでは食物しよくもつることをらなかつた人間にんげんが、土器どきによつて動物どうぶつにくでも植物しよくぶつでも、自由じゆうることが出來できるようになつたので、いままでべられなかつた品物しなもの食物しよくもつ部分ぶぶん
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
(村々持分ンの定あり)二月にいたり雪の降止ふりやみたる頃、農夫のうふら此山にきこりせんとてかたらひあはせ、連日れんじつ食物しよくもつ用意よういしかの山に入り、所を見立てかりに小屋を作り、こゝを寐所ねどころとなし
奥州筋おうしうすぢ近来きんらい凶作きようさく此寺このてら大破たいはおよび、住持ぢうじとなりても食物しよくもつとぼしければそう不住すまず明寺あきでらとなり、本尊ほんぞんだに何方いづかた取納とりおさめしにやてらにはえず、には草深くさふかく、まこと狐梟こけうのすみかといふもあまりあり。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)