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降止
さて春を
迎へて寒気次第に
和らぎ、その年の
暖気につれて雪も
降止たる二月の
頃、
水気は
地気よりも
寒暖を
知る事はやきものゆゑ
最初に見出し候者は
私し
悴甚之助に御座候
其仔細は同日の
夕刻雪も
降止候に何となく
怪き
臭致せば近所の者共表へ
出で
穿鑿致し候に
何時何事にても人先に出て
世話致し候お三
婆のみ一人相見え申さざれば私し
悴甚之助
不審に存じ
渠が家の戸を
この
他美登利池、
千歳谷——と、びしょびしょと冷く読んでいると、しばらく
降止んで、ひっそりしていたのが急にぱらぱらと
霰になった。