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頓
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やが
ふりがな文庫
“
頓
(
やが
)” の例文
吾々三人馬車に乗り
頓
(
やが
)
て其ビヽエン街に達しますと藻西太郎は丁度夕飯を初める所で妻と共に店の次の間で席に
就
(
つこ
)
うと
仕
(
し
)
て居ました
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
あゝ、おさだ迄かと思うとペタ/\と
臀餅
(
しりもち
)
を
搗
(
つ
)
いて、ただ夢のような心持で、
呆然
(
ぼんやり
)
として四辺を見まわし、
頓
(
やが
)
て気が付いたと見えて
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
働き恐れ入り奉つる何卒
彼方
(
あれ
)
へ入らせらるゝ樣にと
襖
(
ふすま
)
を明れば上段に錦の
褥
(
しとね
)
を敷前には簾を垂て天一坊が座を設たり
頓
(
やが
)
て赤川大膳を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
雫
(
しづく
)
の
餘波
(
あまり
)
、
蔓
(
つる
)
にかゝりて、
玉
(
たま
)
の
簾
(
すだれ
)
の
靡
(
なび
)
くが
如
(
ごと
)
く、
頓
(
やが
)
てぞ
大木
(
たいぼく
)
を
樹上
(
きのぼ
)
つて、
梢
(
こずゑ
)
の
閨
(
ねや
)
を
探
(
さぐ
)
り
得
(
え
)
しが、
鶴
(
つる
)
が
齊眉
(
かしづ
)
く
美女
(
たをやめ
)
と
雲
(
くも
)
の
中
(
なか
)
なる
契
(
ちぎり
)
を
結
(
むす
)
びぬ。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
今日
(
けふ
)
の
如
(
ごと
)
く
浪路
(
なみぢ
)
穩
(
おだや
)
かに、
頓
(
やが
)
て
相
(
あひ
)
共
(
とも
)
に
※去
(
くわこ
)
の
平安
(
へいあん
)
を
祝
(
いは
)
ひつゝ
芙蓉
(
ふよう
)
の
峯
(
みね
)
を
仰
(
あふ
)
ぐ
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
るやうにと
只管
(
ひたすら
)
天
(
てん
)
に
祈
(
いの
)
るの
他
(
ほか
)
はないのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
大谷川がもう恐ろしく發達して大きな河原になつてゐるのを越して、車はひた走りに大桑といふを過ぎると、
頓
(
やが
)
て稀有なる好景に出會した。
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
山崎の宝寺に日頃
誼
(
よし
)
みのある僧を頼って行ったが、寺から伏見へ訴え出たので、
頓
(
やが
)
て検使が立ち、主人秀次と同じ七月の十五日に腹を切った。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その
円
(
まる
)
い帽子の影は
頓
(
やが
)
て
木隠
(
こがく
)
れて見えなくなつたが、ミハイロは
背後
(
うしろ
)
で手を組むで、まだ立つてゐる。何処へ
行処
(
ゆきどころ
)
もない。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
眺めしが
頓
(
やが
)
て道人の前へ
一揖
(
いついふ
)
して失禮ながら其の
革提
(
かばん
)
は東京で何程ぐらゐ致しますと問かけしが其の樣子アヽ欲しやこれを
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
頓
(
やが
)
て一人の男が鉄砲三四挺一所にかついでやって来たが、其跡からどやどや人の跫音して、男女づれが大勢やって来た。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
ト云ッて顔を
皺
(
しか
)
めたが、お勢はさらに気が附かぬ様子。
暫
(
しば
)
らく黙然として何か考えていたが、
頓
(
やが
)
てまた思出し笑をして
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
自分が
是
(
ぜ
)
なり善なりと信ずるに於ては、それを実行するに寸刻の猶予もしない——こういうことを思って、
頓
(
やが
)
てはこれを主義ともするようになった。
ソクラテス
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
さりとは気ままの仰せに有難うぞんじますと言ひしは覚えで、
頓
(
やが
)
ては車の上に
小石川
(
こいしかは
)
はまだかまだかと
鈍
(
もど
)
かしがりぬ。
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
此日は之れ当年第一の夏漁、
頓
(
やが
)
て見る村童頻々として来往し、人々一尾を携へざるなく、家々鮮肉を味はざるなし。
客居偶録
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
又
仏蘭西
(
フランス
)
全体に一時人口の減少する事実があるにしても其れが永久に続くとは断ぜられず、
殊
(
こと
)
に人口の減少が
頓
(
やが
)
て国家の
萎靡
(
ゐび
)
を招く原因だとは思はれ無い。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
唱歌終りて葉石の答礼あり、それより酒宴は開かれ、
各〻
(
おのおの
)
歓を尽して帰路につきたるは、
頓
(
やが
)
て
点燈頃
(
ひともしごろ
)
なりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
頓
(
やが
)
てお客達は銘々用意して来た合財袋を開けて手拭とシヤボンを取出した。合財袋の裏にはゴムが取り付けてあつて濡手拭を入れても大丈夫のやうに出来てる。
坊つちやん「遺蹟めぐり」
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
その時私は
鉄砲洲
(
てっぽうず
)
に
住
(
すまっ
)
て居て、鉄砲洲から小石川まで
頓
(
やが
)
て二里
余
(
よ
)
もありましょう、毎朝早く起きて行く。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
這
(
は
)
って行く。
脚
(
あし
)
が地に
泥
(
なず
)
んで、
一
(
ひ
)
と
動
(
うごき
)
する
毎
(
ごと
)
に痛さは
耐
(
こらえ
)
きれないほど。うんうんという
唸声
(
うめきごえ
)
、それが
頓
(
やが
)
て泣声になるけれど、それにも
屈
(
めげ
)
ずに
這
(
は
)
って行く。やッと
這付
(
はいつ
)
く。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
頓
(
やが
)
て
嫁入
(
よめいり
)
行列は、
沈々
(
ちんちん
)
黙々
(
もくもく
)
として黒い人影は菜の花の中を、物の
半町
(
はんちょう
)
も進んだ
頃
(
ころお
)
い、今まで晴れていた四月の
紫空
(
むらさきぞら
)
が
俄
(
にわ
)
かに曇って、日が
明
(
あきら
)
かに射していながら絹糸の
如
(
よう
)
な細い雨が
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
頓
(
やが
)
てそれがハラハラと四方に飛散する
状
(
さま
)
は、
恰
(
あたか
)
も線香花火の
消
(
きえ
)
るようであった、雨は
篠
(
しの
)
を
束
(
つか
)
ねて
投
(
なぐ
)
る如きドシャ降り、刻限は午前二時だ、僕ならずとも誰でもあまり
感心
(
かんしん
)
はしまい。
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
不用意に露宿するような
憂目
(
うきめ
)
も見ず、麓にちかい木立道を
提灯
(
ちょうちん
)
の明りにみちびかれ、
頓
(
やが
)
て親切なある農家の広い縁がわに腰を掛け、星を隠して巨人のように屹立している真暗な武甲山を仰ぎながら
武甲山に登る
(新字新仮名)
/
河井酔茗
(著)
頓
(
やが
)
てロイドレ街に
達
(
たっす
)
れば町の入口に馬車を待せ、幾度か彼の嚊煙草にて
強
(
しい
)
て顔色を落着けつゝ、二十三番と記したる館を尋ねて
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
頓
(
やが
)
て
船尾
(
せんび
)
の
方
(
かた
)
へ
來
(
き
)
て
見
(
み
)
ると、
此處
(
こゝ
)
は
人影
(
ひとかげ
)
も
稀
(
まれ
)
で、
既
(
すで
)
に
洗淨
(
せんじよう
)
を
終
(
をは
)
つて、
幾分
(
いくぶん
)
の
水氣
(
すゐき
)
を
帶
(
お
)
びて
居
(
を
)
る
甲板
(
かんぱん
)
の
上
(
うへ
)
には、
月
(
つき
)
の
色
(
ひかり
)
も
一段
(
いちだん
)
と
冴渡
(
さへわた
)
つて
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
女郎屋から馬を引張って参る者はありますが、馬を繋ぐのは珍しい事で、
頓
(
やが
)
て案内を云い入れますと
主人
(
あるじ
)
の半五郎は直ぐ様それへ出て参り
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
見付
手當
(
てあた
)
り次第に
掻浚
(
かきさら
)
ひ
元
(
もと
)
來
(
き
)
し道より出行けりお菊は
盜賊
(
たうぞく
)
の立去るを見て
頓
(
やが
)
て家内を起せしかば
利兵衞
(
りへゑ
)
始め走來りて庭にお竹が殺され居るを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
颯
(
さつ
)
と
蒼
(
あを
)
く
成
(
な
)
つた
面影
(
おもかげ
)
と、ちらりと
白
(
しろ
)
い
爪尖
(
つまさき
)
ばかりの
残
(
のこ
)
つた
時
(
とき
)
で——
獣
(
けもの
)
が
頓
(
やが
)
て
消
(
き
)
えたと
思
(
おも
)
ふと、
胸
(
むね
)
を
映
(
うつ
)
した
影
(
かげ
)
が
波立
(
なみだ
)
ち、
髪
(
かみ
)
を
宿
(
やど
)
した
水
(
みづ
)
が
動
(
うご
)
いた……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
問ひて餘の字を付加へらるゝ時はスハヤと足を
擦
(
さす
)
りたり又まだと
云
(
いふ
)
は
頓
(
やが
)
て
其處
(
そこ
)
ならんと思ふて問ふとき付加へられて力を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
さりとは
氣
(
き
)
まゝの
仰
(
おほ
)
せに
有難
(
ありがた
)
うぞんじますと
言
(
い
)
ひしは
覺
(
おぼ
)
えで、
頓
(
やが
)
ては
車
(
くるま
)
の
上
(
うへ
)
に
小石川
(
こいしかは
)
はまだかまだかと
鈍
(
もど
)
かしがりぬ。
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
大きくなって舟に乗せると、不思議そうに山を見水を見て居たが、
頓
(
やが
)
て
楓
(
もみじ
)
のような手に水を
掬
(
すく
)
ってはこぼし掬ってはこぼして、少しも恐れる様子がない。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
源太は
笑
(
ゑみ
)
を含みながら、さあ十兵衞此所へ来て呉れ、関ふことは無い
大胡坐
(
おほあぐら
)
で楽に居て呉れ、とおづ/\し居るを無理に坐に
居
(
す
)
ゑ、
頓
(
やが
)
て膳部も
具備
(
そなは
)
りし後
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
機関車は矢張ぶう/\
小言
(
こごと
)
を言つてゐる……其中に
先刻
(
さつき
)
の連中が酒の瓶や紙包みを
提
(
さ
)
げて飯屋を出て来て、
機関方
(
きくわんがた
)
が機関車へ
這上
(
はひあが
)
ると……
頓
(
やが
)
て汽車は動き出した。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
自分は雷ヶ浦の力で
木偶
(
でく
)
の如く取扱はれ最後に頭を小常陸君の右肩へトント打突けられた。頭は暫く肉の中に埋まり
頓
(
やが
)
て弾ね返される時
呼吸
(
いき
)
をすつかり切らした。
相撲の稽古
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
中島
(
なかじま
)
の鉄の吊橋を渡つて再びツウルの街の方へ引返すと、
路
(
みち
)
は
頓
(
やが
)
てカテドラルの古塔の前へ出た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
この
二人
(
ににん
)
を
特
(
こと
)
に典獄より預けられて、読み書き
算盤
(
そろばん
)
の技は更なり、人の道ということをも、説き聞かせて、及ぶ限りの世話をなすほどに、
頓
(
やが
)
て両女がここに来れる
仔細
(
しさい
)
を知りぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
臥
(
ね
)
て見たり起きて見たり、立て見たり坐ッて見たりして、今か今かと文三が一刻千秋の思いをして
頸
(
くび
)
を延ばして待構えていると、
頓
(
やが
)
て
格子戸
(
こうしど
)
の開く音がして、縁側に優しい声がして
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
国手は手を
血塗
(
ちみどろ
)
にして
脚
(
あし
)
の処で暫く何かやッていたが、
頓
(
やが
)
て
此方
(
こちら
)
を向いて
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
目科も立留りて
暫
(
しば
)
し
彼方此方
(
かなたこなた
)
を眺め居たるが
頓
(
やが
)
て目指せる家を見出せし如く
突々
(
つか/\
)
と
歩去
(
あゆみさ
)
るにぞ藻西の家に入る事かと思いの外
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
召て其方
密
(
ひそ
)
かに彼が旅宿の
邊
(
へん
)
へ參り密々明日の出立の
時間
(
じかん
)
を聞合せ參るべしと申付らる近習は
頓
(
やが
)
て上本陣の邊りへ立越
便宜
(
びんぎ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
馬は良し
乗人
(
のりて
)
は上手でぽん/\
乗切
(
のっき
)
って
頓
(
やが
)
て小原山の
中央
(
なかほど
)
へ参りますと、
湯殿山
(
ゆどのさん
)
と
深彫
(
ふかぼり
)
のした供養塔が有ります、
大先達
(
だいせんだつ
)
喜樂院
(
きらくいん
)
の建てました物で
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
買ふうち
頓
(
やが
)
て名代の蕎麥を持ち
出
(
いだ
)
す信濃路一体に
輪嶋塗
(
わじまぬり
)
沈金彫
(
ちんきんぼり
)
の膳椀多しこれ能登よりの行商ありて賣り行くならん大きなる黒椀に蕎麥を山と盛り
汁
(
つゆ
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
頓
(
やが
)
て
雨
(
あめ
)
が
全
(
まつた
)
く
霽
(
は
)
れると
共
(
とも
)
に、
今度
(
こんど
)
は
赫々
(
かく/\
)
たる
太陽
(
たいよう
)
は、
射
(
い
)
る
如
(
ごと
)
く
吾等
(
われら
)
の
上
(
うへ
)
を
照
(
てら
)
して
來
(
き
)
た。
印度洋
(
インドやう
)
中
(
ちう
)
雨後
(
うご
)
の
光線
(
くわうせん
)
はまた
格別
(
かくべつ
)
で、
私
(
わたくし
)
は
炒
(
い
)
り
殺
(
ころ
)
されるかと
思
(
おも
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
月
(
つき
)
のはじめに
秋
(
あき
)
立
(
た
)
てば、あさ
朝顏
(
あさがほ
)
の
露
(
つゆ
)
はあれど、
濡
(
ぬ
)
るゝともなき
薄煙
(
うすけむり
)
、
軒
(
のき
)
を
繞
(
めぐ
)
るも
旱
(
ひでり
)
の
影
(
かげ
)
、
炎
(
ほのほ
)
の
山
(
やま
)
黒
(
くろ
)
く
聳
(
そび
)
えて、
頓
(
やが
)
て
暑
(
あつ
)
さに
崩
(
くづ
)
るゝにも、
熱砂
(
ねつさ
)
漲
(
みなぎ
)
つて
大路
(
おほぢ
)
を
走
(
はし
)
る。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
物言
(
ものい
)
へば
頓
(
やが
)
て
爭
(
あらそ
)
ひの
糸口
(
いとくち
)
を
引出
(
ひきいだ
)
し、
泣
(
な
)
いて
恨
(
うら
)
んで
摺
(
す
)
れ/\の
中
(
なか
)
に、さりとも
憎
(
に
)
くからぬ
夫婦
(
めをと
)
は
折
(
おり
)
ふしの
仕
(
し
)
こなし
忘
(
わす
)
れがたく、
貴郎
(
あなた
)
斯
(
か
)
うなされ、
彼
(
あ
)
あなされと
言
(
い
)
へば
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
百川
(
ひやくせん
)
海に入るごとく瞬く
間
(
ひま
)
に金銭の驚かるゝほど集りけるが、それより世才に
長
(
た
)
けたるものの世話人となり用人なり、万事万端執り行ふて
頓
(
やが
)
て立派に成就しけるとは
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
ミハイロは一円貰つて、礼を言つて、また砂を盛つた無蓋車に乗ると、
頓
(
やが
)
て汽車は出た。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
抗
(
あらが
)
うべき
術
(
すべ
)
もなくて、言わるるままに持ち合せの衣類取り出し、あるほどの者を巻きつくれば、身はごろごろと
芋虫
(
いもむし
)
の如くになりて、
頓
(
やが
)
て巡査に
伴
(
ともな
)
われ行く
途上
(
みち
)
の歩みの息苦しかりしよ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
頓
(
やが
)
て浮世の
隙
(
ひま
)
が明いて、
筐
(
かたみ
)
に遺る新聞の
数行
(
すぎょう
)
に、我軍死傷少なく、負傷者何名、志願兵イワーノフ戦死。いや、名前も出まいて。ただ一名戦死とばかりか。兵一名!
嗟矣
(
ああ
)
彼
(
あ
)
の犬のようなものだな。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
頓
(
やが
)
て棹を返そうとすると、舟の中に白いものが落ちて居る。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
好まざれど唯故郷に帰る嬉さにて其言葉に従いしなり
頓
(
やが
)
て
連
(
つれ
)
られて長崎に来り見れば其弟の金起と云えるは初め妾が長崎の廓にて勤めせしころ馴染を
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
“頓”の解説
頓(とん)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
頓
常用漢字
中学
部首:⾴
13画
“頓”を含む語句
頓着
無頓着
頓狂
頓著
頓首
頓興
無頓著
素頓狂
頓驚
整頓
頓死
頓挫
道頓堀
一頓挫
頓才
頓悟
頓服剤
一頓
頓馬
頓智
...