間違まちがひ)” の例文
御持參有しに間違まちがひも有まじと思ひ右品引換ひきかへに金子御渡し申したりとくしして見せければ傳吉は再び仰天ぎやうてんなしたりしが心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「さうだともさね、さういふ心掛こゝろがけさへすりやけつして間違まちがひはないからね」内儀かみさんはいつてさら以前いぜんからのはなしいくらかまれてるやうで
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
……狂人きちがひでもなんでもかまはん。自分じぶん生命いのちがけの女房にようばう自分じぶんすくふに間違まちがひるまい。すべまかしてもらはう。なんでもわたしのするまゝにしてください。……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だが、親の間違まちがひで(親といふものはよく間違を言つたり、たりするものなのだ)その四人が五人に殖えたからといつて、何も首をくゝつて死ぬるにも及ぶまい。
斯樣かやう事柄ことがらを一々まをせばかぎりのないことで、居家處世きよかしよせいうへ種々しゆ/″\間違まちがひおほく、さればとつて、これを一々前以ぜんもつ命令めいれいするといふは實際じつさいおこなはれがたことであるから
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
別に退屈たいくついたしちやアませぬが、なんですい。甚「いえ、おたくにおいでなせえますかツてんで…エヘ…御在宅ございたくかてえのと間違まちがひたんで。書生「さうか、ま此方こつちへおあがり。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
なにかの多分たぶん間違まちがひです。』とアンドレイ、エヒミチはかたちゞめてふ。『間違まちがひ相違さうゐないです。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
僕に、下さつた貴女あなたの愛の言葉を、貴女の真実だと思つたのが、僕の誤りでした。真実の愛を以て、貴女の真実な愛を購ふことが出来ると思つたのは、僕の間違まちがひでした。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
ことに舞台面の装置、背景、光線の使用とううまく出来て居るし、役者の扮装きつけも、はじめの幕から義士が討入の晩の装束をして居たり、左袵ひだりまへに着て居たりする間違まちがひは多いにしても
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「大切な事だから、間違まちがひの無いやうに二人ふたりけと、吉見のをぢさんが言ひ附けました。」
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
よし産婆さんばこと間違まちがひがあつて、はら發育はついく今迄いままでのうちに何處どこかでとまつてゐたにしたところで、それがすぐされない以上いじやう母體ぼたい今日こんにちまで平氣へいきこたへるわけがなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
くづだなんてつては間違まちがひだ』と海龜うみがめひました、『くづみんうみなかあらながす。でも、なかにはのやうなものがある、理由わけは——』海龜うみがめあくびをして、それからつぶ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
願度依て推參致せりとの言葉の端々はし/″\いまだ十五歳の若年者じやくねんものには怪敷あやしく思へども又名奉行大岡樣の御吟味に間違まちがひのあるべき樣なし由無事よしなきことを訴へ其許迄そのもとまで御咎おとがめ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
同伴つれかへつたらうね。』といたとき雪枝ゆきえ間違まちがひことしんじながら、なんだかむねがドキ/\した。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また作文さくぶんにしても間違まちがつたところがあればしるしけてだけで、滅多めつた間違まちがひてん説明せつめいしてかさない。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
「さうだ、岩田にしよう。岩田なら間違まちがひつこはなからう、あの男は名代の釣道楽なんだからな。」
あるひ公書こうしよごときものに詐欺さぎ同樣どうやう間違まちがひでもはせぬか、他人たにんぜにでもくしたりはせぬか。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
去年老爺おやぢの一人息子がこの客室サロンで風来の労働者の客に勘定の間違まちがひから拳銃ピストルで殺されて以来、気丈な老爺おやぢも「暗殺」と云ふことばんで別名の方ばかりを用ゐようとして居るのだが
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
あさうち役所やくしよつねごと事務じむつてゐたが、折々をり/\昨夕ゆうべ光景くわうけいうかぶにれて、自然しぜん御米およね病氣びやうきかゝるので、仕事しごとおもやうはこばなかつた。ときにはへん間違まちがひをさへした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれはまだおしなんだとし小作米こさくまいとゞこほりもはらつてはないし、加之それのみでなく卯平うへいからゆづられた借財しやくざいのこりもちつともきまりがついていのにまた今度こんど間違まちがひからわづかながらあらた負擔ふたんくははつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
云聞いひきかせければ十兵衞は又間違まちがひの品が出たかとて家主同道にて下谷の自身番へ來りしかば早速呼出よびいだし原田は十兵衞に向ひ去月中きよげつぢうなんぢが宿にて此治助が脇差を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おしろはうしろのなまりとるべし。るゐあまたあり。茸狩たけがりのうたに、(まつみゝ、まつみゝ、おや孝行かうかうなもんにあたれ。)まつみゝにまたちうして、松茸まつたけとあり。んだ間違まちがひなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
といふと、あの池田めがと頭からてんで相手にしない人があるかも知れないが、事実二十万円といふのは、池田氏自身の算盤そろばんから割出した勘定だから、間違まちがひつこのある筈がない。
故意こいならず犯罪はんざいすことがいともはれぬ、ひと讒言ざんげん裁判さいばん間違まちがひなどはべからざることだとははれぬ、そもそ裁判さいばん間違まちがひは、今日こんにち裁判さいばん状態じやうたいにては、もつとべきことなので
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あと厄介やくかいらなくちやらないんだから子供こども面倒めんだうないな間違まちがひだよ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「ぢや、おれはこれから、一寸ちよつと他所わきまはるから、間違まちがひのない様にてくれ」と相変らず多忙に見えた。代助はもう度胸を据ゑたから、うでも構はないといふ気で、先方に都合のい返事を与へた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
婆さんは日本のオト大将と島川しまかは少将とを一度めた事があると話したが「オト」はおく間違まちがひかも知れない。この婆さんは「そよぐ麦」の中の「小作女こさくをんな」と云ふ詩に歌はれた人ずきのする快濶くわいくわつな婆さんである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
あゝ前刻さツきのお百姓ひやくしやうがものゝ間違まちがひでも故道ふるみちにはへびうといつてくれたら、地獄ぢごくちてもなかつたにとりつけられて、なみだながれた、南無阿弥陀仏なむあみだぶついまでも悚然ぞツとする。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
女の名家がどんな物を好くかといふ事は、余り興味の無い事で、女は男のお世辞とお菓子とを等分に好くと思へば間違まちがひはない。だが、何方どちらも人によつて砂糖の加減をしなくてはなるまい。
無禮講ぶれいかうまをことで、從前じうぜんにも向後これからも、ほかなりませんのおやしきけつして、やうなことはござりますまいが、羽目はめをはづしてひますると、間違まちがひおこりやすいものでござります。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「あんさんのお考へどすさかい、間違まちがひはおへんやろ。」
とほり、おかね間違まちがひいんですから、うでせう、ひと人參にんじん澤山たくさんつて、一所いつしよ宿やどまでくださいませんか。主人しゆじんらせりや、いさくさなし、わたしたすけるんです、うでせう。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
無禮講ぶれいかうまをことで、從前じうぜんにも向後かうごにもほかありませんのおやしきけつしてやうなことはござりますまいが、羽目はめをはづしてたべひますると、間違まちがひおこりやすいものでござります
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さて、どつちみち靜岡しづをかとほるには間違まちがひのない汽車きしやだから、ひとをしへけないでましたが、米原まいばら𢌞まはるのか、岡山をかやま眞直まつすぐか、自分じぶんたちのつた汽車きしや行方ゆくへらない、心細こゝろぼそさとつてはない。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
女房かみさん料簡れうけんぢやあ、廓外そとて——それこそ新橋しんばしなぞは、近來きんらい吉原よしはらおの大勢おほぜいつてるから——彼處等あすこらつて待合まちあひでもすれば、一番いちばん間違まちがひいとおもつたのだが、此議これまたそのむすめ大反對だいはんたい
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
成程なるほど——町名ちやうめい間違まちがひはないはずだが、かたちがふかな。」
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)