がい)” の例文
一寸ちよつとくつさき團栗どんぐりちたやうなかたちらしい。たゞしその風丰ふうばう地仙ちせんかく豫言者よげんしやがいがあつた。小狡こざかしきで、じろりと
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まへ内外ないがい火山かざん巡見じゆんけんした場合ばあひ記事きじかゝげていたが、諸君しよくん兩方りようほう比較ひかくせられたならば、國内こくない火山作用かざんさようがいしておだやかであつて
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
第五、上士族の内にも小禄の貧者なきに非ざれども、がいしてこれを見れば、その活計はいるに心配なくして、ただいずるの一部に心をもちうるのみ。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
影法師にかれる——そんな馬鹿なことと思ひながらも、彦太郎の顏や樣子を見ると、それを一がいに笑ふわけにも行きません。
がいして豐玉姫とよたまひめ系統けいとういたものは、あまりはしゃいだところがなく、どちらかといえばしとやかで、引込思案ひっこみじあんでございます。
みづか其斷そのだんゆうとせば、すなは(八七)其敵そのてきもつこれいからすかれ。みづか其力そのちからとせば、すなは(八八)其難そのなんもつこれ(八九)がいするかれ。
雷横の刀術に、おおとりがいがあれば、赤髪鬼の野太刀にも、羽をつ鷹の響きがあった。赤髪の影が旋風つむじに沈めば、迅雷じんらいの姿が、彼の上を躍ッて跳ぶ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勝たざる可からざる早慶選手の意気は衝天しようてんがいを示した。斯て十一月九日第二回は三田グラウンドに挙行された。
此等これら樣々さま/″\化物思想ばけものしさう具體化ぐたいくわするのにどういふ方法はうはふもつてしてるかといふに、ときにより、くにによつて各々おの/\ことなつてゐて、一がい斷定だんていすること出來できない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
こころみに思え、封建社会において、およそ明主と称し賢君と唱えらるるもの、がいしてみな養子ならざるはなきを。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
一方、天然うなぎは餌が天然という特質があるために、がいして美味いと考えてよい。もちろん良否はあるが。
鰻の話 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
二年の名誉を負うて立つ生蕃! 三年の王たるライオン! まさにこれ山雨きたらんとして風ろうに満つるのがい
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
たったひと言だったけれど、その治右衛門の音聞おとぎきには天地を呑まんずがいがあった。お客はみんなハッとした。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
だが、己がいかに無教育な少年であっても、一がいに彼等の所説に盲従もうじゅうし、信頼する気にはなれなかった。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そのとり框に中框を使つかつて大がいふだかん板ばかりで寫してゐたが、しよ撮影さつえいから寫る寫る、立派りつはに寫る。
日清日露の戦友がドンドン死んで行くのである。老少不定ろうしょうふじょうとはいうものの、がいして元帥げんすい大将たいしょう中将と古参順に訃音ふいんが来る。これは勢い仕方がない。お祖父さんもく認めている。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そしていやしくもそれが真理であり、科学的の事実でさえあれば、一切の先入的偏見を排除して、千万人といえどもわれ行かんのがいもって、宇宙間の隠微いんびを探るべく勇往邁進する。
がいして平安一路な航海、月や星の美しい甲板で、浴衣ゆかたがけや、スポオツドレスのあなたが、近くに仄白ほのじろく浮いてみえるのを、意識しながら、照り輝く大海原おおうなばらを、眺めているのは
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
即ち支那はあたかも盛んに西洋文明を採用して富国強兵の術をつとめた頃で、洋式の陸海軍を編成し、特に大沽たいこ砲台、旅順りょじゅん威海衛いかいえいの軍港を設くる等、その面目を一新するのがいあり。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
田舎では、ゆたかな生計くらしうちでも、むすめを東京に奉公に出す。女の奉公と、男の兵役とは、村の両遊学りょうゆうがくである。勿論弊害もあるが、軍隊に出た男はがいして話せる男になって帰って来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
がいして野蛮人は人を恐怖せしむるが如きものを表現して喜ぶ傾向を有するのである。されば玩具や人形は、単に無智なる幼少年の娯楽物にあらずして、考古学人類学の研究資料とも見るべきものである。
土俗玩具の話 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
しかしがいして冬の間は彼らの部落は平和であった。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
がいに何にも知らずにくそみそに口説きあげて
飢えたる百姓達 (新字新仮名) / 今野大力(著)
やめて有體に申されよ假令たとへ如何樣いかやうに包みかくすとも大がい此方へ知れてあれば今更ちんずるはせんなきことなり又平左衞門其方の奉公うけに立てもらひたる切首きりくびの多兵衞と申は如何いか樣成由緒ゆかりあつて請人に成しやと申さるゝに平左衞門は面倒めんだうな事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まさ衝天しょうてんがいがあったね。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
勘次かんじは一がいしかりつけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
当時全欧の楽壇を敵としてたたかうのがいがあったシューマンは、リストに激励され、後援されてどれだけ助かったかわからない。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
というに、武家の奏上では、戦況はがいして悪くない。われにも損害は多いが、敵にも、より以上の打撃は与えている。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まへべたとほり、初期微動しよきびどう繼續時間けいぞくじかんがいして七八秒しちはちびようはあるけれども、前記ぜんき但馬地震たじまぢしんおよ丹後地震たんごぢしんおいては、震原地しんげんち直上ちよくじようおい三秒位さんびようぐらゐしかなかつた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
埃及えじぷとにはあたまとりだのけものだの色々いろ/\化物ばけものがあるがみな此内このうちである。この(一)にぞくするものはがいして神祕的しんぴてきたうとい。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
い候え、と言うのである。これを思うと、木曾殿の、掻食わせた無塩ぶえん平茸ひらたけは、碧澗へきかんあつものであろう。が、爺さんの竈禿くどはげ針白髪はりしらがは、阿倍の遺臣のがいがあった。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これをがいするに、上士の風は正雅せいがにして迂闊うかつ、下士の風は俚賤りせんにして活溌かっぱつなる者というべし。その風俗をことにするの証は、言語のなまりまでも相同じからざるものあり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それが大がいきよくに一時間乃一時間半、一二度は三時間餘にも及んだことがあるのだが
このあたり見掛みかける妖精達ようせいたちがいしてみな年齢としわかいものばかり、性質せいしつ無邪気むじゃきで、一こう多愛たあいもないが、おな妖精ようせいでも、五百ねん、千ねん功労こうろうたものになると、なかなか思慮しりょ分別ふんべつもあり
がいして、たいのような赤色皮の魚がよい。青黒色の魚はなんであっても感心しない。しかし、青黒皮のはもは例外の佳肴かこうである。要するに、焼き魚という条件を中心にして工夫すべきである。
郊外こうがいに移し令嬢れいじょうたちもまたスポーツに親しんで野外の空気や日光にれるから以前のような深窓の佳人かじん式箱入娘はいなくなってしまったが現在でも市中に住んでいる子供たちは一般に体格が繊弱せんじゃくで顔の色などもがいして青白い田舎いなか育ちの少年少女とは皮膚ひふえ方が違う良く云えば垢抜あかぬけがしているが悪く云えば病的である。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
世間には例のないことではなく、一がいに女郎と申すと安くなりますが、花魁となると見識けんしきの高いもので御座います。
と、心のうちは、どうあろうと、すくなくも、その眼は、敵を呑むのがいをもって、らんらんたるかれの生命力、戦闘力を、たたえているものであった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かういふ津浪つなみ沖合おきあひおいてはがいして數尺すうしやくたかさしかたないから、もしそれがそのまゝのたかさをもつ海岸かいがん押寄おしよせたならば、大抵たいてい無難ぶなんなるべきはずである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
西洋せいやうではいへよりも個人こじん尊重そんちやうするの風習ふうしふからたのかいなかよくらぬが、がいしてせいあとにしさきにする。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
ひとたび国を開きてより以来、我が日本と諸外国との間には、貿易商売の交際あり、学芸工業の交際あり、これをがいすれば、双方の間に智力の交際を始めたるものというべし。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
が、さて、その一書によつてふか寫眞熱しやしんねつをあふられたわたしは、何よりも寫眞機しやしんきがほしくてたまらない。母はもとよりわたしのぞみみなら先づ大がいいてもらへた父母にもさかんにせがんで見たが
忿怒ふんぬ面相めんさう、しかしあつてたけからず、大閻魔だいえんままをすより、くちをくわつと、唐辛子たうがらしいた關羽くわんうてゐる。したがつて古色蒼然こしよくさうぜんたる脇立わきだち青鬼あをおに赤鬼あかおにも、蛇矛じやぼう長槍ちやうさう張飛ちやうひ趙雲てううんがいのないことはない。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そこで概念的に考えねばならぬことは、値段の安いものはがいしてくだらぬものが多く、値段が高いものは総じて品物がよいということである。それは何物でもある。ただし、掘り出しものは別である。
味覚馬鹿 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
顕家の若い眉と共に全軍は“士気シキテンチユウス”のがいだった。ゆらい、中央の官軍はいたずらに官爵かんしゃくを誇って老いやすかったが、みちのくの官軍は若かった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとへば東京市内とうきようしないでも下町したまちやまとで震動しんどうおほいさに非常ひじよう相違そういがある。がいして下町したまちほうおほきく、やま二三倍にさんばいしくはそれ以上いじようにもなることがある。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
二ではうたいの「善知鳥うとう」など、三では「阿漕あこぎ」、「鵜飼うがひ」などその適例てきれいである。幽靈ゆうれいがいして全體ぜんたい性質せいしつ陰氣いんきで、すごいものである。相貌さうぼうなども人間にんげん大差たいさはない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
「いや、一がいには言へない。死んで少し時が經つと、死人の身體がかたくなる、その時を待つて握らせられるが、その前、斷末魔だんまつまの緊張でも、得物を握らせることが出來る」
上等の最下さいか、小姓組、医師のごときは、十人扶持じゅうにんぶちより少なき者もあれども、これをがいするに百石二百石或は二百五十石ととなえて、正味しょうみ二十二、三石より四十石乃至ないし五、六十石の者最も多し。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
性、気みじかで、すぐ雷声かみなりごえを出すところから霹靂火のあだ名があり、ひとたび狼牙棒ろうがぼうとよぶ仙人掌さぼてんのような針を植えた四尺の棒を打てば万夫不当ながいがあった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)