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山々
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やま/\
さうしては
又其の
疎らな
垣根は
長い
短いによつて
遠くの
林の
梢や
冴えた
山々の
頂を
撫でゝ
居る。
爽かな
秋は
斯くしてからりと
展開した。
立ち
退候て何國の
果にても永く夫婦と相成申したくと夫のみ此世の願ひと
祈り居り※どうぞ/\
御目もじのうへ
山々御もの
語り申し上ぐべく候
錦葉の
蓑を
着て、
其の
階、
其の
柱を
攀ぢて、
山々、
谷々の、
姫は、
上﨟は、
美しき
鳥と
成つて、
月宮殿に
遊ぶであらう。
一日も
速かに
日本へ
皈りたいのは
山々だが、
前後の
事情を
察すると、
今此人に
向つて、
其樣な
我儘は
言はれぬのである。
おまけに
先刻の
手早き
藝當が
其效果を
現はして
來たので、
自分は
自分と
腹が
定まり、
車窓から
雲霧に
埋れた
山々を
眺め
われ/\は、
遠い
都を
離れた
地方の
長い
距離をば、
焦れてやつて
來た。そして、
今この
時に
氣がつくと、この
明石の
海峽から
内らに、
畿内の
山々が
見えてゐる。
封じ
目ときて
取出せば
一尋あまりに
筆のあやもなく、
有難き
事の
數々、
辱なき
事の
山々、
思ふ、
戀ふ、
忘れがたし、
血の
涙、
胸の
炎、
此等の
文字を
縱横に
散らして
予とても、
體裁つくり、そなことを
言ひはせぬ、と
言ひたいは
山々なれど、
式や
作法は、もうおさらば! もし、
予を
可愛しう
思うて
下さるか?「
唯」と
被言るであらうがな。
「はい、
仲々埒があきません。もう、
遠くの
山々は
雪がふつたつていひますのに」
草木及び
地上の
霜に
瞬きしながら
横にさうして
斜に
射し
掛ける
日に
遠い
西の
山々の
雪が
一頻光つた。
凡てを
通じて
褐色の
光で
包まれた。
月が
晃々と
窓を
射たので、
戞然と
玉の
函を
開いたやうに、
山々谷々の
錦葉の
錦は、
照々と
輝を
帶びて
颯と
目の
前に
又卷絹を
解擴げた。が、
末は
仄々と
薄く
成り
行く。
日は
暮れかゝつて
雨は
益〻強くなつた。
山々は
悉く
雲に
埋れて
僅かに
其麓を
現すばかり。
整のへ
坐り居て
夫と見るよりお光さんか
定めし
甲夜からお出で有らうと
待草臥て居りたるにと云へばお光も
莞爾に
吾儕も早く來たいのは
山々なれど
父親がお寢なさらぬので家が出られず
只氣を
實は、
少年と
共に、
只一口に、
堪難き
空腹を
滿したきは
山々だが、
待てよ、
今此小さい
魚を、
周章てゝ
平げたとて
何になる、
農夫は
如何に
飢ても、
一合の
麥を
食はずに
地に
播いて
一年の
策をする
後には
力ちやん
大明神樣これにも
有がたうの
御禮山々。
遂にはそれが一つに
成つて
山々の
所在を
暗まして、
其の
末端が
油煙の
如く
空に
向つて
消散しつゝあるやうに
見え
始めた。
さて、
若葉、
青葉、
雲いろ/\の
山々、
雪を
被いだ
吾妻嶽を
見渡して、
一路長く、
然も
凸凹、ぐら/\とする
温泉の
路を、
此の
親仁が
挽くのだから、
途中すがら
面白い。
采は
珠のやうに
見えた。
綺麗に
磨いたのが
透通るばかりに
出来て、
点々打つた
目の
黒いのが、
雪の
中に
影の
顕はれた、
連る
山々、
秀でた
峯、
深い
谷のやうに
不図見えた。
一の
谷、
二の
谷、
三の
谷、
四の
谷かけて、
山々峰々縱横に、
荒れに
荒るゝが
手に
取るやう、
大波の
寄せては
返すに
齊しく、
此の
一夜に
北國空にあらゆる
雪を、
震ひ
落すこと、
凄まじい。
左右の
山々は、
次第次第に、
薄墨を
合せ、
鼠を
濃くし、
紺を
流し、
峰が
漆を
刷く。
四辺は
寂寞して
居る……
峰に
当り、
頂に
障つて、
山々のために
揺れるのである。
幸に
風が
無く、
雪路に
譬ひ
山中でも、
然までには
寒くない、
踏みしめるに
力の
入るだけ、
却つて
汗するばかりであつたが、
裾も
袂も
硬ばるやうに、ぞつと
寒さが
身に
迫ると、
山々の
影がさして
月が
山々に
曳いた
其の
薄衣を
仰ぐ
時、
雲の
棧橋に
立つ
思ひがした。