山々やま/\)” の例文
さうしてはまたまばらな垣根かきねながみじかいによつてとほくのはやしこずゑえた山々やま/\いたゞきでゝる。さわやかなあきくしてからりと展開てんかいした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
立ち退のき候て何國のはてにても永く夫婦と相成申したくと夫のみ此世の願ひといのり居り※どうぞ/\御目おめもじのうへ山々やま/\御ものがたり申し上ぐべく候
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
錦葉にしきばみのて、きざはしはしらぢて、山々やま/\谷々たに/″\の、ひめは、上﨟じやうらふは、うつくしきとりつて、月宮殿げつきうでんあそぶであらう。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一日いちにちすみやかに日本につぽんかへりたいのは山々やま/\だが、前後ぜんご事情じじやうさつすると、いま此人このひとむかつて、其樣そん我儘わがまゝはれぬのである。
おまけに先刻さつき手早てばや藝當げいたうその效果きゝめあらはしてたので、自分じぶん自分じぶんはらまり、車窓しやさうから雲霧うんむうもれた山々やま/\なが
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
われ/\は、とほみやこはなれた地方ちほうなが距離きよりをば、こがれてやつてた。そして、いまこのときがつくと、この明石あかし海峽かいきようからうちらに、畿内きない山々やま/\えてゐる。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ふうときて取出とりいだせば一尋ひとひろあまりにふでのあやもなく、有難ありがたこと數々かず/\かたじけなきこと山々やま/\おもふ、したふ、わすれがたし、なみだむねほのほ此等これら文字もじ縱横じゆうわうらして
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わしとても、體裁ていさいつくり、そなことをひはせぬ、とひたいは山々やま/\なれど、しき作法さはふは、もうおさらば! もし、わし可愛いとしうおもうてくださるか?「うん」と被言おッしゃるであらうがな。
「はい、仲々なか/\らちがあきません。もう、とほくの山々やま/\ゆきがふつたつていひますのに」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
草木さうもくおよ地上ちじやうしもまばたきしながらよこにさうしてなゝめけるとほ西にし山々やま/\ゆき一頻ひとしきりひかつた。すべてをつうじて褐色かつしよくひかりつゝまれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
つき晃々きら/\まどたので、戞然からりたまはこひらいたやうに、山々やま/\谷々たに/″\錦葉もみぢにしきは、照々てら/\かゞやきびてさつまへまた卷絹まきぎぬ解擴ときひろげた。が、すゑ仄々ほの/″\うすく。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れかゝつてあめ益〻ます/\つよくなつた。山々やま/\こと/″\くもうもれてわづかに其麓そのふもとあらはすばかり。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
とゝのへすわり居てそれと見るよりお光さんかさだめし甲夜よひからお出で有らうと待草臥まちくたびれて居りたるにと云へばお光も莞爾にこやか吾儕わたしも早く來たいのは山々やま/\なれど父親おとつさんがお寢なさらぬので家が出られずたゞ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
じつは、少年せうねんともに、たゞ一口ひとくちに、堪難たえがた空腹くうふく滿みたしたきは山々やま/\だが、てよ、いまこのちいさいうをを、周章あはてゝたいらげたとてなにになる、農夫のうふ如何いかうゑても、一合いちごうむぎはずにいて一年いちねんはかりごとをする
あとにはりきちやん大明神樣だいめうじんさまこれにもありがたうの御禮おれい山々やま/\
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つひにはそれが一つにつて山々やま/\所在しよざいくらまして、末端まつたん油煙ゆえんごとそらむかつて消散せうさんしつゝあるやうにはじめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さて、若葉わかば青葉あをばくもいろ/\の山々やま/\ゆきかついだ吾妻嶽あづまだけ見渡みわたして、一路いちろながく、しか凸凹でこぼこ、ぐら/\とする温泉みちを、親仁おやぢくのだから、途中みちすがら面白おもしろい。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さいたまのやうにえた。綺麗きれいみがいたのが透通すきとほるばかりに出来できて、点々ぽち/\つたくろいのが、ゆきなかかげあらはれた、つらな山々やま/\ひいでたみねふかたにのやうに不図ふとえた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いちたにたにさんたにたにかけて、山々やま/\峰々みね/\縱横じうわうに、れにるゝがるやう、大波おほなみせてはかへすにひとしく、一夜いちや北國空ほくこくぞらにあらゆるゆきを、ふるおとすこと、すさまじい。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
左右さいう山々やま/\は、次第次第しだいしだいに、薄墨うすずみあはせ、ねずみくし、こんながし、みねうるしく。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
四辺あたり寂寞ひつそりしてる……みねあたり、いたゞきさはつて、山々やま/\のためにれるのである。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さいはひかぜく、雪路ゆきみちたと山中さんちうでも、までにはさむくない、みしめるにちからるだけ、かへつてあせするばかりであつたが、すそたもとこはばるやうに、ぞつとさむさがせまると、山々やま/\かげがさして
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
つき山々やま/\いた薄衣うすぎぬあふときくも棧橋かけはしおもひがした。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)