小高こだか)” の例文
そしてもなく、わたくし住宅すまいとして、うみから二三ちょう引込ひっこんだ、小高こだかおかに、土塀どべいをめぐらした、ささやかな隠宅いんたくててくださいました。
ぱう小高こだか土手どてると、いまゝでいてかぜむだ。もやかすみもないのに、田畑たはたは一めんにぼうとして、日中ひなかはるおぼろである。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あるれない、北国ほっこくむらに、あれはてたおてらがありました。そのおてらのあるところは、小高こだかくなった、さびしいところでありました。
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小高こだかい丘になった陸地は、キラキラ光る湾のあいだに、美しくよこたわっていました。あちこちの島々には、小屋や小さな家が見えました。
海岸かいがんちかやまやまには松柏しようはくしげり、其頂そのいたゞきには古城こじやう石垣いしがきのこしたる、其麓そのふもと小高こだかところつてるのが大島小學校おほしませうがくかうであります。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
参謀本部下の堀端ほりばたを通りながら眺めると、閑地のやや小高こだかくなっている処に、雑草や野蔦のづたおおわれたまま崩れた石垣の残っているのが見える。
海岸かいがん沿ふてこと七八ちやう岩層がんそう小高こだかをかがある、そのをかゆると、今迄いまゝでえたうみ景色けしきまつたえずなつて、なみおと次第しだい/\にとうく/\。
その小高こだか所々ところ/″\に、したから石段いしだんたゝんで、てららしいもんたかかまへたのが二三軒目げんめいた。平地ひらちかきめぐらして、點在てんざいしてゐるのは、幾多いくらもあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とりにがしては殘念ざんねんであらうとひとうれひを串談じようだんおもふものもあり、諸説しよせつみだれて取止とりとめたることなけれど、うらみなが人魂ひとだまなにかしらずすぢひかもののおてらやまといふ小高こだかところより
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
日本につぽん古墳こふん元來がんらい小高こだかをかうへなぞにすこしくくはへたまるつかだとか、前方後圓ぜんぽうこうえんつかきづいたのでありまして、その頂上ちようじようにはいしかんをさめるといふのが普通ふつうのやりかたでありました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
桃林和尚たうりんをしやう御奉公ごほうこうして永昌寺えいしやうじは、小高こだかやまうへにありました。そのおてらたか屋根やね村中むらぢういへの一ばんたかいところでした。きつねつたとほり、村中むらぢうばん建築物けんちくぶつでもありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ふりかえってニヤリとわらう。そして小高こだかいところへのぼった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小高こだかる いち高處つかさ二〇
小高こだかき山に岩とがり
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
小高こだかをかに突き当り
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
沿海線えんかいせん沿うて、レールがはしっていました。小高こだかおかうえに、停車場ていしゃじょうがあって、待合室まちあいしつかぜきさらしになっています。
死と話した人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たしか走水はしりみずというところ浦賀うらが入江いりえからさまでとおくもない、うみやまとのったせま漁村ぎょそんで、そしてひめのおやしろは、そのむら小高こだかがけ半腹はんぷくって
……さあ、これやしきあととおもはれる一條ひとつで、小高こだかいのは、おほきな築山つきやまだつたかもれません。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また少しく小高こだかい処は直ちに峨々がゝたる山岳の如く、愛宕山あたごやま道灌山どうかんやま待乳山まつちやまなぞと呼ばれてゐる。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
斯程かほどしまだから、なに食物しよくもつこともあるまいと四方よも見渡みわたすと、はたして二三ちやうへだゝつた小高こだかをか中腹なかばに、一帶いつたい椰子やし、バナヽのはやしがあつて、甘美うるはしき果實くわじつえだ垂折しをれんばかりに成熟せいじゆくしてる。
小高こだかい丘の上へ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
そして、一つおおきいほうを花壇かだんに、もう一つを、小高こだかくなっている、つつじのはえたところへ、うえたのであります。
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
元禄げんろくころ陸奥千鳥むつちどりには——木川村きがわむら入口いりぐち鐙摺あぶみずりいはあり、一騎立いつきだち細道ほそみちなり、すこきてみぎかたてらあり、小高こだかところだう一宇いちう次信つぎのぶ忠信たゞのぶ両妻りやうさい軍立いくさだち姿すがたにて相双あひならつ。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また少しく小高こだかい処は直ちに峨々ががたる山岳の如く、愛宕山あたごやま道灌山どうかんやま待乳山まつちやまなぞと呼ばれている。
やがて前面ぜんめんに、やや小高こだか砂丘すなやま斜面しゃめんあらわれ、みちはその頂辺てっぺんところのぼってきます。
また彼方かなたでは、一團いちだん水兵すいへいがワイ/\とさわいでるので、何事なにごとぞとながめると、其處そこ小高こだかをかふもとで、椰子やし橄欖かんらん青々あほ/\しげり、四邊あたり風景けしき一際ひときわうるはしいので、今夜こんや此處こゝ陣屋ぢんやかまへて
ある清作せいさくさんは、むら子供こどもたちをつれて、かえったら、かならずいこうとおもっていた、源吉げんきちさんのおはかへおまいりをしました。そこは、小高こだかやまでありました。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いまほこらぬまむかつてくさいこつた背後うしろに、なぞへに道芝みちしば小高こだかつたちひさなもりまへにある。鳥居とりゐ一基いつきそばおほき棕櫚しゆろが、五かぶまで、一れつならんで、蓬々おどろ/\としたかたちる。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小学校しょうがっこうは、小高こだかいところにありました。学校がっこうまどからは、よく紫色むらさきいろうみえました。まどきわには、オレンジのがあって、なつは、しろかおりのたかはなきました。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うはつても、小高こだか場所ばしよゆきつもつたのではありません、粉雪こゆき吹溜ふきだまりがこんもりとつもつたのを、どつかぜこそぎにはう吹飛ふきとばしてはこぶのであります。ひとふたつのすうではない。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
はるか、かなたには、海岸かいがん小高こだかやまにある、神社じんじゃ燈火あかりがちらちらと波間なみまえていました。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むらは、小高こだかいところにありました。はるから、なつにかけて、養蚕ようさんいそがしく、あきに、また、果物くだものうつくしくたんぼみのりました。おおきないけがあって、いけのまわりは、しらかばのはやしでありました。
愛は不思議なもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
小高こだかおかのようなところへたどりつくと、みんなは、こういってやすみました。
戦争はぼくをおとなにした (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なるほど、りっぱなおおきなふねだ。このふねがしたら、いつまたれるというあてはありますまい。すぐに、合図あいずをしましょう。」といって、近所きんじょ人々ひとびとあつめて、海岸かいがん小高こだかいところで
青いランプ (新字新仮名) / 小川未明(著)