トップ
>
宛
>
づゝ
ふりがな文庫
“
宛
(
づゝ
)” の例文
そのつもりで余は、この文章を時々少し
宛
(
づゝ
)
斯うして書いてゐるのだが、何処に如何、月日の区切りを付けることも出来ないのだ。
西瓜喰ふ人
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
望蜀生
(
ぼうしよくせい
)
と
余
(
よ
)
とは、
夢中
(
むちう
)
に
成
(
な
)
つて、それを
採集
(
さいしふ
)
した。
其數
(
そのすう
)
實
(
じつ
)
に二
百
(
ひやく
)
七十六
本
(
ほん
)
。それを四
箇
(
こ
)
の
大布呂敷
(
おほふろしき
)
に
包
(
つゝ
)
み、二
箇
(
こ
)
宛
(
づゝ
)
を
分
(
わ
)
けて
持
(
も
)
つ
事
(
こと
)
にした。
探検実記 地中の秘密:05 深大寺の打石斧
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
その
鰹船
(
かつをぶね
)
が
一
(
ひと
)
つ
宛
(
づゝ
)
此
(
この
)
器械
(
きかい
)
を
具
(
そな
)
へ
付
(
つ
)
ける
樣
(
やう
)
になつたら、
莫大
(
ばくだい
)
な
利益
(
りえき
)
だつて
云
(
い
)
ふんで、
此頃
(
このごろ
)
は
夢中
(
むちゆう
)
になつて
其方
(
そのはう
)
ばつかりに
掛
(
かゝ
)
つてゐる
樣
(
やう
)
ですよ。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「去年申上候
塙書之事
(
はなはしよのこと
)
大事之事也。ねがはくは御帰城之便に二三巻
宛
(
づゝ
)
四五人へ御託し被下候慥に届可申候。必々奉願上候。」
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
と
記
(
しる
)
して、
一車
(
いつしや
)
の
税銀
(
ぜいぎん
)
、
一
(
いつ
)
ヶ
月
(
げつ
)
八匁
(
はちもんめ
)
宛
(
づゝ
)
なりと
載
(
の
)
せてある。
勿論
(
もちろん
)
、
金澤
(
かなざは
)
、
福井
(
ふくゐ
)
などでは、
俵藤太
(
たはらとうだ
)
も、
頼光
(
らいくわう
)
、
瀧夜叉姫
(
たきやしやひめ
)
も、まだ
見
(
み
)
た
事
(
こと
)
もなかつたらう。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
その上、その中から月々十円
宛
(
づゝ
)
実家へ送金しなければならなかつた。だから入社してからも僕は成瀬家に寄食してゐた。
世に出る前後
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
假令
(
たとひ
)
痩
(
や
)
せさせないまでも
肥
(
こや
)
して
行
(
ゆ
)
くことをしない
畑
(
はたけ
)
の
土
(
つち
)
に
茄子
(
なす
)
は
干稻
(
ひね
)
びてそれで
處々
(
ところ/″\
)
に
一
(
ひと
)
つ
宛
(
づゝ
)
花
(
はな
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それに受持以外に課外二時間
宛
(
づゝ
)
と來ては、
他目
(
よそめ
)
には勞力に
伴
(
ともな
)
はない報酬、否、報酬に伴はない勞力とも見えやうが、自分は
露聊
(
つゆいさゝ
)
かこれに不平は抱いて居ない。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
滿谷と
柚木
(
ゆのき
)
が当分ロウランスのアトリエへ通ふ事になつて
昨日
(
きのふ
)
その同学生との顔繋ぎの式があつた。新入生が一
人
(
にん
)
三十フラン
宛
(
づゝ
)
の
酒代
(
さかだい
)
を出して饗応するのである。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
第一
貴処
(
あなた
)
、困る事には此役に立たない商業学校の卒業生が学校を出れば
一廉
(
ひとかど
)
な商業家になつた気でゐる、高等商業学校を初めとして全国に商業学校が各府県に一つ
宛
(
づゝ
)
ある
青年実業家
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
かくて
當日
(
このひ
)
は、二十
里
(
り
)
近
(
ちか
)
く
進
(
すゝ
)
んで
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れたので、
夜
(
よる
)
は
鐵車
(
てつしや
)
をば
一
(
いち
)
大樹
(
だいじゆ
)
の
下蔭
(
したかげ
)
に
停
(
とゞ
)
めて、
終夜
(
しうや
)
篝火
(
かゞりび
)
を
焚
(
た
)
き、
二人
(
ふたり
)
宛
(
づゝ
)
交代
(
こうたい
)
に
眠
(
ねむ
)
る
積
(
つもり
)
であつたが、
怒
(
いか
)
り
叫
(
さけ
)
ぶ
猛獸
(
まうじう
)
の
聲
(
こゑ
)
に
妨
(
さまた
)
げられて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
七八人
宛
(
づゝ
)
組みになつて蕭条と戻り来る遊女の群を充血した眼で見守つてゐるのであつた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
それからその時計と植木鉢との間には、きつと支那人の人形が一つ
宛
(
づゝ
)
立つてゐる。ふくらんだ腹の真ん中に穴があつて、それを覗いて見ると、中には懐中時計の表面が見えてゐる。
十三時
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
初
(
はじ
)
めの
中
(
うち
)
は
些
(
や
)
や
心後
(
きおく
)
れして
默
(
だま
)
つて
居
(
ゐ
)
ますと、二
疋
(
ひき
)
の
動物
(
どうぶつ
)
がその
側
(
そば
)
に
近寄
(
ちかよ
)
つて
來
(
き
)
ました、
右
(
みぎ
)
と
左
(
ひだり
)
に一
疋
(
ぴき
)
宛
(
づゝ
)
、
眼
(
め
)
と
口
(
くち
)
とを開けるだけ
大
(
おほ
)
きく
開
(
あ
)
いて、でも、
愛
(
あい
)
ちやんは
元氣
(
げんき
)
を
出
(
だ
)
して
話
(
はな
)
し
續
(
つゞ
)
けました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
御米
(
およね
)
は
廣島
(
ひろしま
)
と
福岡
(
ふくをか
)
と
東京
(
とうきやう
)
に
殘
(
のこ
)
る
一
(
ひと
)
つ
宛
(
づゝ
)
の
記憶
(
きおく
)
の
底
(
そこ
)
に、
動
(
うご
)
かしがたい
運命
(
うんめい
)
の
嚴
(
おごそ
)
かな
支配
(
しはい
)
を
認
(
みと
)
めて、
其
(
その
)
嚴
(
おごそ
)
かな
支配
(
しはい
)
の
下
(
もと
)
に
立
(
た
)
つ、
幾月日
(
いくつきひ
)
の
自分
(
じぶん
)
を
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「僕達一同は、夫々一人
宛
(
づゝ
)
のロビンソン・クルウソウになつて、こいつは何とか思案を回らさなければならないぞ……?」
川を遡りて
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
岡は柴田勘兵衛、石川彦兵衛に百
目筒
(
めづゝ
)
を一
挺
(
ちやう
)
宛
(
づゝ
)
、脇勝太郎、
米倉倬次郎
(
よねくらたくじらう
)
に三十目筒一挺宛を持たせて中川方へ
遣
(
や
)
つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
歸りはお吉の辭するも
諾
(
き
)
かず、二人で桶を一つ
宛
(
づゝ
)
輕々と持つて勝手口まで運んだが、
背後
(
うしろ
)
からお吉が
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
愈
(
いよ/\
)
辞職と決したので
此
(
この
)
十七日に氏の
御名残
(
おなごり
)
狂言がコメデイ・フランセエズ座で催され、氏の
得意
(
おはこ
)
の物を
一幕
(
ひとまく
)
宛
(
づゝ
)
出し、ムネ・シユリイ
其他
(
そのた
)
の名優が一座する
筈
(
はず
)
である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「はい」と一
同
(
どう
)
が
時儀
(
じぎ
)
をした。
各自
(
かくじ
)
の
膳
(
ぜん
)
の
隅
(
すみ
)
へ一つ
宛
(
づゝ
)
渡
(
わた
)
された
茶呑茶碗
(
ちやのみぢやわん
)
へ
酒
(
さけ
)
が
注
(
つ
)
がれようとした
時
(
とき
)
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
女
(
をんな
)
が
一人
(
ひとり
)
、これは
背向
(
うしろむ
)
きで、
三人
(
さんにん
)
がかり、
一
(
ひと
)
ツ
掬
(
すく
)
つて、ぐい、と
寄
(
よ
)
せて、くる/\と
饀
(
あん
)
をつけて、
一寸
(
ちよいと
)
指
(
ゆび
)
で
撓
(
た
)
めて、
一
(
ひと
)
つ
宛
(
づゝ
)
すつと
串
(
くし
)
へさすのを、
煙草
(
たばこ
)
を
飮
(
の
)
みながら
熟
(
じつ
)
と
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
た。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そこで
用意
(
ようゐ
)
が
整
(
とゝな
)
ふと、
吾等
(
われら
)
は
手
(
て
)
に/\
一個
(
いつこ
)
宛
(
づゝ
)
の
爆裂彈
(
ばくれつだん
)
を
携
(
たづさ
)
へて
立上
(
たちあが
)
つた。
兼
(
かね
)
て
用意
(
ようゐ
)
の
鳥
(
とり
)
の
肉
(
にく
)
を、十
斤
(
きん
)
ばかり
鐵檻
(
てつおり
)
の
間
(
あひだ
)
から
投出
(
なげだ
)
すと、
食
(
しよく
)
に
飢
(
う
)
ゑたる
猛獸
(
まうじう
)
は、
眞黒
(
まつくろ
)
になつて
其
(
その
)
上
(
うへ
)
に
集
(
あつま
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
学問の進歩が極点に達した時なら知らず、何も彼も多くは疑問として存して
唯
(
ほん
)
の理窟の
言現
(
いひあら
)
はし方を少し
宛
(
づゝ
)
違へた位で総て研究に属してゐる今日では学者と無学者とは相去る事
幾何
(
いくばく
)
も無い。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
當惑
(
たうわく
)
して、
知
(
し
)
らず/\
衣嚢
(
ポケツト
)
に
片手
(
かたて
)
を
入
(
い
)
れ、
乾菓子
(
ひぐわし
)
の
箱
(
はこ
)
を
取出
(
とりだ
)
し、(
幸
(
さいは
)
ひ
鹹水
(
しほみづ
)
は
其中
(
そのなか
)
に
浸込
(
しみこ
)
んで
居
(
ゐ
)
ませんでした)
褒美
(
はうび
)
として
周圍
(
しうゐ
)
のものに
殘
(
のこ
)
らず
其
(
そ
)
れを
渡
(
わた
)
してやりました。
丁度
(
ちやうど
)
一個
(
ひとつ
)
と
一片
(
ひとかけ
)
宛
(
づゝ
)
。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
夫
(
それ
)
から
最初
(
さいしよ
)
のうちは、
詰
(
つ
)
めて
坐
(
す
)
はるのは
難儀
(
なんぎ
)
だから
線香
(
せんかう
)
を
立
(
た
)
てゝ、それで
時間
(
じかん
)
を
計
(
はか
)
つて、
少
(
すこ
)
し
宛
(
づゝ
)
休
(
やす
)
んだら
好
(
よ
)
からうと
云
(
い
)
ふ
樣
(
やう
)
な
注意
(
ちゆうい
)
もして
呉
(
く
)
れた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
食糧品屋の番頭が、主人に内緒で呉れたんだよ——皆馬車の上に立ちあがつて一杯
宛
(
づゝ
)
の興奮剤を飲んで、ともかく一刻も早くマメイドに引きあげよう。
馬車の歌
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「
乍恐
(
おそれながら
)
御西山君樣御代
御側向
(
おんそばむき
)
御召抱お島
之御方
(
のおんかた
)
と
被申候
(
まうされそろ
)
を妻に
被下置
(
くだしおかれ
)
厚き
奉蒙御重恩候而
(
ごぢゆうおんをかうむりたてまつりそろて
)
、年々御米百俵
宛
(
づゝ
)
三季に
享保年中迄頂戴仕來冥加至極難有仕合
(
きやうはうねんちゆうまでちやうだいつかまつりきたりみやうがしごくありがたきしあはせ
)
に
奉存候
(
ぞんじたてまつりそろ
)
」
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
四人の画家連は写生の為に林中に
留
(
とゞま
)
り、小林近江等は瀑布と植物園とへ廻り、僕と三浦等は市内を一週して先に帰船した。馬車料は一台三円案内者へは一人二十銭
宛
(
づゝ
)
を与へた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
茶は一斤半として九十錢、新聞は郵税を入れて五十錢、それを差引いた殘餘の一圓と外に炭、石油も學校のを勝手に使ひ、家賃は出さぬと來てるから、校長はどうしても月五圓
宛
(
づゝ
)
徳
(
とく
)
をして居る。
葉書
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
二名
(
にめい
)
の
水兵
(
すいへい
)
は
仲間
(
なかま
)
の
一群
(
ひとむれ
)
に
追廻
(
おひま
)
はされて、
憘々
(
きゝ
)
と
叫
(
さけ
)
びながら
逃廻
(
にげまわ
)
つた。それは「
命拾
(
いのちひろ
)
ひのお
祝
(
いわひ
)
」に、
拳骨
(
げんこつ
)
が
一
(
ひと
)
つ
宛
(
づゝ
)
振舞
(
ふるま
)
はれるので『
之
(
これ
)
は
堪
(
たま
)
らぬ』と
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
す
次第
(
しだい
)
だ。
勿論
(
もちろん
)
戯謔
(
じやうだん
)
だが
隨分
(
ずいぶん
)
迷惑
(
めいわく
)
な
事
(
こと
)
だ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「俺は、慣れたい。毎朝のこれで少し
宛
(
づゝ
)
回復するだらう、彼処に寄らないで済む日を待つてゐるんだ、俺だつて!」
F村での春
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「先生、将棋は
何
(
ど
)
うです」抔と持ち掛けた。
夕方
(
ゆふがた
)
には
庭
(
には
)
に水を
打
(
う
)
つた。
二人
(
ふたり
)
共
跣足
(
はだし
)
になつて、手桶を一杯
宛
(
づゝ
)
持
(
も
)
つて、無分別に
其所等
(
そこいら
)
を
濡
(
ぬ
)
らして
歩
(
ある
)
いた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
尚々私も追々と老耄、手もすこし
宛
(
づゝ
)
かなはぬやうになり候故、本文代筆に候。真平御免可被下候。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
たゞ、それが生理的に反射して
来
(
く
)
る
度
(
たび
)
に、椅子の
上
(
うへ
)
で、少し
宛
(
づゝ
)
身体
(
からだ
)
の位置を
変
(
か
)
へなければならなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
これ
丈
(
だけ
)
では守備が不足なので、幕府は
外様
(
とざま
)
の大名に
役知
(
やくち
)
一万石
宛
(
づゝ
)
を
遣
(
や
)
つて
加番
(
かばん
)
に取つてゐる。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
板目紙を
札
(
ふだ
)
の形にたつて、茶色の薬袋紙で裏打ちをした。それを二三枚
宛
(
づゝ
)
、耽念に塩煎餠をあぶるやうに遠火で乾した。それに、若い女が凝つた筆法で筆を揮ふのが
常習
(
ならはし
)
だつた。
昔の歌留多
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
自分の
室
(
へや
)
はもと特等として
二間
(
ふたま
)
つゞきに作られたのを病院の都合で一つ
宛
(
づゝ
)
に分けたものだから、火鉢などの置いてある副室の方は、普通の壁が隣の境になつてゐるが
変な音
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
同心支配は三人あるが、これは自分が出ることにし、
小頭
(
こがしら
)
の与力二人には
平与力
(
ひらよりき
)
蒲生熊次郎
(
がまふくまじらう
)
、本多
為助
(
ためすけ
)
を当て、同心三十人は自分と同役岡との組から十五人
宛
(
づゝ
)
出
(
だ
)
すことにした。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「それ位ひならば、せめて毎朝、此方のだけは一度
宛
(
づゝ
)
時間を合せて置けば好いのに!」
村のストア派
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「本当に
取
(
と
)
り
掛
(
かゝ
)
つたのは、つい
此間
(
このあひだ
)
ですけれども、
其前
(
そのまへ
)
から
少
(
すこ
)
し
宛
(
づゝ
)
描
(
か
)
いて
頂
(
いた
)
だいてゐたんです」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
どちらも二つ
宛
(
づゝ
)
のものを一つ/″\に引き離しては考へられなかつたのである。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「僕が飾りつけたスターの写真を毎日一度
宛
(
づゝ
)
見に来る村長だからね。」
円卓子での話
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
幸徳秋水の
家
(
いへ
)
の
前
(
まへ
)
と
後
(
うしろ
)
に巡査が二三人
宛
(
づゝ
)
昼夜
張番
(
はりばん
)
をしてゐる。一時は
天幕
(
てんと
)
を張つて、其
中
(
なか
)
から
覗
(
ねら
)
つてゐた。秋水が外出すると、巡査が
後
(
あと
)
を付ける。万一見失ひでもしやうものなら非常な事件になる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そして、用事と自分の勉強とを半分
宛
(
づゝ
)
しても好いでせう。」
F村での春
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
ラオコーンが務まれば毎日金貨が一袋
宛
(
づゝ
)
儲かるわよ。
山彦の街
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
宛
常用漢字
中学
部首:⼧
8画
“宛”を含む語句
宛然
宛行
宛転
宛名
名宛
宛嵌
宛如
押宛
宛所
宛城
宛字
手宛
大宛
人宛
目宛
引宛
宛転滑脱
宛込
宛転悠揚
幸子宛
...