太陽たいやう)” の例文
ると、太陽たいやうがキラ/\とかゞやいてひがしほうの、赤裸あかはだかやまいたゞきなゝめかすめて、一個いつこ大輕氣球だいけいききゆうかぜのまに/\此方こなたむかつてんでた。
が、中根なかね營庭えいていかがや眞晝まひる太陽たいやうまぶしさうに、相變あひかはらずひらべつたい、愚鈍ぐどんかほ軍曹ぐんそうはうけながらにやにやわらひをつづけてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
はあと嘉十かじふもこつちでその立派りつぱ太陽たいやうとはんのきをおがみました。みぎから三ばん鹿しかくびをせはしくあげたりげたりしてうたひました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
陽炎かげらふひざつて、太陽たいやうはほか/\としてる。そられたが、くさ濡色ぬれいろは、次第しだいかすみ吸取すひとられやうとする風情ふぜいである。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから一時間じかんすると、大地だいちめる太陽たいやうが、さへぎるものゝない蒼空あをぞらはゞかりなくのぼつた。御米およねはまだすや/\てゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それは太陽たいやう強烈きやうれつ光線くわうせんわたしひとみつたからではなかつた。反對はんたいに、ひかりやはらかにわたしむねつたのである……。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
わし戀人こひびとよりもうつくしい! なにもかも見通みとほしの太陽たいやうでも、現世このよはじまって以來このかたまたとは彼女程あれほどをなごをばなんだのぢゃ。
キバタン「なあに、むかしくろかつたんですが、あんまり太陽たいやうひかりがきついもんですからはげてしまつたんです」
〔譯〕人心のれい太陽たいやうの如く然り。但だ克伐こくばつ怨欲えんよく雲霧うんむ四塞しそくせば、此のれいいづくに在る。故に意をまことにする工夫は、雲霧うんむはらうて白日をあふぐより先きなるはし。
モハメッドの僧侶ひとりが路上ろじやうにてただに太陽たいやう礼拝れいはいをする
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
みちそらとのあひだたゞ一人ひとりわしばかり、およ正午しやうごおぼしい極熱ごくねつ太陽たいやういろしろいほどにかへつた光線くわうせんを、深々ふか/″\いたゞいた一重ひとへ檜笠ひのきがさしのいで、図面づめんた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぢゃによって、こひかみ御輦みくるま翼輕はねがるはとき、かぜのやうにはやいキューピッドにもふたつのはねがある。あれ、もう太陽たいやうは、今日けふ旅路たびぢたうげまでもとゞいてゐる。
鹿しかのめぐりはまただんだんゆるやかになつて、たがひにせわしくうなづきひ、やがて一れつ太陽たいやういて、それをおがむやうにしてまつすぐにつたのでした。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
さうおもつてわたしはまだ自分じぶんにはかくされてゐる太陽たいやう笑顏ゑがほ想像さうざうなかさがもとめた。けれどもわたしはそれをさうながつにはおよばなかつた。小松こまつ刻々こく/\かゞやきをしてつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
巨大おほきいわ裂目さけめがあつて、其處そこから太陽たいやうひかり不足ふそくなく洞中どうちうてらしてをるのである。
めてゐるときは、これがために名状めいじやうがた一種いつしゆ壓迫あつぱくけつゞけにけた。したがつてれてけて、てら太陽たいやうかずかさなるにつけて、あたかうしろからけられでもするごといらつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
太陽たいやうをマタハリといひて礼拝らいはいすまた「感天大帝かんてんたいてい」の文字もじ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
太陽たいやうはこのとき、ちやうどはんのきのこずゑなかほどにかかつて、すこいろにかゞやいてりました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
ヂュリ あの光明ひかりあさぢゃない、いえ/\、朝日あさひではないわいの。ありゃ太陽たいやうがおまへために、今宵こよひマンチュアへの道案内みちしるべ炬火持たいまつもちやくさしょとて、きふ呼出よびだしたひかものぢゃ。
うぢや、それとも、御身達おみたちに、煙草たばこ吸殻すゐがら太陽たいやうほのほへ、悪魔あくま煩脳ぼんなう焼亡やきほろぼいて美女びぢよたすける工夫くふうがあるか、すりや格別かくべつぢや。よもあるまい。るか、からう。……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『あゝ、何故なぜ此樣こん不運ふうん出逢であつたのであらう。』とわたくし昨夜さくやうみひたつて、全濡びつしよりになつたまゝ黎明あかつきかぜさむさうふるへてる、日出雄少年ひでをせうねんをばひざ抱上いだきあげ、いましも、太陽たいやう暫時しばし浮雲うきぐもかくれて
太陽たいやうが、朝日あさひが、かれみづからが、やまそらとをかぎつたゆきせんに、そのかゞやおもてあらはしかけてゐた。ひかり直線ちよくせんをなしてその半圓はんゑん周圍しうゐつた。かれようとおもへばわたしをつぶらなければならなかつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
くだり来し谷際たにあひにして一時ひとときしろくちひさき太陽たいやうを見し
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
くらおくから、黄金色こがねいろ赤味あかみしたくもが、むく/\と湧出わきだす、太陽たいやう其処そこまでのぼつた——みぎはあしれたにも、さすがにうすひかりがかゝつて、つのぐむ芽生めばえもやゝけぶりかけた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
東雲しのゝめ太陽たいやうめぐみの、宛然さながら處女しよぢよごとく、さわやか薄紅うすくれなゐなるに、難有ありがたや、きつねともらず、たぬきともならず、紳士しんしり、貴婦人きふじんとなり、豪商がうしやうとなり、金鎖きんぐさりとなり、荷物にもつり、おほいなるかばんる。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひなはさてみやこはもとより、きぬかろこひおもく、つまあさく、そでかゞやかぜかをつて、みどりなか涼傘ひがさかげみづにうつくしき翡翠ひすゐいろかな。浮草うきくさはなくも行方ゆくへやまなりや、うみなりや、くもるかとすればまたまばゆ太陽たいやう
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)