青葉あをば)” の例文
君が御名みなさちの井の、ゐどのほとりの常磐木ときはぎや、落葉木らくえふぼく若葉わかばして、青葉あをばとなりて、落葉おちばして、としまた年と空宮くうきうに年はうつりぬ四十五しじふいつ
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
こと/″\はたはしつた村落むらうちにはまれにさういふ青葉あをばあひだ鯉幟こひのぼりがばさ/\とひるがへつてはぐたりとつて、それがあさからながを一にち
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
には所為せゐだ。青葉あをばうつるんだ」とには植込うゑごみの方を見たが、「だから貴方あなただつて、あをいですよ」とつゞけた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
禮吉れいきち悚然ぞつとしながら、それでも青山あをやま墓地ぼちなかを、青葉あをばがくれに、はなむ、しろさをおもつた。……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
観人みるひとぐんをなして大入なれば、さるの如きわらべどもにのぼりてみるもあり。小娘ちひさきむすめざるさげ冰々こほり/\とよびて土間どまの中をる。ざるのなかへ木の青葉あをばをしき雪のこほりかたまりをうる也。
あいちやんはやはらかいこずゑけて、其首そのくびみ、半圓はんゑんえがきながらたくみに青葉あをばなかもぐらうとしました、あいちやんは此時このときまで、たゞ頂上てうじやうにのみあるものだとおもつてゐました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
此處こゝ三十へだてなれどもこゝろかよはずは八がすみ外山とやまみねをかくすにたり、はなちりて青葉あをばころまでにおぬひもとにふみつう、ことこまなりけるよし、五月雨さみだれのきばにれまなく人戀ひとこひしきをりふし
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
花の盛りは僅に三日にして、跡の青葉あをばいづれも色同じ、あでやかなる女子の色も十年はよも續かぬものぞ、老いての後に顧れば、色めづる若き時の心の我ながらわからぬほどたはけたるものなるぞ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
木々きゞ若葉わかば青葉あをばかざられたころはすが/\しい景色けしきです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
はなはしをれぬ、ひこばえし青葉あをばちぬ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
けふは照日てるひ映々はえばえ青葉あをば高麥たかむぎ生ひ茂る
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
いし青葉あをばでん
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
麦秋むぎあきである。「富士一つうづみ残して青葉あをばかな」其青葉の青闇あおぐらい間々を、れた麦が一面日のの様に明るくする。陽暦六月は「農攻のうこう五月ごげつ急於弦げんよりもきゅうなり
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
何處どこ村落むらにもふつさりとした青葉あをばこずゑからくり比較的ひかくてきおほいことをしめしてしろはなについた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかしそれたゞ青葉あをばばかりで菖蒲あやめみじかいのがむらがつてゝ、みづいろくろ時分じぶん此処こゝへも二日ふつか三日みつかつゞけてきましたつけ、小鳥ことりつからなかつた。からす沢山たんとた。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
観人みるひとぐんをなして大入なれば、さるの如きわらべどもにのぼりてみるもあり。小娘ちひさきむすめざるさげ冰々こほり/\とよびて土間どまの中をる。ざるのなかへ木の青葉あをばをしき雪のこほりかたまりをうる也。
龍華寺りうげじ信如しんによ大黒屋だいこくや美登利みどり二人ふたりながら學校がくこう育英舍いくえいしやなり、りし四ぐわつすゑつかた、さくらりて青葉あをばのかげにふぢ花見はなみといふころ春季しゆんき大運動會だいうんどうくわいとてみづはらにせしことありしが、つなひき
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さういふ青葉あをば村落むらから村落むらをんな飴屋あめや太皷たいこたゝいてあるいた。明屋あきやばかりの村落むらあめらねばをんなはしからはしうたうてあるく。勘次かんじうたうたのはをんなうたである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さて、若葉わかば青葉あをばくもいろ/\の山々やま/\ゆきかついだ吾妻嶽あづまだけ見渡みわたして、一路いちろながく、しか凸凹でこぼこ、ぐら/\とする温泉みちを、親仁おやぢくのだから、途中みちすがら面白おもしろい。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ゆめか、青葉あをばきぬ、つゝじのおびわか姿すがたくもくらやまよりつきかすかにちかづくを、ものよ、しひたげんとすれば、くびながきよ、くちみゝまでけて、しろへびべにさしたるおもてぞ。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
眞夏まなつ日盛ひざかりの炎天えんてんを、門天心太もんてんこゝろぷとこゑきはめてよし。しづかにして、あはれに、可懷なつかし。すゞしく、まつ青葉あをば天秤てんびんにかけてになふ。いゝこゑにて、ながいてしづかきたる。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
景勝けいしよう愉樂ゆらくきやうにして、内湯うちゆのないのを遺憾ゐかんとす、とふ、贅澤ぜいたくなのもあるけれども、なに青天井あをてんじやう、いや、したゝ青葉あをばしづくなかなる廊下らうかつゞきだとおもへば、わたつてとほはしにも、かはにも
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
櫻山さくらやま夏鶯なつうぐひすれつゝ、岩殿寺いはとのでら青葉あをば目白めじろく。なつかしや御堂みだう松翠しようすゐ愈々いよ/\ふかく、鳴鶴なきつるさきなみあをくして、新宿しんじゆくはまうすものゆきく。そよ/\とかぜわたところ日盛ひざかりもかはづこゑたからかなり。
松翠深く蒼浪遥けき逗子より (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
景色けしきなかを、しばらくして、もんやなぎくゞり、帳場ちやうばらつしやい——をよこいて、ふか中庭なかには青葉あをばくゞつて、べつにはなれにかまへた奧玄關おくげんくわんくるまいた。旅館りよくわん合羽屋かつぱやもおもしろい。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
對岸たいがん(——はしわたつてくるまはら宿しゆくうら眞正面ましやうめんさかのぼる——)に五層ごそう七層しちそうつらねたなかに、一所ひとところむねむねとのたか切目きれめに、もみけやきか、おほいなる古木こぼく青葉あをばいて、こずゑから兩方りやうはうむねにかゝり
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
青葉あをばしげみをてらすのをさへたのである。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)