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鍛
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きた
ふりがな文庫
“
鍛
(
きた
)” の例文
一
(
いっ
)
たい、おまえは私に似て情熱家肌の純情屋さんなのに、よくも、そこを
矯
(
た
)
め
堪
(
こら
)
えて、現実に生きる歩調に性情を
鍛
(
きた
)
え直そうとした。
巴里のむす子へ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
フイリツプはプロレタリア的魂の外にも
鍛
(
きた
)
へこんだ手腕を具へてゐる。するとどう云ふ芸術家も完成を目ざして進まなければならぬ。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
亭主の天童太郎は四十前後の立派な男で、背は低い方ですが、顏立ちも精悍で、筋骨の
逞
(
たく
)
ましさは、さすがに多年の
鍛
(
きた
)
へを思はせます。
銭形平次捕物控:265 美しき鎌いたち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
早速、近郷の
鍛冶工
(
かじこう
)
をよんできて、張飛は、一丈何尺という
蛇矛
(
じゃぼこ
)
を
鍛
(
う
)
ってくれと注文し、関羽は重さ何十斤という
偃月刀
(
えんげつとう
)
を
鍛
(
きた
)
えさせた。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
些細
(
ささい
)
な事にはこだはつてはゐられない、荒波のしぶきに
鍛
(
きた
)
へられて、ゆき子は大胆ににじり寄つて行つて、富岡の膝小僧にあごをすゑた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
其處では勇氣が證される。精力が振はれる、そして
不屈
(
ふくつ
)
の精神が
鍛
(
きた
)
へられる。この
煖爐
(
だんろ
)
の側では、元氣な子供が彼に
優
(
まさ
)
るのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
さすがに商魂で
鍛
(
きた
)
え上げたような矢部も、こいつはまだ出くわさなかった手だぞと思うらしく、ふと行き詰まって思案顔をする瞬間もあった。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
戦は
潮
(
うしお
)
の河に上る如く次第に近付いて来る。鉄を打つ音、
鋼
(
はがね
)
を
鍛
(
きた
)
える響、
槌
(
つち
)
の音、やすりの響は絶えず中庭の一隅に聞える。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
テープと見えたのは、それ丈けの長さに
鍛
(
きた
)
えさせた鋼鉄の
剣
(
つるぎ
)
であった。それに白い塗料を塗って、遠目に布のテープと見せかけてあったのだ。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
かくの如き悲痛を経過して、魂は熱火に
鍛
(
きた
)
われて、次第に神とその真理とに近づくのである。これ心霊実験上の事実である。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
だが金物を
鍛
(
きた
)
える頑丈な体の持主ではなかった。それだけにまたその代りに神経がよく働くのかも知れない。どの品にもぼんやりした所がない。
思い出す職人
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
貧
(
ひん
)
と心の惱みとに
鍛
(
きた
)
へぬかれた今(まだ
全
(
まつた
)
くはぬけ切らぬけれども)やうやくある
落着
(
おちつ
)
きが私の心に
芽
(
め
)
を出しかけました。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
ところで、男というものは、一片の鉄を
鍛
(
きた
)
えるにしてからが、人と違った働きをしてみせなけりゃあ、
生甲斐
(
いきがい
)
が
無
(
ね
)
えのだ。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あゝ兄弟よ、わが汝にさししめす者は(前なる一の靈を指ざし)我よりもよくその
國語
(
くにことば
)
を
鍛
(
きた
)
へし者なり 一一五—一一七
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
岳武穆
(
がくぶぼく
)
や陸宣公に
鍛
(
きた
)
えられていた上に、ヘルチェンやビェリンスキーの自由思想に傾倒して意気
欝勃
(
うつぼつ
)
としていたから
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
それは多分朝倉先生のご感化だと思いますが、しかし、今度の事件で、実際問題にぶっつかって
鍛
(
きた
)
えられたということが非常によかったと思います。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「
私
(
わたし
)
が
上
(
あ
)
がります。」と、
少年
(
しょうねん
)
はいいました。
軽業
(
かるわざ
)
をしていた、
鍛
(
きた
)
えられた
体
(
からだ
)
は、やすやすと
崖
(
がけ
)
を
登
(
のぼ
)
って、
隠
(
かく
)
してあった、
宝物
(
たからもの
)
の
包
(
つつ
)
みを
持
(
も
)
ってきました。
サーカスの少年
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その
答者
(
こたえて
)
は即ち二十年間雪中
通夜
(
つや
)
の問答の苦しみを積み重ね
鍛
(
きた
)
え来ったところの、いわゆる問答的学問をその時に発表して大いに三大学の間に名声を
轟
(
とどろか
)
し
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
さすがは海軍軍人として、ながい間
鍛
(
きた
)
えてきただけのことはあって、誰よりも早くわれにかえったのである。
宇宙戦隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
更にまた出来ることなら外界を少しでも自分の手の下で
鍛
(
きた
)
え直して見たいというような気持になっている。
鏡心灯語 抄
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
おゝ、ヂュリエット、
卿
(
おまひ
)
の
艶麗
(
あてやか
)
さが
俺
(
おれ
)
を
柔弱
(
にうじゃく
)
にならせて、
日頃
(
ひごろ
)
鍛
(
きた
)
うておいた
勇氣
(
ゆうき
)
の
鋒
(
きっさき
)
が
鈍
(
にぶ
)
ってしまうた。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
つづいて
神戸
(
こうべ
)
の造船所ではたらいている正が、これはいかにも労働者らしく
鍛
(
きた
)
えられた
面魂
(
つらだましい
)
ながら、人のよい笑顔で頭をさげ、きまりわるげに耳のうしろをかいた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
鍛冶
(
かじ
)
を業とする者は家毎に
甲冑
(
かっちゅう
)
、刀槍を
鍛
(
きた
)
え、武器商う店には古き武器を
累
(
かさ
)
ねてその価平時に倍せり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「昨日も、今日も、ただ水の上に、陽が
暮
(
く
)
れて行った」と日記に書く、気の弱いぼくが、それも一人だけの、
新人
(
フレッシュマン
)
として、
逞
(
たくま
)
しい先輩達に
伍
(
ご
)
し、
鍛
(
きた
)
えられていたのですから
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
酒色に酖ると見えしも、木村氏の前をかく
繕
(
つく
)
いしのみにて、夜な夜な撃剣のわざを
鍛
(
きた
)
いぬ。任所にては一瀬を打つべき
隙
(
ひま
)
なかりしかば、
随
(
したが
)
いて東京に出で、さて望を
遂
(
と
)
げぬ。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
新喜楽の老婆の体のこなし方の好さから、多年
鍛
(
きた
)
われて来たその意気の強さまでが、さながらに、鴎外の魂が乗り移ってでもいるように、あの短い描写の中でまざまざと見える。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
ここに
前
(
さき
)
の
夫
(
つま
)
の
一一九
二
(
ふた
)
つなき
宝
(
たから
)
にめで給ふ
一二〇
帯
(
おび
)
あり。これ常に
帯
(
は
)
かせ給へとてあたふるを見れば、
金銀
(
きがねしろがね
)
を飾りたる
太刀
(
たち
)
の、
一二一
あやしきまで
鍛
(
きた
)
うたる古代の物なりける。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
しかし誰でも、これらの伝説を、自分の頭の中で
鍛
(
きた
)
え直してみようとすれば、それらが実に、すべての一時的な形式や事情から独立したものであるということに気がつくであろう。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
刀剣については相当の鑑定眼を持っている彼も、兜についてはなんにも判らなかったが、それが可なりに古い物で、鉢の
鍛
(
きた
)
えも決して悪くないということだけは容易に判断された。
兜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
花
(
はな
)
に
吹
(
ふ
)
く
嵐
(
あらし
)
のおそろしき
心
(
こゝ
)
ろも
我
(
わ
)
れ
知
(
し
)
らず
起
(
おこ
)
らんにや、
許
(
ゆ
)
るさせたまへとて
戀
(
こひ
)
なればこそ
忠義
(
ちうぎ
)
に
鍛
(
きた
)
へし、六
尺
(
しやく
)
の
大男
(
おほおとこ
)
が
身
(
み
)
をふるはせて
打泣
(
うちなき
)
し、
姿
(
すがた
)
おもへば
扨
(
さて
)
も
罪
(
つみ
)
ふかし、
六歳
(
ろくさい
)
のむかし
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
このまま
引
(
ひ
)
いてしまったら、
折角
(
せっかく
)
鍛
(
きた
)
えたおのが
芸
(
げい
)
を、
根
(
ね
)
こそぎ
棄
(
す
)
てなければならぬ
悲
(
かな
)
しさ。それゆえ、
秋
(
あき
)
の
野
(
の
)
に
鳴
(
な
)
く
虫
(
むし
)
にも
劣
(
おと
)
る、はかない
月日
(
つきひ
)
を
過
(
す
)
ごして
来
(
き
)
たが、……おせんちゃん。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
温い家庭の内に育つて、それほど生活の方の
苦痛
(
くるしみ
)
も知らずに
済
(
す
)
む人もあれば、又、貴方のやうに、若い時から
艱難
(
かんなん
)
して、其
風波
(
なみかぜ
)
に
搓
(
も
)
まれて居るなかで、自然と性質を
鍛
(
きた
)
へる人もある。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
御存
(
ごぞん
)
じの
方
(
かた
)
は、
武生
(
たけふ
)
と
言
(
い
)
へば、あゝ、
水
(
みづ
)
のきれいな
處
(
ところ
)
かと
言
(
い
)
はれます——
此
(
こ
)
の
水
(
みづ
)
が
鐘
(
かね
)
を
鍛
(
きた
)
へるのに
適
(
てき
)
するさうで、
釜
(
かま
)
、
鍋
(
なべ
)
、
庖丁
(
はうてう
)
、
一切
(
いつさい
)
の
名産
(
めいさん
)
——
其
(
そ
)
の
昔
(
むかし
)
は、
聞
(
きこ
)
えた
刀鍛冶
(
かたなかぢ
)
も
住
(
す
)
みました。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
鍛
(
きた
)
えが
宜
(
よろ
)
しいから、ジョキリと
一鋏
(
ひとはさみ
)
で
剪
(
き
)
れるが、下手な人のこしらえた鋏で剪ると、バラ/\に先が
散
(
ちら
)
ばって幾度こいても
揃
(
そろ
)
いませんから、また剪ると額の処へ
細
(
こまッ
)
かい毛がはら/\落ちて
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そこに、何の
焼刃
(
やいば
)
のみだれか、一ぽん女の毛が纏わりついたと見える
鍛
(
きた
)
え
疵
(
きず
)
。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
或
(
ある
)
日
(
ひ
)
彼
(
かれ
)
は
木
(
き
)
の
株
(
かぶ
)
へ
唐鍬
(
たうぐは
)
を
強
(
つよ
)
く
打込
(
うちこ
)
んでぐつとこじ
扛
(
あ
)
げようとした
時
(
とき
)
鍛
(
きた
)
へのいゝ
刃
(
は
)
と
白橿
(
しらかし
)
の
柄
(
え
)
とは
強
(
つよ
)
かつたのでどうもなかつたが、
鐵
(
てつ
)
の
楔
(
くさび
)
で
柄
(
え
)
の
先
(
さき
)
を
締
(
し
)
めた
其
(
そ
)
の
唐鍬
(
たうぐは
)
の四
角
(
かく
)
な
穴
(
あな
)
の
處
(
ところ
)
が
俄
(
にはか
)
に
緩
(
ゆる
)
んだ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
心臓か、命か? もっとも、釣針は、良く
鍛
(
きた
)
えた
鋼
(
はがね
)
でできている。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
お
前
(
まへ
)
の
怒
(
いか
)
りを
蒙古
(
まうこ
)
の
嵐
(
あらし
)
に
鍛
(
きた
)
え、
鞍山
(
あんざん
)
の
溶鉱炉
(
ようこうろ
)
に
溶
(
と
)
かし
込
(
こ
)
め!
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
鞭索
(
べんさく
)
の
苦行
(
くぎやう
)
に身を
鍛
(
きた
)
へた
楡
(
にれ
)
の木よ、わたしの悲しい心の
悦
(
よろこび
)
。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
大勢にて追取卷
組
(
くん
)
づ
解
(
ほぐ
)
れつ戰ふ有樣善か惡かは分らね共若者の
働
(
はたら
)
き
凡人
(
ぼんじん
)
ならず天晴の手練かなと感じ
乍
(
なが
)
らに見て居たるに今
大勢
(
おほぜい
)
の雲助に
叩
(
たゝ
)
き
伏
(
ふせ
)
られ已に一命も危く見ゆる
故
(
ゆゑ
)
彼
(
かの
)
武士は立上り何は
兎
(
とも
)
あれ惜き若者見殺しにするも
情
(
なさけ
)
なし
率
(
いざ
)
助
(
たす
)
けて呉んと
鍛
(
きた
)
え上たる
鐵
(
てつ
)
の
禪杖
(
ぜんぢやう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
梅雪入道は、もう
眉
(
まゆ
)
にも
霜
(
しも
)
のみえる老年、しかし、千軍万馬を
疾駆
(
しっく
)
して、
鍛
(
きた
)
えあげた骨ぶしだけは、たしかにどこかちがっている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを合圖に右から出て來たのは、一座の太夫玉川權之助、三十前後のこれは小作りではあるが、鐵で
鍛
(
きた
)
へたやうな男でした。
銭形平次捕物控:210 飛ぶ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
内新好
(
ないしんかう
)
が『
一目
(
ひとめ
)
土堤
(
づゝみ
)
』に
穿
(
ゑぐ
)
りし
通
(
つう
)
仕込
(
じこみ
)
の
御
(
おん
)
作者
(
さくしや
)
様方
(
さまがた
)
一連
(
いちれん
)
を云ふなれば、其
職分
(
しよくぶん
)
の
更
(
さら
)
に
重
(
おも
)
くして
且
(
か
)
つ
尊
(
たふと
)
きは
豈
(
あ
)
に
夫
(
か
)
の
扇子
(
せんす
)
で
前額
(
ひたひ
)
を
鍛
(
きた
)
へる
野
(
の
)
幇間
(
だいこ
)
の
比
(
ひ
)
ならんや。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
いつぞや大菩薩峠の上で
生胴
(
いきどう
)
を
試
(
ため
)
してその
切味
(
きれあじ
)
に覚えのある武蔵太郎安国の
鍛
(
きた
)
えた
業物
(
わざもの
)
を横たえて、門弟下男ら
都合
(
つごう
)
三人を引きつれて、いざ
出立
(
しゅったつ
)
の
間際
(
まぎわ
)
へ
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ただ一つの
機械
(
きかい
)
にはされなかったので、
鉄
(
てつ
)
と
銀
(
ぎん
)
とで、できた
一筋
(
ひとすじ
)
の
線
(
せん
)
は、この
音楽家
(
おんがくか
)
の
手
(
て
)
で
鍛
(
きた
)
えられるよりは、ほかに、だれも
造
(
つく
)
ることができなかったからです。
楽器の生命
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
だから僕が
先刻
(
さっき
)
から云うんだ、実地を踏んで
鍛
(
きた
)
え上げない人間は、
木偶
(
でく
)
の
坊
(
ぼう
)
と
同
(
おん
)
なじ事だって
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ぼく弱すぎるんだ。自信がなくなったんだ。だから、もっと自分を
鍛
(
きた
)
えてみたいんだ。」
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
蒔絵
(
まきゑ
)
を造り、陶器を作り、又刀剣をも
鍛
(
きた
)
へた。私は此人が政治の上に発揮することの出来なかつた精力を、芸術の方面に傾注したのを面白く思ふ。面白いのはこゝに
止
(
とゞ
)
まらない。
椙原品
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
公案で思想を
鍛
(
きた
)
えて、さて
現成
(
げんじょう
)
させる絶対境は要するに抽象世界である。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
仁右衛門は
息気
(
いき
)
を殺して出て来る人々を
窺
(
うか
)
がった。場主が帳場と一緒に、後から笠井に
傘
(
かさ
)
をさしかけさせて出て行った。労働で若年の肉を
鍛
(
きた
)
えたらしい
頑丈
(
がんじょう
)
な場主の姿は、
何所
(
どこ
)
か人を
憚
(
はば
)
からした。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
鍛
常用漢字
中学
部首:⾦
17画
“鍛”を含む語句
鍛冶
鍛冶町
鍛工
鍛工場
鍛冶工
鍛冶屋
鍛錬
刀鍛冶
小鍛冶
鍛冶場
神田鍛冶町
鍬鍛冶
鍛冶屋町
鍛冶屋派
鍛刀
鍛冶橋
鍛練
不鍛錬
野鍛冶
鍛鉄
...