頭巾づきん)” の例文
なくてはならざる匂袋、これを忘れてなるものか。頭巾づきんかぶつて肩掛を懸ける、雨の降る日は道行合羽みちゆきがつぱじやの目のからかさをさすなるべし。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
此返事このへんじいて、むつとはらつた。頭巾づきんした剥出むきだして、血色けつしよく頸元えりもとかゝるとむかう後退あとすざりもしない。またいてた。
取建四方の道筋みちすぢへは與力同心等晝夜出役して往來わうらいの旅人うま駕籠かご乘打のりうちを禁じ頭巾づきん頬冠ほゝかぶりをも制し嚴重に警固せり天一坊方にては此樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
是等これらの隆まりにて界されたる中に兩眼りやうがんと鼻と口との存するを見れば、土偶は頭巾づきんの前部より面のあらはれたる形につくられ有るが如し。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
夕暮ゆふぐれうすくらきにまよこゝろもかきくらされてなにいひれんのすきよりさしのぞ家内かないのいたましさよ頭巾づきん肩掛かたかけはつゝめど
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
翌日あくるひ手伝の娘を一人附けて呉れた。矢張やつぱりミハイロ同様な貧乏人で、古ぼけた頭巾づきんに穴のいた腰巻に、襯衣しやつと、それで身上しんしやう有りツたけだといふ。
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
よく肥つた丸顏、血色があざやかで、眉が太くて、眼の大きいところは、いかにも大黒頭巾づきんの似合ひさうな人柄です。
井上が廣小路の邸を尋ねて、一間に通つた時、頭巾づきんを被つて爐に當つてゐた利章は顏を上げて、「御出御苦勞に存ずる」と、居直りもせずに挨拶した。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
寺法なりとて近くる事をゆるさず、閉眼めをとぢしわありてねふりたるが如し。頭巾づきん法衣ころもはむかしのまゝにはあらざるなるべし。是、他国には聞ざる越後の一奇跡きせきなり。
鉄色縮緬てついろちりめん頭巾づきんえりに巻きたる五十路いそぢに近きいやしからぬ婦人を載せたるが、南のかたより芝飯倉通しばいいぐらとおりに来かかりぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
室内しつないには螺旋ねぢゆかめられた寐臺ねだい數脚すうきやく其上そのうへにはあを病院服びやうゐんふくて、昔風むかしふう頭巾づきんかぶつてゐる患者等くわんじやらすわつたり、たりして、これみんな瘋癲患者ふうてんくわんじやなのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
成程なるほど、そこで寿老神じゆらうじんは。甲「安田善次郎君やすだぜんじらうくんよ、茶があるからおつな頭巾づきんかむつて、庭をつゑなどをいて歩いてところは、まる寿老人じゆらうじんさうがあります。乙「シテ福禄寿ふくろくじゆは。 ...
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
すつぽりと頭巾づきんをかぶり、そこにすわつて何やら深い思案にふけつてゐるやうなふうをしました。
虹猫の話 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
就中なかんづくドナテロのダ※ツドのなさけもあり勇気も智慧もある微笑びせうの立像に心を惹かされた。又有名なダンテの肖像をも壁画の中に仰ぎ見た。ダンテは頭巾づきん上衣うはぎも共に赤かつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
しかし東京の大火の煙は田端たばたの空さへにごらせてゐる。野口君もけふは元禄袖げんろくそでしやの羽織などは着用してゐない。なんだか火事頭巾づきんの如きものに雲龍うんりゆうさしと云ふ出立いでたちである。
「へえ」勘次かんじきふひざなほした。おもて戸口とぐちへひよつこりあらはれた巡査じゆんさの、外套ぐわいたう頭巾づきんふかかぶつてかほ勘次かんじにはたゞおそろしくえた。さうしてこゑとげふくんでひゞいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
われはこの観念を以て我文学を愛す。富嶽を以て女性の山とせば、我文学も恐らく女性文学なるべし。雪の衣をかつぎ、白雲の頭巾づきんを冠りたる恒久の佳人、われはその玉容をたのしむ。
富嶽の詩神を思ふ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
「いや、その検査官かも知れませんよ、私が橋場から戻る途中で、せいの高いねずみ色の毛糸の頭巾づきんを被って、黒いオーバアを着た老人技師風の人たちや何かと十五六人に会ったんです。」
化物丁場 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
白い頭巾づきんや白い長衣が日にあたつて右往左往するのが美しいと云ひました。
亜剌比亜人エルアフイ (新字旧仮名) / 犬養健(著)
罌粟色けしいろ薔薇ばらの花、藥局やくきよくの花、あやしい媚藥びやくを呑んだ時の夢心地、にせ方士はうしかぶ頭巾づきんのやうな薄紅うすあかい花、罌粟色けしいろ薔薇ばらの花、馬鹿者どもの手がおまへの下衣したぎひださはつてふるへることもある
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
何時も黒い頭巾づきんをかぶつた尼僧あまの影
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
頭巾づきん手拭てぬぐひ、扇子、手毬てまり、おはじき
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
さゝめこと頭巾づきんにかつく羽折はをりかな
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
へいのかげからあを頭巾づきん
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
そして頭巾づきんを取つた。
三角頭巾づきんの尼すがた。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
むさらき頭巾づきん
歌時計:童謡集 (旧字旧仮名) / 水谷まさる(著)
時に後ろの方に當り生者必滅しやうじやひつめつ會者定離ゑしやじやうり嗚呼あゝ皆是前世ぜんせ因縁いんえん果報くわはう南無阿彌陀佛と唱ふる聲に安五郎は振返ふりかへり見れば墨染すみぞめの衣に木綿もめん頭巾づきん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此考このかんがへにして誤無からんか、是等これらの覆面は氣候の寒冷をしめすものにして前項記載の頭巾づきんと能く釣り合を保てるものと云ふべし。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
他愛たわいなくかしらさがつたとふのは、中年ちうねん一個いつこ美髯びぜん紳士しんしまゆにおのづから品位ひんゐのあるのが、寶石はうせきちりばめたあゐ頭巾づきんで、悠然いうぜんあごひげしごいてた。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「やア、隨分あるな。それだけありや、馬だつて殺してやるぜ、——錢をくれた人かい、顏は判らなかつたよ。この暑いのに、頭巾づきんかぶつた侍だつたよ」
寺法なりとて近くる事をゆるさず、閉眼めをとぢしわありてねふりたるが如し。頭巾づきん法衣ころもはむかしのまゝにはあらざるなるべし。是、他国には聞ざる越後の一奇跡きせきなり。
ひくくしてしづかにくる座敷ざしきうちこれは如何いか頭巾づきんえざりしおもて肩掛かたかけにつゝみしいまあきらかにあらはれぬ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ハヾトフは此時このとき少計すこしばかけて室内しつないのぞいた。イワン、デミトリチは頭巾づきんかぶつて、めう眼付めつきをしたり、ふるへあがつたり、神經的しんけいてき病院服びやうゐんふくまへはしたりしてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あたしの申上まをしあげること合点がてんなさりたくば、まづ、ひとつかういふこと御承知ごしようちねがひたい。しろ頭巾づきんあたまつゝんで、かた木札きふだをかた、かた、いはせるやつめで御座ござるぞ。かほいまどんなだからぬ。
近所きんじよ女房等にようばうらは一たん晒木綿さらしもめん半分はんぶんきつてそれでかたばかりのみじか經帷子きやうかたびら死相しさうかく頭巾づきんとふんごみとをつてそれをせた。ふんごみはたゞかくにして足袋たびかはり爪先つまさき穿かせるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
此の夏休み中で、一番面白かったのは、おぢいさんと一緒に上の原へ仔馬を連れに行ったのと、もう一つはどうしても剣舞けんばひだ。鶏の黒い尾を飾った頭巾づきんをかぶり、あの昔からの赤い陣羽織を着た。
種山ヶ原 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
山百合やまゆりのマルタゴン、葡萄色えびいろ頭巾づきんかぶつてゐる。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
引きかふて耳をあはれむ頭巾づきんかな
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
春雨や身にふる頭巾づきん着たりけり
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
青き頭巾づきんをかぶりたる
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
さして來掛きかゝるを近寄ちかよりればまがふ方なき千太郎成ければ是はと思ひし久八よりも千太郎は殊更ことさら驚怖おどろきしが頭巾づきん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
めかけにちよつかいを出す男なんか、相手にするわけはありません。でも、太つ腹で、働き者で、大した旦那でしたよ。身體の弱いのが玉にきずで、いつでも頭巾づきん
車上しやじやうひと肩掛かたかけふかひきあげて人目ひとめゆるは頭巾づきんいろ肩掛かたかけ派手模樣はでもやうのみ、くるま如法によほふぐるまなり母衣ほろゆきふせぐにらねば、洋傘かうもりから前面ぜんめんおほひてくこと幾町いくちやう
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
雖然けれども襦袢じゆばんばかりに羽織はおりけてたびをすべき所説いはれはない。……駈落かけおちおもふ、が、頭巾づきんかぶらぬ。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かれまちまはるに病院服びやうゐんふくまゝめう頭巾づきんかぶり、上靴うはぐつ穿いてるときもあり、あるひ跣足はだしでヅボンした穿かずにあるいてゐるときもある。さうしてひとかどや、店前みせさきつては一せんづつをふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
第一、第二、第三の頸部には一二條のせんめぐらしたり。こは頭巾づきんと上着とあひ連續れんぞくする部分をばひもにて括りたる状ならん。是等三個の面部左右兩端めんぶさいうりやうはしには前後に貫通くわんつうする小孔各一個有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
又まづしきものゝわらべらは五七人十人たうをなし、茜木綿あかねもめん頭巾づきんにあさぎのへりをとりたるをかむり、かの斗棒とぼうを一本さし、かのふた神を柳こりに入れて首にかけ〽さいの神くわんじん
春雨や身にふる頭巾づきんたりけり
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
夜の頭巾づきんは とりの黒尾
種山ヶ原 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)