物置ものおき)” の例文
物置ものおきにしようか、あすこは、くらくて、かぜがよくとおらないし。」と、かんがえているところへ、学校がっこう約束やくそくした、戸田とだがやってきました。
芽は伸びる (新字新仮名) / 小川未明(著)
はいあがってよく見れば、なんのこと、それは農家のうか物置ものおきだった。その農家の物置は、刑務所から道路をへだてた場所に建っていた。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのときはもう、うらにまわった透明人間が、物置ものおきからさがしだした手斧ておので、ガンガン、台所だいどころのドアをたたきこわしてるところだった。
老人ろうじんはいいわけをしてあやまりました。そして、仔牛こうしはあずかっておくことにして、下男げなん物置ものおきほうへつれていかせました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
と、ひとごとをいいながら、馬吉うまきちはそっとがっていきますと、そこはそれでも二階家かいやで、上は物置ものおきのようになっていました。
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
勝った獲物を二抱ふたかかえ三抱みかかえも、物置ものおきすみにしまっておいて、風呂ふろのしたにかれてがっかりした記憶も自分にはある。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
狐狸こり棲家すみかふのだ、相馬さうま古御所ふるごしよ、いや/\、さけえんのあるところ酒顛童子しゆてんどうじ物置ものおきです、これは……」
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さうして今朝けさはや刑事けいじはなしをしはじめた。刑事けいじ判定はんていによると、ぞくよひから邸内ていないしのんで、なんでも物置ものおきかなぞにかくれてゐたにちがひない。這入口はいりくち矢張やは勝手かつてである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
よく見ると、この家は、小さな百姓家ひゃくしょうやではありませんでした。母屋おもやをはじめ、牛小屋や馬小屋があるばかりでなく、乾燥場かんそうばや、穀物倉こくもつぐらや、物置ものおきなどもならんでいました。
たく物置ものおきかつ自分じぶんもちあるいた畫板ゑばんつたのつけ、同時どうじ志村しむらのことをおもひだしたので、早速さつそくひといてると、おどろくまいことか、かれは十七のとし病死びやうししたとのことである。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いつも物置ものおきうしろの、きたな小舎こやなかにばかりゐたぶたが、荷車くるまにのせられました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
第一の必要が高燥で日当りの好い土地ですから物置ものおき檐下のきしたで南向きの処を択べばそれで沢山です、先ず其処そこを一坪竹矢来たけやらいかこいます。一坪なくとも奥行四、五尺位でも構いません。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
幸吉こうきちは、またかわいそうに、自分じぶん平常いつもジャックをかわいがってやるものだから、たすけてくれるとおもって、うち物置ものおきにきてかくれたのだ。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うらには敷居しきゐくさつた物置ものおきからまゝがらんとつてゐるうしろに、となり竹藪たけやぶ便所べんじよ出入ではひりにのぞまれた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そこで、小人はすぐさま物置ものおきのほうへかけていって、ぼうを持ってくると、かごにかけ、ちょうど水夫すいふ帆綱ほづなをよじのぼるようなぐあいに、スルスルとよじのぼっていきました。
軌道レール直角ちよくかく細長ほそなが茅葺くさぶき農家のうかが一けんあるうらやまはたけつゞいてるらしい。いへまへ廣庭ひろにはむぎなどをところだらう、廣庭ひろにはきあたりに物置ものおきらしい屋根やねひく茅屋くさやがある。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
山姥やまうば井戸いどのそこをのぞいてみましたが、とても手がとどかないので、くやしがって、物置ものおきからかまをさがしてて、ももの木のびんつけをけずとして、あたらしくがたをつけはじめました。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
どこの物置ものおきでも馬小屋のすみでもよいのでございますから後生ごしょうでございます。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まだあの子供こどもがどこかにかくれているかもれないというので、盗人ぬすびとたちは、みみずのいている辻堂つじどうえんしたかきうえや、物置ものおきなかや、いいにおいのする蜜柑みかんのかげをさがしてみたのでした。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
かれは、つかればしかられるということをほのめかしたのでした。それから、物置ものおきけて、なかから、からの一しょうびんをしました。
真昼のお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
物置ものおきよこけた張板はりいた中途ちうとから、ほそくびを前へして、こゞみながら、苦茶くちや々々になつたものを丹念に引きばしつゝあつた手をめて、代助をた。一寸ちよつとなんとも云はなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
何処どこ物置ものおきでも馬小屋うまごやすみでもいのでございますから後生ごしやうでございます。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こちらの物置ものおきうしろから見ていたごんは、そう思いました。
ごん狐 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
かあさんは、昨夜さくや物置ものおきまえに、りざおが一ぽんてかけてあり、そのしたに、ちいさなバケツとみみずばこが、いてあるのをごらんになって
お母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
見透みとほしうら小庭こにはもなく、すぐ隣屋となり物置ものおきで、此處こゝにも犇々ひし/\材木ざいもく建重たてかさねてあるから、薄暗うすぐらなかに、鮮麗あざやかその淺黄あさぎ手絡てがら片頬かたほしろいのとが、拭込ふきこむだはしらうつつて、トると露草つゆぐさいたやうで
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「なんで物置ものおきなかはいったのだろうな。」と、幸吉こうきちは、あのとしっていてもりこうで、敏捷びんしょういぬがと不思議ふしぎおもいました。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
見透みとおしの裏は小庭こにわもなく、すぐ隣屋となり物置ものおきで、此処ここにも犇々ひしひしと材木が建重たてかさねてあるから、薄暗い中に、鮮麗あざやかなその浅黄の手絡と片頬かたほの白いのとが、拭込ふきこんだ柱に映って、ト見ると露草つゆぐさが咲いたようで
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ははねこは、子供こどもをあるいえやぶれた物置ものおきのすみへとしました。ここで幾日いくにちごすうちに、ねこは、やっとえるようになりました。
どこかに生きながら (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、じゅうちゃんはいえかえると、物置ものおきから、あいているにわとりかごをして、きれいにそうじしました。それから、ひとりではやしほうへといきました。
高い木とからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
もんそとで、チリリンとらしたベルは、しん一が、物置ものおきから自転車じてんしゃして、いまっていったのでありました。
火事 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるとき、そのいぬが、どこかの物置ものおき子供こどもむと、そのいえひとたちは、みんなそのかわながしてしまいました。
野菊の花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるのことです。賢二けんじが、ふとお勝手かってからそとると、物置ものおきかげのところで、きよがあちらをいて、手紙てがみみながら、ときどきをふいていました。
北風にたこは上がる (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ジャックのやつ、うまく物置ものおきれてめてしまった。いまに犬殺いぬころしがきたらわたしてくれるのだ。」といいました。幸吉こうきちは、これをきくと、どきっとしました。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、ここも安住あんじゅう場所ばしょでなかったのは、とつぜん物置ものおきへきた主人しゅじんつけて、おおいにいか
どこかに生きながら (新字新仮名) / 小川未明(著)
物置ものおきなかには、これらの品物しなものがつまれていました。三にんは、きゅうくつそうに、からだをおしあって、かたすみにかくれて、かわるがわるふしあなからはらっぱのほうをながめていました。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
かねさんは、よろこんで、半分はんぶんのござをもらって、物置ものおきなかへしまっておきました。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
物置ものおきけてごらんなさい、マンドリンがあるから。そのふるいマンドリンをらして、おまえがくと、よくうたなどをうたってあやしたものだ……。」と、おかあさんは、いわれました。
愛は不思議なもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ジョン。」と、このとき、三にんは、さきをあらそって、物置ものおきからとびしました。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
「みつがこわがるから、はこにれて、物置ものおきうちにでもおおきなさい。」
正ちゃんとおかいこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
あちらにある物置ものおき軒端のきばへ、すずめがつくるとみえ、たえず往来おうらいしていたが、んでくるすずめは、わらくずや、いときれのようなものをべていて、かれらは、壁板かべいたこわれたあなから、たり
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
せいちゃん、こんなところに、おかいこをいては、かわいそうじゃありませんか。かぜとおすずしいところがいいではありませんか。」と、物置ものおきへはいって、石炭せきたんしていられたおかあさんが
芽は伸びる (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あすこへはがれませんね。しかたがないから、物置ものおき軒下のきしたへでも小使こづかいさんにたのんでれてもらうのだ。そうすれば、おやすずめがきて、世話せわをするでしょう。」と、先生せんせいは、おっしゃいました。
眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あ、またんだ。」と、しょうちゃんは、物置ものおきでさけびました。
正ちゃんとおかいこ (新字新仮名) / 小川未明(著)