そゝ)” の例文
わが潔白なる心、敬愛の情は、一言の奬勵、一顧の恩惠を以て雨露となしゝに、人々は却りて毒水をそゝぎてこれを槁枯かうこせしめしなり。
このなかを、れてんだあを銀杏いてふ一枝ひとえだが、ざぶり/\とあめそゝいで、波状はじやうちうかたちは、流言りうげんおにつきものがしたやうに
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あんずるに、むこに水をそゝぐ事は、男の阳火やうくわに女のいんの水をあぶせて子をあらしむるの咒事まじなひにて、つまの火をとむるといふ祝事しゆくじ也。
焚火の赤い光が、燃える油をそゝぐやうに、ドルフの顔と腕とを照して、傍を漂つて来る男の顔にも当つてゐる。
なほらざるとき全身ぜんしん冷水れいすゐそゝぎてそのいたみまつたりしゆゑに、其後そのご頭痛づつうおこごと全身ぜんしん冷水灌漑れいすゐくわんがいおこなひしが、つひ習慣しふくわんとなり、寒中かんちゆうにも冷水灌漑れいすゐくわんがいゆるをたり。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
一本づつ引拔ひきぬき半分禿頭頂はげあたまにしてぢく/\と血の出る處へ太筆ふとふですみくろ/″\と含ませぐる/\と塗廻ぬりまはし夫より鹽水をそゝぎ懸て強くこすこみければ盜人はヒツ/\と聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
花車は手頃の杉の樹をモリ/\/\とねじり切って取直し、満面朱をそゝぎ、掴み殺さんず勢いにて
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
廚女くりやめさらそゝぐとて
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
ひまなくそゝきんなみ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
下り終れば川巾廣く穩かに流れて左右の岸には山吹咲き亂れ鳥うたひ魚躍るはじめは道端のヒヨロ/\流れ末は四面の田地にそゝぐ河となる岩間洩る滴りもあはする時は斯の如し小善とて嫌ふなかれ積めば則ち大善人小惡とてゆるすなかれ積めば即ち大惡人富は屋を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
そのベルナルドオを難ずる詞は、多少我創痍さういそゝぐ藥油となりたれども、アヌンチヤタをおとしむる詞は、わが容易たやすく首肯し難きところなりき。
ならんだ二だいに、あたまからざつとあびせて、のきあめしのつくのが、たてがみたゝいて、轡頭くつわづらたかげた、二とううま鼻柱はなばしらそゝ風情ふぜいだつたのも、たにふかい。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
口へ吹込顏に水をそゝぎなどしければ漸々にして我にかへりホツといきつき乍ら今日こそは伊賀亮を閉口させんと思ひしにかれが器量のすぐれしに却つて予が閉口したれば餘り殘念さに氣絶きぜつしたりと切齒を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
武「水などでそゝいでは水臭い、其んな事をせんでも宜しい」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
だから學校がくかうなまけては不可いけない、したがつてをそはつたことわすれては不可いけない、但馬たじま圓山川まるやまがはそゝぐのも、越後ゑちご信濃川しなのがはそゝぐのも、ふねではおなじうみである。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
銀のかさは次第に大いになりて、金貨さへその間に輝けり。われは喉嚨のどの燃ゆるが如きを覺えたれば、葡萄酒一杯を買ひてこれにそゝぎつ。黄白の山はみる/\我前にそびえたり。
こらへよ、暫時しばし製作せいさくほねけづり、そゝいで、…苦痛くつうつくなはう、とじやうぬまたいして、瞑目めいもくし、振返ふりかへつて、天守てんしゆそらたか両手りやうてかざしてちかつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くるまほろふかくしたが、あめそゝいで、鬱陶うつたうしくはない。兩側りやうがはたか屋並やなみつたとおもふと、立迎たちむかふるやまかげみどりめて、とともにうごいてく。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
全体ぜんたい箱根はこねでも、塩原しほばらでも、あるひ木曾きそ桟橋かけはしでも、実際じつさいにしろ、にせよ、瑠璃るりそゝぎ、水銀すゐぎんなが渓流けいりうを、駕籠かごくるまくのは、樵路せうろ桟道さんだうたかところ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぬまうへはなれるときあみそゝいでちるみづひかり、かすみかゝつたおほき姿見すがたみなかへ、うつすりとをんな姿すがたうつつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くさひらいて、天守てんしゆのぼみち一筋ひとすぢじやうぬまみづそゝいで、野山のやまをかけてながすやうに足許あしもとからうごいてえる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きよらかなるくちつめたきつちあらふをて、やまいもうなぎになる、牛蒡ごばうくて石清水いはしみづそゝがば、あはれ白魚しらうをくわしやせんと、そゞろむねきしが。
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
またで、硝子杯コツプ白雪しらゆきに、鷄卵たまご蛋黄きみかしたのを、甘露かんろそゝぐやうにまされました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
みち大畝おほうねりに、乗上のりあが乗下のりさがつて、やがて、せまり、やまきたり、いはほちかづき、かはそゝいで、やつと砂煙すなけぶりなかけたあたりから、心細こゝろぼそさがまたした。はいまみどりに、ながれしろい。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よこふたつ、つゞいて木造もくざうはし濡色ぬれいろひかつた、これ旅行案内りよかうあんないつた圓山川まるやまがはそゝぐのである。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
水源みなもと岩井沼いはゐぬまおこすとふ、浦川うらかはながれすゑが、ひろつてうみそゝところちかかつた。旅館りよくわんてまだいくほどもないところに——みちそばに、切立きつたてた、けづつた、おほきいはほの、矗々すくつのをた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
如何いかなることがあらうもれずと、ねむつて、行燈あんどうをうしろに差置さしおき、わなゝき/\柄杓ひしやくつて、もれたゆきはらひながら、カチリとあたるみづそゝいで、げるやうにはなしたトタン
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しか刈萱かるかやみのいつしかにつゆしげく、芭蕉ばせをそゝ夜半よはあめ、やがてれてくもしろく、芙蓉ふようひるこほろぎときるとしもあらずやなぎなゝめすだれおどろかせば、夏痩なつやせにうつくしきが、轉寢うたゝねゆめよりめて
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)