よく)” の例文
〔譯〕民のに因つて以て之をげきし、民のよくに因つて以て之をはしらさば、則ち民其の生をわすれて其の死をいたさん。是れ以て一せんす可し。
けれども、おかみさんはまだ満足まんぞくしてはいませんでした。おかみさんはよくかわがつっぱって、どうしてもねむることができません。
現世げんせ夫婦ふうふならあいよくとの二筋ふたすじむすばれるのもむをぬが、一たん肉体にくたいはなれたうえは、すっかりよくからははなれてしまわねばならぬ。
いきなりおみやげのさいそくをされたので、すずめはまあよくふかいおばあさんだとあきれてしまいましたが、おばあさんはへいきなかお
舌切りすずめ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
かなりの早さでんでいくんだ。じっと見つめているうちに、すこしおどろきがおさまると、よくがむらむらっと起こったんだ
金を路傍ろぼう土芥どかいのごとくみなすのはいかにもよくがなくいさぎよく聞こえるが、また丁寧ていねいに考えると金は決しておのれの物ではない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
このものすさまじい景色けしきなかで、二人ふたりおとこは、たがいによくのために、にものぐるいになって、ちをしていました。
お母さんのかんざし (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ほんとうに、銀貨ぎんかだと思うかい?」と、カラスたちは言いました。そして、その目はよくにくらんでキラキラ光りました。
ヴィタリス老人ろうじんはわたしを食べようというよくもなかったし、子どもを買ったが、その人は悪人ではなかった。
げもせずかくられもせず、よくかしらねどぬすみましたと白状はくぜうはしましよ、伯父樣おぢさま同腹ひとつきだけを何處どこまでもべて、かれずば甲斐かひなし其塲そのばしたかみつてんだなら
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
よくのねえおひとだなァ。たれげてごらんなせえ。あれや、あれが水茶屋みずちゃやのおせんだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
しかし子供の数が増加してくるにしたがって、青年の純情じゅんじょうのような気持ちは鈍磨どんましてくる。そして生物学的に、今度の子供は私自身のどの特性を分担ぶんたんして来るだろうかとよくを出してくる。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
以てゆうめんする事上たる人の有ましき事なり第一よくにふけり以の外いやしきおきてなり然らば金銀あるものはわざ惡事あくじなしむつかしき時にはわづか金銀を出せば濟事すむこと也となどたかをくゝり惡事あくじ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「ああ、もうなんのよくとくもない。源様さえ生きていてくだすったら……」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
差覗さしのぞのききずりの垣根越かきねごしくら廂合ひあはひまで、けばみな花壇くわだんがあつて、なかにはわすれたやうな、植棄うゑすてたかとおもふ、なんよくのないのさへえて、いつくしくしづかなは、派手はで大樣おほやうなる紅白こうはく
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひびかふはのろはしきしふよく、ゆめもふくらに
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
意地いじでもよくでも勝たなければならない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「やれやれ、それはひどい目にあったな。だからあんまりむじひなことをしたり、あんまりよくばったりするものではない。」といました。
舌切りすずめ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
無益むえきよくが、かえって人間にんげん不幸ふこうにするのだ。そして、欲深よくふかになったものは、もう二と、まれたときのような、うつくしい気持きもちにはなれないのだ。
船でついた町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
〔譯〕周子しうしせいしゆとす、こゝろ本體ほんたいを守るを謂ふなり。※説づせつに、「よく無し故にせい」と自註じちゆうす、程伯氏ていはくしこれに因つて天よくせつ有り。叔子しゆくしけいする工夫くふうも亦こゝに在り。
よく世間でいうことに、「よく二人ふたりかせぐ」というが、報酬のみを得る考えのものは、二人ふたりかせぐのでなく、いわばよくのみかせいで自分は何もせぬようなものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
そうとすれば、このよくばりくんと急流とのたたかいを、いくばんもいく晩も、うたいつづけることでしょう。
その馬車の横側よこがわひくくなっていて、買い手のよくをそそるように美しく品物がならんでいた。
しかるうちに少々せう/\なりともやかましき財産ざいさんなどのれば、みす/\他人たにんなるれにひきわたすことをしくもるべく、また縁者ゑんじやうちなるよくばりどもたゞにはあらで運動うんだうすることたしかなり
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
よくのふかい王さまは、おおいそぎででかけました。
婦人ふじんこゝろ不仁ふじんよくつね理不盡りふじんたくみなりけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ししむら戦慄わななきを、いや甘きよく疲労つかれを。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
はらがいっぱいになると、もうかれは、だなのなかのものをべたいなどというよくこしませんでした。それよりか、ただ一口ひとくちみずみたかったのです。
ねずみとバケツの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これを和尚おしょうさんにこのままわたしてしまえば、どうせけちんぼでよくばりの和尚おしょうさんのことだから、みんな自分じぶんべてしまって、一つもくれないにきまっている。
和尚さんと小僧 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
南洲及び木戸公等のさく、民のよくに因つて之をはしらしたればなり。是を以て破竹はちくいきほひありたり。
いさめを言うもまたかくの如し。いかなるおろかなる人も、必ずいずくにぞかたはしに道理開けて明らかなる所あり、或いは好む所のよくあり。その所をよく見つけて言い入るれば聞き入れやすし。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
此思このおもつうじさへせば此心このこヽろやすかるべしとねがふはあさし、入立いりたつまヽによくさりて、はてなきものこひなりとかや、さとしはじめての艷書ふみこヽろをいためて、萬一もしりもせばつみれのみならず
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「ああ、きみかい、よくばりくん。」
懶怠をこたりの心のよくのものうげさ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
よくのないせいさんは、かねをためるということをしませんでした。自動車じどうしゃは、だんだんふるくなり、やぶれてきたけれど、あたらしいのをうおかねはなかったのでした。
日月ボール (新字新仮名) / 小川未明(著)
人間にんげんよくにはかぎりがないといいながら、そうそうよくばるのはわるいことだから、今日きょうかぎりおまえ見世物みせものすことはやめて、もとのとおり茂林寺もりんじおさめることにしよう。
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
浮世うきよよくかねあつめて、十五ねんがほどの足掻あがきかたとては、ひとには赤鬼あかをに仇名あだなおほせられて、五十にらぬ生涯しようがいのほどを死灰しくわいのやうにおはりたる、それが餘波なごり幾万金いくまんきんいま玉村恭助たまむらけうすけぬしは
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
よくのつかれか、冷汗ひやあせ
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
なんでもきか、なかなか、きみよくばりだな。しかし、音楽おんがく芸術げいじゅつのうちでも、いちばんむずかしいのだ。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「まあ、そうよくばるものではないよ。これだけいいものがはいっていれば、たくさんではないか。」
舌切りすずめ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
此雜沓このざつとうなかといひれもおもらぬことなれば日暮ひくれよりはにもつまじと思案しあんして、晝間ひるま花屋はなや女房にようぼう手傳てつだはせ、りては自身みづからをりたちよびたつるに、よくなれやいつしかはづかしさもせて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
官能のよく…………
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
いいえ、まだ、この土地とちひらけないからです。それに、そうよくふかいものがいないからです。
船でついた町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いはゞわし福人ふくじん一人ひとり、いづれも柔順おとなしい子供こどもつてそだてるにかゝらずひとにはめられる、分外ぶんぐわいよくさへかわかねば此上このうへのぞみもなし、やれ/\有難ありがたことものがたられる、あの相手あいてさだめし母樣はゝさん
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その主人しゆじんに一ねん馴染なじみりの奉公人ほうこうにん少々せう/\無心むしんかぬとは申されまじ、此月末このつきずゑかきかへをきつきて、をどりの一りやう此處こゝはらへばまたつき延期のべにはなる、くいはゞよくたれど
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)