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棹
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さを
ふりがな文庫
“
棹
(
さを
)” の例文
今にして思へば政海の波浪は
自
(
おのづ
)
から高く自から
卑
(
ひく
)
く、虚名を貪り俗情に
蹤
(
お
)
はるゝの人には
棹
(
さを
)
を
役
(
つか
)
ひ、
橈
(
かい
)
を用ゆるのおもしろみあるべきも
三日幻境
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
舟人の
棹
(
さを
)
を留めたるとき、われは何處に往くべきぞと問ひぬ。舟人は家と家との間を通ずる、橋の側なる
隘
(
せば
)
き
巷
(
こうぢ
)
を指ざし教へつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
この邊りでは滅多に使はない、鐵の石突の着いた
棹
(
さを
)
ですが、その先の
錆
(
さび
)
に交つて、明かに洗ひ殘した血の痕がみえるのでした。
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「こつちなんぞぢや、
後
(
あと
)
幾
(
いく
)
らでも
出來
(
でき
)
らあな」といひながらたどりを
持
(
も
)
つた。
卵
(
たまご
)
が
少
(
すこ
)
し
動
(
うご
)
くと
秤
(
はかり
)
の
棹
(
さを
)
がぐら/\と
落付
(
おちつ
)
かない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
一同出立には及びたり其
行列
(
ぎやうれつ
)
には第一番の
油箪
(
ゆたん
)
掛
(
かけ
)
し長持十三
棹
(
さを
)
何れも
宰領
(
さいりやう
)
二人づつ
附添
(
つきそひ
)
その跡より
萠黄
(
もえぎ
)
純子
(
どんす
)
の油箪白く
葵
(
あふひ
)
の御
紋
(
もん
)
を染出せしを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
武助さんは、
棹
(
さを
)
をあやつりながら、流しめに良寛さんを見てゐた。良寛さんは、へさきに小さくかがまつて、川の
上
(
かみ
)
や
下
(
しも
)
の方を
眺
(
なが
)
めてゐた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
じりツと
棹
(
さを
)
をのばして、
覗
(
ねら
)
つてるのに、
頬白
(
ほゝじろ
)
は
何
(
なん
)
にも
知
(
し
)
らないで、チ、チ、チツチツてツて、おもしろさうに、
何
(
なに
)
かいつてしやべつて
居
(
ゐ
)
ました。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
茄子
(
なすび
)
大根の御用をもつとめける、薄元手を折かへすなれば、折から
直
(
ね
)
の安うて
嵩
(
かさ
)
のある物より外は
棹
(
さを
)
なき舟に乘合の胡瓜、
苞
(
つと
)
に松茸の初物などは持たで
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
平三は
纜
(
ともづな
)
を解いて舟に乗るや否や
艪
(
ろ
)
を取つた。父は
舳
(
へさき
)
の
錨綱
(
いかりづな
)
を放して
棹
(
さを
)
を待つた。艪の
尖
(
さき
)
で一突きつくと、舟がすつと軽く岸を離れた。平三は艪に早緒をかけた。
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
大小長短は作る家の意にまかせ、大なるを以て人に
誇
(
ほこ
)
る。
棹
(
さを
)
の末にひらき扇四ツをよせて扇には家の紋などいろどりゑがく、いろ紙にて作るものゆゑ甚だ
美事
(
みごと
)
なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
六二
さしも伊吹の山風に、
六三
旦妻船
(
あさづまぶね
)
も
漕
(
こ
)
ぎ出づれば、
芦間
(
あしま
)
の夢をさまされ、
六四
矢橋
(
やばせ
)
の
渡
(
わたり
)
する人の
水
(
み
)
なれ
棹
(
さを
)
をのがれては、
六五
瀬田の橋守にいくそたびか追はれぬ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
米国の都市には汽車を渡す大仕掛けの
渡船
(
わたしぶね
)
があるけれど、
竹屋
(
たけや
)
の
渡
(
わた
)
しの如く、
河水
(
かはみづ
)
に
洗出
(
あらひだ
)
された
木目
(
もくめ
)
の美しい
木造
(
きづく
)
りの船、
樫
(
かし
)
の
艪
(
ろ
)
、竹の
棹
(
さを
)
を以てする絵の如き
渡船
(
わたしぶね
)
はない。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
一艘に一人づつ
艫
(
とも
)
に腰かけて、花やかな帶の端を水の上へ垂らし、
兩手
(
りやうて
)
には二本の
棹
(
さを
)
を持つて、水中へさし
込
(
こ
)
んではくる/\廻して引き上げると、藻くが
絡
(
から
)
まつて
上
(
あが
)
つて來る。
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
彼はかういふ瓢箪舟に乗り、彼自身
棹
(
さを
)
を使ひながら、静かに湖の上を渡つて行つた。
仙人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
襖
(
ふすま
)
を
開放
(
あけはな
)
した
茶
(
ちや
)
の
間
(
ま
)
から、
其先
(
そのさき
)
の四
畳半
(
でうはん
)
の
壁際
(
かべぎは
)
に
真新
(
まあたら
)
しい
総桐
(
さうぎり
)
の
箪笥
(
たんす
)
が一
棹
(
さを
)
見
(
み
)
える。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
やがて水を撃つ
棹
(
さを
)
の音がした。舟底は砂の上を滑り始めた。今は二挺
櫓
(
ろ
)
で漕ぎ離れたのである。丑松は隅の方に両足を投出して、独り寂しさうに巻煙草を
燻
(
ふか
)
し
乍
(
なが
)
ら、深い/\思に沈んで居た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
わが通ひ路
棹
(
さを
)
に花ある
沙羅
(
しやら
)
も折れ
沼
(
ぬ
)
じりの家は夕日するかな
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
棹
(
さを
)
とりの矢がすり見たる舟ゆゑに浪も立てかししら蓮の池
恋衣
(新字旧仮名)
/
山川登美子
、
増田雅子
、
与謝野晶子
(著)
細ながき支那の
竹箸
(
たけばし
)
長江
(
ちやうかう
)
の
画舫
(
ぐわはう
)
の
棹
(
さを
)
と思ひつつ採る
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
橋姫の心を
汲
(
く
)
みて高瀬さす
棹
(
さを
)
の
雫
(
しづく
)
に
袖
(
そで
)
ぞ
濡
(
ぬ
)
れぬる
源氏物語:47 橋姫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
しかし、船頭の持つた
棹
(
さを
)
はそこに達しなかつた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
火こそみえけれ、其
棹
(
さを
)
の
閻浮提金
(
えんぶだごん
)
ぞ
隱
(
かく
)
れたる。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
海
(
うみ
)
に
入
(
い
)
れば
扁舟
(
へんしう
)
に
棹
(
さを
)
さすに
似
(
に
)
たり
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
棹
(
さを
)
やらな、
附
(
つ
)
いまゐれ
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
棹
(
さを
)
はちぎりのたがやさん
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
主人が岸へ這ひ上がらうとした時、
豫
(
かね
)
て心得てゐる物置の中から、
石突
(
いしづき
)
の附いた物凄い
棹
(
さを
)
を取り出し、思ひきり上から突き落したに違ひない
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
遲
(
おそ
)
しと
待
(
また
)
れける頃は
享保
(
きやうほ
)
十一
丙午年
(
ひのえうまどし
)
四月十一日天一坊は
供揃
(
ともぞろ
)
ひして御城代の
屋敷
(
やしき
)
へ
赴
(
おも
)
むく
其行列
(
そのぎやうれつ
)
には先に
白木
(
しらき
)
の
長持
(
ながもち
)
二
棹
(
さを
)
萌黄純子
(
もえぎどんす
)
に
葵御紋付
(
あふひごもんつき
)
の
油箪
(
ゆたん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「ぶく/\やりたけりや
入
(
へえ
)
つた
方
(
はう
)
がえゝや」
船頭
(
せんどう
)
はそつけなくいつて
徐
(
おもむ
)
ろに
棹
(
さを
)
を
立
(
た
)
てる。
船底
(
ふなぞこ
)
が
觸
(
さは
)
つて
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る
身體
(
からだ
)
がぐらりと
後
(
うしろ
)
へ
倒
(
たふ
)
れ
相
(
さう
)
に
成
(
な
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
小
(
ちひ
)
さなのは、
河骨
(
かうほね
)
の
點々
(
ぽつ/\
)
黄色
(
きいろ
)
に
咲
(
さ
)
いた
花
(
はな
)
の
中
(
なか
)
を、
小兒
(
こども
)
が
徒
(
いたづら
)
に
猫
(
ねこ
)
を
乘
(
の
)
せて
盥
(
たらひ
)
を
漕
(
こ
)
いで
居
(
ゐ
)
る。
大
(
おほ
)
きなのは
汀
(
みぎは
)
の
蘆
(
あし
)
を
積
(
つ
)
んだ
船
(
ふね
)
が、
棹
(
さを
)
さして
波
(
なみ
)
を
分
(
わ
)
けるのがある。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
舟は我熱を
冷
(
さま
)
すに宜しからんとおもへば乘りぬ。舟人は
棹
(
さを
)
取りて岸邊を離れ、帆を揚げて風に任せたるに、さゝやかなる
端艇
(
はぶね
)
の
快
(
こゝろよ
)
く、紅の波を
凌
(
しの
)
ぎ行く。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
大小長短は作る家の意にまかせ、大なるを以て人に
誇
(
ほこ
)
る。
棹
(
さを
)
の末にひらき扇四ツをよせて扇には家の紋などいろどりゑがく、いろ紙にて作るものゆゑ甚だ
美事
(
みごと
)
なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
もう、出してもいい頃だ、と思つて、船頭は、
棹
(
さを
)
を岸にあてました。そのとき
鳥右ヱ門諸国をめぐる
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
が、船頭は一向平気なもので、無愛想な
老爺
(
おやぢ
)
の、竹の子笠をかぶつたのが、器用に右左へ
棹
(
さを
)
を使ふ。おまけにその棹の
雫
(
しづく
)
が、時々乗合の袖にかかるが、船頭はこれにも頓着する容子がない。
世之助の話
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
火こそみえけれ、其
棹
(
さを
)
の
閻浮提金
(
えんぶだごん
)
ぞ隠れたる。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
棹
(
さを
)
やらな、
附
(
つ
)
いまゐれ
新頌
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
濕
(
しめ
)
れる
棹
(
さを
)
を手にすれど
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
平次はさう言つて袖の中から七八寸の青竹、節のところに小さい穴をあけて綿を卷いた
棹
(
さを
)
を突込んだ、一番原始的な水鐵砲を出して見せました。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
目
(
め
)
を
掩
(
おほ
)
はれたやうで
心細
(
こゝろぼそ
)
い
霧
(
きり
)
の
中
(
なか
)
に、
其麽
(
そんな
)
ことで
著
(
いちじる
)
しく
延長
(
えんちやう
)
された
水路
(
すゐろ
)
を
辿
(
たど
)
つて
居
(
ゐ
)
ながら、
悠然
(
ゆつくり
)
として
鈍
(
にぶ
)
い
棹
(
さを
)
の
立
(
た
)
てやうをするのに
心
(
こゝろ
)
を
焦慮
(
あせ
)
らせて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
向
(
むか
)
つて
左
(
ひだり
)
の
端
(
はし
)
に
居
(
ゐ
)
た、
中
(
なか
)
でも
小柄
(
こがら
)
なのが
下
(
おろ
)
して
居
(
ゐ
)
る、
棹
(
さを
)
が
滿月
(
まんげつ
)
の
如
(
ごと
)
くに
撓
(
しな
)
つた、と
思
(
おも
)
ふと、
上
(
うへ
)
へ
絞
(
しぼ
)
つた
絲
(
いと
)
が
眞直
(
まつすぐ
)
に
伸
(
の
)
びて、するりと
水
(
みづ
)
の
空
(
そら
)
へ
掛
(
かゝ
)
つた
鯉
(
こひ
)
が——
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
付其外
帳面
(
ちやうめん
)
へ
書留
(
かきとめ
)
るに米千八百五俵
麥
(
むぎ
)
五百三十俵並に
箪笥
(
たんす
)
長持
(
ながもち
)
數
(
す
)
十
棹
(
さを
)
村役人
立合
(
たちあひ
)
にて改め
相濟
(
あひすみ
)
其夜
寅半刻
(
なゝつはんどき
)
事濟に相成
山駕籠
(
やまかご
)
三
挺
(
ちやう
)
を申付て是へ文藏夫婦に下男吉平を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
往手
(
ゆくて
)
のかたに稍〻大なる一窟あり。されど若し舟に
棹
(
さを
)
さしてこれに入らんとせば、帆を
卸
(
おろ
)
し頭を屈するも、猶或は難からんか。
柁
(
かぢ
)
取りの年
少
(
わか
)
き男のいふやう。これ魔窟なり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
棹
(
さを
)
さしめぐる
湖
(
みづうみ
)
や
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
お越は
咄嗟
(
とつさ
)
の間に石垣を
驅
(
か
)
け降りて、其處に
繋
(
つな
)
いだ小舟に飛乘り、
棹
(
さを
)
を突つ立てて、浮きつ沈みつする子供に近づき、危ふいところで引上げました。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
内
(
うち
)
から
棹
(
さを
)
なんぞ……
鈎
(
はり
)
も
絲
(
いと
)
も
忍
(
しの
)
ばしては
出
(
で
)
なかつたが——それは
女房
(
にようばう
)
が
頻
(
しきり
)
に
殺生
(
せつしやう
)
を
留
(
と
)
める
處
(
ところ
)
から、つい
面倒
(
めんだう
)
さに、
近所
(
きんじよ
)
の
車屋
(
くるまや
)
、
床屋
(
とこや
)
などに
預
(
あづ
)
けて
置
(
お
)
いて、そこから
内證
(
ないしよう
)
で
支度
(
したく
)
して
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
棹
(
さを
)
さし上る
獨木船
(
まるきぶね
)
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
船頭は何方にも取れるやうなことを言つて、あらかた客で一杯になつた、歸り船の
棹
(
さを
)
を突つ張ります。
銭形平次捕物控:222 乗合舟
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
日
(
ひ
)
に
水
(
みづ
)
の
影
(
かげ
)
もさゝぬのに、
其
(
そ
)
の
四阿
(
あづまや
)
をさがりに、
二三輪
(
にさんりん
)
、
眞紫
(
まむらさき
)
の
菖蒲
(
あやめ
)
が
大
(
おほき
)
くぱつと
咲
(
さ
)
いて、
縋
(
すが
)
つたやうに、
倒
(
たふ
)
れかゝつた
竹
(
たけ
)
の
棹
(
さを
)
も、
池
(
いけ
)
に
小船
(
こぶね
)
に
棹
(
さをさ
)
したやうに
面影
(
おもかげ
)
に
立
(
た
)
つたのである。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いや、たつた三人さ。その舟の中に三間以上の
棹
(
さを
)
が三本もあるのは不思議だと思はないか」
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
白
(
しろ
)
い
手
(
て
)
が、ちら/\と
動
(
うご
)
いた、と
思
(
おも
)
ふと、
鉛
(
なまり
)
を
曳
(
ひ
)
いた
絲
(
いと
)
が
三條
(
みすぢ
)
、
三處
(
みところ
)
へ
棹
(
さを
)
が
下
(
お
)
りた。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
溜池
(
ためいけ
)
の
眞中
(
まんなか
)
あたりを、
頬冠
(
ほゝかむり
)
した、
色
(
いろ
)
のあせた
半被
(
はつぴ
)
を
着
(
き
)
た、
脊
(
せい
)
の
低
(
ひく
)
い
親仁
(
おやぢ
)
が、
腰
(
こし
)
を
曲
(
ま
)
げ、
足
(
あし
)
を
突張
(
つツぱ
)
つて、
長
(
なが
)
い
棹
(
さを
)
を
繰
(
あやつ
)
つて、
畫
(
ゑ
)
の
如
(
ごと
)
く
漕
(
こ
)
いで
來
(
く
)
る、
筏
(
いかだ
)
は
恰
(
あたか
)
も
人
(
ひと
)
を
乘
(
の
)
せて、
油
(
あぶら
)
の
上
(
うへ
)
を
辷
(
すべ
)
るやう。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“棹”の意味
《名詞》
(さお)枝葉を取り去って作られた竹の細長い棒。cf.竿。
(さお)舟をこぐ道具で岸辺や水底に突っ張って舟を進ませる長い棒。
(さお)三味線の同から上の、弦を張った長い部分。転じて、三味線。
(さお)箪笥(たんす)・長持(ながもち)などにさしてかつぐ棒。
(出典:Wiktionary)
棹
漢検1級
部首:⽊
12画
“棹”を含む語句
水棹
太棹
釣棹
棹立
竹棹
棹取
水馴棹
物干棹
長棹
黐棹
干棹
舟棹
棹石
十棹
三棹
一棹
二棹
細棹
継棹
間棹
...