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暖
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あたたか
ふりがな文庫
“
暖
(
あたたか
)” の例文
郊外
(
かうぐわい
)
に
際涯
(
さいがい
)
もなく
植
(
うゑ
)
られた
桃
(
もゝ
)
の
花
(
はな
)
が一
杯
(
ぱい
)
に
赤
(
あか
)
くなると
其
(
そ
)
の
木陰
(
こかげ
)
の
麥
(
むぎ
)
が
青
(
あを
)
く
地
(
ち
)
を
掩
(
おほ
)
うて、
江戸川
(
えどがは
)
の
水
(
みづ
)
を
溯
(
さかのぼ
)
る
高瀬船
(
たかせぶね
)
の
白帆
(
しらほ
)
も
暖
(
あたたか
)
く
見
(
み
)
えて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「それから
向
(
むこう
)
の座敷を
暖
(
あたたか
)
にして置け。ストーブを
焚
(
た
)
け。頼むぜ。」といいながら早くも座敷の中で帯を解くので、女中はあわてて
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一面の日当りながら、
蝶
(
ちょう
)
の
羽
(
は
)
の動くほど、山の草に薄雲が軽く
靡
(
なび
)
いて、
檐
(
のき
)
から
透
(
すか
)
すと、峰の方は暗かった、余り
暖
(
あたたか
)
さが過ぎたから。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夫婦はかじかんだ手で荷物を
提
(
さ
)
げながら小屋に這入った。永く火の気は絶えていても、吹きさらしから這入るとさすがに気持ちよく
暖
(
あたたか
)
かった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そして
彼等
(
かれら
)
は、その
立派
(
りっぱ
)
な
翼
(
つばさ
)
を
張
(
は
)
り
拡
(
ひろ
)
げて、この
寒
(
さむ
)
い
国
(
くに
)
からもっと
暖
(
あたたか
)
い
国
(
くに
)
へと
海
(
うみ
)
を
渡
(
わた
)
って
飛
(
と
)
んで
行
(
い
)
く
時
(
とき
)
は、みんな
不思議
(
ふしぎ
)
な
声
(
こえ
)
で
鳴
(
な
)
くのでした。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
そうしてその
眼
(
め
)
には
暖
(
あたたか
)
な
健全
(
けんぜん
)
な
輝
(
かがやき
)
がある、
彼
(
かれ
)
はニキタを
除
(
のぞ
)
くの
外
(
ほか
)
は、
誰
(
たれ
)
に
対
(
たい
)
しても
親切
(
しんせつ
)
で、
同情
(
どうじょう
)
があって、
謙遜
(
けんそん
)
であった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
凩が
凄
(
すさま
)
じく吼え狂うと、
洋燈
(
ランプ
)
の光が明るくなって、
卓
(
テーブル
)
の上の
林檎
(
りんご
)
はいよいよ
紅
(
あか
)
く暖炉の火はだんだん
暖
(
あたたか
)
くなった。
少年・春
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
それは風の無い
暖
(
あたたか
)
な晩であった。新吉はふと山の中のベンチのことを思いだした。こんな晩には山の中が好いかも
判
(
わか
)
らないと思って池の方へ眼をやった。
女の首
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
空気が
暖
(
あたたか
)
になって来たからであろう。
鶉縮緬
(
うずらちりめん
)
の上着に羽織、
金春式唐織
(
こんぱるしきからおり
)
の丸帯であるが、純一は只黒ずんだ、立派な羽織を着ていると思って見たのである。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
朝から
暖
(
あたたか
)
だ。鶏の声が殊に
長閑
(
のどか
)
に聞こえる。昨日終日終夜の雨で、畑も土も真黒に潤うた。麦の緑が目立って
濃
(
こ
)
うなった。緑の麦は、見る眼の
驩喜
(
よろこび
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
連日風立ち、寒かりしに、この夜は
遽
(
にはか
)
に
緩
(
ゆる
)
みて、
朧
(
おぼろ
)
の月の色も
暖
(
あたたか
)
に、曇るともなく
打霞
(
うちかす
)
める町筋は静に眠れり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
普通の芽立と、伐株の芽立との相違はあるにしろ、春雨の中の桐の木を描いたことは同じである。春もよほど
暖
(
あたたか
)
になってからの雨であることはいうまでもない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
世間の人は南の国の空気の違うのは、
暖
(
あたたか
)
で年中花を咲かせるのと、オゾンが少し多いのと、
嵐
(
あらし
)
が吹いたり、雪が降ったりしないのと、ただそれだけだと思っている。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
「もうすぐ
暖
(
あたたか
)
くなるよ、雪をさわると、すぐ暖くなるもんだよ」といいましたが、かあいい坊やの手に
霜焼
(
しもやけ
)
ができてはかわいそうだから、夜になったら、町まで行って
手袋を買いに
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
「有難い。これで今夜から
暖
(
あたたか
)
に眠られるて。」といふ
独語
(
ひとりごと
)
を云ひながら、にやにや笑つてゐる。
虱
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
譬えば母とか恋人とかいうようないなくなってから年を経たものがまた帰って来たように、己の心の
中
(
うち
)
に
暖
(
あたたか
)
いような
敬虔
(
けいけん
)
なような
考
(
かんがえ
)
が浮んで、己を少年の海に投げ入れる。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
一、
長閑
(
のどか
)
、
暖
(
あたたか
)
、
麗
(
うららか
)
、
日永
(
ひなが
)
、
朧
(
おぼろ
)
は春季と定め、
短夜
(
みじかよ
)
、
涼
(
すずし
)
、
熱
(
あつし
)
は夏季と定め、
冷
(
ひややか
)
、
凄
(
すさまじ
)
、
朝寒
(
あささむ
)
、
夜寒
(
よさむ
)
、
坐寒
(
そぞろさむ
)
、
漸寒
(
ややさむ
)
、
肌寒
(
はださむ
)
、
身
(
み
)
に
入
(
しむ
)
、
夜長
(
よなが
)
は秋季と定め、
寒
(
さむし
)
、つめたしは冬季と定む。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
よしや
脊
(
せ
)
に
暖
(
あたたか
)
ならずとも
旭日
(
あさひ
)
きら/\とさしのぼりて山々の峰の雪に移りたる景色、
眼
(
め
)
も
眩
(
くら
)
む
許
(
ばか
)
りの美しさ、
物腥
(
ものぐさ
)
き西洋の
塵
(
ちり
)
も
此処
(
ここ
)
までは
飛
(
とん
)
で来ず、
清浄
(
しょうじょう
)
潔白
実
(
げ
)
に
頼母敷
(
たのもしき
)
岐蘇路
(
きそじ
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
丁度十一月のはじめのいくらかまだ
暖
(
あたたか
)
い日の夕方であった。庄吉は例の隠れ場所に身を潜めた。家の中には誰か人が来ているらしい
気配
(
けはい
)
がして、いつもと違って低い話声が洩れた。
少年の死
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
が、パトラッシュは
暖
(
あたたか
)
い炉ばたへ行こうとも御馳走をふりむこうともしませんでした。
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
その文字がよく語りますように、南の海にある島との義であります。北は美しい瀬戸内海を隔てて中国に対し、南は果しもない大洋を控え、
暖
(
あたたか
)
い明るい光を浴びる島国であります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
五、六日にすこし寒さが続いたが、でも
暖
(
あたたか
)
だった。庭の寝椅子に腰を下していた。青蛙が
紫陽花
(
あじさい
)
の葉に
乗
(
のっか
)
った。青蛙はじっとしている。ふと、跛の娘を思った。昼頃、老人は飯屋に寄った。
老人と孤独な娘
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
一同がばかに
豪
(
えら
)
そうな重い
扉
(
ドア
)
からいわゆる劇場へ案内されると、これは小劇場をうんと小さくしたような、というより、室内劇場とでも命名したい、ささやかな、けれど
暖
(
あたたか
)
く落着いた一室で
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
重の内
暖
(
あたたか
)
にして柏餅
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
暖
(
あたたか
)
い
衾
(
ふすま
)
の
柔
(
やわらか
)
い
下
(
した
)
で
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
日も
暖
(
あたたか
)
に花深く
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
日本の冬の明さと
暖
(
あたたか
)
さとはおそらくは多島海の牧神をしてここに来り遊ばしむるもなお快き夢を見させる魅力があったであろう。
冬日の窓
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
かつ
人
(
ひと
)
一人
(
ひとり
)
いなければ、真昼の様な月夜とも想われよう。
長閑
(
のどか
)
さはしかし野にも山にも
増
(
まさ
)
って、あらゆる
白砂
(
はくさ
)
の
俤
(
おもかげ
)
は、
暖
(
あたたか
)
い霧に似ている。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
午
(
ひる
)
の前後はまた
無闇
(
むやみ
)
と
暖
(
あたたか
)
で、急に梅が咲き、
雪柳
(
ゆきやなぎ
)
が青く芽をふいた。
山茱萸
(
さんしい
)
は黄色の花ざかり。赤い
蕾
(
つぼみ
)
の
沈丁花
(
ちんちょうげ
)
も一つ白い口を
切
(
き
)
った。
春蘭
(
しゅんらん
)
、
水仙
(
すいせん
)
の蕾が出て来た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ジオゲンは
勿論
(
もちろん
)
書斎
(
しょさい
)
だとか、
暖
(
あたたか
)
い
住居
(
すまい
)
だとかには
頓着
(
とんじゃく
)
しませんでした。これは
彼
(
か
)
の
地
(
ち
)
が
暖
(
あたたか
)
いからです。
樽
(
たる
)
の
中
(
うち
)
に
寐転
(
ねころが
)
って
蜜柑
(
みかん
)
や、
橄欖
(
かんらん
)
を
食
(
た
)
べていればそれで
過
(
すご
)
される。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
お母さん狐は、心配しながら、坊やの狐の帰って来るのを、今か今かとふるえながら待っていましたので、坊やが来ると、
暖
(
あたたか
)
い胸に抱きしめて泣きたいほどよろこびました。
手袋を買いに
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
窓
(
まど
)
から
半身
(
はんしん
)
を
乘
(
の
)
り
出
(
だ
)
してゐた
例
(
れい
)
の
娘
(
むすめ
)
が、あの
霜燒
(
しもや
)
けの
手
(
て
)
をつとのばして、
勢
(
いきほひ
)
よく
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふ
)
つたと
思
(
おも
)
ふと、
忽
(
たちま
)
ち
心
(
こころ
)
を
躍
(
をど
)
らすばかり
暖
(
あたたか
)
な
日
(
ひ
)
の
色
(
いろ
)
に
染
(
そ
)
まつてゐる
蜜柑
(
みかん
)
が
凡
(
およ
)
そ
五
(
いつ
)
つ
六
(
むつ
)
つ
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
時候は立春、
暮春
(
ぼしゅん
)
、
余寒
(
よかん
)
、
暖
(
あたたか
)
、
麗
(
うらら
)
、
長閑
(
のどか
)
、
日永
(
ひなが
)
の類をいふ。人事は
初午
(
はつうま
)
、
二日灸
(
ふつかきゅう
)
、
涅槃会
(
ねはんえ
)
、
畑打
(
はたうち
)
、
雛祭
(
ひなまつり
)
、
汐干狩
(
しおひがり
)
の類をいふ。天文は春雪、雪解、春月、春雨、霞、
陽炎
(
かげろう
)
の類をいふ。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
粉挽屋の台所は大へん
暖
(
あたたか
)
です。炉のなかでは、大きな
榾
(
ほだ
)
がぱちぱちと赤く燃え、隣近所の人々は、夕飯のために焙った鵞鳥の肉
一片
(
ひときれ
)
とお酒一ぱいとにありつくために、交る交るやって来ます。
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
「ですけれど……。
暖
(
あたたか
)
い時そっと拭いてやったら
如何
(
どう
)
でしょうか。」
生あらば
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
戸外
(
そと
)
には物のうみ
潰
(
つぶ
)
れるような雨がびしょびしょと降っていた。彼はいよいよ空家と云うことをたしかめたので、安心して横になって
駒下駄
(
こまげた
)
の
枕
(
まくら
)
に頭をつけた。
暖
(
あたたか
)
な空気のふわりと浮んだ
夜
(
よ
)
であった。
指環
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
実
(
げ
)
に山里も人情の
暖
(
あたたか
)
さありてこそ
住
(
すめ
)
ば都に劣らざれ。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
暖
(
あたたか
)
い、
優
(
やさ
)
しい、
柔
(
やわら
)
かな、すなおな風にさそわれて、
鼓草
(
たんぽぽ
)
の花が、ふっと、
綿
(
わた
)
になって消えるように
魂
(
たましい
)
がなりそうなんですもの。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうして
自分
(
じぶん
)
は
暖
(
あたたか
)
い
静
(
しずか
)
な
処
(
ところ
)
に
坐
(
ざ
)
して、
金
(
かね
)
を
溜
(
た
)
め、
書物
(
しょもつ
)
を
読
(
よ
)
み、
種々
(
しゅじゅ
)
な
屁理窟
(
へりくつ
)
を
考
(
かんが
)
え、また
酒
(
さけ
)
を(
彼
(
かれ
)
は
院長
(
いんちょう
)
の
赤
(
あか
)
い
鼻
(
はな
)
を
見
(
み
)
て)
呑
(
の
)
んだりして、
楽隠居
(
らくいんきょ
)
のような
真似
(
まね
)
をしている。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
けれども
午過
(
ひるすぎ
)
には日の光が
暖
(
あたたか
)
く、私は乳母や母上と共に縁側の
日向
(
ひなた
)
に出て見た時、
狐捜
(
きつねさが
)
しの大騒ぎのあった時分とは、庭の様子が別世界のように変って居るのをば、不思議な程に
心付
(
こころつ
)
いた。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
朝は晴、やがて
薄曇
(
うすぐも
)
って寒かったが、
正午頃
(
しょうごころ
)
からまた日が出て
暖
(
あたたか
)
になった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
讓の口元から頬にかけて
鬼魅
(
きみ
)
悪い
暖
(
あたたか
)
な舌がべろべろとやって来た。
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と
袈裟
(
けさ
)
をはずして
釘
(
くぎ
)
にかけた、
障子
(
しょうじ
)
に
緋桃
(
ひもも
)
の
影法師
(
かげぼうし
)
。
今物語
(
いまものがたり
)
の
朱
(
しゅ
)
にも似て、
破目
(
やれめ
)
を
暖
(
あたたか
)
く燃ゆる
状
(
さま
)
、
法衣
(
ころも
)
をなぶる
風情
(
ふぜい
)
である。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
黄に
薄藍
(
うすあい
)
の影がさす、
藍田
(
らんでん
)
の珠玉とか、
柔
(
やわらか
)
く刻んで、ほんのりと
暖
(
あたたか
)
いように見えます、障子
越
(
ごし
)
に日が薄く
射
(
さ
)
すんです。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
春の山——と、優に大きく、
申出
(
もうしい
)
でるほどの事ではない。われら式のぶらぶらあるき、
彼岸
(
ひがん
)
もはやくすぎた、四月上旬の
田畝路
(
たんぼみち
)
は、
些
(
ち
)
とのぼせるほど
暖
(
あたたか
)
い。
若菜のうち
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
暖
(
あたたか
)
い草が、ちりげもとで
赫
(
かっ
)
とほてって、汗びっしょり、まっかな顔をしてかつ目をきょろつかせながら
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今までその上について
暖
(
あたたか
)
だった
膝頭
(
ひざがしら
)
が
冷々
(
ひやひや
)
とする、
身体
(
からだ
)
が
濡
(
ぬ
)
れはせぬかと疑って、
彼処此処
(
あちこち
)
袖
(
そで
)
襟
(
えり
)
を手で
拊
(
はた
)
いて見た。仕事最中、こんな
心持
(
こころもち
)
のしたことは始めてである。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから
障子
(
しょうじ
)
の内と外で、話をしたり、笑ったり、それから谷川で二人して、その時の
婦人
(
おんな
)
が
裸体
(
はだか
)
になって
私
(
わし
)
が背中へ
呼吸
(
いき
)
が
通
(
かよ
)
って、
微妙
(
びみょう
)
な
薫
(
かおり
)
の花びらに
暖
(
あたたか
)
に包まれたら
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小児
(
こども
)
たちが、また悪く
暖
(
あたたか
)
いので寝苦しいか、変に二人とも寝そびれて、
踏脱
(
ふみぬ
)
ぐ、泣き出す、着せかける、
賺
(
すか
)
す。で、女房は一夜まんじりともせず、
烏
(
からす
)
の声を聞いたさうである。
夜釣
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
枯野
(
かれの
)
の
冷
(
ひえ
)
が
一幅
(
ひとはば
)
に細く肩の
隙
(
すき
)
へ入つたので、しつかと引寄せた下着の
背
(
せな
)
、
綿
(
わた
)
もないのに
暖
(
あたたか
)
く
二
(
に
)
の
腕
(
うで
)
へ触れたと思ふと、足を包んだ
裳
(
もすそ
)
が揺れて、絵の
婦人
(
おんな
)
の、
片膝
(
かたひざ
)
立てたやうな
皺
(
しわ
)
が
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“暖”の意味
《名詞》
(ダン 例示の成句で)あたたまること。
(出典:Wiktionary)
暖
常用漢字
小6
部首:⽇
13画
“暖”を含む語句
暖炉
生暖
温暖
暖炉棚
暖爐
瓦斯暖炉
暖簾
暖味
暖気
繩暖簾
暖室
暖房
瓦斯暖爐
御暖
縄暖簾
紺暖簾
暖簾口
寒暖
花暖簾
店暖簾
...