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切
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さい
ふりがな文庫
“
切
(
さい
)” の例文
さうして
東隣
(
ひがしどなり
)
から
借
(
か
)
りて
來
(
き
)
た
蓙
(
ござ
)
が五六
枚
(
まい
)
敷
(
し
)
かれた。それから
土地
(
とち
)
の
習慣
(
しふくわん
)
で
勘次
(
かんじ
)
は
淨
(
きよ
)
めてやつたお
品
(
しな
)
の
死體
(
したい
)
は一
切
(
さい
)
を
近所
(
きんじよ
)
の
手
(
て
)
に
任
(
まか
)
せた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ニース全市は湧き返るような大混雑、大盛況。有銭無銭の大群集は、それぞれ費用と場所をわきまえて、ただもう一
切
(
さい
)
夢中に法楽する。
ノンシャラン道中記:04 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼女
(
かのぢよ
)
は、
片山
(
かたやま
)
一人
(
ひとり
)
を
得
(
う
)
る
爲
(
ため
)
には、
過去
(
くわこ
)
の一
切
(
さい
)
を
棄
(
す
)
てた。
肉親
(
にくしん
)
とも
絶
(
た
)
たなければならなかつた。もつとも、
母親
(
はゝおや
)
は
實母
(
じつぼ
)
ではなかつた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
待って居たと云うと、己の意識はいかにもハッキリして居たようだが、その実一
切
(
さい
)
渾沌
(
こんとん
)
として、霧の
中
(
うち
)
に包まれて居るのだった。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私
(
わたくし
)
は一
切
(
さい
)
がくだらなくなつて、
讀
(
よ
)
みかけた
夕刊
(
ゆふかん
)
を
抛
(
はふ
)
り
出
(
だ
)
すと、
又
(
また
)
窓枠
(
まどわく
)
に
頭
(
あたま
)
を
靠
(
もた
)
せながら、
死
(
し
)
んだやうに
眼
(
め
)
をつぶつて、うつらうつらし
始
(
はじ
)
めた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
実
(
じつ
)
はここがそちの
修行場
(
しゅぎょうば
)
なのじゃ。モー
別
(
べつ
)
に
下
(
した
)
の
岩屋
(
いわや
)
に
帰
(
かえ
)
るにも
及
(
およ
)
ばぬ。
早速
(
さっそく
)
内部
(
なか
)
へ
入
(
はい
)
って
見
(
み
)
るがよい。
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も一
切
(
さい
)
取
(
と
)
り
揃
(
そろ
)
えてあるから……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
が、おせんの
胸
(
むね
)
の
底
(
そこ
)
にひそんでいる、
思慕
(
しぼ
)
の
念
(
ねん
)
は、それらの
噂
(
うわさ
)
には一
切
(
さい
)
おかまいなしに
日毎
(
ひごと
)
につのってゆくばかりだった。それもそのはずであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
けれど
何程
(
なにほど
)
のことがあらうと
運命
(
うんめい
)
を
天
(
てん
)
にゆだね、
夢中
(
むちう
)
になつて
驅
(
か
)
けだしました。それからのことは一
切
(
さい
)
わかりません
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
雲飛
(
うんぴ
)
といふ人は
盆石
(
ぼんせき
)
を非常に
愛翫
(
あいぐわん
)
した
奇人
(
きじん
)
で、人々から
石狂者
(
いしきちがひ
)
と言はれて居たが、人が何と言はうと一
切
(
さい
)
頓着
(
とんぢやく
)
せず、
珍
(
めづら
)
しい石の
搜索
(
さうさく
)
にのみ日を送つて居た。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
今
(
いま
)
一つ
招魂社
(
せうこんしや
)
の
後
(
うしろ
)
の
木立
(
こだち
)
のなかにも、
媚
(
なまめ
)
かしい
此物語
(
このものがたり
)
は
迹
(
あと
)
つけられてあるが、
其後
(
そのゝち
)
の
関係
(
くわんけい
)
は一
切
(
さい
)
解
(
わか
)
らぬ。
今
(
いま
)
も
此
(
こ
)
の
恋
(
こひ
)
なかは
続
(
つゞ
)
いてゐるか
否
(
いな
)
か、
其
(
それ
)
も
判然
(
はんぜん
)
せぬ。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
顛倒の世界 次に、「
顛倒夢想
(
てんどうむそう
)
を
遠離
(
おんり
)
して、
究竟涅槃
(
くきょうねはん
)
す」ということですが、普通には、ここに「一切」という字があります。「一
切
(
さい
)
顛倒
(
てんどう
)
」といっています。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
一
生
(
せう
)
五十
年
(
ねん
)
めくらに
成
(
な
)
りて
終
(
をわ
)
らば
事
(
こと
)
なからんと
夫
(
そ
)
れよりは一
筋
(
すぢ
)
に
母樣
(
はゝさま
)
の
御機嫌
(
ごきげん
)
、
父
(
ちゝ
)
が
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
るやう一
切
(
さい
)
この
身
(
み
)
を
無
(
な
)
いものにして
勤
(
つと
)
むれば
家
(
いゑ
)
の
内
(
うち
)
なみ
風
(
かぜ
)
おこらずして
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「話が少し
混
(
こ
)
んがらかつたやうだ。一
切
(
さい
)
御破算
(
ごはさん
)
にして、——圓三郎はお銀を
庇
(
かば
)
ひ立てして、つまらねえ拵へごとを言つた——といふことだけはお前にもわかるだらう」
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
乙給仕
饗應
(
もてなし
)
の
式作法
(
しきさはふ
)
一
切
(
さい
)
を、
一人
(
ひとり
)
や
二人
(
ふたり
)
の、
洗
(
あら
)
ひもせぬ
手
(
て
)
でしてのくるやうでは、
穢
(
むさ
)
いことぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
白い顏と、兩腕が
暗闇
(
くらやみ
)
の
汚點
(
しみ
)
のやうで、一
切
(
さい
)
が靜まり返つてゐる中で、恐怖の眼を光り動かして、私を
凝視
(
ぎようし
)
してゐる、不思議な子供の姿が、本當の幽靈のやうに見えた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
尚
(
な
)
ほ
昭和
(
せうわ
)
五
年度
(
ねんど
)
豫算
(
よさん
)
の
編成
(
へんせい
)
に
當
(
あ
)
たつては八千五百
萬圓
(
まんゑん
)
の
國債
(
こくさい
)
が一
般
(
ぱん
)
會計
(
くわいけい
)
に
豫定
(
よてい
)
されて
居
(
を
)
つたのを一
切
(
さい
)
止
(
や
)
めることにして、一
般
(
ぱん
)
會計
(
くわいけい
)
には
國債
(
こくさい
)
は一
文
(
もん
)
も
計上
(
けいじやう
)
しない
豫算
(
よさん
)
を
作
(
つく
)
つたのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
それでも君は一
切
(
さい
)
眼をつぶつてゐられるか。
クロニック・モノロゲ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
limited to no place, country, or group of individuals bu common to all(
如何
(
いか
)
なる
場所
(
ばしよ
)
、
國
(
くに
)
、
又
(
また
)
は
個人
(
こじん
)
の
集團
(
しふだん
)
にも
制限
(
せいげん
)
されず、
其
(
そ
)
の一
切
(
さい
)
に
共通
(
きようつう
)
なる)
桜と狆と愛国心:コスモポリタンの心理
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
十
幾年前
(
いくねんまへ
)
には一
切
(
さい
)
を
死
(
し
)
んだお
袋
(
ふくろ
)
が
處理
(
しより
)
してくれたのであつたが、
今度
(
こんど
)
は
勘次
(
かんじ
)
も
居
(
ゐ
)
ないしでお
品
(
しな
)
は
生計
(
くらし
)
の
心配
(
しんぱい
)
もしなくては
居
(
ゐ
)
られなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
『
日本
(
にっぽん
)
一の
日
(
ひ
)
の
御子
(
みこ
)
から
又
(
また
)
なきものに
愛
(
いつく
)
しまれる……。』そう
思
(
おも
)
う
時
(
とき
)
に、
姫
(
ひめ
)
の
心
(
こころ
)
からは一
切
(
さい
)
の
不満
(
ふまん
)
、一
切
(
さい
)
の
苦労
(
くろう
)
が
煙
(
けむり
)
のように
消
(
き
)
えて
了
(
しま
)
うのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「それはもう一
切
(
さい
)
おまかせいたしますが、どういう修業の方法をいたしますか、念のためにおうかがいいたしますわ」
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
ひやうのない、——わたしはあの
眼
(
め
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
すと、
今
(
いま
)
でも
身震
(
みぶる
)
ひが
出
(
で
)
ずにはゐられません。
口
(
くち
)
さへ
一言
(
ひとこと
)
も
利
(
き
)
けない
夫
(
をつと
)
は、その
刹那
(
せつな
)
の
眼
(
め
)
の
中
(
なか
)
に、一
切
(
さい
)
の
心
(
こころ
)
を
傳
(
つた
)
へたのです。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
此手紙以外
(
このてがみいぐわい
)
に、
女
(
をんな
)
の
肉
(
にく
)
には、
如何
(
どん
)
な
秘密
(
ひみつ
)
が
痕
(
あと
)
つけられてあるか、
其
(
それ
)
は一
切
(
さい
)
解
(
わか
)
らぬ。
心
(
こゝろ
)
の
奥
(
おく
)
に、
如何
(
どん
)
な
恋
(
こひ
)
が
封
(
ふう
)
じ
込
(
こ
)
めてあるか、
其
(
それ
)
も
固
(
もと
)
より
解
(
わか
)
らぬ。
私
(
わたし
)
の
想像
(
さうぞう
)
は
可恐
(
おそろ
)
しく
鋭
(
するど
)
くなつて
来
(
き
)
た。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
……
左様
(
さよう
)
でございましょうが、お
見世
(
みせ
)
の
支配
(
しはい
)
は、
大旦那様
(
おおだんなさま
)
から、一
切
(
さい
)
お
預
(
あず
)
かりいたして
居
(
お
)
ります
幸兵衛
(
こうべえ
)
、あとで
大旦那様
(
おおだんなさま
)
のお
訊
(
たず
)
ねがございました
時
(
とき
)
に、
知
(
し
)
らぬ
存
(
ぞん
)
ぜぬでは
通
(
とお
)
りませぬ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
カピ長
婚儀
(
こんぎ
)
の
爲
(
ため
)
にと
準備
(
ようい
)
した一
切
(
さい
)
が
役目
(
やくめ
)
を
變
(
か
)
へて
葬儀
(
さうぎ
)
の
用
(
よう
)
。
祝
(
いは
)
ひの
樂
(
がく
)
は
哀
(
かな
)
しい
鐘
(
かね
)
の
音
(
ね
)
、めでたい
盛宴
(
ちさう
)
が
法事
(
ほふじ
)
の
饗應
(
もてなし
)
、
樂
(
たの
)
しい
頌歌
(
しょうか
)
は
哀
(
あは
)
れな
挽歌
(
ばんか
)
、
新床
(
にひどこ
)
に
撒
(
ま
)
く
花
(
はな
)
は
葬
(
はふむ
)
る
死骸
(
なきがら
)
の
用
(
よう
)
に
立
(
た
)
つ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
學校
(
がくかう
)
かよひに
宜
(
よ
)
からぬ
友
(
とも
)
でも
出來
(
でき
)
てはならず、一
切
(
さい
)
我
(
わ
)
れに
任
(
ま
)
かせてまあ
見
(
み
)
て
居
(
い
)
てくれと
親切
(
しんせつ
)
に
仰
(
おつ
)
しやつてお
師匠
(
しヽよう
)
さまから
毎日
(
まいにち
)
のお
出稽古
(
でげいこ
)
、
月謝
(
げつしや
)
を
出
(
だ
)
して
附
(
つ
)
け
屆
(
とヾ
)
けして
御馳走
(
ごちそう
)
して
車
(
くるま
)
を
出
(
だ
)
して
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
一
度
(
ど
)
でもしめやかに
語
(
かた
)
り
合
(
あ
)
うた
兩性
(
りやうせい
)
が
邂逅
(
であ
)
へば
彼等
(
かれら
)
は一
切
(
さい
)
を
忘
(
わす
)
れて、それでも
有繋
(
さすが
)
に
人目
(
ひとめ
)
をのみは
厭
(
いと
)
うて
小徑
(
こみち
)
から一
歩
(
ぽ
)
木
(
き
)
の
間
(
あひだ
)
に
身
(
み
)
を
避
(
さ
)
ける。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
で、
私
(
わたくし
)
は一
生
(
しょう
)
懸命
(
けんめい
)
深
(
ふか
)
い
統一
(
とういつ
)
に
入
(
はい
)
り、
過去
(
かこ
)
の一
切
(
さい
)
の
羈絆
(
きずな
)
を
断
(
た
)
ち
切
(
き
)
ることによりて、一
層
(
そう
)
自由自在
(
じゆうじざい
)
な
神通力
(
じんつうりき
)
を
恵
(
めぐ
)
まれるよう、
心
(
こころ
)
から
神様
(
かみさま
)
に
祈願
(
きがん
)
しました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
阿古十郎の前では、顎という言葉はもちろん、およそ顎を連想させるしぐさは一
切
(
さい
)
禁物なのである。
顎十郎捕物帳:01 捨公方
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
私
(
わたくし
)
は
思
(
おも
)
はず
息
(
いき
)
を
呑
(
の
)
んだ。さうして
刹那
(
せつな
)
に一
切
(
さい
)
を
了解
(
れうかい
)
した。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
日ごろ小胆なるコン吉は、一たまりもなく逆上して、一
切
(
さい
)
夢中に
松明
(
たいまつ
)
を振り上げ、こいつを物の化めがけて投げつけると、松明はちょうどその足もとまでころがってゆき
ノンシャラン道中記:05 タラノ音頭 ――コルシカ島の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
コン吉は世界に名高きこのコルニッシュの勝景も眼に入らばこそ、広漠たる幸運の平野のまっただ中で、ただもう一
切
(
さい
)
夢中に逆上し、取り留めない空想の足踏みをするばかり。
ノンシャラン道中記:04 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
コン吉は一
切
(
さい
)
を運命とあきらめ、包をあけて
麺麭
(
パン
)
にバタをぬろうとしていたが、やがて
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
コン吉は目玉をすえ、口で息をしながら、はや一
切
(
さい
)
夢中でにじりあがる。タヌはと見れば、これも先ほどの威勢もどこへやら、これ一本が命の綱、と釣られた
鮒
(
ふな
)
のようにあがって来る。
ノンシャラン道中記:07 アルプスの潜水夫 ――モンブラン登山の巻
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
金を賭けて
骨牌
(
カルタ
)
もする、
生臭
(
なまぐさ
)
ものは一
切
(
さい
)
嫌い。
ノンシャラン道中記:08 燕尾服の自殺 ――ブルゴオニュの葡萄祭り――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
一
切
(
さい
)
無差別に教育いたします。
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
“切”の意味
《名詞》
(きれ)布の一部分。転じて布。
《形容動詞》
(セツ)緊急である、余裕がない。
(セツ) 心を込めて祈るさま。
(セツ) 身にしみて強く感じるさま。
《助詞》
(きり、ぎり)のみ。だけ。
(出典:Wiktionary)
切
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“切”を含む語句
大切
一切
切々
突切
打切
切断
切歯
思切
切立
切端
引切
息切
掻切
巾着切
半切
仕切
切通
切符
切掛
手切
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