)” の例文
やがて、しずかに、れかかりました。からすのれは、七、九、五というふうに、それぞれれつつくってんでかえりました。
翼の破れたからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
たふうへにははとあそぶさうである。く。花屋敷はなやしきをのがれたざうたふしたきた。ざう寶塔はうたふにしてしろい。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
がらすのような大勢に、取り巻かれて行ったのを見ただけで、しかとは申されませんが、その駕はどうも二つのように思いました」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今日もお昼に、彼らは、足を引きずり、羊のれのようにぞろぞろ中学校から帰ってくる。にんじんは、首をれて歩いていた。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
親方は案内あんないを知っているらしくせまい通りにこみ合う往来おうらいの人のれを分けて進んだ。わたしはそのそばにりそって歩いた。
そのきさきを描き女神めがみを描き、あるくれないの島にれなして波間なみまに浮ぶナンフ或は妖艶の人魚の姫。或はまた四季の眺めを形取かたどる肉付のよきポモンの女神。
浮世絵の鑑賞 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そのれから、こういって声をかけた者がある。長屋のずっと奥にすんでいる、どこかの見世物小屋の木戸番です。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
するとぴたっと鳥のれは通らなくなり、それと同時にぴしゃあんというつぶれたような音が川下の方でこって、それからしばらくしいんとしました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それが少女せうぢよであればすくなくとも三四にんれてかざられた花笠はながさふかかほおほはれてるのにそれでも猶且やつぱりられることを
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
阪を上り果てゝ、かこいのトゲつき鉄線はりがねくぐり、放牧場を西へ西へと歩む。赭い牛や黒馬が、親子友だち三々伍々、れ離れ寝たり起きたり自在じざいに遊んで居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ただ広びろとつづいたなぎさに浪の倒れているばかりだった。葭簾囲よしずがこいの着ものぎ場にも、——そこには茶色の犬が一匹、こまかい羽虫はむしれを追いかけていた。
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
むこうの峯より何百とも知れぬ狼此方へれて走りくるを見て恐ろしさに堪えず、樹のこずえのぼりてありしに、その樹の下をおびただしき足音して走り過ぎ北の方へ行けり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
かれら四人は、ふんぜんとれをはなれて甲板かんぱんの片すみに立ち、反抗はんこう気勢きせいを示そうとした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
すると不意に——岸の上に、ざわめきや、高笑いや、松明たいまつや、手太鼓てだいこがあらわれるの。……それは、バッカスの巫女みこれをなして、歌ったり叫んだりして走ってくるのよ。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
玄竹げんちくたかこゑおどろいて、百姓ひやくしやう町人ちやうにんれまでが、後退あとずさりするのを、玄竹げんちくやさしくやつて
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
あらたしきとしはじめおもふどちいれてればうれしくもあるか 〔巻十九・四二八四〕 道祖王
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
今宵こよひ陋屋らうをくにて、明星みょうじゃうかゞやき、暗天やみぞらをさへもあかるらすを御覽ごらんあれ。
鐘の音は我をサンピエトロの寺に誘ひぬ。嘗て外國人とつくにびとありて此寺の堂奧はこゝに盡きたりとおもひぬといふ、いと廣き前廳まへにはに、人あまたれたるさま、大路おほぢの上又天使橋の上に殊ならず。
そして吉田が病院へ来て以来最もしみじみした印象をうけていたものはこの付添婦という寂しい女達のれのことであって、それらの人達はみな単なる生活の必要というだけではなしに
のんきな患者 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
このカニのれを、あんなにおそれたのは、なぜでしょう。
妖星人R (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
洞窟に光は入らず黒き水の湧くが如くに黒鯛るる
河馬 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
師走業しはすがふ我がの市は大歳おほどしと千石船のれててにし
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
こは何ぞ、「畏怖ゐふ」のともがられ寄せて我を圍むか。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
こぞりてれゐふくまれて
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
ゆるやかにれとび去りぬ。
しやうりの歌 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
とりくもうをぶも
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
いぬ
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
わたすと、乳色ちちいろくもが、ちょうど牧人ぼくじんの、ひつじれをうように、まちおろしながら、んでいくのでした。かぜは、かれみみもとへ
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
暴風雨ばうふううとしから、ばつたりなくつた。それが、今年ことし、しかもあの大地震おほぢしんまへ暮方くれがたに、そらなみのやうにれてわたりついた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
(さては、親鸞を)と山伏は方々から再び峠の一ヵ所にれ集まった。その中には、眉間みけんに青白い焦躁を刻んでいる弁円の顔もあった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ勝手口につづく軒先のきさき葡萄棚ぶどうだなに、今がその花の咲く頃と見えて、あぶれあつまってうなる声が独り夏の日の永いことを知らせているばかりである。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
雀のれは生籬いけがきから生籬に飛びうつる。二人の猟師は、雀が眠ってでもいるかのように、背中を丸くして、そうっと近づいて行く。雀の群れはじっとしていない。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
子どもたちのれがあとからかけてついて来た。やがて広場に着いたじぶんには、わたしたちの行列に、はるか多い見物の行列がつながって、たいした人だかりであった。
足の下で、奈良ならの町の火が美しくつき出した。はちれの唸呍つぶやきの様な人声物音が響く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
とつぜん大きな波は、黒雲をかすめて百千の猛獣もうじゅうれのごとく、おしよせてきた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
是などもまた確かにれて旅行く女たちの生活であって、静かにその歌の声に聴き入った人々の背後には、秋の夜明けの白々しらじらとした東雲しののめが、もううそ寒く近よって来ている感じがする。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ある時石川郡いしかわごおり市川いちかわ村の青田あおた丹頂たんちょうの鶴くだれるよし、御鳥見役おとりみやくより御鷹部屋おたかべや注進になり、若年寄わかどしよりより直接言上ごんじょうに及びければ、上様うえさまには御満悦ごまんえつ思召おぼしめされ、翌朝こく御供揃おともぞろい相済み
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それといっしょにまた幾万いくまんという鳥のれがそらをまっすぐにかけたのです。二人ふたりの顔を出しているまん中のまどからあの女の子が顔を出してうつくしいほおをかがやかせながらそらをあおぎました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
相変らず疑ぐりぶかいからすれが、すっかり葉の落ちた白樺しらかばの高い高いてっぺんに止って、思い出したようにカアカア鳴いていた。太陽と風が、そのまばらなえだの間に、静かにたわむれていた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
れつどひ、兩手もろてあはせぬ。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
あくるから、日暮ひぐがたになって夕焼ゆうやけが西にしそらいろどるころになると、三郎さぶろうほうへとあこがれて、ともだちのれからはなれてゆきました。
空色の着物をきた子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小文治こぶんじはふしんな顔をしたが、もう龍太郎りゅうたろうがいっさんにかけだしたので、あわててあとからつづいてゆくと、うわさにたがわぬ人れだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
前日ぜんじつくちあさみぎはるゝ飴色あめいろ小蝦こえびしたを、ちよろ/\とはしつた——真黒まつくろ蠑螈ゐもりふたつながら、こゝにたけぢやうあまんぬる。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それはがんか野の白鳥のさけび声であったろう。この気ちがいじみた鳥のれは、わたしたちの頭の上をんだと思うと、もう北から南のほうへおもしろそうにかけって行った。
荒布あらぬのの前掛を締めた荷揚の人足が水に臨んだ倉の戸口に蹲踞しゃがんで凉んでいると、往来際おうらいぎわには荷車の馬がたてがみを垂して眼を細くし、蠅のれを追払う元気もないようにじっとしている。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ただ波頭なみがしらしろえるかとおもうとえたりして、渺茫びょうぼうとした海原うなばらいくまんしろいうさぎのれがけまわっているようにおもわれました。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
竹童はその声に、はじめてわれにかえったように、万千代のすがたと、あたりにれているとんぼぐみの少年たちを見まわした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遠近をちこちやまかげもりいろのきしづみ、むねきて、稚子をさなごふね小溝こみぞとき海豚いるかれておきわたる、すごきはうなぎともしぞかし。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのあくるも、かれは、そと往来おうらいって、からすのれを見送みおくりました。やはり、あわれなからすの姿すがたはそのれつには、なかったのでした。
翼の破れたからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
いまではふたゝび、もとのとほこずゑたかし、しげつてる。暴風雨ばうふううまへ二三年にさんねん引續ひきつゞいて、兩方りやうはう無數むすう椋鳥むくどりれてた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)