ばつ)” の例文
「ばかな六部ろくぶめ。よけいなところへして、かみさまのおばつをうけたにちがいない。そのたたりがむらにかかってこなければいいが。」
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
不知庵主人フチアンシユジンやくりしつみばつたいする批評ひゝやう仲々なか/\さかんなりとはきゝけるが、病氣びやうき其他そのたことありて今日こんにちまでにたるはわづか四五種しごしゆのみ
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
立出たちいでしなりと始終の事とも物語り然るにしうおやのおばつにや途中とちうに於て惡漢どもに欺かれ既に一命もうしなはんとせし程の危難にあひたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたしいま屹度きつとばつせられるんだわ、うして自分じぶんなみだなかおぼれるなて—眞箇ほんと奇態きたいだわ!けども今日けふなにみんへんよ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
おまえがさばくように、わしがさばきをするとすれば、どうじゃ、おまえなどは、とっくにばつをうけていると思わんか。
しかし、キツネのズルスケは、こうして運動会の日の平和をみだしたのですから、おもばつを受けることになりました。
かれは罪悪に就ても彼れ自身に特有な考をつてゐた。けれども、それがために、自然の儘に振舞ひさへすれば、ばつを免かれ得るとは信じてゐなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
諸君しよくん好奇心こうきしんからわざはひまねいたばつとして、海底戰鬪艇かいていせんとうてい竣成しゆんせいしたあかつきにも、裝飾かざり船室せんしつ辛房しんぼうせねばなりませんよ。
三人のうちで、一番たけの高いお山と云ふ女がひよい振顧ふりむくと、『可厭いやだよ。誰かと思つたらお大なんだよ。』と苦笑にがわらひしながらばつが惡いと言ふていで顏を見る。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
それからわしの身のたけほどの大がめに酒をって、海山のめずらしいごちそうをそろえてんでやろう、しかし、もしもらいそこねたら、あんな広言こうげんいたばつ
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
きえちゃんはその前日、げいをしくじったので、そのばつとして御飯ごはんを一日に一度しか食べさせられなかったのです。そのために目まいがするのです。しかし団長だんちょう
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
元はといえば、老先生のご注意を、うわの空で聞いていたばつですが、もうこの上は、しかたがありません。どうか、お力をもって、妹のかたきをとってやって下さいまし
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むぐらをばつにするのはどうです。あいつはじつにこの野原のどくむしですぜ。そしてなまけものですぜ。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
お前はくために書いたんだ。えら音楽家おんがくかになりたくて、人にほめられたくて、書いたんだ。お前は高慢こうまんだった、お前はうそつきだった、それでばつをうけた……そこだ。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
神の御ばつ夫婦ふうふえんとなりしも奇遇きぐうといふべし。こは我がをさなかりし時の事也き、筆のついでにしるして御機屋おはたや霊威れいゐある事をわかふどにしらしむ。あなかしこ。おそるべし、つゝしむべし。
こはがらないでねジエィン、あやまちだと分かつてますからね。ばつしたりはしません。」
といふ伯父おぢさんのこゑきつけました。あのお前達まへたち伯父おぢさんが、とうさんには一番いちばん年長うへにいさんにあたひとです。とうさんは問屋とんやの三らうさんをかせたばつとして、にはたせられました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「これからは気をつけなければいけない。今度こういうことがあるとばつですよ」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「だから、そういう残酷ざんこくなことをするものには、きっとばつがあたるだろう。」
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わけをしなさんな。規則きそくは知っているだろう。着物をぬぎなさい。きのうの分が二つ、きょうの分が二つ。合わせて四つ。それから横着おうちゃくばつに夕食のいもはやらない。リカルド、いい子や。
しかしどんな調べにも、彦太郎は知らぬ存ぜぬの一點張りで、伯父殺しを白状しなかつたのと、一萬兩の行方も知つてゐなかつたので、罪の疑はしきはばつせずとやらで、三宅島へ遠島になつた」
三番叟さんばそうすひもので、熱燗あつかん洒落しやれのめすと、ばつ覿面てきめん反返そりかへつた可恐おそろしさに、恆規おきてしたが一夜いちや不眠ふみん立待たちまちして、おわびまをところへ、よひ小當こあたりにあたつていた、あだ年増としまがからかひにくだりである。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしのばつの分け前は今や自分自身の上にかかっている。
つみつくつたばつぢやねえか」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これにてつみ成立せいりつし、だいくわい以後いごはそのつみによりていかなる「ばつ精神的せいしんてきばつ心中しんちうおに穿うがでゝます/\せいます/\めうなり。多言たげんするをこのまず。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
垂しより已來このかた本尊ほんそん現化げんげの秋の月はてらさずと云所も無く眷屬けんぞく結縁けちえんの春のはなかをらずと云ふ袖も方便はうべんかどには罪有る者をばつがた抑々そも/\義長の品行おこなひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたし可愛かあいあしは!わたし毛皮けがはひげは!なんつても屹度きつと夫人ふじんわたしばつするにちがひない!何處どこれをおとしたかしら?
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「もし力があって、かしこいかたが、この悲惨ひさんなありさまをごらんになれば、キツネどもがばつをうけないうちは、じっとしてはいらっしゃれないでしょう。」
すると、子どもは、笑いながら林檎りんごをつかみました。それで、子どもは、なんにもばつをうけないですみました。
新吉はばつが悪そうに振りいて、淋しい顔にみを浮べた。「笑談じょうだんじゃねえ。明日から頭数が一人殖えるんだ。うっかりしちゃいらんねえ。」と低声こごえで言った。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
為朝ためともは、おとうさんが自分じぶんわりにばつけたということをきますと、はじめてびっくりしました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
皇后も宿禰すくねも、神さまのおばつおどろおそれて、急いでそのお空骸なきがらを仮のお宮へお移し申しました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
それは黄色でね、もくもくしてね、失敬しっけいですが、ホモイさん、あなたなんかまだ見たこともないやつですぜ。それから、昨日きのうむぐらにばつをかけるとおっしゃったそうですね。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
人をつたものゝ受くるばつは、られたひとにくからる血潮であるとかたしんじてゐた。ほとばしる血の色を見て、きよい心の迷乱を引き起さないものはあるまいと感ずるからである。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これもとわがなしたるつみなれば、人はしらずとも余処目よそめに見んはそらおそろしく、命をかけてちぎりたることばにもたがへりとおもふから、むすめごのいのちかはりて神に御ばつわび候はん。
その夜から、新吉もきえちゃんもわか姉さんもみんなばつを受けました。お小使いは一銭いっせんももらえなくなるし、三度の食事は二度になりました。それも、犬が食べるような粗末そまつな食事でした。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
みんなは、おんなくみへやられるのが、ばつなかでもいちばんくるしかったのです。
政ちゃんと赤いりんご (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、それがばつなんだ…」
沈痛ちんつう悲慘ひさん幽悽ゆうせいなる心理的小説しんりてきせうせつつみばつ」は奇怪きくわいなる一大巨人いちだいきよじん露西亞ロシア)の暗黒あんこくなる社界しやくわい側面そくめん暴露ばくろしてあますところなしとふべし。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
ばつする時は以てたるべし一夫いきどほりをふくめば三年雨降ずと云先哲せんてつの語あり百姓は國の寶人の命は千萬金にも換難かへがたし然るを正直しやうぢき篤實とくじつなる九助を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
王さまは、じぶんのおかしたつみばつとして、それからはずうっとわたもりをしなければなりませんでした。
湖のこと、鳥のこと、それから、オーラがいなくなったのは、つまりは、神さまが、じぶんたちにくだされたばつにちがいないと思われること、などを話しました。
そこでたまらなくなって、あるときかみからおふれが出て、方々ほうぼうのうちのねこくびったまにつないだつなをといて、はなしてやること、それをしないものばつをうけることになりました。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
したものはしたので、しないものはしないにきまってる。おれなんぞは、いくら、いたずらをしたって潔白なものだ。嘘をいてばつげるくらいなら、始めからいたずらなんかやるものか。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わたしにはべつ話題わだいがなかつたけれど、なににかばつあわせることが出来できた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
須佐之男命すさのおのみことには、あんなひどい乱暴らんぼうをなすったばつとして、ご身代をすっかりさし出させ、そのうえに、りっぱなおひげも切りとり、手足のつめまではぎとって、下界へ追いくだしてしまいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
けがしたる身をわすれてかしこきおんはたにかゝり給ひたる御ばつならん。
「そしたら、こんどはわか姉さんがばつを食うじゃないか。」
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
「いいかい、こんどとしたらばつに、たたくのよ。」
東京の羽根 (新字新仮名) / 小川未明(著)
い、ばつ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)