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縁日
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えんにち
ふりがな文庫
“
縁日
(
えんにち
)” の例文
大入
(
おほいり
)
だ
評判
(
ひやうばん
)
だ四
版
(
はん
)
だ五
版
(
ばん
)
だ
傑作
(
けつさく
)
ぢや
大作
(
たいさく
)
ぢや
豊年
(
ほうねん
)
ぢや
万作
(
まんさく
)
ぢやと
口上
(
こうじやう
)
に
咽喉
(
のど
)
を
枯
(
か
)
らし
木戸銭
(
きどせん
)
を
半減
(
はんまけ
)
にして
見
(
み
)
せる
縁日
(
えんにち
)
の
見世物
(
みせもの
)
同様
(
どうやう
)
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
殊に
縁日
(
えんにち
)
の「からくり」の見せる
黄海
(
こうかい
)
の海戦の光景などは黄海と云うのにも
関
(
かかわ
)
らず、毒々しいほど青い
浪
(
なみ
)
に白い浪がしらを躍らせていた。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし
丹波酸漿
(
たんばほおずき
)
を畠で作り出したのは後のことで、店や
縁日
(
えんにち
)
で売るようになったのは、都会でもそう古くからではないのである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
○
縁日
(
えんにち
)
の夜、
摺違
(
すれちが
)
ひに若き女のお尻を
抓
(
つね
)
つたりなんぞしてからかふ者あり。これからかふにして何もその女を姦せんと欲するがために非ず。
猥褻独問答
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
夏の
夜
(
よ
)
のことであった。その晩はそのあたりに
縁日
(
えんにち
)
があるので、
夕飯
(
ゆうはん
)
がすむと二人の者は散歩に往こうと云いだしたが、一人は従わなかった。
女の姿
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
「
雷
(
かみなり
)
が
鳴
(
な
)
り
出
(
だ
)
したろう、
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
るといけないからいかなかった。それで、
晩
(
ばん
)
に
縁日
(
えんにち
)
へいって、
金
(
きん
)
めだかを
買
(
か
)
ってきたのさ。」
真昼のお化け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
此
(
これ
)
は
縁日
(
えんにち
)
へ行って買って来てやるから構わない。少し腰を痛めたから、
其後
(
それから
)
は何にもしなかった。第一日は
充
(
ま
)
ず成功だろう。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それは、近頃はすつかり丈夫になつてお靜と一緒に庭や門の外まで遊びに出て居た新太郎が、水天宮樣の
縁日
(
えんにち
)
へ行つて見たいと言ひ出したのです。
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その夜、父は私を
縁日
(
えんにち
)
につれて行ってくれた。家の前の路地を
出外
(
ではず
)
れると、「さあおんぶしてやろう」と父は
往来
(
おうらい
)
にしゃがんで私をその背にのせた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
縁日
(
えんにち
)
でよく
赤
(
あか
)
い
目
(
め
)
をしたかわいゝ、
白
(
しろ
)
や
斑
(
ぶち
)
のうさぎを
賣
(
う
)
つてゐるのを、みなさんも、たびたびごらんになつたでせう。しかし
山
(
やま
)
には
褐色
(
かつしよく
)
のうさぎがゐます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
同町内
(
どうちやうない
)
の
瀧君
(
たきくん
)
に、ひと
俵
(
たはら
)
贈
(
おく
)
らうかな、……
水上
(
みなかみ
)
さんは
大
(
おほき
)
な
目
(
め
)
をして、
二七
(
にしち
)
の
縁日
(
えんにち
)
に
金魚藻
(
きんぎよも
)
を
探
(
さが
)
して
行
(
ゆ
)
く。……
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから
神楽坂
(
かぐらざか
)
の
毘沙門
(
びしゃもん
)
の
縁日
(
えんにち
)
で八寸ばかりの
鯉
(
こい
)
を針で引っかけて、しめたと思ったら、ぽちゃりと落としてしまったがこれは今考えても
惜
(
お
)
しいと
云
(
い
)
ったら
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
縁日
(
えんにち
)
にでも行くらしい人通りが、暫く続いたり、それが
途絶
(
とだ
)
えると、支那
蕎麦屋
(
そばや
)
の哀れげなチャルメラの
音
(
ね
)
が聞えたりして、いつの間にか夜が更けたのである。
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
露店というのは、もとは
縁日
(
えんにち
)
だけのもので(この縁日目当ての露店を、テキヤの
符牒
(
ふちょう
)
でホーヘーと言う)
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
連
(
つれ
)
て
兩國
(
りやうごく
)
淺草等
(
あさくさとう
)
又は所々の
縁日
(
えんにち
)
熱閙場
(
さかりば
)
へ日毎に
出歩行
(
であるき
)
給ひければ
自然
(
しぜん
)
と
下情
(
かじやう
)
に通ず
萬端
(
ばんたん
)
如才
(
じよさい
)
なく成給へり程なく一ヶ年も
過
(
すぎ
)
將監も
江戸
(
えど
)
在勤
(
ざいきん
)
の年限
果
(
はて
)
ければ又も徳太郎君を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
縁日
(
えんにち
)
向
(
むけ
)
の花を仕立てる
畠
(
はたけ
)
の尽きたところまで行くと、そこに木戸がある。その木戸の外に、茶畠、野菜畠などが続いている。畠の間の
小径
(
こみち
)
のところで正太は叔父の三吉と一緒に成った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
縁日
(
えんにち
)
のはずれの方に、小さく敷ものをして、紙がとばないように小石をおいて、お家流の美事な筆跡で、すらすら和歌や詩を書いては、一枚書くと丁寧にお辞儀をする品のよい老女がいた。
旧聞日本橋:15 流れた唾き
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
御霊神社の
縁日
(
えんにち
)
で、夜店の飴屋のみせをしづやの背中にいて見て、あめが欲しいとせがんだら、「あれは毒です。」としづやから叱るように云われて、飴屋の
親爺
(
おやじ
)
の顔がそのとき鬼のように見え
生い立ちの記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
縁日
(
えんにち
)
の植木でもひやかすようにしきりに、負けろまけろと言っている。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
縁日
(
えんにち
)
の見世ものの、
臭
(
くさ
)
き瓦斯にも
面
(
おもて
)
うつし
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
隨分
(
ずゐぶん
)
故郷
(
こきよう
)
の
空
(
そら
)
の
懷
(
なつ
)
かしくなつた
事
(
こと
)
も
度々
(
たび/\
)
あつた——
昔
(
むかし
)
の
友人
(
ともだち
)
の
事
(
こと
)
や——
品川灣
(
しながはわん
)
の
朝景色
(
あさげしき
)
や——
上野淺草
(
うへのあさくさ
)
邊
(
へん
)
の
繁華
(
にぎやか
)
な
町
(
まち
)
の
事
(
こと
)
や——
新橋
(
しんばし
)
の
停車塲
(
ステーシヨン
)
の
事
(
こと
)
や——
回向院
(
ゑこうゐん
)
の
相撲
(
すまふ
)
の
事
(
こと
)
や——
神樂坂
(
かぐらざか
)
の
縁日
(
えんにち
)
の
事
(
こと
)
や——
萬
(
よろづ
)
朝報
(
てうほう
)
の
佛蘭西
(
フランス
)
小説
(
せうせつ
)
の
事
(
こと
)
や——
錦輝舘
(
きんきくわん
)
の
政談
(
せいだん
)
演説
(
えんぜつ
)
の
事
(
こと
)
や——
芝居
(
しばゐ
)
の
事
(
こと
)
や
浪花節
(
なにはぶし
)
の
事
(
こと
)
や
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
鬼子
(
おにこ
)
とよべど
鳶
(
とび
)
が
産
(
う
)
んだるおたかとて
今年
(
ことし
)
二八
(
にはち
)
のつぼみの
花色
(
はないろ
)
ゆたかにして
匂
(
にほひ
)
濃
(
こま
)
やかに
天晴
(
あつぱ
)
れ
當代
(
たうだい
)
の
小町
(
こまち
)
衣通
(
そとほり
)
ひめと
世間
(
せけん
)
に
出
(
だ
)
さぬも
道理
(
だうり
)
か
荒
(
あら
)
き
風
(
かぜ
)
に
當
(
あた
)
りもせばあの
柳腰
(
やなぎごし
)
なにとせんと
仇口
(
あだぐち
)
にさへ
噂
(
うはさ
)
し
連
(
つ
)
れて
五十
(
ごとう
)
稻荷
(
いなり
)
の
縁日
(
えんにち
)
に
後姿
(
うしろすがた
)
のみも
拜
(
はい
)
し
得
(
え
)
たる
若
(
わか
)
ものは
榮譽
(
えいよ
)
幸福
(
かうふく
)
上
(
うへ
)
やあらん
卒業
(
そつげふ
)
試驗
(
しけん
)
の
優等證
(
いうとうしよう
)
は
何
(
なん
)
のものかは
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
往時編笠かぶりて心中の沙汰なぞ
唄
(
うた
)
ひ歩みし
読売
(
よみう
)
り今は
縁日
(
えんにち
)
の夜の唱歌となるもまた物同じくしてその名のみ同じからざる一例となすべし。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ある
男
(
おとこ
)
が、
縁日
(
えんにち
)
にいって、
植木
(
うえき
)
をひやかしているうちに、とうとうなにか
買
(
か
)
わなければならなくなりました。そして、
無花果
(
いちじく
)
の
鉢植
(
はちう
)
えを
買
(
か
)
いました。
ある男と無花果
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私はそれを村の男が植木か何かを載せて
縁日
(
えんにち
)
へでも出掛けるものと想像した。先生はその音を聞くと、急に
瞑想
(
めいそう
)
から
呼息
(
いき
)
を吹き返した人のように立ち上がった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「今夜はそれ、
秋葉
(
あきば
)
さんの
縁日
(
えんにち
)
だろう。で、別に用はなし、暑くもあるから、みんなで出かけたのよ」
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
お前は一体泣いてゐるのか、それとも
亦
(
また
)
笑つてゐるのか。お前の顔は悲劇の
面
(
めん
)
のやうで、同時に又喜劇の面のやうだ。おれの記憶は
縁日
(
えんにち
)
の猿芝居へおれを連れて
行
(
ゆ
)
く。
動物園
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鉢肴
(
はちざかな
)
また
洗
(
あらひ
)
と
稱
(
とな
)
へ、
縁日
(
えんにち
)
の
金魚
(
きんぎよ
)
を
丼
(
どんぶり
)
に
浮
(
う
)
かせて——(
氷
(
こほり
)
を
添
(
そ
)
へてもいゝ)——
後
(
のち
)
にひきものに
持
(
も
)
たせて
歸
(
かへ
)
す、
殆
(
ほとん
)
ど
籠城
(
ろうじやう
)
に
馬
(
うま
)
を
洗
(
あら
)
ふ
傳説
(
でんせつ
)
の
如
(
ごと
)
き、
凄
(
すご
)
い
寸法
(
すんぱふ
)
があると
仄聞
(
そくぶん
)
した。
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「大違ひ、——親分に植木屋を始めて貰つて、あつしはそれを江戸の
縁日
(
えんにち
)
へ持出して賣る」
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
見ると、悲劇小説とでもいうか、一昔前
縁日
(
えんにち
)
の本屋などが並べているのを見受けた、東京ではいまはまったく見られなくなったと云っていい、通俗の本であった。私は張り合いの抜けた気持だった。
その人
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
縁日
(
えんにち
)
であろう両側に
露店
(
ろてん
)
が並んで人の出さかっている
街路
(
とおり
)
へ出た。
女の怪異
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「
縁日
(
えんにち
)
ですから、何うでも宜いんでございますよ」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
縁日
(
えんにち
)
でもありますか」
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
小屋掛の様子からどうしてもむかし
縁日
(
えんにち
)
に出たロクロ首の見世物も同じらしく思われたので、わたくしは入らずにしまった。
裸体談義
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
宗助
(
そうすけ
)
はそれから
湯
(
ゆ
)
を
浴
(
あ
)
びて、
晩食
(
ばんめし
)
を
濟
(
す
)
まして、
夜
(
よる
)
は
近所
(
きんじよ
)
の
縁日
(
えんにち
)
へ
御米
(
およね
)
と
一所
(
いつしよ
)
に
出掛
(
でか
)
けた。さうして
手頃
(
てごろ
)
な
花物
(
はなもの
)
を
二鉢
(
ふたはち
)
買
(
か
)
つて、
夫婦
(
ふうふ
)
して
一
(
ひと
)
つ
宛
(
づゝ
)
持
(
も
)
つて
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
た。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところが外へ出て見ると、その晩はちょうど弥勒寺橋の近くに、
薬師
(
やくし
)
の
縁日
(
えんにち
)
が立っている。だから
二
(
ふた
)
つ
目
(
め
)
の
往来
(
おうらい
)
は、いくら寒い時分でも、押し合わないばかりの人通りだ。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「大違い、——親分に植木屋を始めて貰って、あっしはそれを江戸の
縁日
(
えんにち
)
へ持出して売る」
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
……
電車通
(
でんしやどほ
)
りへ
突
(
つ
)
つ
立
(
た
)
つて、こんなお
話
(
はなし
)
をしたんぢあ、あはれも、
不氣味
(
ぶきみ
)
も
通
(
とほ
)
り
越
(
こ
)
して、お
不動樣
(
ふどうさま
)
の
縁日
(
えんにち
)
にカンカンカンカンカン——と
小屋掛
(
こやがけ
)
で
鉦
(
かね
)
をたゝくのも
同然
(
どうぜん
)
ですがね。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夏
(
なつ
)
の
夜
(
よる
)
や、
縁日
(
えんにち
)
の
晩
(
ばん
)
などには、よくこの
町
(
まち
)
にも
露店
(
ろてん
)
が
出
(
で
)
ましたけれど、こんなに
寒
(
さむ
)
くなってからは、
出歩
(
である
)
く
人
(
ひと
)
も
少
(
すく
)
ないので、ああして
露店
(
ろてん
)
を
出
(
だ
)
しても
品物
(
しなもの
)
を
買
(
か
)
うものがないだろうにと
幸福のはさみ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
人は
樹木
(
じゅもく
)
多ければ山の手は夏のさかりにしくはなけんなど思ふべけれど、
藪蚊
(
やぶか
)
の苦しみなき
町中
(
まちなか
)
の
住居
(
すまい
)
こそ夏はかへつて
物干台
(
ものほしだい
)
の
夜凉
(
よすずみ
)
縁日
(
えんにち
)
のそぞろ歩きなぞ
興
(
きょう
)
多けれ。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
しかし、その
日
(
ひ
)
は、
縁日
(
えんにち
)
で、いつもよりかいっそう
露店
(
ろてん
)
も
人出
(
ひとで
)
も
多
(
おお
)
かったのです。
ある夜の姉と弟
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いまだと
早速
(
さつそく
)
千匹屋
(
せんびきや
)
へでも
卸
(
おろ
)
しさうなものを、
彼
(
か
)
の
川柳
(
せんりう
)
が
言
(
い
)
ふ、(
地女
(
ぢをんな
)
は
振
(
ふ
)
りもかへらぬ
一盛
(
ひとさか
)
り)それ、
意氣
(
いき
)
の
壯
(
さかん
)
なるや、
縁日
(
えんにち
)
の
唐黍
(
たうきび
)
は
買
(
か
)
つて
噛
(
かじ
)
つても、
内
(
うち
)
で
生
(
な
)
つた
李
(
すもゝ
)
なんか
食
(
く
)
ひはしない。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
保吉もまた二十年
前
(
ぜん
)
には
娑婆苦
(
しゃばく
)
を知らぬ少女のように、あるいは罪のない問答の前に娑婆苦を忘却した宣教師のように小さい幸福を所有していた。
大徳院
(
だいとくいん
)
の
縁日
(
えんにち
)
に
葡萄餅
(
ぶどうもち
)
を買ったのもその頃である。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いつか普及せられてコスモスの
流行
(
はや
)
るころには、西河岸の地蔵尊、虎ノ門の
金毘羅
(
こんぴら
)
などの
縁日
(
えんにち
)
にも、アセチリンの悪臭鼻を突く燈火の下に陳列されるようになっていた。
葛飾土産
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
☆
香具師
(
やし
)
——
縁日
(
えんにち
)
や
祭
(
まつ
)
りなどで、
見
(
み
)
せ
物
(
もの
)
などを
興業
(
こうぎょう
)
する
人
(
ひと
)
や、
品物
(
しなもの
)
を
売
(
う
)
る
人
(
ひと
)
。
白いくま
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
縁日
(
えんにち
)
あるきの
若人
(
わかうど
)
たち、
愼
(
つゝし
)
まずばあるべからず、と
唐
(
から
)
の
伯父御
(
をぢご
)
が
申
(
まを
)
さるゝ。
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
二七不動
(
にしちふどう
)
の
縁日
(
えんにち
)
、三番町や
九段下
(
くだんした
)
の
寄席
(
よせ
)
にても折々顔を見合す
中
(
うち
)
或日突然
向
(
むこう
)
よりにつこりと、笑顔を向けられて、僕その時は真赤になりしが、翌日はもう我慢がならず
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
が、
一夏
(
ひとなつ
)
縁日
(
えんにち
)
で、
月見草
(
つきみそう
)
を買って来て、
萩
(
はぎ
)
の
傍
(
そば
)
へ植えた事がある。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
僕
(
ぼく
)
のうちのは、
縁日
(
えんにち
)
で
買
(
か
)
ってきた
苗木
(
なえぎ
)
だよ。」
芽は伸びる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
芝居へも
縁日
(
えんにち
)
へも必ず
連立
(
つれだ
)
って行く。小説や雑誌も同じものを読む。学課の復習試験の
下調
(
したしらべ
)
も母が
側
(
そば
)
から手伝うので、年と共に竜子自身も母をば姉か友達のように思う事が多かった。
寐顔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“縁日”の意味
《名詞》
社寺に祀られる神仏の降誕や安置した日などを特別に縁がある日として祭礼や供養を行う日。
(出典:Wiktionary)
“縁日”の解説
縁日(えんにち)とは、神仏の降誕、降臨、示現、誓願などの縁(ゆかり)のある日、すなわち有縁(うえん)の日のことである。
(出典:Wikipedia)
縁
常用漢字
中学
部首:⽷
15画
日
常用漢字
小1
部首:⽇
4画
“縁日”で始まる語句
縁日物
縁日抔
縁日商人