)” の例文
料理りょうりはうまかった。そうだ、まったくすばらしかった。はららないし、くたびれもしないし、暑すぎもせず、寒すぎもしなかった。
そうして、そのさけみずには、ことごとくどくれておきました。大将たいしょうは、てきがきっとはららして、のどをかわかしてくるにちがいない。
酒倉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
……身代しんだいらして税にするんでは税やない、罰金やて。……阿呆でも大學校へ片足ブチ込んで來よつたんで、言ふことは分つたるがな。
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
日本につぽんアルプスの上高地かみこうち梓川あづさがはには、もといはなで、あしすべるといはれたほど澤山たくさんゐたものですが、近頃ちかごろはだんだんつてたようです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
見渡す限り雪ばかり。その時にはほとんど失望した。何故ならば腹は充分って居る。喉は乾いて来る。果てには非常に苦しくなった。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
もつとも、店へ置いて、女達が皆んなで履くから、齒は摺りつてゐるし、鼻緒はなをゆるくなつて、誰でも突つかけられないことはありません」
頭かずを眼で読むと、三十名の組が十七名にっている。しかし、そのうちの四名は、組頭の藤吉郎も、見たことのない顔の足軽だった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これよりか悪戯いたずら加減かげんするなんて、どうしたらいいの? あれよからせやしないや。だって、僕ほんのぽっちりしか悪戯いたずらしないんだもの。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
しなはどうかしてすこしでも蒟蒻こんにやくらしてきたいとおもつた。おしなそのうちきられるだらうとかんがへつゝ時々とき/″\うと/\とる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
我すなはちいふ、師よ、かゝる苛責の苦しみは大いなる審判さばきの後増すべきかるべきかまたはかく燃ゆべきか 一〇三—一〇五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
なかっている者は、決して食物を選ばない。水に溺れている者は一筋の藁さえ掴もうとする。民弥の心は手頼たよりなかった。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
るどころか、却って数もふえて、それが大変いやな小悪魔達で、お尻にとても毒のあるはりを持っていることも知っています。
「そうなれば、今のままでは、とてもやっていけませんわ。いよいよ土地が売れたら、小作米だって、ぐっとるでしょう?」
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
女の顏がりはしないかといふめたん子の不安はあつた、店にさかなを買ひにくる女達のために、めたん子は出前にゆくことを望んでゐたが
めたん子伝 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
しかし、月きふの上る見込みこみもなかつたし、ボオナスもるばかりの上に、質屋しちやちかしい友だちからの融通ゆうづうもさうさうきりなしとはかなかつた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
わるいラランもすこしばかりさびしくなつてきた。今度こんどこそはらつてきた。すると突然とつぜん、ヱヴェレストの頂上てうじやうからおほきなこえ怒鳴どなるものがあつた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
在所の者は誰も相手にせぬし、便たよかたも無いので、少しでも口をす為にあますヽめに従つて、長男と二男を大原おほはら真言寺しんごんでら小僧こぞうつた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
「成程おひるだ。」とつぶやき、「ちかの腹のツたのが當前で、おれの方が病的なんだ。一體俺の體は何故なぜ此樣こんなに弱いのだらう。」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
その夜は吹荒ふきすさむ生温なまぬるい風の中に、夜着の数をして、常よりは早く床についたが、容易に寝つかれない晩であった。
三山居士 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれどもそこは小児こども思慮かんがえも足らなければ意地も弱いので、食物を用意しなかったため絶頂までの半分も行かぬうちに腹はって来る気はえて来る
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
舌がちっとも渇いてないという証拠をみせるために、にんじんが、舌を出して見せる回数は、だんだんにってくる。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
マーキュ 出來できた。此上このうへ洒落競しゃれくらべぢゃぞ。これ、足下おぬしそのうすっぺらなくつそこは、いまこと/″\って、はて見苦みぐるしいあししゃらうぞよ。
まさか、手製の棺桶でおともらひもできますまい。どうも変だと思つて、早速、区役所で、最近二三年の死亡率を調べてみました。たしかに、つてゐる。
医術の進歩 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
そのころ地球は、ずっと形が小さくなり、小山ぐらいの大きさとなったので、恐ろしさがった。もうあれを見て発狂したり、気絶きぜつする者もなかろう。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
つぼみはみんなできあがりましてございます。秋風あきかぜするどこながその頂上ちょうじょうみどりいろのかけがねけずってしてしまいます。今朝けさ一斉いっせいにどの花も開くかと思われます
四又の百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
家へ入ると、通し庭の壁際に据ゑた小形の竈の前に小くしやがんで、干菜でも煮るらしく、鍋の下を焚いてゐた母親が、『けえつたか。おなかつたべアな?』
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
よく思ひちがひをしがちな彼なので、念のためにノートに買ひものと毎日の小遣とを書きあげて、計算してみたが、そんなに遽かに札のる訳がなかつた。
(新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
きぬはいくらってもってもりません。がねはたたくと近江おうみ国中くにじゅうこえるほどのたかおとをたてました。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
縁から見ると、七分目にった甕の水がまだ揺々ゆらゆらして居る。其れは夕蔭に、かわかわいた鉢の草木にやるのである。稀には彼が出たあとで、妻児さいじが入ることもある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
近年きんねん敬神けいしんねんうすらぎましたせいか、めっきり参拝者さんぱいしゃかずり、また熱心ねっしんさもうすらいだようにかんじられますが、むかしたいそう真剣しんけんかたおおかったものでございます。
なかもぺこぺこにっていましたが、なにか買って食べるお金なんか一もんも持っていなかったのです。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
大正たいしやうねんの九ぐわつ十二にちからきん輸出禁止ゆしゆつきんしがしてあるから、外國ぐわいこくからものふがしかしながら日本にほんからきんすことはならぬ、したがつ日本にほん流通りうつうして通貨つうくわたからぬ。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
ればな……いやくちらぬ老爺ぢゞい身勝手みがつてふが、一理いちりある。——ところでな、あのばん手網であみばんをしたが悪縁あくえんぢや、御身おみとほ色恋いろこひさばきたのまれたことおもへ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おまえあって、あたし、というより、勿体もったいないが、おまえあってのお稲荷様いなりさま滅多めった怪我けがでもしてごらん、それこそ御参詣おさんけいが、半分はんぶんってしまうだろうじゃないか。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
いまから數十年前すうじゆうねんぜんのあるとし、スヰスのくにのチュウリッヒみづいままでになくつてそこあらはれました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そして最初になめらかそうな処をえらんで本という字を懸命に書いてみた。草履ぞうり拭物ふきものの代りをした。彼は短い白墨がって来ると上目うわめをつかって、暫く空を見ていてから
(新字新仮名) / 横光利一(著)
然し仕事場の方は少しずつ人数がっていった。倉さんや常さんなどは殆んど顔を見せなかった。そして金さんはその頃から暫くの予定で砲兵工廠に出るようになった。
少年の死 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
けんそんなゴルドンも年齢ねんれいらすことができないので、第五級の生徒となることにきまった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
アノお隣で、なんくぎを打つんだとまうしますから、蚊帳かや釣手つりてを打つんですから鉄釘かなくぎ御座ございませうとまうしましたら、かねかねとのひで金槌かなづちるからせないとまうしました。
吝嗇家 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
勿論水兵や機関兵はこの命令の下った時から熱心に鼠狩ねずみがりにとりかかった。鼠は彼等の力のために見る見るすうらして行った。従って彼等は一匹の鼠も争わないわけにはかなかった。
三つの窓 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
めづらしいおきやくさまでもあるときには、とうさんのおいへではにはとりにく御馳走ごちそうしました。山家やまがのことですから、にはとりにくへばたいした御馳走ごちそうでした。そのたびにおいへつてあるにはとりりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
つかんことを申し上げるようですが、東京になってからひどくったものは、狐狸や河獺ですね。狐や狸は云うまでもありませんが、河獺もこの頃では滅多めったに見られなくなってしまいました。
半七捕物帳:10 広重と河獺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なかつてもう氣が遠くなつた私は、味なんぞ考へないで、私の分を一さじさじむさぼり食べたが空腹くうふくのせつない苦痛が和らいで見ると、實に不味まづい食物を手に持つてゐることがはつきりして來た。
話が進めば進む程劇的要素のつて行くのは喰ひ足り無い事であつた。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
口走くちばし後悔こうくわいするなと云はるゝに長庵は猶もらずがほに御吟味の行屆ゆきとゞかざると申たる譯には御座無く全く御裁許さいきよ相濟あひすみたればこそ道十郎が死骸は取捨仰せ付けられ又た家財かざいは妻子へくだおかれしと申立る時越前守殿一そうこゑ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「この野郎、ちびのくせに口のらねえ野郎だ」
「褒美の代りにを禁じてもらいたい」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
なかつてはどもならぬ。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
戰爭いくさをすると腹がつた。
おとこが、石段いしだん心配しんぱい以外いがいには、なにも自分じぶんたちをしかる理由りゆうがなく、また、自分じぶんたちはしかられるはずがないとおもったからです。
石段に鉄管 (新字新仮名) / 小川未明(著)