トップ
>
依然
>
いぜん
ふりがな文庫
“
依然
(
いぜん
)” の例文
夜
(
よる
)
は
戸毎
(
こごと
)
の
瓦斯
(
がす
)
と
電燈
(
でんとう
)
を
閑却
(
かんきやく
)
して、
依然
(
いぜん
)
として
暗
(
くら
)
く
大
(
おほ
)
きく
見
(
み
)
えた。
宗助
(
そうすけ
)
は
此
(
この
)
世界
(
せかい
)
と
調和
(
てうわ
)
する
程
(
ほど
)
な
黒味
(
くろみ
)
の
勝
(
か
)
つた
外套
(
ぐわいたう
)
に
包
(
つゝ
)
まれて
歩
(
ある
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
窃盜
(
せつたう
)
、
姦淫
(
かんいん
)
、
詐欺
(
さぎ
)
の
上
(
うへ
)
に
立
(
た
)
てられてゐるのだ。であるから、
病院
(
びやうゐん
)
は
依然
(
いぜん
)
として、
町
(
まち
)
の
住民
(
ぢゆうみん
)
の
健康
(
けんかう
)
には
有害
(
いうがい
)
で、
且
(
か
)
つ
不徳義
(
ふとくぎ
)
なものである。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
と叫ぶ
甲
(
かん
)
高い声を聞いて、左膳は、何はともあれ脱出するのが目下の急務だから、
依然
(
いぜん
)
縁さきに
佇立
(
ちょりつ
)
する源十郎をしりめにかけて
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
毎日毎日彼は窓にぶら下った虱を見詰める。初め、もちろんそれは一匹の虱に過ぎない。二三日たっても、
依然
(
いぜん
)
として虱である。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
北
(
きた
)
の
方
(
ほう
)
の
海
(
うみ
)
は、
依然
(
いぜん
)
として
銀色
(
ぎんいろ
)
に
凍
(
こお
)
って、
寒
(
さむ
)
い
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いていました。そして、あざらしは、
氷山
(
ひょうざん
)
の
上
(
うえ
)
に、うずくまっていました。
月とあざらし
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
石太郎は、むちでこめかみをぐいとおされ、左へぐにゃりとよろけたが、
依然
(
いぜん
)
てれたような表情で、沈黙しているばかりである。
屁
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
伝吉
(
でんきち
)
が
駕籠
(
かご
)
の
中
(
なか
)
で
鼻
(
はな
)
の
頭
(
あたま
)
を
引
(
ひ
)
ッこすってのひとり
啖呵
(
たんか
)
も、
駕籠屋
(
かごや
)
には
少
(
すこ
)
しの
効
(
き
)
き
目
(
め
)
もないらしく、
駕籠
(
かご
)
の
歩
(
あゆ
)
みは、
依然
(
いぜん
)
として
緩
(
ゆる
)
やかだった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
然
(
しか
)
し
薄
(
うす
)
い
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
は
畑
(
はたけ
)
の
畝
(
うね
)
が
形
(
かたち
)
づくつて
居
(
ゐ
)
る
長
(
なが
)
い
小山
(
こやま
)
の
頂點
(
ちやうてん
)
を
越
(
こ
)
えて
幾
(
いく
)
らも
其
(
そ
)
の
力
(
ちから
)
を
及
(
およ
)
ぼさなかつた。どの
畝
(
うね
)
でも
其
(
その
)
陰
(
かげ
)
は
依然
(
いぜん
)
として
白
(
しろ
)
かつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
其後
(
そのご
)
、
男
(
をとこ
)
から
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つてやつても、
女
(
をんな
)
からは
依然
(
いぜん
)
として
毎月
(
まいげつ
)
一
日
(
じつ
)
に『
御返事
(
ごへんじ
)
を
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
ります』の
葉書
(
はがき
)
が
來
(
き
)
た。とう/\それが一
年間
(
ねんかん
)
續
(
つゞ
)
いた。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
ついでながら、
私
(
わたくし
)
と
私
(
わたくし
)
の
生前
(
せいぜん
)
の
良人
(
おっと
)
との
関係
(
かんけい
)
は
今
(
いま
)
も
尚
(
な
)
お
依然
(
いぜん
)
として
続
(
つづ
)
いて
居
(
お
)
り、しかもそれはこのまま
永遠
(
えいえん
)
に
残
(
のこ
)
るのではないかと
思
(
おも
)
われます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
五月にいたりても人の手をつけざる
日蔭
(
ひかげ
)
の雪は
依然
(
いぜん
)
として山をなせり、
況
(
いはん
)
や
山林幽谷
(
さんりんいうこく
)
の雪は三伏の暑中にも消ざる所あり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
通常疱瘡神として
住吉大明神
(
すみよしだいみょうじん
)
を祭ったものでしたが、いくら住吉大明神を祭っても、疱瘡は
依然
(
いぜん
)
としてその勢いをたくましゅうしたのであります。
ジェンナー伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
依然
(
いぜん
)
として、閑父のよき友であり、時としてはよき
師
(
し
)
である。師であるとは、勿論子の方が父の師であるという意味だ。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
發掘
(
はつくつ
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
依然
(
いぜん
)
として
多量
(
たりやう
)
の
彌生式土器破片
(
やよひしきどきはへん
)
、
及
(
およ
)
び
同
(
どう
)
徳利形
(
とくりがた
)
の
上半部
(
じやうはんぶ
)
を(
水谷氏
(
みづたにし
)
、二
箇
(
こ
)
。
望蜀生
(
ばうしよくせい
)
、三
箇
(
こ
)
)
掘出
(
ほりだ
)
した。
探検実記 地中の秘密:06 疑問の加瀬貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
しかしその
材料
(
ざいれう
)
構造
(
こうざう
)
は
依然
(
いぜん
)
として
舊來
(
きうらい
)
のまゝで、
耐震的工風
(
たいしんてきくふう
)
を
加
(
くは
)
ふるが
如
(
ごと
)
き
事實
(
じじつ
)
はなかつたので、たゞ
漸次
(
ぜんじ
)
に
工作
(
こうさく
)
の
技術
(
ぎじゆつ
)
が
精巧
(
せいこう
)
に
進
(
すゝ
)
んだまでである。
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
一行中の
朴拳闘
(
ぼくけんとう
)
選手が、この男をみるなり、「金徳一だ!」と
叫
(
さけ
)
び、
駆
(
か
)
けよって手を
握
(
にぎ
)
っていましたが、その男の表情は、
依然
(
いぜん
)
、
白痴
(
はくち
)
に近いものでした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
さて、その日の午後になりますと、事件は
漸
(
ようや
)
く現実味を帯びて来ました。長吉の行方は、中村家でも手を尽して探したらしいのですが、
依然
(
いぜん
)
として不明です。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それもそのはず、地中に細長い
白色地下茎
(
はくしょくちかけい
)
が
縦横
(
じゅうおう
)
に通っていて、
苗
(
なえ
)
を抜く時にそれが切れ、
依然
(
いぜん
)
として地中に残り、その残りからまた
苗
(
なえ
)
が
生
(
は
)
えるからである。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
大島小學校
(
おほしませうがくかう
)
も
今
(
いま
)
は
村
(
むら
)
の
經濟
(
けいざい
)
で
維持
(
ゐぢ
)
して
居
(
ゐ
)
ますが、しかし
村
(
むら
)
の
經濟
(
けいざい
)
の
首腦
(
しゆなう
)
は
池上權藏
(
いけがみごんざう
)
ですから、
學校
(
がくかう
)
の
保護者
(
ほごしや
)
は
依然
(
いぜん
)
として
其
(
そ
)
の
昔
(
むかし
)
覺悟
(
かくご
)
まできめた
百姓
(
ひやくしやう
)
權藏
(
ごんざう
)
であります。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
しかれども打者の
打撃
(
だげき
)
球に触れざる時は打者は
依然
(
いぜん
)
として立ち、
攫者
(
キャッチャー
)
は後(一)にありてその球を止めこれを
投者
(
ピッチャー
)
に投げ返す。投者は幾度となく本基に向って投ずべし。
ベースボール
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
同氏は禅学熱心家で殊にそういう
殺生
(
せっしょう
)
な商売をしなくても充分生活の出来る人であるに拘わらず、
依然
(
いぜん
)
として
鶏商
(
かしわや
)
をやって居りますから東京からしばしば書面を送って
諫
(
いさ
)
め
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
その後、秀吉の軍は、一塁一塁を力攻して、いまはかつて官兵衛がいた頃の平井山の本陣をずっと前方へすすめ、
依然
(
いぜん
)
として、なお陥ちずにいる三木の城と
対
(
むか
)
い合っていた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、お君は
依然
(
いぜん
)
としてお君であったが、しかし、お君の眼のまわりが目立って
黝
(
くろず
)
んでいた。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
二人の眼は、
依然
(
いぜん
)
として生徒の群にそそがれたまま、二間、三間と通り過ぎて行った。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
依然
(
いぜん
)
たる覆面のため、顔色は
窺
(
うかが
)
うよしもないが、動作は明かに元気づいてみえた。そして大辻も加わって久し振りで三人が揃って食卓についた。しかし探偵談は一切ぬきであった。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とらへて
引立
(
ひきた
)
つるに
然
(
さ
)
らば
參
(
まゐ
)
るべしお
手
(
て
)
お
放
(
はな
)
しなされ
大方
(
おほかた
)
は
人違
(
ひとちが
)
ひと
思
(
おも
)
へどお
目
(
め
)
にかゝりし
上
(
うへ
)
ならではお
疑
(
うたが
)
ひ
晴
(
は
)
れ
難
(
がた
)
からん
御案内
(
ごあんない
)
お
頼
(
たの
)
み
申
(
まを
)
すと
明瞭
(
めいれう
)
に
答
(
こた
)
へながら
心
(
こゝろ
)
の
裡
(
うち
)
は
依然
(
いぜん
)
濛々漠々
(
まう/\ばく/\
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
が、私は
依然
(
いぜん
)
警戒を怠らず、書記中に他の問題に自分の考を占領させるべく努め、難解の書物を
繙
(
ひもと
)
いて、推理を試みつつあったが、それでも通信は、何の障害なしに、規則正しく現れた。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
だから
私
(
わたくし
)
は
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
に
依然
(
いぜん
)
として
險
(
けは
)
しい
感情
(
かんじやう
)
を
蓄
(
たくは
)
へながら、あの
霜燒
(
しもや
)
けの
手
(
て
)
が
硝子戸
(
ガラスど
)
を
擡
(
もた
)
げようとして
惡戰苦鬪
(
あくせんくとう
)
する
容子
(
ようす
)
を、まるでそれが
永久
(
えいきう
)
に
成功
(
せいこう
)
しない
事
(
こと
)
でも
祈
(
いの
)
るやうな
冷酷
(
れいこく
)
な
眼
(
め
)
で
眺
(
なが
)
めてゐた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
月は
依然
(
いぜん
)
として照っていた。が、その月も彼の眼には入らなかった。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
借入金
(
かりいれきん
)
は
依然
(
いぜん
)
として
益々
(
ます/\
)
殖
(
ふ
)
える一
方
(
ぱう
)
である。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
依然
(
いぜん
)
たる前後の
暗黒
(
あんこく
)
であった。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
窃盗
(
せっとう
)
、
姦淫
(
かんいん
)
、
詐欺
(
さぎ
)
の
上
(
うえ
)
に
立
(
た
)
てられているのだ。であるから、
病院
(
びょういん
)
は
依然
(
いぜん
)
として、
町
(
まち
)
の
住民
(
じゅうみん
)
の
健康
(
けんこう
)
には
有害
(
ゆうがい
)
で、かつ
不徳義
(
ふとくぎ
)
なものである。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「教頭は角屋へ泊って
悪
(
わ
)
るいという規則がありますか」と赤シャツは
依然
(
いぜん
)
として
鄭寧
(
ていねい
)
な言葉を使ってる。顔の色は少々蒼い。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
五月にいたりても人の手をつけざる
日蔭
(
ひかげ
)
の雪は
依然
(
いぜん
)
として山をなせり、
況
(
いはん
)
や
山林幽谷
(
さんりんいうこく
)
の雪は三伏の暑中にも消ざる所あり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
北の方の海は、
依然
(
いぜん
)
として
銀色
(
ぎんいろ
)
に
凍
(
こお
)
って、寒い風が吹いていました。そして海豹は、氷山の上にうずくまっていました。
月と海豹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そして
依然
(
いぜん
)
として『
御返事
(
ごへんじ
)
を
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
ります』とある。
男
(
をとこ
)
は
少々
(
せう/\
)
氣味
(
きみ
)
が
惡
(
わる
)
くなつた。とう/\
又
(
また
)
葉書
(
はがき
)
が十二
枚
(
まい
)
たまつた。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
といつてお
品
(
しな
)
は
獨斷
(
どくだん
)
で
決行
(
けつかう
)
するのには
餘
(
あま
)
り
大事
(
だいじ
)
であつたのである。さうしてそれは
決定
(
けつてい
)
される
機會
(
きくわい
)
もなくて
夫婦
(
ふうふ
)
は
依然
(
いぜん
)
として
農事
(
のうじ
)
に
忙殺
(
ばうさつ
)
されて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
人の良い兄弟子の嬉しそうな
笑顔
(
えがお
)
を見て、若い子貢も微笑を禁じ得ない。
聡明
(
そうめい
)
な子貢はちゃんと知っている。子路の
奏
(
かな
)
でる音が
依然
(
いぜん
)
として殺伐な北声に満ちていることを。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
娘は見る人のあるのを知ってか知らずにか、
依然
(
いぜん
)
として放心の
様
(
さま
)
で沼の表を見入っています。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
石太郎はだまって、
依然
(
いぜん
)
、土手の声に聞き入っていたが、やがて、土手についていたもう一方の手が、ぐっと草をつかんだかと思うと、土管の中から、右手を
徐々
(
じょじょ
)
にぬきはじめた。
屁
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
いつの間にか、
聖者
(
せいじゃ
)
は博士の前に近く立っていた。ふしぎである。博士は、自分の現在の居場所を知るために、あたりに目を走らせた。
依然
(
いぜん
)
として、同じ城壁の上に居るのであった。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
錦を着て郷土に帰る者が
幾人
(
いくにん
)
ありましても、郷土は
依然
(
いぜん
)
としてぼろを着たままであり、時としては、そうした人々を育てるために、郷土はいっそうみじめなぼろを着なければならない
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
一つ会社に十何年間かこつこつと勤め、しかも地位があがらず、
依然
(
いぜん
)
として平社員のままでいる人にあり勝ちな
疲労
(
ひろう
)
がしばしばだった。橋の上を通る男女や荷馬車を、
浮
(
う
)
かぬ顔して見ているのだ。
馬地獄
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
依然
(
いぜん
)
として、そここことなく見廻して笑っているのだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と、
依然
(
いぜん
)
、
沈思
(
ちんし
)
のすがたを守っていた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
何時
(
いつ
)
もの
樣
(
やう
)
に
縁側
(
えんがは
)
から
茶
(
ちや
)
の
間
(
ま
)
へ
行
(
い
)
かずに、すぐ
取付
(
とつつき
)
の
襖
(
ふすま
)
を
開
(
あ
)
けて、
御米
(
およね
)
の
寐
(
ね
)
てゐる
座敷
(
ざしき
)
へ
這入
(
はい
)
つた。
見
(
み
)
ると、
御米
(
およね
)
は
依然
(
いぜん
)
として
寐
(
ね
)
てゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
勘次
(
かんじ
)
とお
品
(
しな
)
は
相思
(
さうし
)
の
間柄
(
あひだがら
)
であつた。
勘次
(
かんじ
)
が
東隣
(
ひがしどなり
)
の
主人
(
しゆじん
)
に
傭
(
やと
)
はれたのは十七の
冬
(
ふゆ
)
で十九の
暮
(
くれ
)
にお
品
(
しな
)
の
婿
(
むこ
)
に
成
(
な
)
つてからも
依然
(
いぜん
)
として
主人
(
しゆじん
)
の
許
(
もと
)
に
勤
(
つと
)
めて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
又
(
また
)
患者
(
くわんじや
)
の
足
(
あし
)
も
依然
(
いぜん
)
として
門
(
もん
)
には
絶
(
た
)
えぬ。
朝
(
あさ
)
から
午
(
ひる
)
まで
來
(
く
)
る四十
人
(
にん
)
の
患者
(
くわんじや
)
に、
奈何
(
どう
)
して
確實
(
かくじつ
)
な
扶助
(
たすけ
)
を
與
(
あた
)
へることが
出來
(
でき
)
やう、
故意
(
こい
)
ならずとも
虚僞
(
きよぎ
)
を
爲
(
な
)
しつゝあるのだ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
さて
朝
(
あした
)
に見ればくゝしたる
縄
(
なは
)
は
依然
(
いぜん
)
としてもとのごとく、菓子折は
消失
(
きえうせ
)
たるがごとし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
だがはっきりした
証拠
(
しょうこ
)
は、どこにもないのだ。なにしろ、山形警部は
依然
(
いぜん
)
として行方不明である。山形警部の肉体は今どこにどうしているのか、それが今も発見されないままなのだ。
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
依
常用漢字
中学
部首:⼈
8画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“依然”で始まる語句
依然不変旧疎狂