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肘
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ひぢ
ふりがな文庫
“
肘
(
ひぢ
)” の例文
肘
(
ひぢ
)
へ一つ、頬へ一つ、ひるむところを、飛込んだ平次は、猛烈に體當りを一つくれると、淺井朝丸の身體は
朽木
(
くちき
)
の如く庭へ落ちます。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
裾野
(
すその
)
の
煙
(
けむり
)
長
(
なが
)
く
靡
(
なび
)
き、
小松原
(
こまつばら
)
の
靄
(
もや
)
廣
(
ひろ
)
く
流
(
なが
)
れて、
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
幕
(
まく
)
更
(
さら
)
に
富士山
(
ふじさん
)
に
開
(
ひら
)
く
時
(
とき
)
、
其
(
そ
)
の
白妙
(
しろたへ
)
を
仰
(
あふ
)
ぐなる
前髮
(
まへがみ
)
清
(
きよ
)
き
夫人
(
ふじん
)
あり。
肘
(
ひぢ
)
を
輕
(
かる
)
く
窓
(
まど
)
に
凭
(
よ
)
る。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
此
(
こ
)
りや
大層
(
たいそう
)
大事
(
だいじ
)
にしてあるな」
醫者
(
いしや
)
は
穢
(
きたな
)
い
手拭
(
てぬぐひ
)
をとつて
勘次
(
かんじ
)
の
肘
(
ひぢ
)
を
見
(
み
)
た。
鐵
(
てつ
)
の
火箸
(
ひばし
)
で
打
(
う
)
つた
趾
(
あと
)
が
指
(
ゆび
)
の
如
(
ごと
)
くほのかに
膨
(
ふく
)
れて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
全然
欄間
(
らんま
)
の色硝子を透かした午後の日の光の作用である。女は雑誌を
肘
(
ひぢ
)
の下にしたまま、例の通りためらひ勝ちな返事をした。
あばばばば
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
車は
月桂
(
ラウレオ
)
の
街樾
(
なみき
)
を過ぎて客舍の門に
抵
(
いた
)
りぬ。
薦巾
(
セルヰエツト
)
を
肘
(
ひぢ
)
にしたる
房奴
(
カメリエリ
)
は客を迎へて、盆栽
花卉
(
くわき
)
もて飾れる
闊
(
ひろ
)
き
階
(
きざはし
)
の
下
(
もと
)
に立てり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
他
(
ほか
)
の
者
(
もの
)
らは
好
(
い
)
い
幸
(
さいは
)
ひに
其
(
そ
)
れを
坐布團
(
ざぶとん
)
にして
其上
(
そのうへ
)
に
彼等
(
かれら
)
の
肘
(
ひぢ
)
を
載
(
の
)
せ、
其頭
(
そのあたま
)
を
越
(
こ
)
えて
向
(
むか
)
ひ
合
(
あは
)
せになつて
話
(
はな
)
してゐました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「是から
話
(
はな
)
すから、まあ
元
(
もと
)
の通りの姿勢に
復
(
ふく
)
して
下
(
くだ
)
さい。さう。もう少し
肘
(
ひぢ
)
を前へ
出
(
だ
)
して。
夫
(
それ
)
で小川さん、僕の
描
(
か
)
いた
眼
(
め
)
が、実物の表情通り出来てゐるかね」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
周三は壁に凭れて、おきみは、ちやぶ臺の上に
肘
(
ひぢ
)
をついて、ぢつと息を殺してゐた。やがて周三は言つた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
あゝ横笛、花の如き姿
今
(
いま
)
いづこにある、
菩提樹
(
ぼだいじゆ
)
の
蔭
(
かげ
)
、
明星
(
みやうじやう
)
額
(
ひたひ
)
を
照
(
て
)
らす
邊
(
ほとり
)
、
耆闍窟
(
ぎしやくつ
)
の
中
(
うち
)
、
香烟
(
かうえん
)
肘
(
ひぢ
)
を
繞
(
めぐ
)
るの前、昔の夢を
空
(
あだ
)
と見て、猶ほ我ありしことを思へるや否。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
玄關
(
げんくわん
)
から
病室
(
びやうしつ
)
へ
通
(
かよ
)
ふ
戸
(
と
)
は
開
(
ひら
)
かれてゐた。イワン、デミトリチは
寐臺
(
ねだい
)
の
上
(
うへ
)
に
横
(
よこ
)
になつて、
肘
(
ひぢ
)
を
突
(
つ
)
いて、さも
心配
(
しんぱい
)
さうに、
人聲
(
ひとごゑ
)
がするので
此方
(
こなた
)
を
見
(
み
)
て
耳
(
みゝ
)
を
欹
(
そばだ
)
てゝゐる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
浮浪者はすなほに、その病院の名らしく焼印のおされてある草履をぬぐと、
肘
(
ひぢ
)
で拭ふのであつた。何故なら、すでに彼の足の泥がつき、濡れて了つてゐたのである。
釜ヶ崎
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
私が扉をあける、すると大きな診察机に
肘
(
ひぢ
)
をついて、ある患者の温度表を見ながら、一人の醫員に何事かを
獨逸語
(
ドイツご
)
まじりに話してゐる院長が、ちらとこつちを振り返る。
嘘をつく日
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
目鋭
(
めざと
)
い叔父は直に
其
(
それ
)
と
看
(
み
)
て取つて、一寸右の
肘
(
ひぢ
)
で丑松を
小衝
(
こづ
)
いて見た。奈何して丑松も平気で居られよう。叔父の肘が
触
(
さは
)
るか触らないに、其暗号は
電気
(
エレキ
)
のやうに通じた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
落着かぬやうで寢返りをしながら、彼女は被せかけてある
夜具覆
(
ベッドクロオス
)
を引つ張つた。蒲團の一隅に
憇
(
やす
)
んでゐた私の
肘
(
ひぢ
)
がそれを押へつけてゐた。すると彼女は急に腹を立てた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
途中で曲つてゐる梯子段を踏み
過
(
あやま
)
つて、私は四五段も辷り落ち、
肘
(
ひぢ
)
をしたたか
磨
(
す
)
り剥いたのだが、驚いてとんで来た医者に、抱き取られながらも、いい気味だいい気味だ
亡弟
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
坊ちやんが暗い内からもう目を
開
(
あ
)
いて、蒲団の中でおくみの
肘
(
ひぢ
)
を枕に、雀の子がちい/\と啼くのを聞きながら、たわいない一人言を言つてゐられたりするのが、何だか
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
果敢
(
はか
)
なの
身
(
み
)
やとうち
仰
(
あふ
)
げば
空
(
そら
)
に
澄
(
す
)
む
月影
(
つきかげ
)
きよし、
肘
(
ひぢ
)
を
寄
(
よ
)
せたる
丸窓
(
まるまど
)
のもとに
何
(
な
)
んの
咡
(
さゝや
)
きぞ
風
(
かぜ
)
に
鳴
(
な
)
る
荻
(
をぎ
)
の
友
(
とも
)
ずり、
我
(
わ
)
が
蔭
(
かげ
)
ごとか
哀
(
あは
)
れはづかし、
見渡
(
みわた
)
す
花園
(
はなぞの
)
は
夜
(
よ
)
るの
錦
(
にしき
)
を
月
(
つき
)
にほこりて
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
即
(
すなはち
)
、そこは
灌木帶
(
かんぼくたい
)
といふところで、
殊
(
こと
)
に
偃松
(
はひまつ
)
が
目
(
め
)
につくので、
偃松帶
(
はひまつたい
)
ともいつてゐます。
偃松
(
はひまつ
)
は
地上
(
ちじよう
)
二三尺
(
にさんじやく
)
のところに
腕
(
うで
)
を
伸
(
の
)
ばし、
肘
(
ひぢ
)
を
張
(
は
)
つたように、
枝
(
えだ
)
を
四方
(
しほう
)
にひろげてゐます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
私は帽子を網棚に上げ、窓枠に
肘
(
ひぢ
)
を
凭
(
もた
)
せ、熱した額を
爽
(
さは
)
やかな風に当てた。胸には猶苦しい鼓動が波立つてゐた。眼を細めて、歯を合せて、襲ひ寄るものを払ひ除けようとしてゐた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
卓上に
肘
(
ひぢ
)
をついて、
盃
(
さかづき
)
を唇に持つてゆきながら、ゆき子を見てゐたが、その眼はうつろであつた。かつてない、冷い眼の色で、これがこの男の持つて生れた表情なのではないかと思へた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
朝顔の幾花鉢や張る
肘
(
ひぢ
)
の君
厳
(
いつ
)
かしく膝は平らに
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
二人
(
ふたり
)
の男は石の卓に
肘
(
ひぢ
)
つきて
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
その
刄
(
やいば
)
を返して、襲撃に移る前、平次の手からは、第二、第三、第四の錢が、絲を繰り出すやうに曲者の面へ、
肘
(
ひぢ
)
へ、喉笛へと見舞ひます。
銭形平次捕物控:068 辻斬綺談
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
忽
(
たちま
)
ち
兎
(
うさぎ
)
は
戸
(
と
)
に
近
(
ちか
)
づき、それを
開
(
あ
)
けやうとして
中
(
なか
)
の
方
(
はう
)
へ
押
(
お
)
しましたが、
愛
(
あい
)
ちやんの
肘
(
ひぢ
)
が
緊乎
(
しツかり
)
支
(
つか
)
へて
居
(
ゐ
)
て
駄目
(
だめ
)
でした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
美禰子は両手を椅子の
肘
(
ひぢ
)
に掛けて、
腰
(
こし
)
を
卸
(
おろ
)
したなり、
頭
(
あたま
)
と
脊
(
せ
)
を
真直
(
まつすぐ
)
に延ばした。三四郎は
小
(
ちい
)
さな声で
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
始終
(
しよつちう
)
手拭
(
てぬぐひ
)
を
以
(
もつ
)
て
捲
(
ま
)
いた
右手
(
めて
)
の
肘
(
ひぢ
)
を
抱
(
かゝ
)
へるやうにして
伏目
(
ふしめ
)
に
歩
(
ある
)
いた。
道
(
みち
)
に
添
(
そ
)
うて
狹
(
せま
)
い
堀
(
ほり
)
の
淺
(
あさ
)
い
水
(
みづ
)
に
彼
(
かれ
)
の
目
(
め
)
が
放
(
はな
)
たれた。がら/\に
荒
(
すさ
)
んだ
狼把草
(
たうこぎ
)
やゑぐがぽつ/\と
水
(
みづ
)
に
浸
(
ひた
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
事実、私はちんちくりんの身体の肩を怒らせ
肘
(
ひぢ
)
を張つて、廊下で行き違ふ新入生のお辞儀を
鷹揚
(
おうやう
)
に受けつゝ、ゆるく
大股
(
おほまた
)
に歩いた。さうして
鵜
(
う
)
の
目
(
め
)
鷹
(
たか
)
の
目
(
め
)
であらを見出し室長の佐伯に注進した。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
兄は突然かう叫ぶと、母の枕もとに突立つたなり、
肘
(
ひぢ
)
に顔を隠しました。
雛
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
成程
(
なるほど
)
、
空
(
す
)
きに
空
(
す
)
いた
上
(
うへ
)
にも、
寝起
(
ねおき
)
にこんな
自由
(
じいう
)
なのは
珍
(
めづ
)
らしいと
思
(
おも
)
つた。
席
(
せき
)
を
片側
(
かたがは
)
へ十五ぐらゐ
一杯
(
いつぱい
)
に
劃
(
しき
)
つた、たゞ
両側
(
りやうがは
)
に
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
て、
居
(
ゐ
)
ながらだと
楽々
(
らく/\
)
と
肘
(
ひぢ
)
が
掛
(
か
)
けられる。
脇息
(
けふそく
)
と
言
(
い
)
ふ
態
(
さま
)
がある。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
扨
(
さて
)
こそ雪に成りぬるなれ、伯母様さぞや寒からんと
炬燵
(
こたつ
)
のもとに思ひやれば、いとど降る雪
用捨
(
ようしや
)
なく綿をなげて、時の間に隠くれけり庭も
籬
(
まがき
)
も、我が
肘
(
ひぢ
)
かけ窓ほそく開らけば一目に見ゆる裏の耕地の
雪の日
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
渠は我を
後
(
うしろ
)
ざまに馬の脊に掻き載せて、おのれは前の方に跨り、水に
墜
(
おと
)
さぬ用心なりとて、太き綱を我胸と
肘
(
ひぢ
)
とのめぐりに卷きて、脊中合せにしかと負ひたり。我には手先を動かす餘地だになかりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
私の
肘
(
ひぢ
)
をつく窓には
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
やゝ、春の色の濃くなつた庭、咲き亂るゝ桃の下枝を潜つて、玄關へ出ると、誰憚る者もなく、肩
肘
(
ひぢ
)
張つて門へとかゝります。
銭形平次捕物控:246 万両分限
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
『そんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つたつて
仕方
(
しかた
)
がない』と
拗
(
す
)
ねた
調子
(
てうし
)
で
五點
(
フアイブ
)
が
云
(
い
)
ひました。『
七點
(
セヴン
)
が
私
(
わたし
)
の
肘
(
ひぢ
)
を
衝
(
つ
)
いたんだもの』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「先生、失礼ですが、
起
(
お
)
きて御覧なさい」と云ふ。何でも先生の手を
逆
(
ぎやく
)
に取つて、
肘
(
ひぢ
)
の
関節
(
つがひ
)
を
表
(
おもて
)
から、
膝頭
(
ひざがしら
)
で
圧
(
お
)
さへてゐるらしい。先生は
下
(
した
)
から、到底
起
(
お
)
きられない
旨
(
むね
)
を
答
(
こた
)
へた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼
(
かれ
)
は
只管
(
ひたすら
)
肘
(
ひぢ
)
の
瘡痍
(
きず
)
の
實際
(
じつさい
)
よりも
幾倍
(
いくばい
)
遙
(
はるか
)
に
重
(
おも
)
く
他人
(
ひと
)
には
見
(
み
)
せたい一
種
(
しゆ
)
の
解
(
わか
)
らぬ
心持
(
こゝろもち
)
を
有
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
寸暇
(
すんか
)
をも
惜
(
をし
)
んだ
彼
(
かれ
)
の
心
(
こゝろ
)
は
從來
(
これまで
)
になく、
自分
(
じぶん
)
の
損失
(
そんしつ
)
を
顧
(
かへり
)
みる
餘裕
(
よゆう
)
を
有
(
も
)
たぬ
程
(
ほど
)
惑亂
(
わくらん
)
し
溷濁
(
こんだく
)
して
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
僕は岩野泡鳴氏と一しよに、
巣鴨行
(
すがもゆき
)
の電車に乗つてゐた。泡鳴氏は
昂然
(
かうぜん
)
と洋傘の柄にマントの
肘
(
ひぢ
)
をかけて、例の如く声高に西洋草花の栽培法だの氏が自得の健胃法だのをいろいろ僕に話してくれた。
岩野泡鳴氏
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
眼の早い八五郎は、平次の
肘
(
ひぢ
)
をちよいと突きます。庚申横町の木戸を内から開けて、闇の中へスツと出た者があるのです。
銭形平次捕物控:042 庚申横町
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
肘
(
ひぢ
)
の拔けた野良着、ボロボロの
股引
(
もゝひき
)
、膝つ小僧がハミ出して、蟲喰ひ
月代
(
さかやき
)
が
胡麻鹽髭
(
ごましほひげ
)
と共に淺ましく伸びて居ります。
銭形平次捕物控:121 土への愛著
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
肘
(
ひぢ
)
を打たれて、思はず庖丁を取落したお越、次の瞬間には、ガラツ八の我武者羅な
膝
(
ひざ
)
の下に組敷かれて居りました。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ガラツ八は飛んで行くと、少し反抗的なお仲の
肘
(
ひぢ
)
を取つて、グイグイ土藏の裏へつれ込んで來ました。
銭形平次捕物控:107 梅吉殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「さうだらうとも、十手捕繩を預かる八五郎でさへ、
裾
(
すそ
)
と
肘
(
ひぢ
)
にひどい血が附いてるぢやないか、身體に血の附いてるのを縛る段になれば、第一番に八五郎が縛られるよ」
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
何處からともなく飛んで來た錢が一枚、怪しい女の振り上げた
肘
(
ひぢ
)
をハタと打ちました。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
三つ、五つ、八つ、平次の手から投り出される青錢は、左母次郎の眉間へ、唇へ、
肘
(
ひぢ
)
へ、拳へと飛びますが、左母次郎は一刀を巧みに使つて、その十の八つ九つまではハネ返します。
銭形平次捕物控:126 辻斬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二つ三つは除けましたが、幾つ目かは甚六郎の額を打ち、
顎
(
あご
)
を打ち、
肘
(
ひぢ
)
を打ちます。
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それを聽くと、平次の
肘
(
ひぢ
)
は、グイと八五郎の横つ腹を小突きました。『三年越しの岡惚れ』と言はれて、すつかり嬉しがつた人間がその邊にもう一人ゐることを思ひ知らせたのです。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お粂はグイと身體を曲げて、八五郎の膝のあたりを、自分の
肘
(
ひぢ
)
で小突くのです。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
手を延ばしてその徳利を取上げた倉賀屋の
肘
(
ひぢ
)
へ、そつと觸つた者があります。
銭形平次捕物控:167 毒酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
曲者は、
肘
(
ひぢ
)
を打たれ、刄を打たれ、最後に額を打たれました。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
飛出さうとするガラツ八、平次はその
肘
(
ひぢ
)
を押へました。
銭形平次捕物控:107 梅吉殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“肘”の意味
《名詞》
(ひじ)腕の上腕と前腕の間にある関節。
(出典:Wiktionary)
“肘”の解説
肘(ひじ、肱、臂)は、人間の腕の移行部で、上腕と前腕を繋ぐ肘関節(ちゅうかんせつ)と、これらを取り巻く筋や腱のことを指す。脚における膝に対応する。狭義には、腕を折り曲げたときに外側になる部分を指す。
(出典:Wikipedia)
肘
常用漢字
中学
部首:⾁
7画
“肘”を含む語句
掣肘
肘掛
両肘
肘突
片肘
肩肘
肘掛椅子
肘枕
肘鉄砲
肘木
張肘
肘懸椅子
肘壺
肘鐵砲
制肘
肘掛窓
肘鉄
肘懸窓
肘椅子
肘頭
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