“肘掛窓”の読み方と例文
読み方割合
ひじかけまど100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
二人の姉が出て行ったあとで、妙子はひとり肘掛窓ひじかけまどに腰掛けて晴れた晩秋の空を見上げていたが、いつの間にか彼女のほおにも涙が糸を引き始めていた。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
肘掛窓ひじかけまどの外の高野槙こうやまきの植えてある所に打水をして、煙草をみながら、上野の山でからすが騒ぎ出して、中島の弁天の森や、はすの花の咲いた池の上に、次第に夕靄ゆうもやが漂って来るのを見ていた。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
すてきに物干ものほしにぎやかだから、そっと寄って、隅の本箱の横、二階裏にかいうら肘掛窓ひじかけまどから、まぶしい目をぱちくりとってのぞくと、柱からも、横木からも、頭の上の小廂こびさしからも、あたたかな影をかし、羽を光らして
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)