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湛
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たゝ
ふりがな文庫
“
湛
(
たゝ
)” の例文
心こそ凡てのものを涵する
止水
(
しすゐ
)
なれ。迷ふも
茲
(
こゝ
)
にあり、悟るも茲にあり、殺するも仁するも茲にあり、愛も非愛も茲にこそ
湛
(
たゝ
)
ふるなれ。
各人心宮内の秘宮
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
火口
(
かこう
)
の
池
(
いけ
)
が
休息
(
きゆうそく
)
の
状態
(
じようたい
)
にある
時
(
とき
)
は、
大抵
(
たいてい
)
濁水
(
だくすい
)
を
湛
(
たゝ
)
へてゐるが、これが
硫黄
(
いおう
)
を
含
(
ふく
)
むために
乳白色
(
にゆうはくしよく
)
ともなれば、
熱湯
(
ねつとう
)
となることもある。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
「竹ちやん、遠いとこをよう來たな。しんどかつたやろ。」と、京子はちやんと起き上つて、
舐
(
な
)
め付かんばかりの嬉しさを
湛
(
たゝ
)
へた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
『
皆樣
(
みなさま
)
は、
其樣
(
そんな
)
にあの
兒
(
こ
)
を
可愛
(
かあい
)
がつて
下
(
くだ
)
さつたのですか。
妾
(
わたくし
)
は
何
(
なん
)
と
御禮
(
おれい
)
の
言葉
(
ことば
)
もございません。』と
雪
(
ゆき
)
のやうなる
頬
(
ほう
)
に
微※
(
えくぼ
)
の
波
(
なみ
)
を
湛
(
たゝ
)
えて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
温泉
(
いでゆ
)
は、やがて
一浴
(
いちよく
)
した。
純白
(
じゆんぱく
)
な
石
(
いし
)
を
疊
(
たゝ
)
んで、
色紙形
(
しきしがた
)
に
大
(
おほき
)
く
湛
(
たゝ
)
へて、
幽
(
かす
)
かに
青味
(
あをみ
)
を
帶
(
お
)
びたのが、
入
(
はひ
)
ると、
颯
(
さつ
)
と
吹溢
(
ふきこぼ
)
れて
玉
(
たま
)
を
散
(
ち
)
らして
潔
(
いさぎよ
)
い。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
彼に取って「母」と云うものは、五つの時にちらりとみかけた涙を
湛
(
たゝ
)
えた顔の記憶と、あのかぐわしい
薫物
(
たきもの
)
の匂の感覚とに過ぎなかった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
勝手から持出した
手桶
(
てをけ
)
、井戸端へ行つて二た
釣瓶
(
つるべ
)
まで汲み入れ、滿々と水を
湛
(
たゝ
)
へたのを持つて、東作の枕元に突つ立ちました。
銭形平次捕物控:075 巾着切の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
高山
(
こうざん
)
にはよくさういふ
凹地
(
くぼち
)
に
水
(
みづ
)
を
湛
(
たゝ
)
へて、
時
(
とき
)
には
沼地
(
ぬまち
)
を
形
(
かたち
)
づくり、
附近
(
ふきん
)
の
岩
(
いは
)
の
間
(
あひだ
)
に
雪
(
ゆき
)
をためてゐたりするところがあります。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
店臺
(
みせだい
)
へは
暑
(
あつ
)
い
頃
(
ころ
)
には
蟻
(
あり
)
の
襲
(
おそ
)
ふのを
厭
(
いと
)
うて四つの
足
(
あし
)
へ
皿
(
さら
)
や
丼
(
どんぶり
)
の
類
(
るゐ
)
を
穿
(
は
)
かせて
始終
(
しじう
)
水
(
みづ
)
を
湛
(
たゝ
)
へて
置
(
お
)
くことを
怠
(
おこた
)
らないのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「さあ、裏から廻はりませう。さうすれば此の真つ暗に見える『天の岩戸』の中にどれ程の光りが
湛
(
たゝ
)
へられてあるか、貴方は
喫驚
(
びつくり
)
なさるでせう。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
「えゝ寝せて御覧に入れませう。みんな寝ころびますよ。奴等はすべての場所を待合と心得てゐるのですね。」手品師は卑しい笑みを
湛
(
たゝ
)
へて云つた。
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
フアビアニ公子とフランチエスカ夫人とは、わが好き妻を得しを喜び、かの腹黒きハツバス・ダアダアさへ皺ある面に
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たゝ
)
へて、我新婚を祝したり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
顔は
蒼
(
あを
)
ざめ、眼は
悲愁
(
かなしみ
)
の色を
湛
(
たゝ
)
へ、思ふことはあつても十分に其を言ひ得ないといふ風で——まあ、情が迫つて、
別離
(
わかれ
)
の言葉もとぎれ/\であつたことを話した。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
取巻いた
壕
(
ほり
)
の跡には、深く
篠笹
(
しのざさ
)
が繁つて、時には雨後の水が黒く光つて
湛
(
たゝ
)
へられてゐるのが
覗
(
のぞ
)
かれた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
何處にか深い淋しさを
湛
(
たゝ
)
へた眞劒な表情は、この晴れやかな解剖室を暗くするやうにさへ見えた。
実験室
(旧字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
その石垣の中から
蜥蜴
(
とかげ
)
の銀光の肌が
駛
(
はし
)
り出したかと思ふと、ついとまた石垣の穴にかくれた。
午頃
(
ひるころ
)
の
巷
(
ちまた
)
は沙漠のやうに光が澱んで居た。音のない光を限り無く深く
湛
(
たゝ
)
へて居た。
奥間巡査
(新字旧仮名)
/
池宮城積宝
(著)
外山は満面に
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たゝ
)
へて云つて居た。瑞木が鏡子の前へ乗つた。花木も乗りたさうな顔をして居たのであつたが
後
(
うしろ
)
の叔母の車に居た。瑞木を膝に乗せた車が麹町へ
上
(
あが
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
暫しは
恍然
(
うつとり
)
として氣を失へる如く、いづこともなく
詰
(
きつ
)
と
凝視
(
みつ
)
め居しが、星の如き眼の
裏
(
うち
)
には
溢
(
あふ
)
るゝばかりの涙を
湛
(
たゝ
)
へ、珠の如き頬にはら/\と振りかゝるをば拭はんともせず
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
其れに湖は
未
(
ま
)
だ凍らずに
好
(
い
)
い
御納戸
(
おなんど
)
色を
湛
(
たゝ
)
へ、
最
(
も
)
う
遊客
(
いうかく
)
の帰つて
仕舞
(
しま
)
つた湖畔の別荘やホテルがいろいろに
数奇
(
すき
)
を凝らした美しい建築を静かに湖水に映して居たのは目も
覚
(
さ
)
める心地がした。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
雨期を過ぎて未だ久しからねば、泉の清水満々と
湛
(
たゝ
)
へたるに、
旅僧
(
たびそう
)
らしきが二人、驢馬を放ち真裸になりて、首まで
浸
(
ひた
)
り居りぬ。ぐるりの石に縄かけて
縋
(
すが
)
り居るを見れば、水の深さも知らる。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
地を卷く海を
除
(
のぞ
)
きては、水
湛
(
たゝ
)
ふる
溪
(
たに
)
の中にて
最
(
いと
)
大いなるもの 八二—八四
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
紳士は
其儘
(
そのまゝ
)
かき
抱
(
いだ
)
きて、其の白きもの
施
(
ほど
)
こせる額を
恍惚
(
うつとり
)
と
眺
(
なが
)
めつ「どうぢや、浜子、嬉しいかナ」と言ふ顔、少女は
媚
(
こび
)
を
湛
(
たゝ
)
へし
眸
(
め
)
に見上げつゝ「
御前
(
ごぜん
)
、奥様に
御睨
(
おにら
)
まれ申すのが
怖
(
こは
)
くてなりませんの」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
象の顎に白く見ゆる毛
剛
(
こは
)
げにて口には
涎
(
よだれ
)
湛
(
たゝ
)
へたるらし
河馬
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
常の心は、
朱
(
あけ
)
に染み、血の
氣
(
け
)
に欲を
湛
(
たゝ
)
へつゝ
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
金六はさう言ひ乍らも、眼は言葉の調子を裏切つて、微笑を
湛
(
たゝ
)
へて居ります。この娘だけが、甲州屋中での、美しい明るい存在だつたのです。
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
己は生れてからまだ一遍も、あんな不思議な、底の知れない愛嬌と魔力と
鬼気
(
きき
)
とを
湛
(
たゝ
)
えて居る
眼球
(
めだま
)
と云う物を見た事がない。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
(
貴僧
(
あなた
)
は
真個
(
ほんとう
)
にお
優
(
やさ
)
しい。)といつて、
得
(
え
)
も
謂
(
い
)
はれぬ
色
(
いろ
)
を
目
(
め
)
に
湛
(
たゝ
)
へて、ぢつと
見
(
み
)
た。
私
(
わし
)
も
首
(
かうべ
)
を
低
(
た
)
れた、むかふでも
差俯向
(
さしうつむ
)
く。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
黙然としてゐたフェレラはその蒼白な頬に異様な赭味をさし、濁つた眼に無気味な光りを
湛
(
たゝ
)
へて女を見た。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
「
二十歳
(
はたち
)
から呑んだらえゝ、十七ではまだ早い。」と、お駒は圓い眼に
媚
(
こび
)
を
湛
(
たゝ
)
へて
嘲弄
(
からか
)
ふやうに言つた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
私
(
わたくし
)
は
滿面
(
まんめん
)
に
笑
(
えみ
)
を
湛
(
たゝ
)
えて
大佐
(
たいさ
)
の
手
(
て
)
を
握
(
にぎ
)
り、かゝる
災難
(
さいなん
)
の
間
(
あひだ
)
にも
互
(
たがひ
)
の
身
(
み
)
の
無事
(
ぶじ
)
なりし
事
(
こと
)
をよろこび、さて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
堀
(
ほり
)
には
動
(
うご
)
かない
水
(
みづ
)
が
空
(
そら
)
を
映
(
うつ
)
して
湛
(
たゝ
)
へて
居
(
ゐ
)
る
處
(
ところ
)
がある。さうかと
思
(
おも
)
へば
或
(
あるひ
)
は
水
(
みづ
)
は一
滴
(
てき
)
もなくて
泥
(
どろ
)
の
上
(
うへ
)
を
筋
(
すぢ
)
のやうに
流
(
なが
)
れた
砂
(
すな
)
の
趾
(
あと
)
がちら/\と
春
(
はる
)
の
日
(
ひ
)
を
僅
(
わづか
)
に
反射
(
はんしや
)
して
居
(
ゐ
)
る
處
(
ところ
)
がある。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
今まで眼を閉ぢて
默然
(
もくねん
)
たりし瀧口は、やうやく
首
(
かうべ
)
を
擡
(
もた
)
げて父が顏を見上げしが、兩眼は
潤
(
うるほ
)
ひて無限の情を
湛
(
たゝ
)
へ、滿面に顯せる悲哀の
裡
(
うち
)
に
搖
(
ゆる
)
がぬ決心を示し、
徐
(
おもむ
)
ろに兩手をつきて
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
瀧のほとりには、
喇叭
(
らつぱ
)
吹くトリイトンの神二人海馬を馭したり。その下には、豐に水を
湛
(
たゝ
)
へたる大水盤あり。盤を
繞
(
めぐ
)
れる石級を見れば農夫どもあまた心地好げに月明の裡に臥したり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
この
火山島
(
かざんとう
)
は
直徑
(
ちよつけい
)
僅
(
わづか
)
に
三粁
(
さんきろめーとる
)
の
小圓錐
(
しようえんすい
)
であつて、その
北側
(
きたがは
)
に
人口
(
じんこう
)
二千五百
(
にせんごひやく
)
の
町
(
まち
)
があり、
北西
(
ほくせい
)
八合目
(
はちごうめ
)
に
噴火口
(
ふんかこう
)
がある。
火孔
(
かこう
)
は
三箇
(
さんこ
)
竝立
(
へいりつ
)
して
鎔岩
(
ようがん
)
を
湛
(
たゝ
)
へ、
數分間
(
すうふんかん
)
おきに
之
(
これ
)
を
噴
(
ふ
)
き
飛
(
と
)
ばしてゐる。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
このかれの立つてゐる向うに、深い深い草藪があつて、その中に黒い暗い何年にも人の入つて来たことのない古池が
湛
(
たゝ
)
へられてあつた。そこには雲の影も映らなければ、日影も
滅多
(
めつた
)
にはさして来ない。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
と言はれて、郡視学は
鷹揚
(
おうやう
)
な
微笑
(
ほゝゑみ
)
を口元に
湛
(
たゝ
)
へ乍ら
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
藍を
湛
(
たゝ
)
へし靜寂の、かげほのぐらき
青海波
(
せいがいは
)
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
と渡部は豊かなる頬に
笑波
(
せうは
)
を
湛
(
たゝ
)
へぬ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
海は
碧玉
(
エメロウド
)
の湯を
湛
(
たゝ
)
へて居る
南洋館
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
もう一度八五郎の袖を引くもの、——振り返ると此處まで
跟
(
つ
)
いて來たお雪は、大きな眼に一パイの悲しみを
湛
(
たゝ
)
へて、八五郎をさし招くのです。
銭形平次捕物控:124 唖娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
水底
(
みづそこ
)
の
其
(
そ
)
の
缺擂鉢
(
かけすりばち
)
、
塵芥
(
ちりあくた
)
、
襤褸切
(
ぼろぎれ
)
、
釘
(
くぎ
)
の
折
(
をれ
)
などは
不殘
(
のこらず
)
形
(
かたち
)
を
消
(
け
)
して、
蒼
(
あを
)
い
潮
(
しほ
)
を
滿々
(
まん/\
)
と
湛
(
たゝ
)
へた
溜池
(
ためいけ
)
の
小波
(
さゝなみ
)
の
上
(
うへ
)
なる
家
(
いへ
)
は、
掃除
(
さうぢ
)
をするでもなしに
美
(
うつく
)
しい。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
いづれも
手
(
て
)
に/\
双眼鏡
(
さうがんきやう
)
を
携
(
たづさ
)
へ、
白巾
(
ハンカチーフ
)
を
振
(
ふ
)
り、
喜色
(
えみ
)
を
湛
(
たゝ
)
えて、
諸君
(
しよくん
)
の
好意
(
かうゐ
)
を
謝
(
しや
)
する
事
(
こと
)
であらう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
怖い顔をして、ヂツと聴いてゐたお梶は、気味のわるい苦笑を口元に
湛
(
たゝ
)
へて
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
例
(
たと
)
へば
阿蘇山
(
あそざん
)
の
活動
(
かつどう
)
の
中心
(
ちゆうしん
)
たる
中岳
(
なかだけ
)
は
南北
(
なんぼく
)
に
長
(
なが
)
い
噴火口
(
ふんかこう
)
を
有
(
ゆう
)
し、
通常
(
つうじよう
)
熱湯
(
ねつとう
)
を
湛
(
たゝ
)
へてゐるが、これが
數箇
(
すうこ
)
に
區分
(
くぶん
)
せられてゐるので
北
(
きた
)
の
池
(
いけ
)
を
阿蘇
(
あそ
)
の
開祖
(
かいそ
)
と
稱
(
とな
)
へられてゐる
建磐龍命
(
たけいはたつのみこと
)
の
靈場
(
れいじよう
)
とし、
中
(
なか
)
の
池
(
いけ
)
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
其の振り
上
(
あ
)
ぐる顏を見れば、
鬚眉
(
すうび
)
の魂を
蕩
(
とろ
)
かして此世の外ならで六尺の體を天地の間に置き所なきまでに狂はせし
傾國
(
けいこく
)
の色、凄き迄に
美
(
うる
)
はしく、何を悲しみてか眼に
湛
(
たゝ
)
ゆる涙の
珠
(
たま
)
、
海棠
(
かいだう
)
の雨も及ばず。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
名状すべからざる微笑を面に
湛
(
たゝ
)
へ、猶其詞を繼いで云ふやう。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
眼には
憎
(
にくみ
)
の色を
湛
(
たゝ
)
へて
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
沈める波に
湛
(
たゝ
)
ふらむ
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
と言ふと、二人の海女は、身を跳らして、
碧玉
(
へきぎよく
)
を
湛
(
たゝ
)
へたやうな——少し底濁りのした水槽へサツと飛込みました。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
白銀
(
しろがね
)
の
柄
(
え
)
もて
汲
(
く
)
めりてふ、
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
を
湛
(
たゝ
)
ふるかと
見
(
み
)
れば、
冷
(
つめた
)
き
露
(
つゆ
)
の
流
(
なが
)
るゝ
也
(
なり
)
。
凝
(
こ
)
つては
薄
(
うす
)
き
霜
(
しも
)
とならむ。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
湛
漢検準1級
部首:⽔
12画
“湛”を含む語句
湛然
湛増
湛空
宗湛
湛慶
湛念
黯湛
仏師湛慶
鄒湛
聖信房湛空
神谷宗湛
独湛
熊野別当湛増
湛積
湛流
湛水
湛慶滝
湛左衛門
湛寂無味
湛寂
...